マーケティングコミュニケーションとは|設計方法を8ステップで解説
この記事でわかること
マーケティングコミュニケーションとは一言でお伝えすると、「ユーザーとのコミュニケーション設計」を表します。
マーケティング戦略や施策を考える際は、マーケティングコミュニケーション(ユーザーとのコミュニケーション設計)を考えることが非常に重要です。
例えば「最近はSNSが流行っているから、自社でもとりあえずSNSをやってみよう」「マーケティングに課題を感じているから、とにかく既存顧客にダイレクトメールを送付しよう」というのは、コミュニケーション設計を無視した、施策ありきの考え方だと言えます。
このような考え方でマーケティング施策を実行しても、なかなか成果が出ないことが多いので注意が必要です。それだけではなく「なぜその施策はうまくいかなかったのか」「どう改善すればよいのか」が分からず、施策やかかったコストが無駄になってしまいます。
マーケティングコミュニケーションを正しく理解して、ユーザーとのコミュニケーション設計ができるようになると、
- 特定の心理状態にあるターゲットを動かすために、どのようなコンテンツや情報を提供すべきか
- そのコミュニケーションを実現するために、どのような手法や媒体を使用すべきか
といったことが可視化され、適切なマーケティング戦略を展開できるようになります。
本記事ではマーケティングコミュニケーションがなぜ重要なのかを解説し、具体例を交えて設計方法をお伝えします。
マーケティングコミュニケーションの考え方を用いて施策を行った企業の事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
マーケティングコミュニケーションとは

マーケティングコミュニケーションとは、マーケティング活動におけるユーザーとのコミュニケーション内容の設計(もしくはその具体的な施策)のことを表します。
「目標達成のためにどのような情報やコンテンツを提供すれば、ターゲットユーザーを動かすことができるのかを考え、施策に落とし込んでいくこと」だと考えると分かりやすいでしょう。
例えば、ダイエットサプリメントを販売するために「とりあえず広告を打ってみよう」と施策に取り組むと、ターゲットとのコミュニケーションが無視された施策になってしまいがちです。
そのため、以下のようにコミュニケーションをしっかりと設計し、それをもとに施策を考えていく必要があります。
- 自社がアプローチすべきターゲットの特徴や属性
- そのターゲットの現在の心理状態
- その心理状態にあるターゲットを動かすために、どのようなコンテンツや情報を提供すべきか
- そのコミュニケーションを実現するために、どのような手法や媒体を使用すべきか
これらを設計するのがマーケティングコミュニケーションです。
通常、マーケティングコミュニケーションという言葉よりも、「コミュニケーション設計」や「コミュニケーション施策」という表現が使われます。
詳細については後ほど説明しますが、マーケティング施策を考える際には、コミュニケーション設計を基に具体的な施策を展開することが非常に重要です。
「プロモーション」との違い
プロモーションはアプローチ手法のことを指すことが多いです。前述の「4.そのコミュニケーションを実現するために、どのような手法や媒体を使用すべきか」に該当するのが、プロモーションです。
広告配信をする
オウンドメディアを活用する
オウンドメディアを活用する
ダイレクトメールを送付する
プレスリリースを配信する
詳しくは次の章でお伝えしますが、なんとなく施策(プロモーション)を実行するのではなく、コミュニケーション設計を行ったうえで、「それに最適なの施策はどれか」を考えた上で取り組むことが大切です。
マーケティング施策を考える際は、まずコミュニケーション設計することが重要

