リスティング広告とは|仕組みや運用、成功させるポイントを解説
この記事でわかること
- リスティング広告はどういう仕組みか
- リスティング広告を利用するべき企業の特徴
- 成功のために必要なポイント
リスティング広告(検索連動型広告)は、「Google」や「Yahoo!」といった検索エンジンの検索結果画面に掲載されるテキスト広告のことです。
商品やサービスに一定の興味や関心を持っている顕在層へ効果的にアプローチできるので、他のWeb広告と比較して費用対効果を高めやすいという傾向があります。
また最低出稿額が決められおらず、予算に応じて自由に設定できるので、低予算から気軽に始められるというメリットがあります。
本記事では、広告運用担当者が成功確率を上げるためのポイントや、出稿すべき/すべきでないケース、運用開始までの手順について紹介します。
リスティング広告の設計・運用でお困りではないですか?
リスティング広告の運用を通じてマーケティング成果をあげるには専門性を持った人材が不可欠です。しかし、このような悩みを抱える企業は少なくないでしょう。
- リスティング広告を運用しているものの、思うように成果が上がらない
- 運用経験者がおらず、運用状況や戦略が最適か判断できない
- 現在は代理店の運用に頼っているが、将来的にインハウスでの運用も検討している
運用型広告にまつわるお悩みは、デジタルマーケティングの支援実績が豊富なTHE MOLTSにお気軽にご相談ください。リスティング広告の運用に精通したプロフェッショナルが戦略立案から施策代行、インハウス運用チームの育成など、御社に最適なプランをご提案させていただきます。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!JAPANといった検索エンジンでユーザーが検索したキーワード(検索語句)を元に、検索結果画面に掲載されるテキスト形式の広告のことです。
ユーザーの検索キーワードに連動して掲載されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれています。

「集客数や会員数を増やしたい」「商品売上の拡大をしたい」といった企業課題を解決する際のWebマーケティング手法の一つです。
特定のキーワードを検索したユーザーにのみ広告が配信されるため、商品やサービスに興味を持っている顕在層にアプローチできるのが特徴です。
また、ユーザーが広告をクリックしてはじめて費用が発生する「クリック課金」を採用しているため、他の手法と比べて費用対効果が高くなりやすいのが魅力です。
媒体の種類について(Google・Yahoo!)

リスティング広告の出稿先媒体として、メジャーなのが「Google広告」と「Yahoo!広告」の2つです。これからリスティング広告を始めるというケースでは、これら2つのどちらかを利用することになるかと思います。
どちらも高いシェアを誇っていますが、ターゲティングの方法や表示オプション、自動入札機能など、細かい機能面で両者にはいくつか違いがあります。
掲載フォーマットについて
リスティング広告は、大きく分けて3つの要素から構成されています。
- 広告見出し / タイトル
- 説明文
- リンク先のURL
広告見出し(Yahoo!広告では「タイトル」)と説明文には、文字数や使用できる文字・記号に制限があります。また、広告文で訴求できない表現(例:日本一、最安値など)もありますので、事前に確認しておく必要があります。
メリット・デメリット

