弊社では、50社を超える企業のオウンドメディア支援を行なってきました。その中で、多くの企業から聞かれるのが「オウンドメディアを使って、マネタイズしたい」という声です。

実際にオウンドメディアを運用し、マネタイズに繋げているケースは世の中に多くあります。しかし、弊社として勘違いしていただきたくないのは、オウンドメディアはマネタイズ目的で運用すべきものではないということです。

オウンドメディアにおけるマネタイズとは、目的に即して運用した「結果」として表れるものです。元よりマネタイズを目的として運営するメディアは、商業メディアと呼ばれるもので、オウンドメディアとは本質的に性質が異なります。

そこで本記事では、オウンドメディアの本質やマネタイズの方法、そしてオウンドメディアをマネタイズさせた成功事例について解説していきます。

オウンドメディアで「マネタイズ」は本質的なのか

弊社ではオウンドメディアを、「事業・採用課題を解決するための手段としてのメディア」と定義づけており、オウンドメディアをマネタイズ目的で運営するのは、本質的ではないと考えています。あくまでもマーケティングやブランディングのツールとして活用するのが、オウンドメディアの本来の役割だからです。

例えば、「自社サービスのお問い合わせをどれだけ発生させることができるか」「商材をいかにユーザーに認知させることができるか」「採用エントリー数を集めることができるか」といった直接的な収益化ではない観点で運用していく必要があるでしょう。

メディア自体の収益化を目的とした「商業メディア」とは、戦い方が異なる

オウンドメディアとよく混同されるものに、メディア自体の収益化を目的として運用する「商業メディア」があります。商業メディアとオウンドメディアでは、戦略の構築で大きな違いがあります。

商業メディアは、「PV(ページビュー数)」や「UU(ユニークユーザー数)」といったトラフィックをできるだけ多く集めることで、メディア自体の収益化を目的としています。商業メディアのマネタイズ手法としてよく用いられる「Googleアドセンス」を利用した場合、1PVあたり約0.2〜0.3円の収益が発生します。PV数を最大化することで、収益を増やしていくといった戦い方をするのが一般的です。

一方のオウンドメディアは、最終的に製品のリード獲得へと繋がる「見込み客」を、いかに集客できるかといった戦略が必要不可欠です。メディア全体のトラフィック数が増えたとしても、必ずしも成果に繋がるとは限りません。

とあるオウンドメディアでは、月間100万PVのトラフィックがあったのにも関わらず、実際にリードを獲得できたのは、30件しかありませんでした。しかしその後、運用を見直し不要なコンテンツを捨てた結果、月間60万PVで100件のリード獲得に繋がり、売上へ大きく貢献したというケースもあります。

オウンドメディアは、事業・採用課題の解決を目的としたメディアであり、マネタイズを目的としたメディアである商業メディアとは異なるものです。オウンドメディア自体も、収益化することは可能ですが、そもそもの目的が違うことを頭に入れておきましょう。

オウンドメディアでマネタイズする2つの方法

「オウンドメディアでマネタイズすることは本質的ではない」と述べてきましたが、オウンドメディアで事業・採用課題を解決することは、結果的に企業の収益に大きく貢献します。

例えば、製品へのリード総数を大幅に増やすことで、営業受注数の増加ひいては、企業の売上アップに繋がります。このように間接的にマネタイズすることを、弊社では「オウンドメディアで事業に貢献し、収益化する方法」と定義しています。

また事業・採用課題を解決することを目的にオウンドメディアを運営しつつも、一定のトラフィックが集まった時点で一部商業メディア化し、広告収益を得ることがあります。これらを弊社では、「オウンドメディアで直接収益化する方法」と定義しています。こちらはあくまでも、事業に貢献し、収益化する方法と並走して行われる「ハイブリッド型」のマネタイズ手法と言えるでしょう。

ここからはオウンドメディアの2つのマネタイズの方法を、それぞれ詳しくみていきましょう。

事業に貢献し、収益化する方法

オウンドメディアで事業に貢献し、間接的に企業の収益化へと繋げる方法の中にも、いくつかマネタイズのパターンが存在します。以下はその代表的な5つの例です。

  1. 訪問者に商材を購買させる
  2. お問い合わせを獲得する
  3. ターゲットの情報を獲得する
  4. 引き合いを獲得する
  5. 営業時のエンゲージメントを高める

1. 訪問者に商材を購買させる

オウンドメディアを訪れたユーザーに、商材を直接購買してもらうことによって収益化するパターンは、比較的商材単価の安い「BtoC(法人顧客相手のビジネス)の商材」を扱うオウンドメディアに多く見られます。