マーケティング施策を考える際は、コミュニケーション設計をしっかり行うことが重要です。
マーケティングコミュニケーションを設計しないと、以下のようなデメリットや問題が生じるからです。
視野が狭まり、施策単体にしか目が向かなくなる
ターゲットを無視した企業目線での施策になる
施策のアイデアが描きづらくなる
KPIが正しく計測できない
そのため、効果の出ない施策を実行してしまい、なぜうまくいかなかったのか、どこを改善すればよいのかすらも分からないといった結果に終わってしまうことがあります。
例えば「とりあえずマーケティング施策として思いついた新聞広告を実施してみたが、効果が全く出なかった」というケースがよく聞かれます。これではどのようなターゲットとどんなコミュニケーションを取りたいのか、何をKPIとして評価すればよいのかが明確になっていません。
そうではなく、「既に自社サービスに興味を持っているターゲットに対して新聞でリーチし、Webサイトへ誘導した後、Webサイトのページ上でコミュニケーションを取って購入を促す」という施策であればどうでしょうか。これならKPI(Webサイトへの流入数やコンバージョン数など)が明確になり、検証もスムーズに行えるでしょう。もしコンバージョン数が想定より低かったのであれば、なぜ低いのか、どう改善すべきなのかを考えることもできます。
以上の例からも分かる通り、マーケティング施策においてコミュニケーション設計を行うことで、以下の効果が得られます。
目的(必要な成果)に応じて最適な施策が明確になる
ターゲットの心理状況ごとのKPIが明確になる
KPIに適したコミュニケーション内容が明確になる
データの計測と、それをもとにした効果検証が可能になる
そのため、成果の最大化や、無駄な施策の削減ができるようになるのです。
私たちは、このことを「コミュニケーション設計」と呼び、重要視しています。
データに基づくコミュニケーション設計の重要性|効果検証と継続的改善
マーケティングコミュニケーションを設計する際、データに基づいた意思決定は成功への近道です。
ユーザーの行動や反応を数値化して分析し、その結果をもとに戦略を最適化していくアプローチをデータドリブンマーケティングといいます。単なる「感覚」や「経験」だけでなく、客観的なデータをもとにコミュニケーション設計を行うことで、効果の高い施策を選定し、無駄な投資を削減できます。
特に昨今のデジタル環境では、ユーザーの行動データを詳細に収集・分析できるため、これらを活用しないのは大きな機会損失となります。データを活用したPDCAサイクルを回すことで、継続的な改善と成長が可能になります。
データドリブンマーケティングを導入する3つの利点
- ターゲットユーザーの真のニーズや行動パターンを把握でき、より効果的なコミュニケーション設計が可能になる
- 施策の効果を数値で検証できるため、投資対効果(ROI)の高い取り組みに予算を集中させられる
- 定期的なデータ分析により、市場やユーザーの変化にいち早く対応し、競合優位性を維持できる
コミュニケーション設計をする上で活用されるフレームワーク

ここからは、マーケティングにおけるコミュニケーション設計の方法を解説していきます。
まずはよく利用するフレームワークについて、理解を深めておきましょう。
STP分析
ペルソナ
カスタマージャーニー
3C分析
SWOT分析
「STP分析」を行ってターゲットユーザーを明確にしたうえで、「ペルソナ」「カスタマージャーニー」を用いてコミュニケーション設計を行います。
一部「3C分析」や「SWOT分析」の考え方が参考になるので、これらについても簡単に紹介していきます。
STP分析
STP分析は以下の3つの言葉の頭文字をとったものです。
Segmentation(セグメンテーション:市場を細分化)
Targeting(ターゲティング:ターゲットを決定)
Positioning(ポジショニング:自社の立ち位置を決定)
自社が狙うべきターゲットを明確にして、どのようなコンセプトでコミュニケーションを取っていけばよいのかを考えるために利用します。
▼S(セグメンテーション)のイメージ

まずはこのように、目的に合わせて想定ターゲットの属性を細分化します。
▼T(ターゲティング)のイメージ

細分化したターゲット属性のうち、どれに狙いを絞るかを決定します。例えば、ターゲットが男性なのか女性なのかで、取るべきコミュニケーションが大きく変わることは理解しやすいでしょう。また、同じ商品を販売するにしてもターゲットが「肌荒れがひどいことに悩んでいるユーザー」なのか「しみが増えてきたユーザー」なのかでは、企業が行うべきブランディングや発信するメッセージの内容などが異なります。
▼P(ポジショニング)のイメージ

