顧客データ分析のポイントとは?5つの代表的な手法や活用事例を紹介
この記事でわかること
- 顧客データの分析は何のために行うのか
- 分析に用いられる「定量データ」と「定性データ」とは
- 顧客データ分析の5つの手法と4つの活用事例
企業間の競争が激化する現代において、企業が成長を続けるためには、徹底した顧客体験(UX)の最適化と、そのための正しい顧客理解が欠かせません。
担当者の勘や経験だけに頼り、「自社の顧客はこうである」と決めつけてしまうと、誤ったマーケティング施策を招いてしまうだけでなく、市場の急激な変化に対応していくことができなくなってしまいます。
そこで重要になってくるのが、顧客データの分析です。顧客の属性データや購買データといったファクトに基づいて、マーケティングの意思決定をすることにより、事業の成長を加速させていくことができます。
本記事では、顧客データ分析がもたらすものや、代表的な分析手法、実際の活用事例について解説をしていきます。
顧客データをどう分析・活用すべきか、プロに無料で相談してみませんか?
- 顧客データを活かしたいが、何をどう分析すればいいのか分からない
- データを正しく分析できているか不安である
- 大量の顧客データからよりLTVを高めたり、受注率を高める施策を考えたい
- 膨大な顧客データを測定・分析するための基盤が作れない
マーケティング×データを強みとする、歴15年以上のプロフェッショナルが相談に乗ります。
ご依頼は必須ではないので、まずはお気軽にご相談ください。
※担当者のプロフィールや実績 :西 正広
顧客データ分析は、自社の事業成長の要となる
顧客データ分析は、自社が保有する顧客の「属性情報」や「購買履歴」といったデータを分析することで、顧客をより深く、そして正しく理解するために行う施策です。
例えば、顧客の属性データを正しく分析することで、どこの地域の誰が、いつ商品を購入してくれたのかが分かるようになります。また、購買データを分析すれば、顧客がどのくらいの頻度で、何にいくら使ったのか、商品がよく売れる組み合わせなどを可視化できます。
このような顧客データの分析によって、担当者の勘や経験とは異なった事実が浮かび上がることがあります。
とある化粧品ブランドでは、20代の女性が実店舗に来店することが多かったことから、20代の女性をターゲットとしてマーケティング活動を行なっていました。しかし、いざ顧客データを詳細に分析すると、30代の女性は来店回数こそ少ないものの、1回の来店あたりの購入金額が多く、売上に大きく貢献していることが分かりました。
何となくの顧客理解は、誤ったマーケティング施策を招いてしまうことがあります。データに基づいて顧客を理解することによって、誰に・何を・いつ売れば良いかといった正しいマーケティング戦略を描くことが可能になります。
また、最近では新型コロナウイルスの影響で、今まで当たり前だった顧客の購買行動が急激に変化しています。顧客データを定点分析することで、市場の変化や顧客のニーズの変化に気づき、いち早く対応することができるでしょう。
分析に用いられる2種類の顧客データ
顧客データを分析する際には、「定量データ」「定性データ」の2種類が用いられます。
定量データ
定量データとは、明確に数値として表せるデータのことです。
例えば、売上高や商品別の販売数・来店数・Webサイトのアクセス数などが該当します。また、顧客の住所や年齢・家族構成なども大きな意味での定量データに含まれます。
定量データを分析することによって、時系列や地域別、年齢別などで比較〜分析し、誰が・何を・いつ・どこで商品を購入しているのかが分かるようになります。
定性データ
一方の定性データは、数値には表しにくい質的なデータのことを指します。
例えば、顧客が「商品をなぜ気に入ったか」「他の商品ではなくなぜそれを選んだのか」「商品のどこに不満を抱いているのか」「サービスに抱いている印象」などが該当します。
定性データは、顧客へのアンケートやインタビュー・行動観察によって収集します。ファクト(事実)による裏付けがないため、分析の結果に対する意見が分かれるといった側面もありますが、顧客の心理的・感情的な要因やリアルなニーズを把握するために有効です。