Web広告には、リスティング広告の他にも多くの手法が存在します。
「競合他社がやっているから」といった理由ではなく、リスティング広告のメリット・デメリットを理解した上で、自社の事業にマッチしているのかを見極める必要があります。
1. キーワードに対して入札できる
インターネット広告は、掲載枠に対して複数の広告主がオークションを行い、落札できた広告が枠に掲載されます。ユーザーに広告がクリックされた時に、1回あたり何円払うかを事前に決め、設定していくことを「入札」と言います。
リスティング広告では、ユーザーが検索するキーワードに対して入札をします。
掲載自体は無料で、広告がクリックされて初めて課金となる「クリック課金制」をとっています。
リスティング広告 | バナー広告 |
「賃貸物件」、「賃貸 東京」などのキーワードに50円で入札 | 「Yahoo!ニュース」、「Yahoo!知恵袋」などのページに50円で入札 |
クリックの金額は1円から任意で設定でき、誰にでも今日から始められる手軽さもありますので、多くの企業が取り入れています。
2. 購買意欲の高いユーザーに配信できる
リスティング広告は、ユーザーの検索行動ごとに適した配信が可能です。
例えば、不動産販売の広告を配信する場合、不動産は売れる可能性が高いのは下記どちらのユーザーでしょうか。
【2】「Yahoo!不動産」のページを閲覧中のユーザー
すでに「購入」というキーワードで検索をしていることから、商品購入の確率としては【1】の方が高いと想像できます。
【2】は、不動産に興味はありそうですが、そのユーザーが不動産を売りたいのか、買いたいのか、あるいは相続したいのかといった行動ニーズが掴みづらいですね。
このように、特定のニーズを抱えたユーザーに対して、ピンポイントで広告を配信できるのがリスティング広告の強みです。
一方で、既に競合企業も多く出稿しており参入ハードルが高いケースも多々あります。これからリスティング広告を始める場合には、競合に打ち勝つための戦略を練った上で開始することが求められます。
3. 低予算で開始できる
リスティング広告は、広告主が予算を設定できるため、低予算で開始することができます。
Google 広告は1日あたりの予算額を設定することで、1ヶ月間の予算が決まります。キャンペーンの内容によって変動しますが、1日あたり200円前後から出稿ができるため、1ヶ月で1万円以内でも広告配信が可能です。
Yahooのリスティング広告は、クリック単価を設定することで全体予算が決まります。クリック単価は10円前後から設定できるため、クリック数に応じて請求金額が変わります。リスティング広告の費用詳細については、次章で説明します。
4. SEOよりも即効性と柔軟性が高い
検索エンジンからの集客を考えたマーケティング手法には、リスティング広告の他にSEO対策が考えられます。両者の大きな違いは、即効性と柔軟性にあります。
違い | リスティング広告 | SEO(自然検索) |
---|---|---|
即効性 | 速い 設定内容をすぐに反映 | 遅い 反映に数ヶ月かかる場合も |
柔軟性 |
高い 訴求内容を自由に設定可 |
低い ソースから検索エンジン側が決定] |
地域や期間の設定 | コントロール可 | コントロール不可 |
掲載に反映されるまでの即効性
SEOは、コンテンツを作ってから成果を得るまでに半年以上時間がかかる場合もあり、どれだけ時間とお金をかけても上位掲載できる保証はありません。
対してリスティング広告は、入札金額やキーワードとの関連性次第では即日上位掲載が可能となっており、掲載順位のコントロールも可能です。リスティング広告はユーザーの検索が発生する度にオークション制で掲載順位を決定しているからです。そのため、実際の検索結果を見ながら適宜調整も可能です。
※業界によっては1位掲載で1クリック数千円の費用がかかるケースもあるため要注意。
掲載内容の柔軟性
リスティング広告では、出稿するキーワードから対象とする年齢・性別、居住地域といったターゲティング設定が可能です。設定した内容は、即時反映されます。
また、検索結果に掲載する広告文は、複数パターンで自由に設定ができるため、訴求のA/Bテストにも向いています。
柔軟性は高いものの、広告であるためSEOと比較するとクリック率が低いという側面はありますが、即効かつ柔軟に上位掲載を実現します。
1. 潜在層へのアプローチには向かない
リスティング広告は、特定のキーワードで検索を行ったユーザーに対してアプローチする広告です。

そもそも、ユーザーが検索行動を起こすときは、何かを「知りたい」「買いたい」「行きたい」など、ニーズや悩みが顕在化している状態です。
裏を返せば、まだニーズや悩みが顕在化しておらず、検索行動を起こさないユーザーに対しては有効なマーケティング施策とは言えないでしょう。
リスティング広告を始める際には、「誰に・何を訴求したいのか」を明確にする必要があります。もし、まだサービスや商品を認知しておらず、ニーズが顕在化していない層にアプローチしたいのであれば、ディスプレイ広告やSNS広告など、別の手法と組み合わせるなど、最適な手段を考えることが大切です。
2. ビジュアルでの訴求ができない
リスティング広告は、テキストのみで訴求する広告です。

自動車やファッションといった商品の魅力を伝えるために、視覚的なアプローチを必要とする商材の場合や、ブランドイメージを醸成したいといったケースでは、別の手法が求められるでしょう。
商材/サービスの向き・不向き

