顧客関係管理とは|取り組むべき企業の特徴、システムの選び方を解説
この記事でわかること
- まず理解しておくべき顧客関係管理(CRM)の定義
- 顧客関係管理(CRM)はなぜ重要なのか?得られる3つのメリット
- 顧客関係管理(CRM)の成果を確認する顧客分析手法
「そもそも顧客関係管理とはどのような施策なの?」「自社でも実践するべき?」「顧客関係管理の実践で押さえておくべきポイントは?」
顧客関係管理(CRM)とは、顧客とのコミュニケーションによって関係構築をすることです。顧客とより良い関係を築くことで、商品やサービスのリピート率・継続率を向上します。
詳しくは後述しますが、CRMを実践することでLTV(顧客生涯価値)を上げることが可能です。
ただし、CRMは初期CRMと継続CRMを分けて考える必要があり、それぞれの施策を明確にしておかないと顧客の満足度やロイヤルティを向上させることができず、CRM施策が失敗してしまう可能性があります。
また、CRMシナリオを構築する方法を理解していないと、適切なタイミングでコミュニケーションをとることができなくなってしまうので、シナリオの構築方法についても理解しておくことが重要です。
シナリオの構築は、5つの軸を考慮して行います。
これらの軸を基にシナリオを構築しないと、効果的なCRM施策を実行することができません。また、PDCAサイクルを回して5つの軸を常に最適化していくことが重要です。
本記事では、以下の内容を詳しく解説しています。
- CRMの定義
- CRMに取り組むべき企業の特徴
- 初期CRMと継続CRMとは
- CRM活用で押さえておくべき5つの軸
- CRMに必要な顧客分析方法
- 大手企業のCRM取組事例
- 顧客関係管理システムの選び方
本記事を読むことで、CRMはどのようなものなのか、どのように実践すればいいのかがわかります。企業のCRMシナリオを具体的に紹介している事例もありますので、ぜひ最後までお読みください。
なお、CRMツールの特徴や機能に関しては、以下の記事をご覧ください。
CRM導入・運用にお困りではないですか?
- CRMを実施したいが、何からはじめたらいいか分からない
- CRMツールを使いこなせていない、導入しただけになっている
- 顧客との継続的な関係構築を元に、効率良く販促を拡大したい
現在、上記のようなお困りごとがありましたら、ぜひとも私たちMOLTSへご相談ください。CRMに精通したプロフェッショナルが、御社に最適なプランをご提案させていただきます。まずはサービスページをご覧ください。
はじめに理解しておくべき顧客関係管理(CRM)の定義
まず、「CRMとはどのようなものか」について解説します。
CRMについて詳しく知ることで、なぜCRMが重要なのかがわかり、後に解説する施策や事例をより深く理解できるでしょう。
そもそも顧客関係管理(CRM)とは
CRM(Customer Relationship Management)を日本語に訳すと「顧客関係管理」もしくは「顧客関係マネジメント」と表現します。簡単に説明すると、CRMとは一度購入してもらった顧客に二度三度とリピートしてもらうために、顧客とコミュニケーションをとって関係構築していくことです。
冒頭で簡単にお伝えしたように、CRMには初めて購入していただいたお客様に行う「初期CRM」という活動があります。購入してもらっても、使ってもらえない・使っても満足してもらえない商品であれば、二度目のリピートはないからです。
次に、より商品や会社を理解してもらうことで継続してもらう「継続CRM」という二つ目の活動があります。
消費する商品であれば無くなった際にまた購入をしてもらう、または長期使用が可能な商品であればクロスセルを行い関連商品などを購入してもらうために、顧客とコミュニケーションが欠かせません。適切なコミュニケーションをとるために、「初期CRM」と「継続CRM」に分けた施策の検討・実行をしていくことがCRMの基本的な流れです。
顧客関係管理(CRM)が重要である理由
CRMはLTV(顧客生涯価値)を上げるために重要な施策です。そのため、なぜCRMが重要なのかを理解するためには、まずLTVについて理解を深める必要があります。
LTVの計算方法
LTVの計算方法は以下の通りです。
LTV = 平均受注単価 × 平均購入回数
