ディスプレイ広告とは|運用を成功に導く6つのポイントを解説【完全版】
この記事でわかること
- そもそもディスプレイ広告とは何か、リスティング広告の違いとは
- ディスプレイ広告のメリット、デメリットと向いている商材
- ディスプレイ広告を成功に導く6つのポイントと注意点
- 未経験でディスプレイ広告の担当者を任された
- 自社でディスプレイ広告を始めようと思っている
- ディスプレイ広告をやっているが思ったような成果が出ない
- ディスプレイ広告を始めるべきか迷っている
ディスプレイ広告に関して、このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事ではディスプレイ広告の初心者〜中級者に向けて、ディスプレイ広告とは何かといった基礎知識から、リスティング広告との違い、そして成果を出すために頭に入れておくべき6つのポイントについて説明していきます。
ディスプレイ広告は始めれば、必ず成果が出るといったものではありません。
メリット・デメリットや配信の注意点を理解した上で、正しくディスプレイ広告を始めましょう。
ディスプレイ広告の戦略設計・運用でお困りのご担当者へ
- 潜在層にアプローチしたいが、ディスプレイ広告をどう活用すれば成果に結び付くかわからない
- 運用ノウハウがなく、何から着手すればよいのかわからない
- 将来的には社内で運用を行い、費用を抑えて成果を伸ばしたい
ディスプレイ広告にまつわるお悩みは、デジタルマーケティングの支援実績が豊富なTHE MOLTSにお気軽にご相談ください。ディスプレイ広告の運用に精通したプロフェッショナルが戦略立案から施策代行、インハウス運用チームの育成など、貴社に最適なプランをご提案いたします。
ディスプレイ広告とは?
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告のことを指します。「画像+テキスト」もしくは「動画+テキスト」を組み合わせたバナーで表示されることが多いので、バナー広告とも呼ばれています。
Webサイトの右側やアプリのニュースフィードなど、ユーザーの目につく場所に広告を出稿します。テキストを含めたビジュアルで訴求することでユーザーの興味を惹き、クリックしてもらうことで、サイト誘導やコンバージョン獲得へと繋げていきます。
ディスプレイ広告は、入札額(いくらで広告を出すか)や広告枠(どこに出すか)、ターゲットなどを細かく調節しながら、目的に応じて成果を最大化させていく「運用型広告」の一つです。特定のサイトやアプリの枠を買う「純広告」とは異なる広告手法になります。
広告手法 | 運用型広告 | 純広告 |
---|---|---|
主な種類 |
|
|
特徴 | 入札額や広告枠・ターゲットを細かく調整 | 特定の媒体や場所に掲載 |
ディスプレイ広告とリスティング広告の違い
ディスプレイ広告とよく比較されるのが、同じく運用型広告の一種である「リスティング広告」です。リスティング広告は、GoogleやYahoo!でユーザーが検索するときに、検索結果に表示される広告のことを指します。
Web広告を活用して効果を出したいと考えた時に、「ディスプレイ広告」「リスティング広告」のどちらを利用するべきなのか迷うことがあります。ここからは、リスティング広告と比較した上で、ディスプレイ広告の特徴やメリットについて解説していきます。
①広告の表示場所
リスティング広告は、「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーの検索したキーワードに沿って、検索画面の上部や下部に表示されます。
一方のディスプレイ広告は、様々なサイトやアプリの広告枠に表示されます。そのため、配信方法によっては、短期間で大量のユーザーに広告を表示させることが可能です。
②配信ターゲット
また、配信するターゲットにも違いが見られます。お伝えした通り、リスティング広告は検索画面に表示される広告です。そのため、悩みやニーズが顕在化したユーザーに配信されます。
例えば、「化粧品 おすすめ」と検索するユーザーは、現状の化粧品に何らかの不満を抱え、新しい化粧品を探していることが推測できます。今まさに化粧品を探しているユーザーに、広告を配信することで、高いコンバージョン率を期待することができます。
一方のディスプレイ広告には、悩みやニーズはあるけれどもまだ気づいていないユーザーや、興味や関心が高いものの自社の商品を知らないユーザー、つまり「潜在層」にアプローチすることができます。
