自社の商材をより多くの人に知ってもらいたい、ユーザーからのお問い合わせや資料請求といったリードを獲得したい、求職者からの多くのエントリーが欲しい。このような担当者の悩みを解決に導く1つの手段に、オウンドメディアがあります。

オウンドメディアは、解決できる企業課題の幅が広く、目的や成果を定義し、正しく運用することができれば、企業に大きな成果をもたらします。

本記事では、オウンドメディアの運用に成功している7つの事例を、プロの視点から徹底的に解説。そもそものオウンドメディアの成功の定義や、成果を出しているオウンドメディアに共通する3つの法則をご紹介します。

今後オウンドメディアの運用を検討している、オウンドメディアをすでに運用しているが成果に繋がっていないという企業のご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

オウンドメディアにとっての成功とは何か?

オウンドメディアの成功とは一体、どのような状態を指すのでしょうか。月間100万PVといった多くのトラフィックを集めることができれば、成功でしょうか。それとも、メディアを広く認知させることができれば、オウンドメディアは成功したと言えるのでしょうか。

実は、何をもってオウンドメディアの成功と言うかは、オウンドメディアを運用する目的によって異なります。当然、オウンドメディアを運用する目的は企業によって様々なので、一概にこの数値を達成すれば「成功」であると断言できる指標はありません。

そもそも弊社は、オウンドメディアの本質的な役割を「事業・採用課題の手段としてのメディアである」と定義しています。

「自社の商材へのリード(お問い合わせ)を増やしたい」「求職者からの採用エントリー数を増やしたい」といった自社が抱える事業や採用領域の課題に対して、コンテンツを正しくそして継続的に発信することで、解決へと導くためのツールがオウンドメディアです。

仮に、リード数の獲得を目的としてオウンドメディアを運営した場合、成果指標として定めたリード獲得数を達成し、売上に貢献するなど事業課題の解決に繋がっているのであれば、オウンドメディアは成功していると言えるでしょう。一定の採用エントリー数を達成し、採用課題の解決に繋がっている場合も同様に、オウンドメディアは成功していると言えます。

オウンドメディアの成功は、コンテンツを用い、成果指標を達成し、それぞれの企業が抱えている事業や採用課題を解決できているか否かで判断できるのです。

混同されがちな「商業メディア」と「オウンドメディア」の違い

オウンドメディアを語る上で、理解しておかなければいけないのが「商業メディア」と「オウンドメディア」の違いです。一般的にオウンドメディアと呼ばれるものの多くは、実際には商業メディアであるケースが多々あります。

商業メディアとは、メディア自体での収益化を目的として運営されるものです。多くのトラフィックを集めることで、アフィリエイトやSSPと呼ばれる広告を利用し、直接的にマネタイズを行います。基本的にはトラフィックの伸びと比例して、収益性が高まるので、いかにトラフィックを集めることができるかがメディア戦略の肝となります。

一方のオウンドメディアは、上述したように、「事業・採用課題の手段としてのメディア」です。いくらトラフィックが集まっても、事業・採用課題の解決へと繋がっていなければ意味がありません。したがってオウンドメディアは、リードの獲得や商材の認知向上などを通し、事業または採用に貢献することによって、間接的にマネタイズを行うのが一般的です。

同じWebメディアでも、「商業メディア」と「オウンドメディア」では、運営の目的が全く異なり、役割や成果のポイントが変わってくるということを頭に入れておきましょう。

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オウンドメディアのマネタイズ方法に関しては、別記事「事例から『オウンドメディアでマネタイズ』を行う方法を徹底解説」で詳しく説明しています。こちらも合わせて参考にしてみてください。

オウンドメディアの7つの成功事例

この章では、オウンドメディアの成功事例について具体的にみていきます。オウンドメディアが成功しているかどうかは、外部からはなかなか分かりづらい面がありますが、今回は、様々な企業のオウンドメディア支援に、7年以上携わってきたプロの視点から、成功事例を解説していきます

ビギナーズ

株式会社マーケットエンタープライズは、ネット型レンタル事業「ReReレンタル」を展開しています。カメラ・家電・楽器・モバイルWi-Fiといった幅広いアイテムをWebサイトから注文することで、3泊4日からレンタルできるサービスです。