どの媒体からどのような顧客を獲得できたのかが重要になるので、LTVは集客の元となる新規獲得の広告媒体別に評価するのがスタンダードな方法です。
例えば、ある宅食通販で3人の人が以下のように購入した場合のLTVを計算してみましょう。
- Aさん:5,000円×4回
- Bさん:5,000円×7回
- Cさん:5,000円×2回
商品単価・購入回数の平均はそれぞれ以下の通りです。
商品単価 | 購入回数 | |
---|---|---|
Aさん | 5,000円 | 4回 |
Bさん | 5,000円 | 7回 |
Cさん | 5,000円 | 2回 |
合計 | 15,000円 | 13回 |
平均 | 5,000円 | 4.3回 |
平均値からLTVを計算すると、「5,000円 × 4.3回 = 21,500円」と計算できます。
なぜLTVを新規獲得の広告媒体別で評価することが重要なのかというと、広告媒体ごとに以下のコストが変動するからです。
- CPO(新規顧客獲得コスト)
- 商品原価
- フルフィルメント費(受注費 + 物流費 + 決済手数料)
これらのコストとLTVは、重要な関係性があります。
先ほどの宅食通販のコストが以下のようにかかった場合を見てみましょう。
CPO | 8,000円で獲得 |
商品原価 | 2,000円/1商品 |
フルフィルメント費 | 950円/1商品 |
合計 | 10,950円 |
初回購入時は「売上5,000円-コスト10,950円=▲5,950円」となり、5,950円の赤字です。
ただし、CPOは初回購入時のみにかかるコストなので、先ほどのLTV(21,500円)から利益を算出するには、次のように計算します。
このように815円の利益が出るため、CPOに8,000円のコストをかけたとしても事業として成り立ちます。この獲得コストで顧客を獲得できる場合は1人当たり815円の利益が出るので、その媒体で獲得人数を増やすほど、利益も増加するということです。
つまり、事業において重要なのは以下を実現することです。
上記でCPOの方が上回ってしまうと、事業として成り立ちません。そのため、LTVが基本的にKGI(重要目標達成指標)となり、新規獲得コストに対してLTVをどれだけ上げられるかが重要になります。
CRMでLTVを上げることが重要
利益を上げるには、以下4パターンの方法が考えられます。
- CPOを下げる
- 商品原価を下げる
- フルフィルメント費を下げる
- LTVを上げる
しかし、競合他社が多ければCPOを下げるのは難しく、商品原価も品質に繋がるため下げにくいでしょう。また、フルフィルメント費も配送費など人が動く部分であるため、削減しにくい部分です。そのため、LTVを上げることが重要になるのです。
CRMを行う理由は「LTVを上げるため」であり、CRM施策を成功させればおのずと利益が増えていくということです。
使い分けが重要!CRMとSFA/MAの違い
CRMと似た言葉に、「MA(マーケティングオートメーション)」と「SFA(営業支援システム)」があります。
CRM・MA・SFAはそれぞれ目的やタイミングが異なるので、違いを理解しておきましょう。
CRMとSFAの違い
CRMはBtoCで行うことが多く、商品を一度購入してもらってからの関係構築に必要です。
対してSFAは基本BtoBであり、問い合わせや資料請求等でニーズがあると判断できる見込み顧客との関係構築を行い、発注いただき、その後カスタマーサクセスを行います。
つまり、CRMとSFAでは対象となる顧客も必要となるタイミングも異なるということです。
顧客関係管理(CRM)に取り組むべき企業の特徴
ここまでCRMはどのようなものなのかについて解説してきましたが、「そもそも自社でCRMに取り組むべきなのか」という疑問をお持ちの人もいるでしょう。
下記のような課題に、どれか1つでも当てはまる企業はCRMに取り組むことをおすすめします。
- 商品を売ったら売りっぱなしで何もしていない
- 顧客に対してリピートしてもらうためにどんなことをしていいかわからない
- 最近CPAが高騰していて収支が悪化している
- メルマガなどの販促施策を既存顧客すべてへオール配信している
- 販促効果の検証・改善活動ができていない