リスティング広告はキーワードに対して入札するため、検索が行われてさえいれば広告出稿の機会がある一方で、広告費を使用するため利益を出すという観点では企業・業種・商材によって向き不向きがあります。
向いている企業:検索ニーズが多く、粗利額も大きい商材・サービスを扱っている
リスティング広告が向いている企業の特徴は、「検索ニーズが多く、粗利額も大きい」商材・サービスを扱っていることです。例えば、下記のものが考えられます。
- 客単価が高く、粗利も高いもの(不動産、リフォームなど)
- 客単価は低くても、リピートが見込めるもの(健康食品、化粧品など)
- 競合の商品と比べ、明らかに商品の優位性を持っているもの(安い、知名度が高い)
- ネガティブ・コンプレックス系商材(カードローン、育毛剤など)
- 期間限定だが一時的にニーズが高まる商材(おせち、お中元など)
上記に該当している場合、リスティング広告実施で成果が出せる可能性が高いです。しかし、既に他社もリスティング広告を実施しているので、競合性が高くなりがちです。競合調査を事前にしっかりと行い、リスティング広告を開始しましょう。
向いていない企業:商材・サービスの検索ニーズが少ない、粗利額が小さい
リスティング広告が向いていない企業の特徴は、「検索ニーズが少なく、粗利額が小さい」商材・サービスでしょう。
- 低単価かつリピート性の低いもの(100円ショップや文房具)
- 類似商材が市場に溢れており、優位性が低いもの(どこの店舗にもある書籍やCD)
- 極端に認知が低く、検索自体が行われにくいもの(用途が極めて限定的なネジ)
- Web上で成果が完結しにくいもの(店舗誘導を成果とするレストラン)
上記に該当している場合、一度自社サービスと関連性の高いキーワードで実際に検索を行い、リスティング広告が掲載されているかどうか確認してみることを推奨します。
仮に表示がされなかった場合でも、もちろんリスティング広告をやってはいけない訳ではなく、実施前に自社の商品・サービスの特性を理解し、戦略を練った上であれば一定の成果を上げられる可能性が高まります。
実施有無に際しては、広告代理店等に解決策がないか相談してみることも視野に入れるといいでしょう。
リスティング広告は事前に実施想定値を算出可能
リスティング広告は、広告を出稿したいキーワードの想定値(IMP/CTs/CPC/CTR)を事前に算出することができ、そのツールをGoogle、Yahoo!JAPANが無料で提供しています。ただし、アカウント開設後に使用可能となるため、まずはアカウント開設を行いましょう。
各検索エンジンにおける想定値のため、同様のキーワードでもGoogleとYahoo!JAPANでは異なる結果が算出されることとなります。両方実施できれば理想的ですが、まずは利用者の多いGoogleから実施することを推奨します。
また、仮に出稿したいキーワードが定まっていない場合でも、サイトURLを入力することでサイトの内容と関連性の高いキーワード候補を算出する機能も搭載しているため、一度実施してみてはいかがでしょうか。
- リスティング広告の成果が上がらず、何からはじめれば良いかが分からない
- 代理店に任せっきりで社内にノウハウがなく、今が最適な状態なのかわからない
- インハウスでの運用を検討している
広告費用、予算の決め方
リスティング広告の費用の決め方には、「クリック課金」であることと「予算設定は日、月でコントロール可能」という、2つの特徴があります。
クリック課金制
リスティング広告はクリック課金制で、クリックが発生して初めて課金となります。広告が検索結果画面に表示されるだけでは、費用は発生しません。
1クリックあたりの費用は業界や時期、媒体によって相場が異なりますが、自由に設定が可能です。ただし、あまりにも低い金額で設定した場合には、広告自体が表示されなくなります。
予算設定は日、月でコントロール可能
リスティング広告は「1日あたりの予算」や「月間予算」を自由に設定することが可能です。
一度決めた各予算設定はいつでも調整できるので、日々の進捗状況を見ながら進められる点もリスティング広告の特徴です。
リスティング広告を始める際、「とりあえず」30万円前後を予算とするケースが多く見られます。しかし、予算調整はいつでも柔軟にできるため、どちらかと言えば「●円投資しても効果を得られなかった場合には広告配信を中断する」といった撤退ラインを明確に決めた上で開始することを推奨します。
予算 | 300,000円 |
---|---|
目標CPA | 10,000円 |
目標CV数 | 30件 |
状況:配信開始から10日間経過し、100,000円分(予算の3分の1)の広告を配信。CV2件、CPA50,000円と目標CPAから5倍悪化してしまっている。
状況:配信開始から10日間経過し、100,000円分(予算の3分の1)の広告を配信。CV2件、CPA50,000円と目標CPAから5倍高騰してしまっている。
例えば、目標CPAから5倍悪化しているということは、当初の予算300,000円を配信し切ったとしても、目標の20%しか成果をあげられない進捗状況です。
この状態でまず優先すべきことは、広告の一時停止を検討することです。おそらくこの状況のまま配信を継続していても、CPAがいくらか改善することはあっても、目標CPAの10,000円に収束させるのは非常に難しいといった見立てがつきます。
もちろん、運用開始直後から予想よりも好調なケースもあるため、想定よりも効果が良かった時のことも事前に考えておくことで機会損失を起こさずスムーズに進められます。
掲載順位の決定要因
検索結果画面に掲載されるリスティング広告ですが、ここで気になるのが自社が出稿する広告の掲載順位です。当然、競合他社よりも上位に表示することで、ユーザーの目に付きやすくなり、広告効果を高めることが期待できます。
しかし、ここで勘違いしてはいけないのは、リスティング広告の掲載順位は設定した「上限クリック単価」だけでは決まりません。つまり、上限クリック単価を高く設定すれば、必ずしも上位に表示されるという訳ではないのです。
その理由は、Google、Yahoo!の両社ともにユーザーの検索体験に重きを置いているためです。ユーザーが検索した時に、検索意図とずれている・また全く中身のない広告が表示されてしまうと、検索体験を損ねてしまいます。そのため、クリック単価というお金の代償だけでなく、広告の品質(コンテンツ)も検索順位に大きく関係するのです。
では、何を基準にリスティング広告の掲載順位が決定されるかと言うと、それは「広告ランク」という値になります。広告ランクは、以下の公式で算出できます。

