「ニッチ商材の認知拡大から相談件数が激増」。ヘルメット治療が多くの方に求められるようになったワケ

「ニッチ商材の認知拡大から相談件数が激増」。ヘルメット治療が多くの方に求められるようになったワケ

「医療✕ものづくり」を強みに、赤ちゃん用の矯正ヘルメットや育児用アプリケーションの開発、運営を手掛ける株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー。アメリカで生まれ、赤ちゃんの頭のゆがみをヘルメットで矯正する「ヘルメット治療」を日本にも広めるため、ヘルメットの流通促進だけでなく、保護者が抱える赤ちゃんの頭の形に関する悩みに向き合うWebサイト「赤ちゃんの頭のかたち相談室」を運営しています。

「赤ちゃんの頭のかたち相談室」を多くの保護者に届けるため、Web広告の運用代行をメインに、Web施策全般をTHE MOLTSにご相談いただきました。

今回は株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーのマーケティング部門を担当する大貫さまと松井さま、そして本プロジェクトを担当したTHE MOLTSの高橋 翔太を交えて、これまでの取り組みを振り返りました。

赤ちゃんの頭のゆがみを改善する「ヘルメット治療」を日本にも

ジャパン・メディカル・カンパニー 大貫さま

高橋:THE MOLTSでは、ジャパン・メディカル・カンパニー社が創業した翌年の2019年から、Web広告の運用支援とマーケティング全般を支援するための取り組みとしてコンサルティングサービスをご提供させていただきました。ジャパン・メディカル・カンパニーは赤ちゃん向けの頭蓋形状矯正ヘルメット「クルム」を手掛けていますが、まだまだ日本では認知が得られていない「ヘルメット治療」について、簡単にご紹介いただけますか?

大貫:日本ではほとんどの保護者にとって「ヘルメット治療」は馴染みがないワードかと思います。ヘルメット治療を一言で表すと、赤ちゃんの頭のゆがみを改善するために行われる、ヘルメットを使用した治療のことです。ヘルメット治療が生まれたアメリカでは、保険適用の範囲内であったり、ヘルメット治療を扱う医療機関も多いため、日本よりも広く認知されています。

まだまだ日本では小さい市場ではありますが、頭蓋形状矯正ヘルメットのトップメーカーとして「クルム」の流通拡大だけでなく、赤ちゃんのヘルメット治療自体の認知を広げていくこと、少しでも多くの保護者のお役に立つことが、マーケティング部門のミッションです。

高橋:私自身も、ジャパン・メディカル・カンパニーとの取り組みで初めて赤ちゃんのヘルメット治療を知りました。改めて、マーケティング部門で取り組んでいるマーケティング施策を教えてください。

松井:私自身は保護者向けではなく、医療機関向けの施策に取り組んでいます。会社と医療機関の橋渡しのような役割ですね。主に医療機関向けのセミナーやチラシ作成などを行ってヘルメット治療の認知拡大を図っています。その傍らでWebページの改修も担当していて、クリエイティブ寄りの仕事が多いですかね。過去にはマタニティマークタイアップで電車内に広告を掲載したこともあります。

大貫:私はマーケティング部門を統括する立場で、Web広告やSEOでの集客周りを特に見ています。最近ではさらなる認知拡大に向け、ヘルメット治療卒業生の家族が集まる団体に顔を出したりもしています。

自社商品を広める前に「ヘルメット治療」の認知を高める必要があったため、Webサイトを立ち上げ

ジャパン・メディカル・カンパニー 松井さま

高橋:今回の取り組みでは、頭蓋形状矯正ヘルメット「クルム」の直接的なマーケティングではなく、ジャパン・メディカル・カンパニーさんが運営している「赤ちゃんの頭のかたち相談室」というWebサイトを中心に支援させていただきました。このサイトを立ち上げるに至った背景を教えてください。

松井:頭蓋形状矯正ヘルメット「クルム」の認知を拡大する以前に、そもそも日本における「ヘルメット治療」の認知を拡大すべきだと考えて立ち上げられたのが「赤ちゃんの頭のかたち相談室」です。Webサイト上では、保護者に向けたヘルメット治療についての情報発信や、お子さまの頭のゆがみについての悩みに対するアンサー、そして無料のWeb相談、電話相談を受け付けています。

高橋:時系列として考えると、2018年5月に法人設立、翌年の2019年には「赤ちゃんの頭のかたち相談室」を立ち上げられていましたよね。なぜ早い段階から優先的にWebサイトを立ち上げていたのでしょうか?