魅力的なテキストや画像・動画バナーを用いて、衝動的に「これ買ってみたい!」と思わせることで、新たな需要を喚起することができます。
③広告形式
リスティング広告とディスプレイ広告では、広告形式にも違いが見られます。リスティング広告は、タイトルと広告文でユーザーに訴求するのに対して、ディスプレイ広告では画像・動画・テキストをうまく組み合わせて、ビジュアルで訴求することができます。
ユーザーが思わずクリックしてしまうような魅力的なクリエイティブを使うことで、広告の効果を高めていくことができるでしょう。
④クリック単価
ターゲティングの仕方や商材のジャンル・入札方法などによって、一概に言うことはできませんが、ディスプレイ広告は、リスティング広告と比較すると、平均クリック単価(CPC)が低い傾向にあります。
リスティング広告は、潜在層に広告を配信するため、コンバージョンに繋がりやすいと言う特性があります。そのためキーワードによっては、出稿したいライバル企業が多く、CPCが高騰してしまいます。
仮に同じ予算を使うのであれば、ディスプレイ広告の方がより多くのユーザーをサイトに誘導しやすいという傾向が強いと言えるでしょう。
⑤リターゲティング
ディスプレイ広告の肝となるのが、リターゲティング(リマーケティング)と呼ばれるターゲティング方法です。リターゲティングとは、自社サイトやLPに訪れた人をターゲットとして、広告配信を行う手法です。
すでに自社の商品やサービスを認知している可能性の高いユーザーを追跡して、広告を配信できるので、高いコンバージョン率を期待することができます。
リスティング広告はユーザーが検索したときだけしか接点が持てないのに対して、ディスプレイ広告は、ユーザーがWebサイトやアプリを閲覧している限り、長期的にそして複数に渡り接点を持てるのが違いと言えるでしょう。
- 競合他社が少ないため、1広告あたりの単価を抑えられる
- 新しいメニューは広告効果が高い可能性がある
- ユーザーにとっても新鮮であるため、視認性向上が期待できる
ディスプレイ広告のサービス
ディスプレイ広告を配信する際には、主に「Google」と「Yahoo!」の2大アドネットワークが活用されます。アドネットワークとは、様々なWebサイトやアプリを集めてパートナーとすることで、それらの媒体にまとめて広告が配信できる仕組みのことです。
また最近では、YouTubeの動画再生中や再生前後に広告を配信するインストリーム広告を中心とした「YouTube広告」も注目を集めています。
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo!広告 ディスプレイ広告 運用型(YDA(旧YDN))
- YouTube広告
GoogleディスプレイネットワークGDN
GDNは、Googleが束ねている200万以上のウェブサイトで構成されており、インターネットユーザーの約90%近くにリーチができるとされています。
主な配信先としては、食べログやライブドアブログ、教えてgooなどが挙げられます。またGoogleアドセンスを利用している個人ブログなどにも配信されます。この他、GoogleのサービスであるYouTubeやGmailに広告を配信することもできます。
また、GDNのターゲティングの特徴として、年齢や性別・地域といった基本的なデモグラフィック情報を用いたターゲティングに加えて、「子供の有無」や「世帯収入」を設定して広告の配信が可能です。
塾や英会話などの子育て世代に向けた商材や、高単価商材を訴求したい場合は、YDA(旧YDN)よりも適していると言えるでしょう。
Yahoo!広告 ディスプレイ広告 運用型(YDA(旧YDN))
一方のYDA(旧YDN)は、Yahoo! JAPANやYahoo! ニュース、Yahoo!メールといったYahoo!が運営するサイトを中心に配信することができます。特に、Yahoo! JAPANは、月間で約840億PV(2022年3月媒体資料より)を誇る日本最大級のポータルサイトなので、非常に多くのインプレッションを集めることができます。
この他に主なパートナーサイトとして、食べログ・クックパッド・ライブドアニュース・朝日新聞デジタルなどが挙げられます。(2020年7月の情報)
YDA(旧YDN)には、特定のキーワードを検索したユーザーに対してピンポイントで広告を配信する「サーチターゲティング」というターゲティング方法があります。
