「4年ぶりの黒字転換、利益目標210%」を、ノウハウゼロの広告チームが短期間で達成できた理由

「4年ぶりの黒字転換、利益目標210%」を、ノウハウゼロの広告チームが短期間で達成できた理由

海外アクティビティの予約サイト『VELTRA(ベルトラ)』の運営を中心に、さまざまな事業を展開するベルトラ株式会社。2020年のパンデミックによる行動制限によって、同社含め多くの旅行業界が売上低迷という事態に陥りました。

そして広告運用を担当していたメンバーが離職してしまったこともあり、同社では行動制限が緩和され旅行需要が戻ってくるまでの約2年間、広告運用を停止。ようやく2022年夏頃より広告運用を再開するものの、チームメンバーが新人中心だったため、広告運用の知識やノウハウが乏しいことと短期垂直立ち上げが課題としてあり、このたびTHE MOLTSにご相談をいただきました。

そこで当社では、インハウス化支援および直近の利益目標達成のための広告運用を支援。今回は、同社 マーケティングDivにて広告領域の責任者を務めている町田さま、そして本案件を担当したTHE MOLTSの菊池 真也が、これまでの取り組みを振り返りました。

繁忙期の目標達成に向けて、成果創出とインハウス化の両軸で支援いただけることが決め手に

ベルトラ 町田さま

菊池:このたび、THE MOLTSでは御社の広告運用のインハウス化を支援させていただきましたが、ご相談いただいた背景として、あらためてどういった課題感を抱えていたのかを教えていただけますか?

町田:当社では海外のアクティビティ販売を中心としたOTA(Online Travel Agent)事業を展開しておりますが、ご存知の通り2020年以降、コロナ禍によって旅行業界全体が大きなダメージを受けました。

当社も例外ではなく、当時は売上がゼロに近しいくらいまで悪化。そしてノウハウを持った広告運用メンバーも離れていってしまい、約2年間ほど広告運用自体を停止している状態が続いていました。

その後、海外渡航者が増えてきた2022年夏頃より広告運用も再開したのですが、広告運用のスキルやノウハウが乏しいメンバーでいかに垂直立ち上げを実現するかが課題としてありました。そこで、外部のプロフェッショナルにサポートいただく必要があると考えたことが、今回ご相談させていただいた背景でした。

菊池:当初ご相談いただいた際は、インハウス化のためのカリキュラムを提供しようと考えていましたが、深くお話を伺っていくと、直近の繁忙期タイミングで事業目標を達成するためにも広告運用チームの立て直しが急務であると判明。汎用的なカリキュラムを提供していては、繁忙期の目標達成に間に合わない状況でした。

そこで今回、お取り組み期間の後半のリソースを前倒しさせていただき、取り組み前半は実際の広告運用自体も伴走支援させていただきながら、インハウス化を進めていきましたね。

なお、広告運用やインハウス化を支援する企業は多くある中、今回THE MOLTSを選んでいただいた決め手は何かありましたか?

町田:依頼したい内容ベースは、伴走型のインハウス運用最適化です。そのため、不足している知識やノウハウを手本となる外部のプロの方々から直接取り入れ、自社メンバーでも体現できるよう再現性のある支援をしていただける企業を探していました。

そして大手支援会社から少数精鋭のスペシャリスト集団など、様々な企業のご提案と比較検討をさせていただきましたが、大手の場合はサービスが固定化されていてカスタマイズしづらかったり、他の企業も伴走支援というよりかは、都度相談して課題を解決していくというスポット対応形式であったりと、弊社が求めている支援の形態ではありませんでした。

一方でTHE MOLTSはこちらの要件をしっかりと把握いただき、ただカリキュラムを提供するだけでなく、迫る繁忙期に向けて短期間で成果を出すために伴走いただきながら、インハウスの立て直しをしていただけるということが大きな決め手でした。

また、菊池さん自身が旅行業界の経験がおありであるということで、事業理解含めてスピード感のあるお取り組みができそうだと思えたことも、決め手のひとつでした。

過度にKPI達成を追い求めるのではなく、KGI達成に向けて俯瞰的な視点でアプローチしていくことも重要

THE MOLTS 菊池

菊池:実際にプロジェクトが始まり、まずは広告アカウントの分析から始めさせていただきました。もちろん事前に情報はいただいていましたが、深く分析していくと、繁忙期の目標達成のためにやるべきことというのが、当初ご提案していたロードマップとはズレてくることが判明。

もともと広告アカウントのリストラクチャを想定していましたが、海外アクティビティのため渡航国の数が多く、カテゴリー構造が複雑化していたので、リストラクチャをやっていると繁忙期には間に合わないことがわかりました。