- CRMの前任者がやめてどうやってPDCAを回したらいいのかわからない
- 販促のリスト作成に工数(人件費)が多くかかっている
顧客関係管理(CRM)で得られる3つのメリット
CRMを実践することで得られるメリットは、次の2つです。
- 売上が上がる
- 顧客満足度が上がる
- 従業員満足度が上がる
では、どのようにしてこれらの効果を得られるのかについて解説していきます。
売上が上がる
CRMを行うとLTVが上がります。前述した通りLTVを上げれば売上が上がるので、「CRMを行う=売上が上がる」といえるでしょう。
例えば、消費系の商品を購入した顧客に対し、CRMを実践して商品や会社をより深く知ってもらうためのメールやDMを適切なタイミングで送ったとします。その顧客が商品をリピート購入した場合、平均購入回数が増えるためLTVが上がり、売上も上がるということです。
顧客満足度が上がる
CRMは売上を上げるためだけではなく、本質的なお客様へのおもてなしとして、お客様からのご質問に対して迅速・丁寧に説明を行ったり、お客様のライフスタイルに合った情報を提供したり、優良顧客のお客様には誕生日のプレゼントをお送りしたり、特別なクーポンを発行したりします。
これによりお客様満足度を上げることが可能です。
従業員満足度が上がる
CRMは顧客との関係性をより良いものにしたり、維持したりするための施策です。つまり、CRMは接客にも関わるものなので、顧客から感謝されることで従業員満足度にも繋がります。実際に、CRMを積極的に行っている企業は、従業員のマインドが高い傾向があります。
従業員満足度が高まれば、離職率も下げることができるでしょう。
- CRMを実施したいが、何からはじめたらいいか分からない
- CRMツールを使いこなせていない、導入しただけになっている
- 顧客との継続的な関係構築を元に、効率良く販促を拡大したい
知らないと失敗する!初期CRMと継続CRMとは
CRMは、「初期CRM」と「継続CRM」に分けた施策の検討・実行をしていくことが基本的な流れであることを最初に解説しましたが、初期CRM・継続CRMについてそれぞれどのようなことを行うのかについて見ていきましょう。
初期CRMと継続CRMを分けて考えることが重要
顧客ごとに適切なタイミングでコミュニケーションをとるために、初期CRMと継続CRMに分けて考えることが重要です。
- 初期CRM:購入したばかりの顧客に対する施策
- 継続CRM:長く続けてもらうための施策
このように分類することができ、それぞれ異なるコミュニケーションを行うことで、顧客との関係をより良いものにします。初期CRMと継続CRMが明確に分けられていないと、適切なタイミングで顧客の段階に合わせたコミュニケーションをとれなくなるので、それぞれを明確に分けて施策を検討しましょう。
初期CRMと継続CRMで必要なこととコミュニケーションの方法は以下の通りです。
初期CRMの対象となる顧客は、まだ商品を一度しか購入していない人です。そのため、商品を理解してもらい、「買ってよかったな」と満足してもらうことが必要です。
初期CRMでは顧客に満足してもらうために、正しい使い方・口コミ・開発秘話などを伝えて商品に対する理解を深めてもらったり、アフターサービスなどで安心感を持ってもらったりすることが有効です。
対して継続CRMの対象となる顧客は、すでに複数回購入している人です。そのため、商品だけでなく会社のことも理解してもらい、会社に対してロイヤルティを持ってもらうことが必要です。つまり、顧客をロイヤル顧客化するためのCRMといえます。
継続CRMで有効なコミュニケーションは、ブランド醸成戦略・アンバサダー戦略・共創戦略です。
商品を初めて購入したばかりの人が、急にアンバサダーに選ばれて「商品について語ってください」と言われても困惑されてしまう可能性があります。出会ったばかりの人に対していきなり「結婚してください」と求婚するのと同じようなものなので、継続CRMを行うにはある程度の関係を築いておく必要があります。
そのため、初期CRMと継続CRMは明確に分けておく必要があるのです。
顧客関係管理(CRM)のシナリオ構築で押さえておくべき5つの軸
CRMシナリオの構築を行う際には、以下の5つの軸を考慮する必要があります。