例えば、過去30日以内に「都内 マンション 新築」と検索しているユーザーに対して、サーチターゲティングを実施することで、そのユーザーがその後に閲覧するサイトの広告枠に広告を配信できます。
検索広告(ディスプレイ広告)と同様に、特定のニーズを抱えているモチベーションの高いユーザーに広告を訴求できるのがメリットです。
YouTube広告
YouTubeは、インターネット環境の普及などから年々ユーザー数が増加し、今や全インターネット人口の約3分の1にあたる20億人以上のユーザーが毎月YouTubeを利用しています。日本でも、毎月6,500万人ものユーザーが、YouTubeを視聴しています。
そんなYouTubeに広告を配信できるのが、Googleが提供するサービス「YouTube広告」です。
2022年6月現在、下記の9パターンがあります。
- スキップ可能なインストリーム広告
- スキップ不可のインストリーム広告
- TrueView ディスカバリー広告
- バンパー広告
- アウトストリーム広告
- マストヘッド広告
- TrueViewアクション広告
- オーバーレイ広告
- ディスプレイ広告
広告はYouTube動画再生ページ、関連動画の横や検索結果部分、ホームフィード部分、 Google動画パートナー上のウェブサイトやアプリに表示されます。
配信の中心となってくるのが、YouTubeの動画を再生する前や、再生中に挟みこまれる「インストリーム広告」と呼ばれるものです。ユーザーが5秒以上広告を閲覧するとスキップできる広告と、15秒以上閲覧するまでスキップ不可の広告の2種類が存在します。
どちらもYouTube動画再生時に必ず視聴してもらえるため、リーチが広がりやすいことや、動画再生画面全体を使って動画と音声で訴求できるため通常のディスプレイ広告よりも、ユーザーの印象に残りやすいというメリットがあります。
ディスプレイ広告のメリット、デメリット
ここでディスプレイ広告を実施するメリットとデメリットを整理しておきましょう。
ディスプレイ広告のメリット
1. 訴求できる内容が豊富
リスティング広告との大きな違いが訴求内容の豊富さです。
クリエイティブ(バナー、動画など)で表現できるメッセージの量、幅、深さがリスティング広告よりも充実しています。
2. 潜在顧客へアプローチできる
「今すぐに商品が欲しい」「特定の商品を探している」という顕在顧客にはリスティング広告の利用がおすすめです。
一方で、何かいいものがあったら購入したいが具体的にはイメージがない、いますぐに商品を購入する気はないが、今後購入可能性がある、といった潜在顧客にアプローチしたいときには、ディスプレイ広告が向いています。
3. 商品のブランディングできる
ディスプレイ広告は、テキストだけでは訴求できない、商品やブランドの魅力を伝えることに向いています。顧客に対して視覚的、聴覚的な印象を効果的に与えることができるのも一つのメリットです。
4. リターゲティングが可能
Google、Yahoo!のディスプレイ広告では、検索などを通じて自社のサイトや商品ページに訪れた顧客に対して、リターゲティングすることができます。サービスや商品への興味関心がある顧客に対して適切な広告訴求を続けることで、購買意欲を高めていくことができます。
ディスプレイ広告のデメリット
1. リスティング広告よりもコンバージョンに繋がりにくい
リスティング広告は、顕在層が訪問しやすい検索結果ページに広告配信ができるので、潜在層にリーチできるディスプレイ広告よりもコンバージョン(購買)に繋がりやすい傾向があります。
潜在層向けにディスプレイ広告を配信すると、短期的にはコンバージョンに至らず、ROASやCPAが期待した数値に達しないことも起こりやすいでしょう。申し込みや購買よりも、ユーザーに自社の商品やサービスを認知させ、想起してもらうことがディスプレイ広告の目的になります。
2. 改善すべき箇所がわかりにくい
ディスプレイ広告は、広告のクリエイティブの表現度が高く、配信面の幅が広い一方で、具体的にどの要素が広告効果に貢献しているのかが見えづらいのが特徴です。リスティング広告であれば、テキスト(文言)と入札したいキーワードで細かな調整が可能ですが、ディスプレイ広告はクリエイティブとターゲティングの調整する箇所が多く、PDCAが回しづらいと言えるでしょう。
ディスプレイ広告のメリット、デメリットそれぞれをきちんと理解して、プロモーションの目的に合致した広告を実施していきましょう。
ディスプレイ広告の費用はどうやって決まる?