当サービスの利用者を増やしたいという事業課題に対して、2017年6月より運用が開始したのがBtoC向けのオウンドメディア「ビギナーズ」です。

ビギナーズでは、レンタルという切り口でオウンドメディアを展開するのではなく、”趣味と出会うメディアサイト”をコンセプトに置き、「趣味を見つけたい人」「趣味を始めたい人」をターゲットに、それぞれの趣味の魅力や上達方法、道具選びに関するコンテンツ発信を行っています。

これから趣味を始めたい人の多くは、必要な道具をすぐに購入するのではなく、まずはレンタルをしたいというニーズを強く持っています。こういったニーズを持ったユーザーに対して、「ReReレンタル」のサービスを訴求することで、利用者の獲得へと大きく貢献しています。

なお、ビギナーズでは「ReReレンタル」への送客を行い、事業に貢献して間接的なマネタイズを軸としながらも、一部アフィリエイトをはじめとする広告を貼り付けてることによって、直接的な収益化も行っています。事業貢献と直接収益化を両立しているハイブリッド型のオウンドメディアの好例と言えるでしょう。

ボーグル

株式会社ベネフィット・ワンは、官公庁や企業への福利厚生サービスの導入や代行をサポートするサービス「ベネフィット・ステーション」を展開する企業です。当サービスでは、「福利厚生支援」「健康支援」「教育・研修支援」の主に3つの軸から、企業が抱える人事課題の解決支援を行なっています。

自社サービスのお問い合わせや資料請求へのリードを獲得したいという事業課題に対して、2017年6月よりBtoB向けのオウンドメディア「ボーグル」の運用が開始されました。

ボーグルでは、”企業の働き方改革は「分かる」から「やってみる」へ”をコンセプトに、「働き方改革」「福利厚生」「健康経営」「ワークライフバランス」「従業員エンゲージメント」「人材育成」の6つのカテゴリーを設定。それぞれで質の高い情報を継続的に発信することで、検索での上位表示を獲得しています。

また、実際の企業の働き方改革事例や、福利厚生サービスの導入成功事例に関するコンテンツを充実することで、サービスの導入効果を具体的に解説し、効果的にリード獲得へと繋げています。

ボクシルマガジン

株式会社スマートキャンプは、あらゆる法人向けSaaSを無料で比較検討でき資料請求を行える、BtoB向けオウンドメディア「ボクシルマガジン」を運営しています。

コスト削減や業務効率化を図るために、クラウド型サービスの導入を検討している企業担当者をターゲットとして、ツールの比較に必要な基礎知識や、各ツールの価格や特徴を解説しています。担当者がボクシルマガジンを経由して、資料をダウンロードすることで、メディアの収益化へと繋げています

検索をタッチポイントとしており、「マーケティングオートメーション 比較」「勤怠管理 比較」といった、ツールを実際に比較検討しているユーザーが検索するであろうキーワードでの上位表示を実現。見込み顧客を効率よく集客することでリードの最大化に繋げています。

LIGブログ

株式会社LIGは、Webサイト制作をはじめ、オフショア開発やコワーキングスペース・教育事業など様々な事業を展開している企業です。LIGブログは、Webサイト制作のお問い合わせ獲得を主な目的として、2008年に運用を開始したオウンドメディアです。現在では、事業領域の拡大に伴い、Webサイト制作だけに留まらず、複数の事業のリード獲得への導線を引いています。

社員が月に1本ずつ記事を書くというルールを定め、エンジニアやデザイナー・ライターなど、クリエイターが各専門領域に関する情報を発信することで、クリエイターが集まるサイトとして、少しずつファンを獲得していきました。

検索での上位表示を中心としながらも、ソーシャルでバズを起こすようなコンテンツ作りも行い、幅広い層から認知されるオウンドメディアになっています。

ferret

BtoB向けのオウンドメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシックは、マーケティング効率化を目指すWebマーケティングツール「ferret One」の開発や販売を行なっています。

当オウンドメディアでは、”マーケターのよりどころ”をコンセプトに掲げ、「SEO」「SNSマーケティング」「Web広告」といったマーケターに必要なノウハウや知識を発信。企業のマーケターを集客することで、自社サービスへのお問い合わせの獲得へと繋げています。

