SEOコンテンツを文字単価ベースで受発注することへの違和感

SEOコンテンツを文字単価ベースで受発注することへの違和感

SEOコンテンツのご相談をいただく際に、クライアントから「文字単価いくらですか?」と聞かれることが稀にあります。また、ライターの方にライティングをお願いする際も、「文字単価いくらです」といった回答をいただくことがあります。

当然ながらSEOコンテンツの料金体系は企業やライターによってさまざまです。また、どういった料金体系が良いかは、発注側が求める要件によって異なるため、一概に何が良いとは言えません。

ただ、私の中では、SEOコンテンツを文字単価ベースで受発注することに違和感があります。その違和感の正体を少し書いてみたいと思います。

発注前にSEOコンテンツの文字数を決める、よくある3つのパターン

文字単価ベースでSEOコンテンツの受発注が行われる場合、発注前に全体のおおよその文字数を決める必要があります。よくあるのは、下記の3つのパターンではないでしょうか。

  • コンテンツの骨子から文字数を定める:「このブロックは何文字で〜〜」と定め、それらを合算して合計の文字数を決めていくなど
  • 狙っているSEOキーワードの上位記事と比較して決める:すでに上位表示されているコンテンツが4,000文字であれば、情報を付け足して5,000文字と決めて依頼するなど
  • 感覚的に「3,000〜4,000文字で」と発注する:多くの記事がそれくらいの文字数だからということで、感覚的に文字数イメージを決めて依頼する

仮に私が上記のような文字単価ベースでのご相談をいただいた場合、まずは基本的な考え方のすり合わせを行います。しかし、それでも先方が文字単価が良い、と判断された場合は、受発注をお断りしています。

文字数を決めて受発注をしない理由は、それが目的に、そして成果につながりにくいと思っているからです。

そう考える背景には、そもそもの「SEOコンテンツ」の定義があります。

私が考えるSEOコンテンツとは何か

SEOコンテンツはあくまでもコンテンツである

SEOコンテンツをどうするかといった議論が展開される際に、SEOの文脈で語られることは非常に多く見受けられます。しかし、SEOコンテンツは、SEO文脈ではなく、コンテンツマーケティングの文脈、つまりデータによって導き出された解をコンテンツに活かすテクニック論で語るのでなく、ユーザーの意図を理解し、より満足してもらえるようにコミュニケーションをコンテンツベースで語るものだと考えています。

どう違うのかというと、例えば先日クライアント先に同席したSEOのコンサルタントの方が「上位の記事の要素を追加したら順位が上がるから徹底しましょう」とお話しされていました。それはもはや、ユーザーのことを考えたコミュニケーションでなく、順位を「上げる」ためのテクニックです。そうではなく、検索したユーザーにとって最高のコミュニケーションができるコンテンツとは何かを考え、用意することで、結果として順位が「上がる」ものだと思っています。

ユーザーを無視してこうすれば順位が上がる、というコミュニケーションは基本的にしてはいけないという考えです。

SEOコンテンツは運用し続けるものである

コミュニケーション手段としてSEOコンテンツを捉えた場合に、コンテンツへの流入がそもそもなければ、ユーザーとコミュニケーションを取れません。だからこそ、検索がタッチポイントであるSEOコンテンツは、1本1本のコンテンツが上位にくるまで絶えずユーザーと向き合い、PDCAを回していかなければなりません。

多くの場合、新規でSEOコンテンツを作り続けることに注力しがちですが、上位表示を獲得するためには、公開済みのコンテンツをリライトするなど、常にユーザーと向き合い続けることが何よりも重要です。さらに、毎日新しいコンテンツが増え続けている中で、重要なのは上位を獲得することでなく、上位を獲得し続けることです。上がって終わり、でなく、上がったら上げ続けることで、成果は出続けます。

一過性の施策としてSEOコンテンツを新規で作り続けるのではなく、上位表示を狙うためにも、そして上位表示を維持するためにも、コンテンツ一つひとつに向き合い、運用し続けることこそが大切だと考えています。