ディスプレイ広告は、ユーザーが広告をクリックする度に費用が発生する「クリック課金(PPC)」が基本となります。そのため広告がいくら表示されても、クリックされない限りは費用は発生しません。
費用面で気になるのが、想定していた以上にクリックされた場合に、費用が多くかかってしまうのでは?といった懸念です。しかし、GDNとYDA(旧YDN)、YouTubeともに、1日のキャンペーンごとの上限予算(キャンペーン予算)を設定することができます。キャンペーン予算の上限予算に達した場合は、広告の配信を停止します。
ただし、キャンペーン予算はあくまでも目安の数値です。季節要因やメディアに取り上げられるなどで急にクリックが集中した場合などは、1日の上限予算を超えることがあります。ある程度、余裕を持った予算設定が必要になってくるでしょう。
GDNではクリック課金に加えて、一部コンバージョン課金の仕組みを2018年12月より取り入れています。過去30日以内に100件以上のコンバージョンが発生しているなど、利用には条件がありますが、コンバージョンを課金対象にすることで、クリックはされるがCVされないため費用だけがかさむといったリスクを避けることができます。
またYouTubeは、動画を30秒以上視聴(※30秒未満の動画は最後まで視聴)時点で課金するCPV課金や、動画表示回数ごとに料金が発生するCPM課金、広告内リンクをクリックするごとに発生するCPC課金があります。(※2022年6月現在の情報)
掲載位置 | 課金形式 | 課金基準 | |
---|---|---|---|
スキップ可能インストリーム広告 | YouTube動画再生ページまたは Google動画パートナー上のウェブサイトやアプリ |
CPV CPC | 離脱する広告動画が30秒以上視聴されたとき、リンクがクリックされたときなど |
スキップ不可インストリーム広告 | YouTubeおよびGoogle動画パートナー上のウェブサイトやアプリで配信されている動画の再生前後または再生中 | CPM | 動画広告が1,000回表示されるた度に費用が発生 |
TrueViewディスカバリー広告 | YouTube動画が再生される直前、再生中、もしくは再生後 | CPV | ユーザーがその動画広告を視聴完了した、もしくはクリックしてサイト遷移した際に発生 |
バンパー広告 | YouTube動画広告の再生時 | CPM | 6秒間のスキップ不可動画の視聴ごと |
アウトストリーム広告 | Google動画パートナー上のウェブサイトやアプリ | CPM | 動画再生が2秒以上視聴された場合のみに発生 |
マストヘッド広告 | YouTubeのホームフィード上 |
CPD CPM | 予約型。Googleに要問合せ |
広告運用の費用対効果を測るために用いられるCPA
広告を運用する際には、その施策が正しいのか、費用対効果はあるのかを判断するために、顧客獲得単価(CPA)をチェックします。顧客獲得単価とはその名の通り、1件のコンバージョン(これは目標によってリード獲得や購入など指標が異なる)を獲得するためにかかった費用のことです。
例えば、とあるECサイトがWeb広告に月100万円の予算を投下して、200件の新規会員登録を獲得したとします。この場合のCPAは、5,000円(100万円÷200件)になります。
また同様に、月100万の予算で、400件の新規会員登録を獲得すると、CPAは2,500円(100万円÷400件)になります。
広告費用 | CV数 | CPA | |
---|---|---|---|
広告A | 100万円 | 200件 | 5,000円 |
広告B | 100万円 | 400件 | 2,500円 |
このように広告運用をCPAの観点で比較すると、どちらの広告が費用対効果の高い広告なのかが把握できます。この場合はCPAが低い広告Bの方が、新規会員の獲得効率が優れている広告と言えます。
そのためCPAは、広告運用をはじめとするWebマーケティング施策の「KPI(重要業績評価指標)」の一つとして設定されることが多くなっています。
- ディスプレイ広告を実施していきたいものの、何から始めたら良いかが分からない
- ディスプレイ広告を運用しているものの、成果に伸び悩んでいる
- インハウス体制の強化を行いたい、社内でノウハウを蓄積したい
ディスプレイ広告に向いている商材