公式に当てはめても分かるとおり、いくら上限クリック単価が高くても、広告の品質が低ければ上位に表示されることは難しくなります。そのため、上位表示を目指す際には、クリック単価を調整するだけでなく、ユーザーのニーズを満たすようなコンテンツに改善を繰り返す必要があります。
覚えておきたい用語集
広告開始後は、例えば以下のテーブルのように、その効果を定量的に管理します。その際、いくつかの専門用語が使われます。

リスティング広告を開始するにあたって必要となる用語一覧です。これからリスティング広告を始める方は覚えるようにしてください。
用語 | 意味 |
---|---|
インプレッション (IMP) | 広告が表示された回数 |
クリック数 (CTs) | 広告がクリックされた回数 Click Throughの略 |
クリック率 (CTR) | 表示された広告がクリックされる割合 クリック数 ÷ インプレッションで算出 Click Through Rateの略 |
平均クリック単価 (CPC) | クリック1回あたりに課金される掲載料金 コスト ÷ クリック数で算出 Cost per Clickの略 |
コンバージョン数 (CV) | 広告がクリックされ、購入や申込などのビジネス目標を達成した回数 最終的な総数を「CVs」と複数形で表すことも |
コンバージョン率 (CVR) | 広告がクリックされ、購入や申込などのビジネス目標達成に繋がる割合 コンバージョン ÷ クリック数で算出 Conversion Rateの略 |
CPA | コンバージョンを獲得するためにかかった費用 コスト ÷ コンバージョンで算出 Cost per Acquisitionの略 |
インプレッションシェア | 広告表示機会の総数に対して、実際に広告が表示された回数の割合 |
検索クエリ | ユーザーによって検索窓に入力された実際の語句 |
品質スコア (品質インデックス) | 広告・キーワード・リンク先と広告が表示されたユーザーとの関連性を10段階で評価した指標 |
広告ランク (Ad Rank) | 広告の品質と入札単価に基づき算出される指標 |
各種用語の意味やCTR、CPC、CVR、CPAがどのような算出式で導き出されているか理解できたでしょうか。用語の意味や算出式をきちんと理解し、実務で使用できるようにしておきましょう。
費用対効果の考え方

リスティング広告は投資した費用に対しての数値が管理画面上に表示されるため、費用対効果がその場で判断できます。
広告出稿で損益が発生していないか、利益が出ているのに配信が伸ばしきれておらず機会損失が発生していないか、判断できるようにしましょう。
ここでは、リスティング広告の費用対効果を考えるにあたって大切な2つのポイントをお伝えします。
ビジネスの損益分岐点からCPAを算出する
CPAは、コンバージョン(CV)1件にかかる広告費用のことでした。リスティング広告は出稿にあたり、まずはCPAを定義することで、採算があわなくなったり機会損失が発生していることを判断するための指標とし最適化を行います。
この時、設定すべきCPAには2つの種類があります。
限界CPA | 目標CPA |
1件の成果を出すための上限となる単価(=損益分岐点) | 利益を出しつつ、1件の成果を出すために目標とする単価 |
限界CPAをそのまま目標CPAにしてしまうと会社の利益が0になってしまうため、利益の何%を広告費に充てるか決め、目標CPAとします。
ワンステップビジネスの場合 | ツーステップビジネスの場合 |
顧客単価 ÷ 利益率=限界CPA | 顧客単価 ÷ 利益率 × 成約率=限界CPA |
限界CPA × 広告費割合=目標CPA | 限界CPA × 広告費割合=目標CPA |
※ワンステップビジネスは直接商品やサービスを提供、ツーステップビジネスは提供前にお問合せや会員登録等を間に挟むものです。
現時点で目標CPAが定まっていない場合、一度立ち止まり算出してみてください。
基本的に目標CPAは「商品が1個売れたときの利益」で考えます。図解すると、以下のイメージです。