私の違和感の正体

本来求めるべきコミュニケーションが実現できない可能性がある

そのように文字数を先に決めてしまうと最良のコミュニケーション設計ができないことが違和感の正体のひとつです。

例えば短く伝えられることも、文字数が決まっていては冗長になることもあるでしょうし、その逆も起こり得ます。また文字数を対価にすることで、ライターも文字数を満たすための行動を取り、成果のための行動という意識が希薄になってしまいます。

これが雑誌のように、枠が決まっているのであれば話は別です。この場合は、文字数をオーバーしたら全体のフォーマットが崩れてしまいますし、作り手側はその範囲内で読者とのコミュニケーションを最適化することに意識を向けているからです。ただし、手にとった読者に読まれる機会がある雑誌とは違い、SEOコンテンツは一本一本が集客するためにも最良のコミュニケーションを行う必要があります。

キーワードごとにユーザーが求めているニーズは異なります。かなり極端な例ですが、仮に「こんにちは」を英語でなんと言えばいいのかを調べていたユーザーがいたとします。端的に「Hello」とたった一言を教えてあげれば、コミュニケーションは成立するでしょう。しかし、それを「英語 こんにちは」で調べたユーザーに「Hello」でいいのにもかかわらず、3,000文字と決まっているから3,000文字でコンテンツを作る、みたいなことは無駄でしかありません。あくまで極端な例を出しましたが、こういったことが大なり小なり起きてしまう可能性があります。

また、文字数を決めたからといって上位表示されるというものではありません。大前提として、最適なユーザーコミュニケーションが実現されたことによって、コンテンツとしての価値が高まり、結果として上位表示が獲得できるのです。

だからこそ、文字数にとらわれずに本来求めるべきコミュニケーションを実現することが大切だと思っています。

運用し続けるものだからこそ、文字数が意味をなさなくなる

SEOコンテンツは運用し続けるものだ、と考えた場合、メンテナンスをかけていく中で文字数は当然ながら増えたり減ったり、また構成自体を大きく変えるといったこともあるでしょう。

つまり文字数を設定したところで、そもそもSEOコンテンツの文字数は変化していくものであるため、文字数を決めること自体に大きな意味はない、というのが、もうひとつの違和感の正体です。

実際に過去には、2万文字以上あったコンテンツをメンテナンスし続け、結果3,500文字まで削って検索1位を実現したことがあります。文字数ベースではなく、最適なコミュニケーションは何かを考え続け、運用し続けたからこそ得られた成果です。

また、5〜6年前にある「特定の人が気になるキーワード」をリサーチしていた時、1位の記事は2万文字を超えていました。今調べたら3,500文字です。

上位をとって終わりでなく、上位を獲得続けてこそ意味があるSEOコンテンツに対して、今現時点の上位記事の文字数をリサーチして文字数を決めてコンテンツを作ることはあまり意味を成さないのではないでしょうか。

おわりに

今回お伝えしたのは、あくまでも私が感じる違和感の話です。そしてそれは文字数ベースではなく、「最適なコミュニケーションとは」という発想がSEOコンテンツの成果最大化につながると考えているがゆえに生まれています。

何度も言いますが、文字単価ベースでの受発注自体を否定するつもりはありません。冒頭で述べたとおり、発注側が求める要件次第であるため、さまざまな料金体系があって当然です。またSEOコンテンツではない他のコンテンツ制作では、文字単価ベースでの受発注が最適な方法の場合もあると思います。

ただ、私と同じように、SEOコンテンツにおいての文字数ベースでの受発注に違和感を抱く方もいるのではと思い、今回は私の考えをご紹介させていただいた次第です。少しでも参考になれば幸いです。

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著者情報

SAORI NAGATA

永田 さおり

Media Planner

業界歴7年。オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。得意領域はコンテンツSEO。これまで100社以上のクライアント支援を経験。

担当領域の
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