ディスプレイ広告は、潜在的に悩みやニーズを抱えているユーザーに、クリエイティブを通して訴求することで「衝動買い」を促せることが強みです。そのため、BtoCを対象とした低単価の商材との相性が良い傾向にあります。化粧品や健康食品は、その代表例です。
またリターゲティング広告の特性を活かすことで、不動産や自動車といった検討期間が長く、高単価商材にも有効です。
一方で、向いていない商材として、緊急性が高いものが挙げられます。例えば、「水道の水漏れ」といった今まさに対応が必要なサービス商材などは、ディスプレイ広告ではなくリスティング広告の方が適しています。
ディスプレイ広告を成功に導く6つのポイント
ここからは、ディスプレイ広告を成功に導くための考え方について解説をしていきます。
1.広告の目的を明確にする
運用型広告の全般に言えることですが、広告を配信する目的を明確にする必要があります。特にディスプレイ広告は、幅広い層にアプローチができるので、「認知・ブランディング」「サイト誘導」「アプリ訴求」「コンバージョン」など目的によって、ターゲットを細かく分けていく必要があります。
また、認知を目的とした場合とコンバージョンを目的とした場合では、効果的なクリエイティブも変わってきます。なんのためにディスプレイ広告を配信するのかといった目的を明確にした上で、広告運用を開始する必要があるでしょう。
2.狙うターゲットごとにKPIを分ける
ディスプレイ広告を活用して、「顕在層」にアプローチする場合と「潜在層(非認知層)」にアプローチする場合では、KPIを分けて効果測定をしていく必要があります。
例えば、ディスプレイ広告の「リターゲティング(リマーケティング)機能」を用いて広告配信を行なったとします。WebサイトやLPに訪れたことのあるユーザーに対して、広告を配信することができるので、コンバージョン率を高め、CPA(顧客獲得単価)を下げることが可能です。
しかし、顕在層にアプローチするリターゲティング広告は、短期的に見れば、広告効果を高めることができますが、リターゲティングができるマーク数(リスト)には限りがあるため、長期的にはコンバージョン数の伸び悩みといった課題に直面してしまいます。
これらの問題を防ぐために、サイトやLPへの流入数の最大化を目的としたデモグラフィック配信など、「認知を拡大」するための施策も行わなければいけません。この際に、気をつけなければいけないポイントが、KPIを分けるということです。
潜在層(非認知層)への広告施策は、直接的にコンバージョンに繋がりにくく、CPAが高くなる傾向があります。顕在層に向けた広告と潜在層(非認知層)に向けた広告を、単純に「コンバージョン数」や「CPA」で比較してしまうと、正しい効果測定ができなくなってしまいます。
広告プランニング全体の最適化を見据えて、ターゲットごとにKPIを分けることで、広告効果を高めていくことができます。
3.リターゲティング広告から始める
ディスプレイ広告の中でも、リターゲティング広告は、興味や関心度の高いユーザーに対して広告を訴求できるので、最も効果が出やすい施策と言えます。
サイトやLPへの送客からの直接的なコンバージョンもそうですが、ブランド名や商材名の「指名検索」増加にも期待できます。
リターゲティング広告から始めることで、短期間でのコンバージョン数アップなど目に見える形で成果が出やすくなります。
4.ユーザーインサイトを想定して配信設計を行う
例えば、転職エージェントサービスの広告運用を行うとします。
当然、転職に対して強いモチベーションがあるターゲットに対して広告の配信を開始しますが、よりコンバージョンを増やしていくためには、潜在層へのアプローチも欠かせません。
転職がしたいと思うきっかけは人によって様々です。給与に不満を抱いた時かもしれませんし、よりキャリアアップがしたいと思った時かもしれません。
仮に給与面の不満が原因だとしたら、なぜ不満を抱いたのかを考える必要があります。車や家を購入して、ローンの支払いが必要だからかもしれませんし、子供が生まれて養育費が必要だからかもしれません。
このようにユーザーインサイトを深掘りしていくことで、誰に広告を出すべきなのか、またどこに広告を出すべきなのかといった広告配信の設計をしていくことができます。
5.「閲覧階層×離脱期間」から顧客のモチベーションを把握
リターゲティング広告で、新規顧客を獲得する場合には、「閲覧階層」と「離脱期間」で分けて考える必要があります。