そこでリソース状況も鑑みながらタスクの優先度を変えていき、まずは入札戦略の見直しなど、短期的に成果に繋がるアクションから着手していきましたね。

町田:入札戦略の見直しを進めていただく中で、当たり前のことではありますが、目的に対してもっと広い視野を持って課題解決に取り組んでいく必要性があるというのを強く感じました。

というのも、インハウス最適化の重要指標はCVRとしていたものの、目先のKPIとしてはCVとROIを追いかけていたため、どうしてもKPI優先で考えると先行して成果が出ているGoogleのリスティング広告中心に予算を組んでしまっていて、他の広告施策にも予算を分配していくという視点が足りていませんでした。

しかし、目標としていた売上総利益を達成するためには、個別媒体のKPIだけを達成させるのではなく、そもそもで母数が必要。そこでこれまで手つかずであったYahoo!広告であったり、ディスプレイ広告への拡大など、数を求める戦術へと変更いただきました。

結果、効率的という視点では、Googleのリスティング中心であったときよりも下がってしまいましたが、売上総利益創出に繋がっており、あらためて目標に対して俯瞰的な視点を持って、適切なアプローチを取ることの重要性を気付かされました。

菊池:もちろんKPIを追いかけつつも、最優先すべきは事業のKGI達成。そして広告運用は重要KPI以外にも、様々な変数がある中で、どの変数がKGI達成に対してインパクトがあるのかを見ていきました。

例えば、CPCを安くして露出を多くするというのは、結果的にCVRが下がるという事象が起きてしまうものの、今回のケースにおいて売上総利益の目標達成を最優先に考えると必要なアクションだろうと。個別のKPIを過度に達成しようと動くのではなく、あくまでも俯瞰した目標達成に向けて動いていきました

技術的なサポートだけでなく、チーム状況を鑑みた業務プロセスの改善も成果達成の大きな要因だった

菊池:インハウス化という視点において、担当者の方は新人でありながらも広告運用の知識はありましたが、PDCAをどう回していくかということが経験として不足していることが課題としてありました。

そこで私がセカンドオピニオンの立場に立って日次や週次での振り返りを行い、どう分析していくべきかの観点を伝えていくことで、自らPDCAを回していくことができるようになっていったと感じています。

また、現場視点ではどうしてもタスクベースで物事を考えてしまいがちで、さらに作業を抱え込んでしまい、リソース要因でパフォーマンスを最大化できないケースは往々にして起こり得ます

そこで、リソースを使って仕事をする部分と頭を使って仕事をする部分を切り分けていくということも行っていきました。

たとえば入札に関しても属人的な感覚に従って行いがちですが、2週間タームの実績をもとに入札ルールを設定。そして実際の結果やトレンドなどの状況を見ながら微修正を加えて入札していく形にしていきました。

そして、もともと担当者が自力でレポート作成も行っていましたが、レポート作成も関数をあらかじめ決めておき、ルール化した上でアシスタントに任せる形へ変更。最終的には入札自体も型を決め、アシスタントがレポートを作成して、担当者が判断を行い、アシスタントが入札するというスキームにするなど、チームで成果最大化に取り組んでいくように進めていきましたね。

町田:どうしても担当者は全部自分でやりがちな傾向があり、リソース的にできない部分が溢れてしまうということがこれまでもありました。

そうした業務プロセスの部分に関して、本来は私がマネジメントしていくべきところではありましたが、私自身も他業務との兼ね合いで、見切れていない部分もあり、そこを菊池さんが担っていただけたことは非常にありがたく思っています。

やはり、使えるアセットを組み合わせ、チームとしてしっかりとPDCAを回していける状況をいかにつくるかが重要。広告運用の技術的な部分だけでなく、そうした業務プロセスの部分もしっかりと整備していただけたことは期待以上でしたし、成果に繋がる要因のひとつだったと感じています。

おかげで、いまではTHE MOLTSとのミーティングに私は入っておらず、菊池さんにお任せできていて、私が他のことに注力できるようになりました。

「目標達成できるのか疑心暗鬼だった」結果最大210%達成を実現、4年ぶりの黒字転換へ。成果を出したことで社内でのプレゼンスも高まっていった

菊池:定量的な成果として、現時点でどのような数字に現れていますか?