広告によって獲得したユーザーが、広告起点での購入だけでなく、リピートすることまでを踏まえてどれくらいの利益を企業にもたらすのかまで考え、目標CPAを決定します。
LTV(Life Time Value)、日本語では「顧客生涯価値」を加味して目標CPAを設定していきます。
▼リピート購入有の場合
顧客単価 + (顧客単価 × 継続回数)=限界CPA
限界CPA × 広告費割合=目標CPA
その他にも、
- 平均クリック単価(CPC) ÷ コンバージョン率(CVR)=目標CPA
- 売上、利益額の〇%とざっくり決めて最終的に固めていく
というケースも稀にありますが、いずれにしても損益が発生しないように組み立てていくことが必要です。
広告配信の目的を明確にした上で費用対効果の評価をする
CPAを一次指標として、最終的に追っている成果に対してリスティング広告の評価を行いましょう。CPA最適化だけを優先すると、機会損失に繋がる場合もあるので注意が必要です。
リスティング広告を行う上で費用対効果についても考えることは、非常に重要です。
リスティング広告で言う費用対効果には、ROAS(Return On Advertising Spend)という考え方があります。投資した広告費に対して、広告経由の売上がどれだけ発生したかを測る指標です。ここではもっと簡単に考え「費用対効果=広告を配信して得られる利益率」とします。
例えば、利益25,000円の商品を、CPA目標10,000円で広告を開始した場合を考えてみましょう。
CPA10,000円で販売できれば、利益は15,000円になります。この商品をCPA5,000円で販売出来るようになれば、利益は20,000円になり、粗利率が高まるので費用対効果も高まったと言えます。
しかし、求めているのは費用対効果だけでしょうか。
とにかくCPAを下げた獲得だけを目指していくと、よりコンバージョンしてくれる確率の高いユーザーに絞った広告配信を行う必要があり、結果として広告を配信する対象者が減り、CVsも減っていきます。
逆に、CPA15,000円で獲得していく場合には、CPA10,000円時よりも目標が緩和されたことでややモチベーションの低いユーザーも広告配信の対象者とすることができ、結果としてCVsが増加します。当然、費用対効果は低下するものの、総利益では最も高い数値となります。

CPAはあくまで採算があわなくなったり機会損失が発生していることを判断するための指標です。広告配信の目的を明確にし、最終的に追っている成果に対して評価を行わないと、このような機会損失を誘発するリスクがあり、注意が必要です。
- リスティング広告の成果が上がらず、何からはじめれば良いかが分からない
- 代理店に任せっきりで社内にノウハウがなく、今が最適な状態なのかわからない
- インハウスでの運用を検討している
アカウント開設から掲載までの流れ
リスティング広告掲載までの流れは、おおまかに以下のようになります。
スムーズに進めば、当日中の掲載開始も可能です。

アカウント開設から掲載開始までは短期間で行えますが、開始することはゴールではなく、あくまでも広告配信で成果を得るための一ステップです。配信実績をきちんと集計・分析し、改善施策を打っていく必要があります。
これはインターネット広告全般に言えることですが、配信した実績データが全て数字として可視化されるため、「配信して終わり」ではなく、「得られたデータをもとに改善を行っていく」ことが何より重要です。
出稿ステップ
ここまでリスティング広告の始め方について解説してきましたが、実際にどのような出稿ステップを踏めば良いのか迷う方もいるはずです。比較的簡単に出稿することができますが、手順がわからないと実行することができません。
リスティング広告の中でも、Google広告とYahoo!広告に分けて紹介すると以下の通りです。
- アカウントの作成
- キャンペーンの作成
- ターゲットの選定
- 予算の選定
- 広告オプションの入力
- 広告グループの設定 / キーワード選定
- 広告を作成
- 入稿 / 広告審査
- Yahoo! JAPAN ビジネスアカウントを取得
- 専用の広告管理ツールにログイン
- 銀行口座やクレジットカードの情報を入力
- キャンペーンの作成と広告審査
なお、Yahoo!広告では、広告主が本人であることを確認するために、必要な書類の画像をアップロードを求められる場合があります。「商業・法人登記事項証明書」や住所記載の公的書類が必要になるケースもありますので、事前に揃えるようにしましょう。
Google広告とYahoo!広告、それぞれより詳しく出稿ステップについては、以下記事をご覧ください。
成功させるための4つのポイント