例えば、ECサイトの場合、TOPページで離脱したユーザーよりも、商品をカートに入れて離脱したユーザーの方が、商品購入へのモチベーションが高いことが想定されます。
また、離脱から1日しか経っていないユーザーの方が、30日前に離脱したユーザーよりも、商品購入へのモチベーションが高いと言えるでしょう。
このように「閲覧階層」と「離脱期間」を分けて、リターゲティングリストを設計することで、より強度を強めて配信すべきターゲットを可視化することができるでしょう。
6.効果の高いプレースメント(配信面)に絞る
コンバージョンが発生している効果の高い配信先に集中し、コンバージョンに繋がらないなど効果の効果の低い配信先を除外していくこともコストパフォーマンスの観点で重要です。
除外すべきプレースメントの基準としては下記の3つが挙げられます。
- コンバージョンや売上げに繋がらない
- 自社のビジネスとの関連性が低い
- 自社のブランドイメージに合わない
Google 広告やYahoo広告の管理画面から、実際にどのプレースメントに配信されているか確認して、ペルソナとして最適な配信先かを見極めましょう。
ディスプレイ広告のプランニングで意識すべき5W3H
ディスプレイ広告を新たに始めてみたい、または既に配信しているが成果が上がらないと感じている場合には、広告配信の基本である「5W3H」をベースにプランニング〜改善をする必要があります。
- When(いつ配信するか)
- Where(どこに配信するか)
- Whom(誰に広告を配信するのか)
- What(何を見せて、どこに誘導するのか)
- Why(何のために広告を配信するのか)
- How much(いくらで広告を配信するのか)
- How many(一人のユーザーに、何回配信するのか)
- How(最適化と検証ができているのか)
同じ広告を配信するにしても、ターゲットが会社員の場合、平日の日中ではなく、通勤時間帯や帰宅の時間帯、また休日に配信時間を設定することによって、効果は変わってくるでしょう。
また、プレースメント(ページ、サイト、アプリ、動画)によっても、広告効果は異なります。アプリ面での効果が芳しくないのであれば、アプリをプレースメントから除外することで、全体の配信効率の改善へと繋がります。
このようにディスプレイ広告を配信する際には、上記で挙げた5W3Hをベースとしたプランニングが戦略の核となります。
広告配信先を絞ることができるプレースメントとは
上記で触れた「プレースメント」とは、広告を配信または除外するウェブサイトやモバイルアプリ、動画を指定することで広告の配信先を制御できる方法です。
宣伝したい商品・サービスとの相性の良い配信先や、ターゲットとするユーザーと親和性の高い配信先を設定することで、少ない予算で効果的に配信できることが、プレースメントターゲティングのメリットです。
- ディスプレイ広告を実施していきたいものの、何から始めたら良いかが分からない
- ディスプレイ広告を運用しているものの、成果に伸び悩んでいる
- インハウス体制の強化を行いたい、社内でノウハウを蓄積したい
ディスプレイ広告で事業課題を解決した2つの企業事例
1.取り組み3か月でCVの質・量を改善
提供領域 | 総合マーケティング支援・SEO・ディスプレイ広告 |
業界 | 就職・人材サービス |
課題
M&Aで買収した就職・人材サービス事業の広告を代理店に依頼していたが、成果が思うように上げられていませんでした。また、社内に広告運用のノウハウおよび体制がないものの、将来的に自社で広告運用の内製化を目指していました。
実施内容
事業として優先すべきKPIは何かの議論を重ねつつ、最短で安定的に成果が出せる運用体制を構築。また以下の施策を重点的に行いました。
- ターゲットユーザーの整理
- ポートフォリオを組みやすくするためのアカウント構造を設計
- 事業利益を鑑みた広告ポートフォリオの設計
- 各カテゴリ別の目標CPAコントロール
成果
運用から3か月で想定した費用進捗・CPA水準を達成。CVの質も大幅に改善されました。
さらに、CVの総数拡大と質の追求のバランスを見極めながら運用していく環境を構築しました。
2.わずか3ヶ月で成約件数は2倍以上へ
提供領域 | ディスプレイ広告・WEBサイト制作 |
業界 | 広告・マーケティング |
課題