CRMで成果を出すためには、PDCAを回して上記を常に最適化することが重要です。
では、5つの軸について、1つずつ解説していきます。
セグメント・タイミング
まず、「どんな顧客にどのタイミングでコミュニケーションをとるか」というセグメントとタイミングについて見ていきましょう。
以下はスタンダードな顧客の育成フローです。
「F2引き上げシナリオ」は初期CRM、「ロイヤル化シナリオ」は継続CRMが当てはまります。休眠顧客に対しては、CPOよりも休眠復活コストの方が費用を抑えられる場合が多いため、休眠復活シナリオを設計します。
シナリオの優先順位
シナリオの優先順位は以下の通りです。
- F2引き上げシナリオ
- ロイヤル化シナリオ
- 休眠復活シナリオ
ロイヤル化シナリオよりもF2引き上げシナリオの方が優先順位が高い理由は、一般的な商品やサービスは一度だけ購入してリピートをしない顧客の比率が高いからです。つまりリピート購入顧客よりも初回購入顧客の方が母数が多いので、F2引き上げシナリオの優先順位が高くなります。
シナリオの例
以下はF2引き上げシナリオのスタンダードな例です。
メール・LINEのステップ配信ができるツールがあれば、上図のように段階を踏んだメール配信をすることができます。
メールやLINEから始めるのがおすすめな理由は、イニシャルコストが安いからです。
まず、商品購入に対するお礼や挨拶から始めます。最初に使い方ガイドなどを送らない理由は、商品がこの時点で届いていない可能性があるからです。
次に商品の箱を開けて使ってもらうために、使い方ガイドで開封促進を行います。購入者の中には届いたまま開封せず放置している人もいるので、そのような人に開封を促すためです。
開封促進を行ったら、お客様の喜びの声(VOC)を伝えて商品の魅力をアピールします。実際に使用した人の感想を知ることで、「自分もこうなりたい」と想像してもらうためです。ここで、F2引き上げのためのクーポン配布などを行いましょう。
LINEは、メールを開封しなかった人に配信すると効果的ですが、企業によっては同じタイミングでメール・LINEの両方を配信するケースもあります。
チャネル
代表的なコミュニケーションチャネルには以下のようなものがあります。
- メール
- LINE
- DM
- 電話
- SMS
対象となる顧客の層によって、選ぶべきチャネルは異なります。
まず、チャネルの比較を見てみましょう。
メール | LINE | DM | 電話 | SMS | |
---|---|---|---|---|---|
到達率 | 迷惑メールに入る可能性がある | ほぼ100% | 不着あり | - | 携帯番号のみ |
開封率 | △15~50% | ◎50~70% | 〇60~75% | △40~60% | ◎60~75% |
受け取り数 | 多い | 家族・友人中心 | 少ない | 少ない | 少ない |
到着スピード | 〇 | ◎ | △ | 着信に出てくれない可能性がある | 〇 |
双方向性 | ✕ | ◎ | ✕ | ◎ | △ |
配信コスト | ◎0.1~1円 | 〇1.5~3円 | △100円~ | ✕300円~ | 〇10円~ |
このように比較してみると、近年新しいインフラとして確立されたLINEは全体的に優れており、メールも配信コストが安いという特徴があります。対して電話は配信コストが高額で、非効率的な方法に見えてしまうでしょう。
しかし、ターゲットが高齢者の場合はそもそもメールやLINEを使用していない可能性があります。そのような場合には、電話やDMの方が効果的なケースもあります。
以下は、各性別・年代別のメディア接触時間です。
10~20代はスマートフォン・タブレット端末・PCの割合が7割前後を占めているのに対し、50~60代は現在もテレビを見ている人が多いことがわかります。
この調査結果からも、スマートフォンなどを利用する機会が多い年代にはメールやLINEは有効ですが、50~60代に対するチャネルはオフラインのものを選んだ方が効果的だといえるでしょう。
コストだけでなく、ターゲットに合わせたチャネル選択は非常に重要です。
コンテンツ
メール・LINE・DMのなどのコンテンツには、以下のような内容を使い分けながら配信します。
内容 | |
1.会社の歴史 | 創業〇年/商品開始〇年/商品開発期間〇年 |