その市場における自社や競合他社のポジションを可視化し、どのような点で差別化を測るかを考えていきます。これによって、自社サービスがどんなコンセプトでメッセージを発信すべきかを考えることができます。
コミュニケーション設計を行う際は、STP分析を行ってターゲットと自社のポジション(競合との差別化ポイント)を明確にしておくことが大切です。
ペルソナ・カスタマージャーニー
ペルソナとカスタマージャーニーは、本来は異なる概念ですが、まとめて考えると理解しやすいです。
- ペルソナ:ターゲットとなる架空の人物像を、具体的なイメージに落とし込んだもの
- カスタマージャーニー:ターゲットがサービスの利用に至るまでのプロセスを「旅」のようにまとめたもの
ターゲットユーザーとのコミュニケーションを設計するために、この2つのフレームワークを活用します。
▼ペルソナの例

▼カスタマージャーニーの例

ペルソナとカスタマージャーニーをしっかり考えておくことで、「自社サービスに興味を持ちそうなユーザーはどのような属性で、いつ、どんな悩みを持ち、どこで情報収集をして、どのように意思決定をしてサービス利用に至ったのか」といった内容を可視化することができます。
そのため、コミュニケーション設計を行う際に、ユーザーとのコミュニケーション内容や、接点を作るための媒体などを考える際に役立ちます。
精度を高める効果的なユーザーヒアリングの実施方法
ペルソナやカスタマージャーニーの精度を高めるためには、実際のユーザーの声を収集することが不可欠です。
しかし、多くの企業では「とりあえずヒアリングを実施する」程度に留まり、得られた情報を効果的に活用できていません。意味のあるユーザーヒアリングを実施するには、対象者選定・質問設計・事後の振り返りという3つのポイントを押さえることが重要です。
適切な対象者を選び、顧客行動のフェーズ別に質問を整理し、得られた情報を「ターゲットユーザー像」「検索背景」「想定ニーズ」の3点で言語化することで、コンテンツ制作に直結する実用的なインサイトを獲得できます。
参考記事:意味のあるユーザーヒアリングを実施するための3つのポイント
3C分析
3C分析とは、以下3つの観点から、事業の成功要因を見つけるためのフレームワークです。
customer(市場・顧客)
competitor(競合)
company(自社)
例えば市場・顧客を分析して、ターゲットユーザーはどのような悩みを抱えているのかを分析し、それをもとにコミュニケーションを考えることができます。
その他にも、競合はどのようなターゲットに対してどんなコミュニケーション戦略を行っているのかを分析して参考にしたり、異なるアプローチを模索したりすることも可能です。
SWOT分析
SWOT分析はマーケティング戦略の策定に役立つ分析手法の一つです。
Strengths(自社の強み)
Weaknesses(自社の弱み)
Opportunities(自社にとっての機会)
Threats(自社にとっての脅威)
自社内部の強みや弱みだけではなく、外部環境を考慮したコミュニケーション戦略を考える際に役立ちます。
| プラス要因 | マイナス要因 | |
|---|---|---|
| 内部環境 | S 強み | W 弱み |
| 外部環境 | O 機会 | T 脅威 |
例えばSWOT分析によって、「自社サービスは最近行われた(もしくは将来的に行われる)法改正に対応できる」「急激なAIテクノロジーの発達に合わせて即座にサービスを展開できる」などの強み(S)や機会(O)があることが分かるかもしれません。
その際にどんなポジションを取って、どうコミュニケーションを取ればよいのかを考えることができます。
コミュニケーション設計を行いマーケティング戦略を考える8つのプロセス

それではここまでに紹介したフレームワークを用いて、コミュニケーション設計を行う方法を解説していきます。
以下のステップで考えましょう。
ターゲットを明確にする
ポジショニングを明確にする
ペルソナを作る
カスタマージャーニーを設計する
マップをもとに施策を考える
施策に対してKPIを組み立てていく
KPIのデータ計測方法を定める
それぞれを実行して検証
大きく分けると、まずは1~4でターゲットを選定し解像度を高めた後、5~8でコミュニケーション施策や効果測定方法を考えるという流れです。順番に見ていきましょう。
ステップ1.ターゲットを明確にする
STP分析の考え方を用いて、狙うべきターゲットを明確にしていきます。
- 目的や事業内容に合わせてセグメント項目(分類方法)を考える
- 顧客セグメントを作る
- どのセグメントをターゲティングするかを考える
まずは、目的や事業内容に合わせて、顧客セグメント(属性ごとのグループ)を作成します。
▼美容液の通販事業における顧客セグメントの例