これら定量データ・定性データはどちらかが優れているという訳ではなく、両方を組み合わせて顧客をより深く分析することが求められます。
顧客データ分析の主な手法
ここからは、顧客データ分析を行うにあたり、よく用いられる代表的な5つの手法を解説していきます。
- セグメンテーション分析
- バスケット分析
- RFM分析
- デシル分析
- アクセス分析
1. セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客の年齢や性別・居住地・行動パターンなどで切り分けることで、顧客をグルーピングする方法です。顧客データ分析の中では、もっとも導入しやすく初めての分析に適している手法です。
セグメンテーション分析は、以下のような切り口で行われます。
- 地理的変数:国・地域・人口・宗教など
- 人口動態変数:年齢・性別・職業・家族構成・所得など
- 心理的変数:価値観・趣味志向・ライフスタイルなど
- 行動変数:曜日・時間・サイトの訪問頻度など
例えば、人口動態変数でセグメントすると、自社の商品がどんな年齢層で、どんな職業や家族構成の人に売れているのかを把握することができます。
2. バスケット分析
バスケット分析とは、顧客の買い物カゴ(バスケット)の中身を分析する手法です。ECサイトであれば購入履歴、実店舗であればレジのPOSデータといった購買データを用いて分析を行います。
バスケット分析で分かる主な事柄として、特定の商品と一緒に売れている商品を見つけることができます。
代表的な事例として、アメリカの小売りチェーンがPOSデータの分析を行った結果、「おむつ」と「ビール」がセットでよく売れていることが分かりました。これは、おむつの買い出しを頼まれた父親が、一緒にビールを購入していることが推測されます。
このようにセットで売れている商品を見つけることで、一緒に購入される可能性が高い商品をレコメンドする、店舗の陳列位置を変えるといった施策に繋がり、客単価のアップに繋がります。
3. RFM分析
RFM分析とは、R(Recency:直近いつ)・F(Frequency:頻度)・M(Money:購入金額)の3つの指標を用いて顧客を分析する手法です。
それぞれの指標を、High・Middle・Lowに切り分けることで、顧客を27のグループに分類。各グループを「優良顧客」「非優良顧客」「新規顧客」「離反顧客」などに定義し、グループごとにマーケティング戦略を最適化することができます。
4. デシル分析
デシル分析は、購入履歴のデータから、全ての顧客の購入金額を高い順に10等分(デシル1〜10)して、各グループの購買データを分析する手法です。各グループが全体の売上のどれくらいの比率を占めているかを算出することができます。
例えば、1,000名の顧客を、購入金額順に並び替えて、それぞれ100名の10グループを作成します。そうするとグループの構成人数は同じですが、売上の比率がそれぞれ異なってくることが分かります。
仮に、上位1〜3位のグループが全体の売上比率の90%、上位4〜10位のグループが全体の売上比率の10%だった場合、上位3位までの300名の顧客が売上のほとんどを占めていることが判明します。
これら売上構成比率の高い顧客に集中的に、クーポンを配布する・キャンペーンを実施するなどのマーケティング施策を講じることにより、リピート率のアップや売上アップを期待できるでしょう。
5.アクセス分析
アクセス分析(解析)とは、自社のWebサイト上でのユーザーの行動を収集・分析し、マーケティング戦略に活用することを指します。Webサイト上のどこでユーザーが離脱しているのか、コンバージョンに至りやすい点はどこかなどを分析します。
アクセス解析で得られるデータは、未だ顧客にはなっていないユーザーデータも含まれますが、既に顧客化したユーザーのサイト上での行動を把握するのにも役立ちます。
顧客になったユーザーがサイトをどう使ったのかを分析することで、共通する成功パターンを発見し、それに基づいて導線や施策を考えられます。それによって、Webサイトに集客したユーザーをコンバージョンなどの各種成果につなげやすくなります。
企業がさまざまな施策を行う際、仮説に基づいて実施されることが多いですが、立てた仮説がユーザーの実態と乖離していることも少なくありません。
顧客データ分析の実際の活用事例