2.会社の信頼度 | 上場企業/親会社 |
3.商品開発のストーリー | 商品開発秘話/認定工場製造 |
4.商品の販売実績 | 累計販売数/累計顧客数/商品満足度 |
5.お客様の声 | 顧客の喜びの声 |
6.利用者の声 | モニター・有名人などの利用者の声 |
7.専門家の推奨の声 | 美容家・美容師・トレーナーなど専門家の声 |
8.有名人の推奨の声 | 有名人・YouTuber・インスタグラマーなどの声 |
9.商品の独自成分 | USPとなる成分の説明イラスト |
10.商品の使い方 | 使用方法の画像や動画 |
11.商品の使い方 | 使用前・使用後の画像や動画 |
12.PR | テレビ・ラジオ・雑誌・新聞掲載情報 |
13.第三者評価 | 受賞歴 |
例えば、初期CRMでは商品のことを知ってもらうために、販売実績・お客様の声・商品の使い方などを配信します。継続CRMでは、会社の歴史・開発ストーリー・推奨者の声などが有効です。
オファー
オファーとは、割引・特典・保証のことです。オファーがあることによって購買のハードルが下がり、他社と差別化を図ることもできます。
オファーには主に次のような種類があります。
オファーの種類 | 例 |
---|---|
価格・割引 | 〇%割引/限定割引/数量割引/キャッシュバック/全額払い戻し/購入者を対象とした関連商品特別割引 |
お試し(無料) | お試し無料サンプル/商品購入無料ギフト/無料トライアルキット/無料カタログ進呈/無料資料進呈/無料見積もり/無料配送/無料設置/無料中古品引取り |
ギフト | お友達紹介ギフト/ミステリーギフト/ポイントギフト/ボーナスギフト |
保証 | 全額返金保証/生涯返品保証/商品交換保証 |
休眠顧客には高い割引率のオファーをするなど、オファーもセグメントごとに使い分けましょう。
- CRMを実施したいが、何からはじめたらいいか分からない
- CRMツールを使いこなせていない、導入しただけになっている
- 顧客との継続的な関係構築を元に、効率良く販促を拡大したい
顧客関係管理(CRM)の成果を確認するために必要な5つの顧客分析手法
CRMにおいて非常に重要になるのが顧客分析です。まず、シナリオを構築する前に現状を把握するための分析を行います。そして、施策を行った後に効果を確認するために分析が必要です。
一般的に使用される分析方法には次の5つがあります。
- 新規既存売上分析
- RFM分析
- 継続率分析
- LTV分析
- アンケート
これらの分析方法の違いについて解説していきます。
新規既存売上分析
新規既存分析は、毎月新規が何名増えて既存顧客が何名購入したか、売上分布を見るための分析です。
CRMを行ったことにより、既存顧客の購入数が増えているかを確認することができます。
RFM分析
RFM分析は、以下の3項目で顧客をセグメンテーションするためのものです。
- Recency:直近いつ購入したか
- Frequency:何回購入したか
- Monetary:いくら購入したか
基本的には、RecencyとFrequencyの軸で顧客のセグメントをグループ分けします。
これを行うことで、優良顧客(常連)限定で特別なクーポンを配布してロイヤルティを高めるなどのロイヤルティマーケティングができます。反対に新規顧客に過剰なクーポンを配布してしまうのは費用対効果が悪くなることが多いので、RFM分析を基に各セグメントに合わせた施策を講じることが大切です。
継続率分析
継続率分析は、商品を購入した人が翌月何%の割合で再購入しているかを月ごとに確認するためのものです。また、何月に獲得した顧客が何回購入しているのかも見ることができます。
LTV分析
LTV分析は、獲得媒体別で売上・コスト・利益を確認するものです。
媒体ごとのLTVを確認しながら、LTVが高い媒体は継続するといった判断ができます。
アンケート
ここまで紹介した4つの定量分析だけでなく、定性分析も必要です。既存顧客にアンケートを取り、商品の満足度や継続意志を確認します。その2つを確認することで、それぞれの顧客がどのように感じているかを以下の4パターンに分類することができます。
①の満足度が高く継続意志も高い顧客はLTVが高くなります。そこで、なぜ①の顧客はLTVが高くなるのか探ることが重要です。