検索をユーザー流入の主軸として、月間数百万のトラフィックを集めることで、「求人掲載」「他社ツールへの送客」によって、メディア自体の収益化も実施しています。リード獲得による事業課題の解決によるマネタイズと、メディア自体の直接マネタイズの両軸が成り立っているハイブリッド型のオウンドメディアと言えるでしょう。

サイボウズ式

“新しい価値を生み出すチームのメディア”をコンセプトに、働き方やマネジメント、ワークライフバランスといったテーマで情報を発信しているのが、サイボウズ株式会社が2012年に運用を開始したオウンドメディア「サイボウズ式」です。

チームの生産性やマネジメントならサイボウズという認知拡大やブランディングを目的としたオウンドメディアの運用がなされ、在宅勤務や副業をしながらサイボウズで働く社員にスポットを当てた記事や、社外の有識者へのインタビュー記事といったソーシャルで話題になるようなコンテンツ作りが行われています。

サイボウズの認知を獲得することで、自社のビジネスアプリ作成クラウド「kintone」やグループウェア「サイボウズOffice」といったサービスのお問い合わせ獲得や、採用エンゲージメントの向上に役立てています。

メルカン(mercan)

フリマアプリを運営する株式会社メルカリが、採用課題の解決を目的として2016年5月より運用を開始したオウンドメディア「メルカン(mercan)」は、”メルカリの「人」を伝える”をコンセプトに置き、グループ内で活躍するメンバーや社内の出来事をコンテンツとして社内外へと発信しています。

メルカンを通して、ありのままの会社や人を伝えることで、メルカリのカルチャーにフィットした人材を集めることができます。求職者自身がメルカリにフィットするかどうかを自己判断する材料となるので、採用の効率化や採用後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。

またメルカリは入社者の約6割が、社員によるリファーラルからの採用です。社員自身がFacebookやTwitterでコンテンツを拡散することによって、社員の知人や友人がメルカリに強い興味を抱くといった効果も見受けられます。

成功しているオウンドメディアに共通する3つの法則

弊社では、今まで50社を超える企業様のオウンドメディア支援に携わってきました。その中で分かったこととして、成功しているオウンドメディアメディアには3つの共通項があるということです。

1.目的と成果が明確に定義されている

1つ目の共通項は、「何のためにオウンドメディアを運用するか」といった目的が自社でしっかりと明確になっていること、そして、運用した結果、自社の抱える事業・採用課題が解決されたか否かを判断できる成果指標が定まっていることです。

目的と成果を持たずに、「何となく企業にとってプラスになるはず」といった曖昧な理由で闇雲にオウンドメディアを運用して、成功に至るケースはありません。

2.目的に沿った運用がされている

2つ目の共通項は、定めた目的や成果に対して正しい運用がなされていることです。例えば、自社ツールのリード獲得を目的とした場合、「比較・検討フェーズの見込み客」をしっかりと集客し、ユーザーが訪れたコンテンツにお問い合わせや資料請求といったリードの導線を引くことで、成果をあげることができます

このように目的や成果から逆算して、正しいストーリーを描けているかがオウンドメディアの成功・失敗を分ける1つのポイントになってきます。

3.継続と改善を行い続けている

オウンドメディアは、検索でのユーザー流入を主軸として設計した場合、短くても成果が出始めるまでに半年〜1年程度はかかってきます。本記事で成功事例に挙げたオウンドメディアの多くは、3年以上運用を継続しているものがほとんどです。

オウンドメディアの本来の運用目的を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できるかも成功と失敗を分ける重要なポイントです。

話題になっていないが、成果が出ているオウンドメディアは山ほどある

2018〜2019年にかけて、有名なオウンドメディアが相次いで閉鎖するというニュースがありました。業界でも「オウンドメディアは、本当はあまり成果が出ないのでは?」といった見解が広まったこともあります。

しかし、これははっきりと誤解であると言うことができます。弊社では多くのオウンドメディアの支援を行なっていますが、認知度は高くなくても、しっかりと成果を出し続けているオウンドメディアは山ほどあります

中にはオウンドメディアを活用し、数千万〜数億円の粗利へと繋げている企業や、従来のテレアポ文化を廃止し、オンライン上でのリード獲得などインサイドセールスを中心とした営業文化へとガラリと変え「企業の変革」に成功した事例もあります。

本記事で紹介したオウンドメディアを成功に導く3つの法則や、プロからの助言を元に、オウンドメディアに新たに取り組んでみても良いでしょう。