自社に蓄積された顧客データを分析し、実際のマーケティングに活用している事例について解説していきます。
ECサイトと実店舗のデータを統合・分析し、顧客の行動を明らかに
ECサイト「STRIPE CLUB」を運営する株式会社ストライプインターナショナルでは、ECサイトと実店舗の購入データを統合し、顧客が購入した商品やECサイトの利用の有無を分析。
その結果、ECサイトを利用する顧客の9割が、実店舗での購入を経ていることが分かりました。また、実店舗のみで商品を購入している顧客と、実店舗とECサイトの両方で商品を購入している顧客では、約4倍のLTVの差があることが判明しました。
このようにオンライン(ECサイト)とオフライン(実店舗)のデータを統合して分析を行うことによって、実店舗は利用しているがECサイトは利用したことがない顧客に対して、ECサイト限定のクーポンを配布するなど、LTV向上の施策に繋げることが可能になりました。
参照:実店舗とECサイトのデータを統合し、お客様一人ひとりと信頼関係を結ぶ。ストライプインターナショナルがKARTE で目指すもの
顧客の購買データを分析し、売上アップを実現
日本に本社を置く飲料メーカー、ヤクルトでは顧客の購買データを集約・分析することで、オランダでの売上を15〜20%アップさせることに成功しました。
ヤクルトは1つのカテゴリ内に100〜150点の商品が存在し、自社の商品で店頭の客を奪い合っているという課題がありました。また、購買データが商品ごとに社内に分散しており、従業員が個人的に作成したスプレッドシートに格納されているケースもありました。
そこで、アナリティクスパッケージ「Spotfire」を導入し、散らばっていたデータを集約。一元で分析できる基盤を構築しました。
その結果、通常サイズのヤクルトの7本パックと15本パックを購入する客層が異なることを発見し、並べて店頭に置くと、双方の売上がアップすることが分かりました。また、この他にも、女性客は少しずつ頻繁に購入するが、男性客は大量のパックをまとめ買いするといった顧客の購買傾向を発見。
商品の店頭位置を工夫するといったマーケティング施策に繋げることで、売上の向上へと繋がった事例です。
参照:ヤクルトの売り上げを大幅に伸ばしたデータアナリティクスの秘密 – ITmedia エンタープライズ
既存リードの「サイト上での行動データ」をもとにサービスページを改修、CVRが1.2倍以上に
ある企業では、BtoBサービスのリード獲得を目的としてWebサイトを運用していました。
リード獲得数をさらに増やすためにサイト全体に対して、アクセス解析を行い、コンバージョンに至ったユーザーの傾向を分析したところ、コンバージョンユーザーには製品ページ(サービスページ)を経由する傾向が見られました。
そこで製品ページからコンバージョンまでの経路を詳細に分析してみると、製品ページからフォームへの遷移率をさらに高める余地があることが分かりました。
上記で紹介した企画シートを使って、隔週でサービスページ改修のPDCAを回すことに。
例えば、製品ページ最下部にある「よくあるご質問」がクリックされているという傾向が分かったため「サービスの導入をある程度検討しているものの、決め切れていないユーザー」が多くいるのではないか?と仮説を立てました。
その仮説に基づき、製品ページの構成を一から見直し、ユーザーの欲しい情報を欲しい場所に設置する、という改修を行いました。
- 問い合わせCTAだけを設置するのではなく、ハードルの低い「製品資料ダウンロード」のCTAを設け、商品特徴の下に配置
- もとのサービスページはイメージイラスト主体で構成されていたが、「製品に興味のあるユーザー」ということを鑑みて、実際の製品デモ画面をメインに掲載 など
その結果、サービスページからフォームへの流入率が大きく改善し、CVRが1.2倍以上に。「Webサイトからのリード獲得」という成果に大きく貢献する取り組みとなりました。
サイト上の行動データと、来店データを組み合わせることで接客満足度の向上に貢献
大手自動車メーカーA社では、Googleアナリティクスから読み取れるユーザーのサイト上の行動データと、来店データ(もしくは会員データ)を組み合わせることで、接客時のスタッフの満足度の向上や、受注確度のアップに繋げました。