初期期待値を上げ過ぎていたり、顧客が期待していたものとは違う訴求の商品だったりすれば満足度は上がりません。そのため、なぜこの商品を買ったのかという初期期待値を確認しつつ、満足度が高い理由・低い理由を検証することが必要です。
また、②のように満足度自体は高いけれど継続意志が低い顧客は、商品はいいけれど価格的に継続は難しいと考えているケースが多くあります。②のような顧客が多い場合は、ダウンセルの商品を作る・定期商品であればお届け期間を長くするなどの施策を講じることが必要です。
③の場合は、ダイエット商品や健康食品などに目的意識が顕在化している商品などに当てはまります。使い始めて効果はまだ感じられないけれど、継続しようと考えている場合などです。このような顧客の場合、効果が感じられなければ継続してもらうことができないので、商品を使い続けるメリットを訴求していく必要があるでしょう。
例えば、ダイエット商品であれば「このサプリを飲むだけでなく、食生活を変えてみませんか?」といったようなコミュニケーションを行います。そうすることで、複合的に顧客の「痩せたい」という希望を実現することが可能です。
大手企業による顧客関係管理(CRM)の取組事例2選
さまざまな大手企業がCRMに取り組んでいますが、今回はCRMに力を入れている2社のCRMシナリオを紹介します。
- サントリーウエルネス
- ライオン
誰もが知る有名企業では、どのようなCRMが行われているのかを見ていきましょう。
サントリーウエルネス/DHA&EPA+セサミンEX
サントリーウエルネスの「DHA&EPA+セサミンEX」をお試し注文した場合に、どのようなCRMシナリオでコミュニケーションが行われるのかを見ていきましょう。
お試し注文後の流れは以下のようになります。
注文後日数 | チャネル | コンテンツ |
---|---|---|
1日後 | 商品の到着 | 定期引き上げ:定期10%オフ啓蒙:会報誌/ブランドブック/愛用者の声クロスセル |
6日後 | メール配信① | 定期引き上げ:定期10%オフ啓蒙:情報提供 |
14日後 | メール配信② | 啓蒙:情報提供 |
20日後 | メール配信③ | 定期引き上げ:定期10%オフ啓蒙:情報提供/愛用者の声 |
21日後 | メール配信④ | 啓蒙:情報提供 |
27日後 | メール配信⑤ | 定期引き上げ:定期15%オフ啓蒙:情報提供/愛用者の声 |
28日後 | メール配信⑥/DM① | 啓蒙:情報提供(メール)/愛用者の声(DM) |
32日後 | DM② | 定期引き上げ:定期15%オフ |
34日後 | メール配信⑦ | 定期引き上げ:定期15%オフ啓蒙:情報提供/愛用者の声 |
35日後 | メール配信⑧ | 啓蒙:情報提供 |
35日後 | DM③ | 定期引き上げ:定期15%オフクロスセル |
まず、お試しセットにはブランドブックやクロスセルのチラシに加えて、会報誌や愛用者の声を掲載したチラシが同梱されています。その後、1か月間で6通のメールが配信され、定期引き上げと情報提供が継続的に行われます。
一定期間を過ぎると定期の割引率が上がり、金額がネックとなっている層にも継続しやすくなるように工夫がされています。
ターゲットが50~60代であるため、1か月近く経過するとDMも届くようになります。このようにオンライン・オフラインの2つのチャネルで顧客とコミュニケーションをとるCRMシナリオです。
ライオン/ラクトフェリン
ライオンの「ラクトフェリン トライアルパック」を注文した場合に、どのようなCRMシナリオでコミュニケーションが行われるのかを見ていきましょう。
トライアルパック注文後の「定期引き上げシナリオ」を見ていきましょう。
【定期引き上げシナリオ】
注文後日数 | チャネル | コンテンツ |
---|---|---|
4日後 | メール配信① | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント |
5日後 | メール配信② | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント啓蒙:情報提供/愛用者の声 |