そのセグメンテーションから、注力すべきターゲットを選定します。
▼美容液の通販事業において、顧客セグメントからターゲットを選定する例

こうすることで、自社がターゲットとするユーザーはどのような属性なのかが可視化され、その後のコミュニケーション内容を考えやすくなるのです。
顧客セグメントの作成方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
ステップ2.ポジショニングを明確にする
次は、選定したターゲットに対して、自社はどのようなポジションからコミュニケーションを取るのか(競合とどのような点で差別化するのか)を考えます。
例えば、肌にハリがなくなってきたユーザーに美容液を販売するケースでも、「高級成分を高価格で提供する」というポジションを取るのか「最低限の成分を低価格で提供する」というポジションを取るのかを考える必要があります。
以下の手順でポジショニングマップを作成してみましょう。
- 購入の決め手になることが多い評価軸を2つ設定する(例:価格と成分)
- 競合や自社をマップ上に配置する

前述の3C分析やSWOT分析などを用いて、
- ユーザーはどんな商品に興味を示すのか(最も重視する評価軸は何か)
- 競合はどのようなポジションからどんなコミュニケーションを取っているのか
- 自社独自の強みやチャンスは何か
- 競合の優位性を打ち消すことはできないか
といったことを考えてみましょう。
ステップ3.ペルソナを作る
STP分析の考え方を用いてターゲット選定とポジショニングができたら、次はペルソナを作成して、よりターゲットの解像度を高めていきます。
ペルソナを作る際は、ターゲットに詳しい人(もしくはターゲットに当てはまる人)にヒアリングをして「サービス利用に至るまでにどのように心理状態が変化し、どんな意思決定を行ってサービス利用に至るのか」といったストーリーを組み立てます。
▼例
最近の肌の悩みといえば、30代を超えてから気になり出したことなのですが、肌にハリがなくなり、小じわや毛穴が目立つようになってきたと感じています。また心なしか化粧ノリもなんだか悪くなっている気がするんですよね…。
そこで、Googleなどで検索をしてこれらの原因やその改善策をリサーチしたところ、「年齢とともにお肌の潤いがなくなってきたことが原因だ」「エイジングケアが必要だ」ということが分かりました。
さらに情報収集をしたり、同僚に相談したりする中で、私の場合は「スキンケアアイテムを見直してみるのが良いのではないか」という結論に行きついたんです。
その後は配合されている成分に着目しながら、自分にピッタリのスキンケアアイテムを探し始めました。SNSやYouTubeなどで評価の高いアイテムを探す・目星を付けた商品の口コミを検索する・比較サイトを参考にするなどです。
最終的には、「○○」という美容液を購入して、とりあえず1~2か月程度試してみることにしました。乾燥肌の人向けで、エイジングケアや保湿に最適な成分が高濃度で配合されており、かつこの美容液一つで、「しわ」「毛穴」「乾燥」など、年齢とともに起こるお肌トラブルをまとめて対策できることが分かったからです。
リサーチをした際に複数人がSNSや口コミサイトで高評価をしていたことや、初回の価格がとても安かったので、いったんお試ししてみようかなと。購入後は、同梱されていた「エイジングケアのコツ」のような冊子を見ながら、毎日ケアをしています。今後どのような変化が出るのか楽しみです。
※あくまで、本記事の解説で使用する例としてお考えください。
ユーザーのことをよく知る現場の営業担当者や、ターゲットユーザー自身にヒアリングを行って、解像度を高めていきましょう。既存顧客に関するペルソナを作る際は、CRMやSFAといったシステムに蓄積された情報を分析するのも良いでしょう。
ただしペルソナのストーリーは、全てのケースにおいて上記の流れになるわけではありません。事業内容に合わせて、ターゲットユーザーの心理状態や行動の変化を書き出すことが大切です。
ステップ4.カスタマージャーニーを設計する
ペルソナ作成で組み立てた「ターゲットユーザーがサービス利用に至るまでのストーリー」を、カスタマージャーニーマップに落とし込み可視化していきます。
ペルソナのストーリーを心理状態ごとに区切り、それに合わせてユーザーが取るであろう行動やタッチポイントなどを、当てはめていきましょう。
▼例