リスティング広告は、ユーザーに自社サービスを訴求するマーケティング手段の一つです。競合の訴求も意識し、自社独自のメッセージをユーザーに配信していきましょう。リスティング広告を専門としている代理店と協業することも成功への近道です。
1. 施策の目的を明確にし、各種KPIに落とし込む
今一度、成功の定義や顧客のステータスを整理し、リスティング広告の施策を計画しましょう。考えていく際には、「5W2H+α」を意識して進めます。
- 「WHO/誰に」
- 「When/いつ」
- 「Where/どこで」
- 「What/何を」
- 「Why/どうして」
- 「How/どうやって」
- 「How much/いくらで」
- +α/広告実績の計測環境など
クリック課金制のため、最低でもサイトへユーザーを誘導することができ、「100万円広告を出稿してみたが、全く反応がなかった」というような事態は起きませんが、クリックはされてもCVが0件で終了する可能性は否定できません。予算を多く用意して実施すれば成果が出るわけではなく、戦略を立てて臨むことが大切です。
また、作成した内容をリスティング広告に携わる全ての人に事前に共有し、認識を合わせた上で運用を開始することも大切です。
2. 自社と競合、マーケットの状況を理解する
入札を行うキーワードで、既にどのような企業がどういった広告文を掲載しているか把握した上で出稿を開始しましょう。
例えば、既存掲載企業が「初回無料」で訴求しているところに、「初回10%OFF」と後出しで訴求することは効果があるでしょうか。圧倒的な優位性のあるサービスであればCVが発生するかもしれませんが、基本的に可能性は低く、CVRを下げる要因となってしまうでしょう。
競合の訴求内容を加味して、自社サービス独自のメリットを訴求することが大切です。
3. SEOで検索1位を獲得していてもリスティング広告を実施すべきか
「SEOで検索1位を獲得しているのに、リスティング広告をあえて実施する意味はあるのか」とはよくある質問ですが、答えは「実施すべき」です。
なぜならリスティング広告を併用することで、検索をタッチポイントとしたSEO施策でリーチアウトできない潜在ユーザーにも訴求することが可能になるからです。
併用すべきメリットには、主に以下が挙げられます。
- コーポレートサイトとは別のLPへ誘導し、ユーザーの行動促進を図れる
- SEOのようにGoogleのアルゴリズムアップデートに影響されない
- SEOで潜在リード層に複数回接触、リスティング広告で顕在リード層を刈り取る、といった分担が可能
- 検索結果の画面占有率が高まり、提供情報量を増やせる ⇒自然検索2位以降のあまり見てほしくない情報(アフィリエイトサイトや口コミなど)を少し目立たなくするといった、テクニック的な活用例もあります。
- リスティング広告の分析により、効果的なSEO施策が見えてくることもある
SEOで1位掲載ができているということは、検索しているユーザーにとって有益な情報を発信できている可能性が高いため、リスティング広告にもトライすべきとも言えます。
4. リスティング広告代理店に相談する
ここまで述べてきたように、リスティング広告は開始こそ当日中にでも可能なものの、その後一定の成果を出していくには考え抜かれた戦略と日々の運用調整が必要です。より最短距離で成功を収める一つの手段として、広告出稿の目的を決めたタイミングでリスティング広告代理店に相談する方法もあります。
弊社でも、リスティング広告の運用支援を多数させていただいております。
なお、代理店に広告運用を依頼した場合の報酬形態は、以下の3種類があります。
報酬形態 | 特徴 |
手数料型 | 広告費に応じて手数料が決まる |
定額型 | 広告費や作業工数に応じて手数料が決まる |
成果報酬型 | 成果に応じて手数料が決まる |
手数料の相場は、手数料型の場合、月に運用する(媒体)広告費の約20%です。
代理店選びのポイントとしては、業界知識は豊富か、サービスレベルの取り決めはあるか、マージンはいくらか、など様々な観点がありますが、最終的には「事業者と代理店が気持ちを一つにしてゴールまで走れるか」どうかが重要と考えます。リスティング広告運用を委託する「業者」ではなく、ともにサービス拡大を進めていく「パートナー」として適任かどうか見極め、運用代行やインハウス化支援を検討することも重要です。「人」が広告運用のパフォーマンスを左右することを念頭に置き、担当者のスキルやチーム体制を確認するようにしましょう。
企業の成功事例
ここまで、リスティング広告の特徴やポイントをご紹介しました。具体的なイメージを持つためにも、実際にリスティング広告運用で成果を出した事例をご紹介します。
事例1:各社のディレクションに苦戦が、戦略と体制を立て直し、さらに広告CPA30%減に成功