ユーザーは、自動車メーカーのサイトに、車種の詳細ページの閲覧やオンライン見積もりを目的に訪れます。この際に、カタログ請求やディーラー来店予約をしたユーザーに対して、見積もり番号を付与し、Googleアナリティクスで計測します。
こうすることでユーザーが実際にディーラーに来店した時に、スタッフが興味のある車種や予算を事前に把握した上で、接客することが可能になります。顧客一人ひとりのニーズに合った接客ができるので、結果的に顧客満足度の向上や、受注確度のアップに繋がりました。
MAを使った顧客データ分析・活用で、「今すぐ客」を検知しマーケティングの勝ちパターンを構築
SNS炎上などの、企業が抱えるデジタルリスクの課題を解決するサービスを手掛ける株式会社エルテス。MA(マーケティングオートメーション)を活用した顧客データ分析・活用で、ハウスリストへのナーチャリング施策を成功させた事例を紹介します。
※なおMAとは、マーケターが行う膨大な業務を自動化して、効率的にホットリード(今すぐ客)を抽出し、それぞれのリードと適切なコミュニケーションを図るためのシステムのこと(もしくはその取り組みのこと)を指します。
同社はこれまでフィールドセールス主体による顧客獲得で成長してきた企業です。さらなる事業拡大には、デジタルリスクや商品への興味・関心が薄い潜在層へアプローチし、顕在層化するためのリードナーチャリングを行う必要がありました。
当時は既にハウスリストがあり、MAには約3万件のリード情報(顧客データ)が蓄積されていたため、この資産を有効活用していくことに。
過去に商談に至ったリードのデータ(行動や属性など)を分析し、どのようなリードが、購買の見込みが高い顧客(いわゆる「今すぐ客」)なのかを定義し、それを元にMAの設定を行っていきました。
- オートメーションルールの設定(指定した条件に基づいてホットリードを抽出し、メールの送信など様々なアクションを自動的に実行できる)
- Engagement Studioの設定(1対1のカスタマージャーニーを構築したり、リードの動きによってシナリオを分岐させたりすることができる)
商品に興味があるリードや契約につながりそうなリードをMA上で自動抽出し、通知される状態を構築していきました。
メールはただ配信するのでなく、「狙った見込み顧客にメルマガを届けることでナーチャリングし、セールスへトスアップできる状態」をゴールとして設定し、そのゴールから逆算してメルマガのコンテンツを考え、配信しています。
これらの取り組みから、マーケティングの勝ちパターンを見つけることができ、フィールドセールスは効率的にアポイントを獲得できる状態になりました。
このように、膨大な数のハウスリストに対してナーチャリングを行う際は、MAを活用して「今すぐ客」を定義し、それに適したコンテンツ配信を行うのが有効です。
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▼担当者のプロフィールや実績:西 正広
まとめ|経験則でなく事実に基づくマーケティングを実行しよう
本記事では、顧客データ分析によって分かることや、代表的な分析手法、そして活用事例について解説をしてきました。
顧客データ分析というと、難しく考えてしまうかもしれませんが、既存の顧客の年齢や性別、住所を洗い出してグルーピングするだけでも、十分な顧客データ分析と言えます。
顧客データ分析において、重要なのは分析で判明した事象をいかにマーケティング施策に落とし込むことができるかです。分析をして終わりではなく、マーケティング施策を実行し、売上アップやリピート率の向上に繋げる必要があるでしょう。
株式会社THE MOLTSでは、顧客をより深く知るためのデータベースの集約・統合をサポートします。企業が持つ大量のビッグデータを用いて、いかにマーケティングに活用していくかといった企画設計や実際の導入プラン構築までの支援をしています。
「データベースに貯まっている顧客データを活用できていない」「分析をしたが、どのようにマーケティング施策に落とし込めば良いか分からない」とお悩みの担当者様は、お気軽にご相談ください。
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