※あくまで、本記事の解説で使用する例としてお考えください
「刺激」の欄では、その心理状態のユーザーに対してどのようなコミュニケーションを取れば態度変容が起こるのか(次の項目へ進められるのか)を考えます。
なお、このカスタマージャーニーマップに書くべき項目は事業内容やペルソナの内容によって異なります。縦軸と横軸に何を設定するのかを、慎重に考えましょう。
ステップ5.マップをもとに施策を考える
上記のマップをもとに、プロモーションやコミュニケーション内容を考えていきます。
「その時点のユーザーはどのような心理状態にあり、どこで接触できるのか」「そのユーザーに対してどのような刺激を入れて態度変容を促すのか」を考慮しながら施策を考えます。
例えば、上記のカスタマージャーニーマップの例では「美容液に関する情報収集」の段階にいるユーザーが、Google検索で美容液を探したり、美容インフルエンサーが紹介した商品を参考にしたりすることが分かりました。そのタッチポイントに合わせて「Googleリスティング広告」「コンテンツSEO」「SNSマーケティング」といった施策を検討することが考えられます。
各施策については、後述する「マーケティングのためのコミュニケーション施策9選」をご覧ください。
ステップ6.施策に対してKPIを組み立てていく
ステップ5で考えた施策を行う前に、KPIツリーを作成します。
KPIツリーとは、最終目標を達成するための要素となるKPIを、数式(樹形図)にして可視化したものです。
▼KPIツリーの例

例えばInstagramで集客して、プロフィールに設置されている美容液のLPに誘導し、コンバージョンを獲得する場合は、以下のような形でKPIツリーを作成します。
顧客獲得数=「投稿の閲覧数」×「プロフィールへの遷移率」×「プロフィールのリンククリック率」×「LPからのCVR」
このように、目標達成に必要な指標を可視化することで「何をすればうまくいくのか」「何が失敗だったのか」「どこを改善すればよいのか」などを明確にすることができます。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
ステップ7.KPIのデータ計測方法を定める
KPIツリーを組み立てたら、次はそれを正しく計測するための方法を考える必要があります。
前述したInstagramの例では、
- LPからの獲得数(コンバージョン数やコンバージョン率)をどのように計測するのか
- InstagramからLPへの遷移率や、プロフィールへの遷移率をどのように計測するのか
を考え、計測基盤を構築していきましょう。
LP(Webサイト)へのアクセス数やコンバージョンに関する数値を計測するには、主にGoogleアナリティクスを活用します。
データを正しく分析するための指標設定
効果測定においては、流入経路別のコンバージョン率、ランディングページ別の成果、フォームでの離脱率など、成果に直結する指標を優先的に分析する必要があります。
これらの指標を定期的にモニタリングし、「どの施策が効果を上げているか」「改善すべきボトルネックはどこか」を数値で判断することで、マーケティングコミュニケーションの効果を継続的に高めることができます。
データ分析の具体的な手法やツールの活用方法を学ぶことで、より精度の高いPDCAサイクルを実現できます。
ステップ8.それぞれを実行して検証する
ここまでの内容を踏まえて、施策を実行します。
「とりあえず○○をやってみよう」という考え方で施策を実行すると、何が失敗だったのか、次に活かすためにはどうすれば良いのかを分析することができません。
しかし、STP分析やカスタマージャーニーの作成などを経て、コミュニケーション設計を正しく行い、KPIツリーを作成したうえでそのデータを取得するための基盤を整えていれば、仮に施策がうまくいかなかったとしても、改善を行い目標達成に近づけることができます。
代表的なコミュニケーション施策(プロモーション)9選