株式会社リブ・コンサルティングは「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」をミッションに、主に中堅・ベンチャー企業に特化した総合経営コンサルティングサービスを提供しています。
リブ・コンサルティングでは、抱えているプロジェクトにおいて大手SIer様のBtoB向け高額商材の戦略策定を元に、売上に結びつくリード獲得を最大化する必要性がありました。
そこで、デジタルマーケティングの体制構築・運用を開始。戦略策定から施策、具体的にはSEO施策やリスティング広告、ホワイトペーパー制作ををリブ・コンサルティングが担当した上で、広告運用の実行部分は外部の運用会社へ依頼をしていました。
しかしプロジェクトが進行するにつれ、何が悪いのか、どう改善すれば良いのか分からないと壁打ちになっただけではなく、運用会社のディレクションにもかなりの手間がかかるという状態に陥っていました。
そこで、外部からプロを招き、プロジェクトを再構築し、まずは運用会社とリブ・コンサルティングの役割分担を明確にした上で、再構築した戦略を元に、運用型広告やSNS広告など、さまざまな施策を展開しました。

結果、リブ・コンサルティングと運用会社の役割分担を明確にでき、限りあるリソースを最大限活用できただけでなく、目標CPA3万3000円だったプロジェクトで、CPA2万円台で抑えながら、以前以上に効果的なリードを獲得することができました。
今回の株式会社リブ・コンサルティングの事例から、プロジェクト成功の鍵は適切な役割分担と戦略設計が必須であることを理解していただけたのではないでしょうか。

事例2:事業戦略に踏み込み、売上20%増を実現

結婚相談所の比較や資料請求可能な『婚活・結婚おうえんネット』、税理士が探せるマッチングサービス『税理士紹介エージェント』を運営するパスクリエイト株式会社では、サービスのリード獲得を目的にリスティング広告の運用を行なっていました。
しかし、担当者が退職したことにより新たに運用できる人材が不足したことや、事業成長の伸び悩みといった課題を抱えていたことから、弊社が運用方針を含めたリスティング広告の戦略立案〜実行のサポートを実施しました。
弊社では、運用における局所的な数値を改善するだけでなく、リスティング広告を事業成長の一つの手段として捉え、どのように運用するのが事業成長を加速させるのかを第一に、事業全体のKPI設計や目標P/Lの設定などのコンサルティングを開始。
運用においては、キーワードの網羅性を高めることや、自動入札を適切に活用することで、事業全体の売上を前年比で20%アップすることに成功しました。また、自社で広告運用にかけるリソースを削減することによって、社内で接客に集中できるといった副次的な効果も生まれた事例です。

事例3:広告運用未経験のチームながら、わずか3ヶ月でCV数を倍増を実現

求人サイト「WILLOF(ウィルオブ)」の運営を中心に、人材派遣、人材紹介事業を展開をしている株式会社ウィルオブ・ワークでは、すでに広告運用を行なっていましたが、メンバーがほぼ未経験の状態であったため、インハウス化をサポートしてくれるパートナーとして、弊社にご依頼をいただきました。
人材派遣・人材紹介事業の応募してからのプロセスが複雑であったため、まずは事業理解を深めるところからプロジェクトをスタート。歩留まり率や応募からの契約率などを把握・可視化し、事業の粗利単価、CPAを逆算して目標設定を行なっていきました。
また、運用の担当者がメインの業務と兼務で担当している状態であったため、最小工数で最大効果を出すためのチームを設計。広告運用に関するノウハウや考え方をレクチャーすることで、運用のインハウス化を実現しました。
サービスの応募数も、プロジェクト開始からわずか3ヶ月で、倍増を実現。広告予算を拡大しながら、さらなる事業成長を進めています。

事例4:リスティング広告の戦略を見直し、CV数300%アップ・CPA70%削減を達成

マリンスポーツやスカイダイビングなど、観光地のオプションツアーを販売するB社では、リスティング広告を運用していたものの、「獲得数が伸び悩んでいる」という課題を抱えていました。
そこで弊社では、従来から進めていた「既存のCPAの範囲内で、コンバージョンを最大化する」方針を見直し、商品単価や限界利益から改めて適切なポートフォリオを設計。短期的にはCPAを高めつつも、キーワードバリエーションを増やし、コンバージョン数を拡大する施策を打ちました。
これは、事業の売上目標を達成するためには、CPAを抑えるのではなく、コンバージョン数並びに売上の最大化をさせることが、最短の手段だと考えたためです。
その後、機械学習による自動入札を活用し、獲得に繋がらない不要なキーワードを精査することで、CPAを抑えつつもコンバージョン数の最大化を実現。プロジェクト開始前の前年と比べて、コンバージョン数を約3倍に、CPAを70%削減することに成功しました。