町田:繁忙期の7〜8月はこれまでの単月での粗利目標の2倍と高い目標を設定しておりましたが、7月は210%、8月は136%達成を実現。インハウス運用最適化で注力していたCVRも達成できています。

また、会社全体としても2023年7-9月期は四半期ベースで約4年ぶりに黒字転換し、営業収益は前年比257%と大きく伸長しています。

実は経営層と現場では目標に対しての考え方が違い、私たち現場は設定された目標は本当に達成できる数字なのだろうかと疑心暗鬼でした。

というのも、経営層は2019年までの好調期を経験しているため、「この数字は達成できるだろう」といった肌感覚であるのに対し、私含めて現場のメンバーはコロナ禍に入社したメンバーばかり。そのため、2019年までの良い数字を経験してきていなかったため、当初は現実的に達成できる数字とは思えていませんでした。

しかし、菊池さんとどう目標を達成していくかを話し合っていくことで、達成できるイメージができていきましたし、実際に目標を達成できたことでチームとしても良い成功体験になったと思っています。

菊池:私自身、旅行業界のコロナ禍前後を経験しており、他社もやはり2019年比で比較されることが多くあります。しかし、実態としてはまだ2019年ほど戻ってきてはおらず、取り組み当初は私もどう達成していくべきかが見えていない状態でした。

ただ、アカウントの中身を拝見していく中で、マーケットのポテンシャルとしては十分達成できる状況だろうと。ただ、予算を倍にしても売上が倍になるというわけではないため、日次、週次で細かく見ていきながら、目標達成に向けて動いていきました。

町田:菊池さんに見てもらっている広告領域というのは、会社としても生命線となっていて、重要な位置づけにあります。そして今回THE MOLTSとの取り組みのおかげで、担当者は新人賞を受賞。結果を出したチームとして、広告チームがいま社内で注目されるようになっていきました。

やはり、お取り組み以前は担当者が新人ということもあり、他部門の人たちからすると本当に任せても大丈夫なのかと懐疑的な部分はあったと思います。

しかし、現在は成果を出したことで社内からもスペシャリストとして認知されるようになり、入札の依頼も以前までは「このキーワードでお願いします」といった依頼であったのが、いまは担当者に任せておけば大丈夫だという雰囲気へと変化していきました。

菊池:こうして関わらせていただいたことで、事業として成果に繋がったことはもちろん、担当者の方の社内でのプレゼンスが上がっているというのは、私自身とても嬉しいことです。

アカウントのリストラクチャ含め、まだまだやるべきことも多いため、広告チームのメンバーをひとり、ふたりと増やして骨太な体制を築けるよう、社内でのプレゼンスを今後も高めていきたいですね。

広告領域だけでなく、他集客チャネルを含めてさらなる事業成長のための動きを一緒に進めていきたい

菊池:あらためて、今回の取り組みを振り返ってみていかがですか?

町田:高い目標を達成できたことでメンバーの意識が変わりましたし、視野が広がったということも今回の取組の大きな成果のひとつだと感じています。

たとえば先ほどもお話にあったGoogle以外の広告媒体なども、自分たちだけでは見落としがちな視点でした。また、直接的な効果だけを見がちですが、ラストクリック偏重にならずに広告間の効果を意識するようになったりと、外部の知見があったからこそ気付けることが多くありました。

菊池:現在もお取り組みは継続中ではありますが、今後御社ではどのようにマーケティングに取り組んでいく予定なのか、またTHE MOLTSに期待していることがあれば教えてください。

町田:来期も引き続き高い目標を掲げておりますので、目標達成に向けてぜひこれからもご尽力いただければと思っています。また、集客施策が広告に依存しないよう、SEOなど他の集客施策と連携を取りながらやっていく必要があると思っているため、そうしたところもぜひご相談させていただきたいです。

そして現在、当社には200万人以上のお客様がおり、会社自体がひとつのメディアとしての価値を秘めていると思っています。そのため、これまでは広告を出稿して集客するという立場ではありましたが、自分たちがメディアとして、広告媒体になり得る可能性があると考えています。

そうした展開をしていく際に、THE MOLTSは広告運用だけでなく、オウンドメディア運営など様々なデジタルマーケティングのプロフェッショナルが集まっているので、現在は広告分野のみをお願いしていますが、そこに限らず、ぜひ当社の事業拡大に向けた動きをご一緒できれば嬉しいなと個人的に思っています。

菊池:外部のパートナーではあるもの、御社メンバーの一員としてプロジェクトに取り組ませていただき、目標達成できたことは私自身、大変うれしく思っています。

次のステップはさらなる事業成長を実現していくフェーズで、広告での集客だけでなく、いかにサービスの認知を拡大していくか、広告以外の施策をどう展開していくかなど、これまで以上に広い視点を持ってサポートさせていただければと思っています。本日はありがとうございました。

著者情報

SHINYA KIKUCHI

菊池 真也

Marketing Strategist / Consultant

業界歴15年。運用型広告のコンサルティング、インハウス化支援、代理店の組織構築などを行う。成果を最大化するためのチームビルディングが得意。

担当領域の
サービス

  • ECマーケティング
  • BtoBマーケティング
  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • SNS広告

記事をシェア

  1. THE MOLTS
  2. メディア記事
  3. 「4年ぶりの黒字転換、利益目標210%」を、ノウハウゼロの広告チームが短期間で達成できた理由