本章では、コミュニケーション施策(プロモーション)にはどのようなものがあるのかを解説していきます。
「ステップ5.マップをもとに施策を考える」で、「カスタマージャーニーをもとにどのような施策を行ってコミュニケーションを取るのかを考えましょう」とお伝えしました。
具体的には以下のような施策があります。
運用型広告
その他の広告(マス広告・純広告・交通広告)
オウンドメディア
SNS(Twitter・Instagram・YouTubeなど)
メルマガ・LINE@
イベント・展示会
DM・チラシ
プレスリリース
人的販売(店頭での接客や訪問販売・電話営業など)
ただし繰り返しになりますが、ステップ5までで作成したコミュニケーション設計をもとに、どんな方法でユーザーとコミュニケーションを取るべきかを考える必要があります。「施策ありき」にならないように注意しながら、以下を参考にしてください。
1.運用型広告
運用型広告とは、修正・改善などの「運用」を前提とした広告のことを指します。広告配信の結果を勘案しながら、「よりコストを抑えるにはどうすればよいのか」「成果を上げるには何を改善すればよいのか」といったことを考え、PDCAを回しながら運用していきます。
運用型広告の主な種類としては、以下の6つがあります。

それぞれの広告の特徴や要する費用については、下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
運用型広告は、何らかの媒体に出稿するので、ターゲット属性や取るべきコミュニケーションが異なります。
例えば、「リスティング広告」は検索エンジンの上部に表示されるものなので、能動的に情報やサービスを探しているユーザーと接触することができます。特に「比較検討」のフェーズにいるユーザーと適切なコミュニケーションを取ることで、コンバージョンを獲得しやすいことがメリットです。
そのため、「会社で使う会計システムを探している人」や「新しく買うパソコンの検討をしている人」など、Googleで調べ物をする可能性が高い方をターゲットにする場合に、「リスティング広告」は効果を発揮します。
一方で、美容商材やアパレル商品など、ターゲットとなるユーザーが検索エンジンよりもSNSやYouTubeなどで情報収集をする場合は、「動画広告」や「SNS広告」などが候補に挙がります。
このように、運用型広告を活用する際はそれぞれの特徴を把握して、自社の「ターゲット」や「商品・サービス」に適した種類の広告を選ぶことが重要です。
また、運用型広告では、「配信した結果何%のユーザーが広告をクリックしたのか」「その内何%が成果につながったのか」「費用対効果はどの程度だったのか」などの数値を取得できるため、それをもとに改善を繰り返していくことで、より大きな成果を狙えます。
2.その他の広告(マス広告・純広告・交通広告)
「運用型広告」以外にも、「マス広告」「純広告」「交通広告」などがあります。これらの広告の特徴は、基本的には一度配信したら同じものが流れ続け、運用ができないことです。
それぞれの広告の概要と特徴は、以下のとおりです。
| 概要 | 特徴 | |
|---|---|---|
| マス広告 | テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのマスメディアに掲載する広告 | ・世代を問わず大勢のターゲットに訴求できる |
| 純広告 | Webメディア内の広告枠を買い取って掲載する広告 | 設定したターゲットがよくチェックしているメディアに広告を掲載することで、ある程度ターゲット属性を絞ることができる |
| 交通広告 | 電車・バス・タクシーなどの車両内に掲載される広告 | ・通勤・移動中のビジネスパーソンの目につきやすいことから、BtoBビジネスの企業が出稿するケースも多く見られる |
これらの広告は、基本的に「課題認知」段階のユーザーがターゲットになります。
成果をあげるためには、ユーザーは普段どのような媒体を目にすることが多いのかを考えて出稿することが重要です。
認知獲得を目的として広告を出した後には、指名検索数を測ったり、アンケート調査を実施したりすることで、どれほど効果があったのかを測定できます。
3.オウンドメディア
オウンドメディアとは、「企業の事業・採用課題を解決するための手段としてのメディア」のことを指します。
※本記事では「企業がマーケティング課題を解決するために運営するメディア(主に集客のためのWebマガジンやブログ)」といった意味合いで話を進めていきます。