2. お問い合わせを獲得する

「BtoB(個人顧客相手のビジネス)の商材」を扱うオウンドメディアの場合、比較的商材単価が高く、購買に至るまでに複数の意思決定者がいるため、直接購買ではなくお問い合わせを獲得することで収益化へと繋げます。

3. ターゲットの情報を獲得する

ターゲットの情報を獲得することで収益化するパターンは、オウンドメディアにホワイトペーパーをはじめとする資料請求フォームを設置することで、訪問者の企業名や役職、メールアドレスといった実名のリード情報を得ることができます。メルマガ配信や広告を活用し、適切にナーチャリングすることで、最終的に商材の購入へと結びつけます。

4. 引き合いを獲得する

新規の見込み顧客ではなく、知人からの引き合いを増やして収益化するパターンです。知人からの引き合いは、通常のお問い合わせよりも受注確度が高いという傾向があります。

弊社では、通常のお問い合わせの受注率が約10%なのに対して、知人からの引き合いでは約40〜50%に跳ね上がります。営業工数を減らすことができるため、生産性の向上に寄与します。

5. 営業時のエンゲージメントを高める

企業名や商品名の認知を獲得することで、営業時の受注率を向上させ収益化するパターンです。相手方の認知を得ていることで、アポイントや商談の獲得がよりスムーズに進みます。

直接収益化する方法

オウンドメディアで直接収益化する方法にも、いくつかマネタイズのパターンがあります。上記でご紹介した事業に貢献し、収益化する方法を軸としながらも、トラフィックが集まった時点で直接収益化することも検討してみるとよいでしょう。

  1. SSP
  2. インフィード広告
  3. アフィリエイト
  4. 記事広告

1. SSP

主要なマネタイズ方法として、「SSP(Supply-Side Platform)」があります。SSPとは、メディアで集めたトラフィックを、広告枠を販売することで収益化する方法です。収益性の高い広告を自動で配信してくれるため、運用工数を抑えられるのが魅力です。

SSPの収益性は、業種や業界によってバラつきがあります。金融や不動産売買といった領域ではクリック単価が比較的高い一方で、ゲームや漫画といったエンタメ系の領域ではクリック単価が低い傾向があります。SSPの収益を一概にいくらということはできませんが、平均して1PVあたり約0.2〜0.3円が目安です。月間100万PVのトラフィックがあれば、約20万〜30万円の収益を見込むことができるでしょう。

2. インフィード広告

インフィード広告は、自社メディアのコンテンツとコンテンツの間などに広告を表示させる方法です。SSPに比べて平均クリック単価は安い傾向にあるものの、ユーザーがコンテンツを読む妨げにならずに、自然な形で表示できるというメリットがあります。

3. アフィリエイト広告

アフィリエイト広告(成果報酬型広告)は、ASPと呼ばれる広告を取りまとめるプロバイダに登録することで利用ができます。メディアで紹介している他社の商材を、ユーザーが購入することで収益が発生します。

代表的なASPには、「A8.net」や「Value Commerce(バリューコマース)」「afb(アフィリエイトB)」がありますが、それぞれ取り扱っている商材に違いがあります。単価は、商材によって異なり、購入価格の数パーセントがメディア側の収益になります。

4. 記事広告

最後にご紹介する記事広告(タイアップ広告)は、企業や商材のPRを目的としたコンテンツを制作し、コンテンツのPV数を保証することで、広告主から直接収益を得る方法です。1PVあたり約50〜100円が相場となっており、1万PVを保証するコンテンツであれば、約50万〜100万円の収益を見込むことができます。

オウンドメディアでありながら、マネタイズをしている事例

ここからは具体的に、オウンドメディアでありながらマネタイズを行なっている事例をいくつか見ていきましょう。

1. ビギナーズ|コンテンツSEOでリードと収益の最大化を行う

家電やカメラ、楽器のレンタルサービス「ReReレンタル」を運営する株式会社マーケットエンタープライズでは、サービスへの集客を目的としたオウンドメディア「ビギナーズ」を2017年6月より開始しています。

趣味と道具の出会いをテーマとし、「新しい趣味を見つけたい人」 をターゲットに、検索をタッチポイントにしながら、月間数百万程度のトラフィックを集めています。

「ReReレンタル」への送客という事業課題の解決を目的とすると同時に、アフィリエイトリンクを設置し、直接的な収益化も行なっています。趣味に必要な道具を探している比較・検討フェーズのユーザーを効果的に集めることによって、マネタイズとの親和性を高めているオウンドメディアと言えるでしょう。