8日後 | メール配信③ | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント啓蒙:愛用者の声/会員プログラム |
11日後 | メール配信④ | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント啓蒙:情報提供 |
15日後 | メール配信⑤ | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント啓蒙:情報提供 |
18日後 | メール配信⑥ | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント啓蒙:愛用者の声 |
22日後 | メール配信⑦ | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント |
26日後 | メール配信⑧ | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント啓蒙:愛用者の声 |
32日後 | メール配信⑨ | 定期引き上げ:初回半額/7日分プレゼント啓蒙:情報提供 |
このように、3~4日間隔で定期的にメールが配信されます。メールの内容は定期引き上げが毎回含まれており、啓蒙が含まれているメールも多く配信されます。
次に、定期注文後の「定期継続・離脱防止シナリオ」を見ていきましょう。
【定期継続・離脱防止シナリオ】
注文後日数 | チャネル | コンテンツ |
---|---|---|
2日後 | メール配信① | 継続:カード支払いの案内 |
4日後 | メール配信② | 啓蒙:研究者メッセージ |
11日後 | メール配信③ | アップセル:まとめてお届け割(2個2%オフ・3個5%オフ) |
18日後 | メール配信④ | 啓蒙:情報提供/愛用者の声 |
21日後 | メール配信⑤ | アップセル:まとめてお届け割(2個2%オフ・3個5%オフ) |
まず、カード支払いをするとクーポンがもらえるメールが配信されます。その後、研究者のメッセージや愛用者の声で啓蒙を行い、オファーのメールも届きます。
ライオンは定期購入をすると、3回目の配送でミステリーギフトが同梱されます。以前はミステリーギフトとして歯磨き粉を同梱していましたが、コロナ禍の影響により除菌ニーズが高まったことにより、キレイキレイの除菌ウェットシートに変更されました。
顧客関係管理(CRM)システムの選び方
CRMを実践するためには、こまめな顧客とのコミュニケーションが欠かせません。全てを人力で行おうとすると膨大な時間と手間がかかるので、CRMツールの導入を検討しましょう。
CRMツールを選ぶ際には、以下のポイントを確認してください。
- 機能
- 実績
- 価格
では、CRMツールの選び方について詳しく解説していきます。
機能で比較
CRMツールの主な機能は以下の通りですが、全てのCRMツールにこれらの機能が搭載されているわけではありません。
CRMは「顧客関係管理」を行うことなので、顧客管理機能はどのツールでも搭載されていますが、他の機能については確認が必要です。
自社でどのようなCRMを実践したいのかを明確にし、そのために必要な機能はどれかを確認してから選びましょう。
実績で比較
いくつかの候補に絞れたら、次はCRMツールの導入・販売実績を確認してみましょう。多くの企業に利用されているということは、優れたツールである可能性が高いからです。
導入事例もホームページに掲載されていることが多く、自社と似たような業種・規模の企業が利用した事例を確認すると、より利用後のイメージを持ちやすくなります。
価格で比較
最後の選定ポイントは価格です。実績や機能に申し分のないツールだったとしても、予算内に収まらなければ導入はできません。
CRMツールは、高機能なものほど価格も高くなります。使用しない余分な機能が多く搭載されているツールを選んでしまうと、その分月額利用料も高額になってしまうのです。
自社で本当に必要な機能を搭載しつつ、不要な機能が少ないツールを選ぶことで、余計なコストを抑えられるでしょう。
多くの企業で活用されている顧客関係管理(CRM)システム3つを厳選
多くのCRMツールの中でも、特におすすめなのが以下の3つです。
- カスタマーリングス
- Synergy!