オウンドメディアは「課題認知」「興味・情報収集」「比較検討」フェーズのユーザーと幅広く接点を作れる手法です。例えばnoteやSNS向けの企画コンテンツを書いて拡散させれば認知拡大を狙うことができますし、「○○ おすすめ」などの比較検討をしているユーザーが検索するであろうキーワードで検索エンジンに上位表示させれば、コンバージョンを狙うこともできます。
このように、オウンドメディアは「ターゲット」や「目的」に合わせてコミュニケーションの方法や戦略を考えられることが特徴です。
今ご覧いただいている記事も弊社が運営するオウンドメディアのコンテンツです。弊社はこの場でデジタルマーケティングに関する情報を発信しつつ、サービスについても興味を持っていただくことを目指しています。
オウンドメディアについては、下記の記事をご覧ください。
4.SNS(Twitter・Instagram・YouTubeなど)
最近はSNSで情報収集をしたり、特定のアカウントの情報を参考に意思決定を行ったりするユーザーが増えています。そういったユーザーには、SNSでタッチポイントを作りコミュニケーションを行うことも有効です。
SNSに取り組む際には、まずはそれぞれのサービスの特徴を理解して、「自社のターゲットが多いサービス」で「ユーザーに好まれやすい内容」を発信をすることが重要です。
主要なSNSの利用層と特徴は、下記のとおりです。
| 利用者 | 特徴 | |
|---|---|---|
・10〜20代のユーザーが多い | ・テキストを中心としたコミュニケーションを行うSNS | |
・10〜20代のユーザーが多い | ・写真と短い動画が主体のSNS | |
| YouTube | ・10〜40代まで幅広いユーザーが利用 | ・動画がメインのSNS |
| TikTok | ・10〜20代のユーザーが多い | ・短い動画が主体のSNS |
いずれのSNSも、利用しているユーザーの属性や求められているコミュニケーションが異なります。そのため、SNSでひとくくりにせず、プラットフォームごとの思想やアルゴリズムに基づいた運用をすることが重要です。
5.メルマガ・LINE@
自社製品・サービスの見込み顧客や既存顧客と、メールやLINE@を用いてコミュニケーションを図るマーケティング手法です。商品の購入を促進するだけではなく、顧客との関係維持・育成など様々な目的で用いられます。
自社のメルマガやLINE@に登録してもらえれば、企業側からユーザーへ能動的にコミュニケーションを取れるようになります。
BtoBビジネスを行なっている企業であれば、課題認知や興味情報収集のユーザーに適切に情報提供を続けることで、ニーズが顕在化したタイミングで自社の商品・サービスを訴求することが可能です。一方、BtoCの場合には、自社サービスに興味のあるユーザーに対して、新商品やキャンペーンのお知らせなどを行い、購買に繋げることが多いでしょう。
メルマガやLINE@でメッセージを送る際には「顧客と良好な関係を継続すること」を意識します。ユーザーの目線になって文面や投稿頻度を調整し、送信した後には「開封率」や「URLのクリック率」を確認して改善を続けることが重要です。
6.イベント・展示会
イベントや展示会に自社のブースを出展することで、そこへ訪れたユーザーとコミュニケーションを取れます。BtoBの場合、最近はオンライン上でイベントやセミナー(ウェビナー)などを行う企業も多いです。
会話のなかで「自社の商品のどこに興味を持ってくれたのか」「どのような課題を抱えていて、何ができる商品を求めているのか」などをヒアリングすることもできます。また、オフラインであればユーザーに実際に商品やサービスに触れてもらい、導入後の具体的なイメージを持ってもらうことも可能です。
さらに、名刺交換をしたり、アンケートに答えてもらったりすることで、顧客情報の獲得にもつながります。
イベント・展示会に出展する際は、費用と人的リソースが必要なことが難点です。このため、出展を検討する段階で「得られる成果」と「要するコスト」をよく確認しておくようにしてください。
7.ダイレクトメール・チラシ
ユーザーまたは企業の住所に、直接ダイレクトメールやチラシを送付する方法です。
ダイレクトメールは一般的に、既に住所を取得している既存顧客(もしくは企業)に対して「特別なご案内」のような形で送る手紙です。開封するのはどのようなユーザーなのかをしっかり見定め、どんなコミュニケーションを行うかを考える必要があります。サービスの無料トライアルに繋がるQRコードや、クーポンコードなどを記載しておくことで、サービス利用を促進することも可能です。