2. LIGブログ|「事業貢献」と「直接収益化」の両軸を実現

株式会社LIGは、Web制作をはじめコンテンツ制作やゲストハウス・コワーキング運営など様々な事業を展開しています。それぞれの事業への送客システムとして機能しているのが、「LIGブログ」というオウンドメディアです。

検索とソーシャルの両軸をタッチポイントとしたユーザーの集客が行われ、自社の社員を全面的に押し出すことによって、独自のブランディングに成功しています。バナー広告や記事広告を直接的な収益ポイントとして活用し、マーケティングツールとして、しっかりと自走しているオウンドメディアの好例です。

3. ferret|検索からの自然流入で収益化とリード送客に貢献

株式会社ベーシックは、Web制作からリード獲得・顧客管理までを管理することができるマーケティングツール「ferret One」をはじめとする自社ツールへの送客を目的として、オウンドメディア「ferret」を運用しています。

“マーケターのよりどころ”をコンセプトに、難解なマーケティング用語やマーケティングの概念を平易に解説。検索を主なタッチポイントとし、月間数百万のトラフィックを集めています。

マーケティングに精通するユーザーを集客することで、求人に関する記事広告の掲載や他社製品への送客をマネタイズのポイントにしています。

マネタイズと相性の良いオウンドメディアと悪いオウンドメディア

オウンドメディアの中にも、マネタイズと相性の良いメディアとそうでないメディアがあります。特に直接収益化ができるケースは、オウンドメディアの中でも限られてきます。

例えば、自社のブランディング目的で運用されているオウンドメディアに、直接収益化を目的とした広告を貼り付けるのは、本来の運用目的を達成するための妨げになってしまうことがあります。

求職者に自社のことをもっと知ってもらい、採用エントリーへと繋げたいという採用課題解決のために運用されているオウンドメディアに、ASPやインフィード広告をメディアに貼り付けてしまう場合があります。もちろん収益化に繋がる可能性もありますが、求職者に必ずしも良い印象を与えるとは限らず、本来の採用ブランディングという目的からは大きくズレてしまいます。

またASPやインフィード広告を利用する場合は、そもそもオウンドメディア自体に一定のトラフィック数が必要です。市場がニッチな場合などトラフィックが限られているのにも関わらず、ASPやインフィード広告を貼り付けてもマネタイズすることは非現実と言えるでしょう。

しかしその一方で、マネタイズとの相性が良く、事業課題を解決しつつも直接的に収益へと繋がるオウンドメディアもあります。

例えば、オウンドメディアのトラフィックが月間100万PVを超えている場合などは、ASPやインフィードを効果的に活用することで、マネタイズが可能です。また、見込み客の集客に成功している場合は、アフィリエイトで高いコンバージョン率を期待できるので、収益化へと繋げやすい傾向があります。

事業自体を見直すことで、収益化の最大化を図るケースもある

事業に貢献し収益化を目指すオウンドメディアの中には、事業自体を改めて見直すことで収益への最大化へと繋げるケースがあります。

例えば、オウンドメディアを経由した受注数が十分に得られた時点で、1ヶ月単位の契約プランを廃止し、3ヶ月や半年などの長期契約プランに絞ることがあります。短期間での契約では、どうしても契約期間が終了するたびに、新たな営業活動が必要になります。事業自体を見直し、営業コストを削減することで収益の最大化へと繋げます。

構造を理解し、自走するマーケティングツールとして

オウンドメディアの事業貢献をしながら、直接収益化するという考えは、一見すると相反するものですが、うまく組み合わせることで実現が可能です。

弊社では、事業貢献と直接収益を両立するハイブリッド型のオウンドメディアの運用を推奨しています。オウンドメディアの運用には、人件費をはじめとする運用コストがどうしてもかかってきます。これらのマーケティング予算として賄うのではなく、オウンドメディアから直接的に生まれる収益化から捻出できれば、「お金をかけずにマーケティング」することが可能になります。

ただし運用の初期段階から、オウンドメディアの「事業貢献」と「直接収益化」を一気に進めてしまうと、結果的に成功に至らないケースがほとんどです。まずはオウンドメディアの本来の目的である事業・採用課題の解決を目的とし、一定数のトラフィックが集まった時点で「直接収益化」への戦略を立てていく流れを作りましょう。