既存代理店との連携がうまくいかず、取り組み開始から8か月経っても目標を達成するビジョンが見えなかった。
実施内容
まずは成果を獲得するために、以下の施策を実施しました。
- 既存のアカウントを分析し、再構成
- 問い合わせ時にダウンロードできる資料を作成
- 営業手法の改善
その上で、自社で広告運用を内製化するための体制を構築。
成果
取り組み開始1か月目からCV数約1.5倍増加、CPAが改善されました。営業手法の改善に取り組んでからは、3か月で成約件数が2倍以上に急成長しました。
最終的に取り組み開始6か月目から自社での広告運用に切り替えることができました。
ディスプレイ広告を配信する際の注意点
最後に、ディスプレイ広告を配信する上で、頭に入れて置かなければいけない注意点について解説していきます。
ディスプレイ広告は、YDA(旧YDN)やGDNが提携している様々なパートナーのWebサイトやアプリに配信することができるのが強みです。
しかし、その一方で、どこの媒体に配信しているのかを広告主(出稿側)がコントロールしづらい側面があります。場合によっては、自社の商品バナーがアダルトコンテンツや暴力的なコンテンツを扱うメディアに配信されてしまうことも考えられます。
ブランドの価値を毀損してしまう恐れもあるので、最大限意図しないメディアに配信されないようにコントロールしていく必要があります。例えば、「プレースメントの除外」の設定で、特定ページのURLを入力することで、配信先から除外することができます。
また最近では不正なプログラムを利用して、人を装ってクリックやインプレッションを発生させ、特定の広告主に損害を与える「アドフラウド(広告詐欺)」という問題もあります。
YDA(旧YDN)やGDNなど広告配信のプラットフォームが対策を進めていますが、ディスプレイ広告を行うにあたり、留意して置かなければいけない点でしょう。
よくある質問とその回答
ディスプレイ広告の改善策について教えてください。
ディスプレイ広告での代表的な改善軸に対しての解決策は以下のとおりです。
CVを増やしたい場合
・ターゲットユーザーの改善:よりCVへの確度の高いカスタムオーディエンス、リターゲティングを実施
・配信先・フォーマット改善:Yahoo!TOP面への配信を拡大・強化
CPAを下げたい場合
・ターゲットユーザーの改善:年齢や性別の不明ユーザー層を除外
・配信先・フォーマット改善:アプリ面を除外
本記事では、より具体的なディスプレイ広告で改善できる具体的なポイントをプロの視点から解説しています。詳しくは「ディスプレイ広告を成功に導く6つのポイント」をご覧ください。
ディスプレイ広告とリスティング広告の違いは何ですか?
どちらも同じ運用型の広告ですが、これらには5つの違いがあります。
- 広告の表示場所
- 配信ターゲット
- 広告形式
- クリック単価
- リターゲティング
それぞれを比較したうえで、特徴やメリットを解説しています。詳しくは「ディスプレイ広告とリスティング広告の違い」をご覧ください。
ディスプレイ広告の費用はどうやって決まりますか?
GoogleやYahoo!のディスプレイ広告は、ユーザーが広告をクリックする度に費用が発生する「クリック課金(PPC)」が基本となります。そのため広告がいくら表示されても、クリックされない限りは費用は発生しません。
またYouTube広告は、動画を30秒以上視聴時点で課金するCPV課金や、動画表示回数ごとに料金が発生するCPM課金、広告内リンクをクリックするごとに発生するCPC課金があります。
詳しくは「ディスプレイ広告の費用はどうやって決まる?」をご覧ください。
ディスプレイ広告の課題は、広告運用のプロにご相談ください
アトリビューションの分析や出稿先の選定、ターゲット設計…と、適切なディスプレイ広告の運用には検討すべき事柄はさまざまです。運用してみたものの成果があがらず、課題を抱える企業も少なくないでしょう。事業課題に即した戦略設計や運用が欠かせませんが、それらを自社だけで判断するのは難しいものです。
ディスプレイ広告における運用や戦略の見直しを検討されている方は、ぜひTHE MOLTSにご相談ください。デジタルマーケティングに精通した広告運用のプロフェッショナルが、成果を出すための戦略立案から施策実行まで支援いたします。
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