チラシは主にBtoC企業が、特定の地域に住んでいるターゲットにアプローチしたい場合に有効な手法です。前述の「ステップ1.ターゲットを明確にする」で特定の地域に住んでいるユーザーをターゲットにしたのであれば、検討してみるのも良いでしょう。主に店舗型ビジネス・施術系ビジネスで、来店を促進できる可能性があります。
8.プレスリリース
プレスリリースとは、企業の活動などを各種メディアに向けて発信する取り組みのことを指します。
例えばPR TIMESや@Pressなどのプレスリリース配信サービスを利用して、「新しいサービスをリリースした」「アンケート調査を行った」「資金調達を行った」といった企業の動き(発表)を、Webメディアや新聞社などに配信してもらうことができます。その結果、各種メディアで自社のプレスリリースを取り上げてもらえれば、認知獲得が期待できるのです。
▼プレスリリースの例
どのメディアに取り上げてもらうのかを選ぶことはできませんが、公的メディアに掲載してもらえれば、企業としても信頼アップにも繋がるでしょう。
9.人的販売(店頭での接客や訪問販売・電話営業など)
人的販売とは、顧客と直接コミュニケーションを取りながら自社の商品・サービスを購入してもらうことです。具体的には以下のようなものが該当します。
店頭での接客
訪問販売
電話営業 など
顧客との対話で購買意欲を刺激することができるため、最終的な売上につなげるには有効な手法だと言えます。会話の中で商品・サービスに関する不満や要望を聞くこともできます。
しかし、人的販売の担当者には「商品・サービスを売り込む力」だけではなく、「顧客とのコミュニケーションスキル」も求められるため、コストが高くなりやすいというデメリットもあります。
まとめ|施策ありきではなく、コミュニケーション設計を必ず行う
マーケティング戦略を考える際は、ターゲットユーザーとのコミュニケーション設計を行うことが重要です。
「とりあえず広告を配信してみよう」といった施策ありきの考え方では、施策単体にしか目がいかなくなり、ターゲットを無視した施策になってしまいがちだからです。またKPIを正しく測定できないため、結果に対して「何が良くなかったのか(何が良かったのか)」を分析することもできません。
以下の手順でコミュニケーション設計を行ってみてください。
ターゲットを明確にする
ポジショニングを明確にする
ペルソナを作る
カスタマージャーニーを設計する
マップをもとに施策を考える
施策に対してKPIを組み立てていく
KPIのデータ計測方法を定める
それぞれを実行して検証
点ではなく線でマーケティング戦略を考え、改善を繰り返して目標達成に近づけていきましょう。
よくある質問とその回答
「ターゲット属性」「ペルソナ」「カスタマージャーニー」などを考えたうえで、ユーザーの心理状態ごとの行動やタッチポイント(接点)などを可視化し、適切なコミュニケーションを考えていきます。
具体的には以下の手順を踏むことで、どのような施策に取り組み、どうコミュニケーションを取れば良いかが考えられるでしょう。
- ターゲットを明確にする
- ポジショニングを明確にする
- ペルソナを作る
- カスタマージャーニーを設計する
- マップをもとに施策を考える
- 施策に対してKPIを組み立てていく
- KPIのデータ計測方法を定める
- それぞれを実行して検証
詳細「コミュニケーション設計を行いマーケティング戦略を考える8つのプロセス」をご覧ください。
例えば以下のような施策があります。
- 運用型広告
- その他の広告(マス広告・純広告・交通広告)
- オウンドメディア
- SNS(Twitter・Instagram・YouTubeなど)
- メルマガ・LINE@
- イベント・展示会
- DM・チラシ
- プレスリリース
- 人的販売(店頭での接客や訪問販売・電話営業など)
ただし、「何となく運用型広告に取り組んでみよう」といった考え方にならないように注意が必要です。それではユーザーとのコミュニケーションを無視した施策になってしまうため、効果の出ない施策を実行してしまい、なぜうまくいかなかったのか、どこを改善すればよいのかすらも分からないといった結果に終わってしまうことがあります。
詳細は「施策を考える際は、まずマーケティングコミュニケーションを設計することが重要」をご覧ください。
著者情報
TAISHI TERAKURA
Marketing Planner
業界歴10年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティング支援を展開し、延べ100以上のプロジェクトを経験。藍染職人、株式会社LIGを経て、マーケティングプランナーへ。
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