事例5:インハウス化を推進しつつ、CPAは30%削減を実現

美容・化粧品を提供するA社では、YDNやGoogle広告、FB広告など現在出稿している広告媒体ごとに代理店を分けていたため、レポートや施策全体が煩雑化しているといった課題を抱えていました。
そこでまずは施策全体のKGI、KPIを再設計。KGIである新規購入者の最大化のために具体的に行ったことは下記の通りです。
- 広告運用全体を可視化するレポート作成
- YDNのインハウス化を体制構築
- 運用者へのトレーニング
- サイトリニューアルの全体設計
その結果、YDNのインハウス化を実現しただけでなく、広告代理店に依頼していた時と同等のCV数を出しながら、CPAは30%削減に成功しました。この成功体験を元に、Google広告とFB広告もインハウス化に着手しています。

まとめ|リスティング広告の運用体制を強化しよう
リスティング広告は商品やサービスに一定の興味や関心を持っている顕在層へ効果的にアプローチできるので、費用対効果を高めやすいという傾向があります。
しかしそれらの特徴が発揮されるのは、最適な運用がされていた場合の話であるため、自社で体制を整えたり、代理店に依頼したりと、成功に向けた運用体制が欠かせません。
リスティング広告の成功に向けて、運用体制を強化していきましょう。
よくある質問とその回答
リスティング広告で成果を上げたいのですが、どのようにすれば良いですか?
リスティング広告で成果を上げるためには、ターゲットの明確化、目標・KPI設定、運用、改善を短いスパンで繰り返していくことが重要です。
そのためには、リスティング広告で目指すべき成果を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できる運用体制が必要になります。
リスティング広告を新たに取り組みたい、今実施している広告成果をより上げていきたいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったリスティング広告支援を提案しております。
まずは一度「リスティング広告支援内容」をご覧ください。
リスティング広告はいくらから出稿できますか?
リスティング広告は、最低出稿額が決められていないため、自社や事業部の予算に応じて、自由に設定することができます。そのため、月に数万円といった低予算からでも出稿を開始できます。
ただし、設定した予算があまりにも低いと、狙ったキーワードで広告を表示できず、費用対効果が得られないといった問題が発生してしまう可能性があります。業界業種や扱っている商材・リスティング広告の運用目的、また出稿するキーワードによって、必要となる予算はさまざまですが、一般的には月20万円〜50万円を目安にリスティング広告の運用を開始する企業が多くなっています。
詳しくは、「リスティング広告の費用はどうやって決まる?」をご覧ください。
リスティング広告とはどのような広告ですか?
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!JAPANといった検索エンジンでユーザーが検索したキーワード(検索語句)を元に、検索結果画面に掲載されるテキスト形式の広告のことです。
「集客数や会員数を増やしたい」「商品売上の拡大をしたい」といった企業課題を解決する際のWebマーケティング手法の一つです。
詳しくは「リスティング広告とは」をご覧ください。
GoogleとYahoo!のリスティング広告、どちらで始めるべきですか?
Google広告、Yahoo!広告ともに高いシェアを誇っており、どちらが良いと一概に言えるものではありません。媒体を選ぶ際には、広告を出稿するターゲットや目的によって、決めることをおすすめします。
Googleは、モバイルユーザーがYahoo!よりも多いのが特徴です。スマホユーザーがメインのターゲットの場合は、Googleのリスティング広告から始めてみると良いでしょう。また、日本国内だけでなく、世界的シェアがNO.1の媒体です。海外市場への展開も考えている場合は、第一の選択肢になります。
一方で、Yahoo!は、高齢層の利用率が高いのが特徴です。若者だけでなく、50歳以降の方にもアプローチしたいケースで有効と言えるでしょう。
詳しく知りたい方は、「リスティング広告の媒体(Google・Yahoo!)」で解説していますので、参考にしてください。
リスティング広告の課題は、広告運用のプロにご相談ください
キーワード選定や入札戦略、広告文の最適化…と、適切なリスティング広告の運用には検討すべき事柄はさまざまです。しかし、実際の運用において思うように成果があがらず、課題を抱える運用担当者も少なくないでしょう。事業課題に即した戦略設計や運用が欠かせませんが、適切な施策が実行できているか自社だけで判断するのは難しいものです。
リスティング広告における運用や戦略の見直しを検討されている方は、ぜひTHE MOLTSにご相談ください。デジタルマーケティングに精通した広告運用のプロフェッショナルが、成果を出すための戦略立案から施策実行まで支援いたします。
- アカウント構造の見直しや戦略の拡大など事業拡大に必要なアプローチを包括的に実行
- 未経験者の育成・サポートを徹底し、2ヶ月でROASが30%改善し過去最高へ
- 事業構造に適したアカウント構築やKPI設計を行い、CPAの水準を維持しつつ申し込み件数を拡大
まずは貴社のお取り組み状況についてお聞かせください。広告運用のプロフェッショナルが、事業成果・マーケティング成果創出の観点から、貴社に最適なご提案をいたします。
著者情報
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