- b→dash
それぞれの特徴を紹介します。
カスタマーリングス
Synergy!
b→dash
まとめ|LTVを向上させて売上を上げたいなら顧客関係管理(CRM)を実践
CRMとは一度購入してもらった顧客に二度三度とリピートしてもらうために、顧客とコミュニケーションをとって関係構築していくことです。
CRMはLTV(顧客生涯価値)を上げるために重要な施策であるため、CRMを実践することで売上の増加にも繋がります。
顧客ごとに適切なタイミングでコミュニケーションをとるために、CRMは以下のように分けて考えることが重要です。
- 初期CRM:購入したばかりの顧客に対する施策
- 継続CRM:長く続けてもらうための施策
初期CRMと継続CRMでそれぞれ違ったコミュニケーションを行い、顧客との関係をより良いものにします。
CRMシナリオは、以下の5つの軸を考慮して構築しましょう。
- セグメント:どんな顧客か?
- チャネル:どんな手法で?
- コンテンツ:どんな内容を?
- オファー:どんな特典を付ける?
- タイミング:いつ行う?
シナリオを構築する前に現状を把握するための分析を行います。現状把握ができたらシナリオを構築し、CRMを実践していきましょう。
よくある質問とその回答
顧客関係管理(CRM)で成果を上げたいのですが、どのようにすれば良いですか?
CRMで成果を上げるためには、PDCAを回してセグメント、チャネル、コンテンツ、オファー、タイミングを常に最適化することが重要です。
そのためには、CRMで目指すべき成果を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できる運用体制が必要です。
CRMを新たに取り組みたい、今実施している広告成果をより上げていきたいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったCRM支援を提案しております。
まずは一度「CRM導入・改善の支援内容」をご覧ください。
顧客関係管理(CRM)を実践するにはまずなにから始めればいいのでしょうか?
CRMを実践するには、まずシナリオを構築する前に現状を把握するための分析を行います。
一般的に使用される分析方法には次の5つがあります。
- 新規既存売上分析
- RFM分析
- 継続率分析
- LTV分析
- アンケート
これらの分析を使い分けて現状を把握し、CRMシナリオの構築を行いましょう。詳しくは「顧客関係管理(CRM)の成果を確認するために必要な5つの顧客分析手法」をご覧ください。
CRM導入・運用にお困りではないですか?
- CRMを実施したいが、何からはじめたらいいか分からない
- CRMツールを使いこなせていない、導入しただけになっている
- 顧客との継続的な関係構築を元に、効率良く販促を拡大したい
現在、上記のようなお困りごとがありましたら、ぜひとも私たちMOLTSへご相談ください。CRMに精通したプロフェッショナルが、御社に最適なプランをご提案させていただきます。まずはサービスページをご覧ください。
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