大貫:少子化でどんどん子どもの人口が減りゆく中で、赤ちゃんの頭の形についてインターネットで調べている人がどれだけいるのだろうか、そしてヘルメット治療のニーズがどれだけあるのだろうかと、これからビジネスを拡大していくにあたりまずは市場調査を目的に立ち上げました。実際にWebサイトを立ち上げるだけでは即座に流入を稼ぐことはできないので、自分たちで簡単なWeb広告の運用も行ったところ、思いの外、検索ボリュームがあることに驚きました。

ここまで検索ボリュームがあるのであれば、ベンチャー企業で人手が足りない自分たちでWebサイトやWeb広告を運用するのではなく、外部の専門家にコンサルティングに入っていただいたほうが、より確かな事業成長につながるだろうと考え、協力会社を探すことにしました。

そこで当時のマーケティング責任者の繋がりで、他社で圧倒的なマーケティング成果を残していた専門家が多数在籍しているTHE MOLTSさんにお声がけさせていただき、取り組みがスタートすることになったのです。

取り組みのポイントは、徹底的にユーザーの思考をイメージすること

THE MOLTS 高橋

高橋:取り組みが始まった当初は、本当に少額の広告予算から始まったプロジェクトでしたね。しかし、海外の製品を仕入れて販売する代理店モデルではなく、自社開発で日本人向けにオーダーメイドするという自由度の高いビジネスモデルに共感し、将来的に伸びるなと個人的にも確信したことを覚えています。

松井:取り組み当初は、お恥ずかしながらWebサイト上のエラーを修正したり、電話相談の申し込み完了までの導線を整理したりといった、今から思えば本当に初歩的な部分から始まりました。当時のWebサイトは自分たちで立ち上げたものだったので、フォームが正しく表示されなかったり、ユーザーの情報が正しく取得できていなかったりと、多くの不備がありました。自社サービスにのめり込めばのめり込むほど細部が見えなくなっていたと思います。高橋さんには、いちユーザーとしてWebサイトに訪れることを徹底的にイメージした上で、まずはユーザーがストレスなく利用可能なWebサイト構築のアドバイスをいただきました。

大貫:Web広告では、リスティング広告におけるキーワード選定とクリック後のコンテンツの親和性も徹底的に見直していただきました。実際、Web広告のおかげでWebサイトへの訪問数は増えていたものの、コンバージョンがとれるべき検索クエリから流入してきたユーザーからコンバージョンがなかなか増えていなかったのです。

そこでユーザーが欲しているコンテンツ、具体的にはヘルメット治療に関する読み物や悩みに対するアンサーなどを、ひとつのキーワードにひとつの記事が対応するように事業部として向き合って改修していきました。

高橋:広告運用をしていると、よくクライアントさんから『成果が悪いクエリは除外して!』と言われるケースがありますが、本プロジェクトにおいては少子化の影響もあり、広告表示できる機会はビジネスにとってチャンスでしかありません。もちろんあまりにも関連性の低いクエリは除外しますが、現時点で成果が悪いからといって、CPAだけ見て思考停止で除外判断してしまうのではなく、「そのクエリでコンバージョン発生させるために何が足りないのか?」を一緒に考えていくことを徹底させてもらいました。

以前、社長の大野さんが『みんな悩んでてうちのサイトに来ているのであれば全員相談しちゃえばいいじゃん!CVR100%だよ!』と発言されたことがありまして。もちろんWeb施策でCVR100%を出し続けるのは普通に考えれば無理ですが、思想としては首がもげるくらい同意でした。「赤ちゃんの頭のかたち相談室」の最終的な理想として、赤ちゃんの頭のかたちに悩みを抱えたユーザー全員が能動的に電話やフォームから相談しているような世界をつくれたらなと考えています。

その目的を達成するためのコンテンツを考えるにあたっては、ユーザーである保護者の考えを自分に憑依させることを徹底的に意識しています。保護者向けの育児記事を読み漁り、自分が検索行動したときに正しい情報がすぐに手に入る市場をつくれているかどうかを徹底的に調査するようにしています。

最近では、我々が獲得した問い合わせに対応してくださっているコールセンターの全員にご協力いただき、実際に保護者とはどんな話をしているのか、保護者がどんな悩みを抱いているのかをヒアリングし、Webマーケチームとしてユーザーの解像度を高める取り組みも行いましたね。

大貫:過去にメディアを運営したことがある身からしても、高橋さんのユーザー憑依は異常ですね、いい意味で(笑)。本当にユーザー心理を大事にしていることが常々伝わってきており、そこが信頼できるポイントだと思います。さまざまな事業アイディアを相談しますが、主語をユーザーに軌道修正してもらうことが多々あります。

事業所を拡充するほど、相談件数が増加!自社の社員のように事業成長へコミット

高橋:これまでを振り返って、印象に残っていることは何かありますか?

大貫:私の場合、Web広告関連の知識が薄かったため、高橋さんにレクチャーいただきながら広告でできることや、今後の事業拡大可能性を学べたこと。そしてそれが現実となって相談件数が増加していくのを身を持って体感できたことが印象に残っています。Web広告はオウンドメディアやSEOと違い、コンテンツをターゲットごとに出し分けるといった細かな配信機能が優れており、より深くまでユーザー心理を理解する手助けになると感じています。

松井:私自身、マーケティングの実務経験がなかったため、Googleタグマネージャーの使い方など、Web広告以外にも高橋さんにはさまざまな場面でご相談しています。その中でも高橋さんの発言で印象に残っているのが「広告はあくまで手段なので、事業拡大において他チャネルが育っていれば極論配信しなくてもよい」というもの。

一般的な広告代理店さんであれば、Web広告を運用すればするほど代理店手数料が上がっていきますので、より多くの広告を配信する方向でアドバイスしがちです。しかし高橋さんは、自社の社員のように収益状況も加味した事業成長を第一に物事を考え、お取り組みいただいているなと実感しています。

高橋:ありがとうございます!もちろん事業拡大において広告は有効な手段です。しかし、ジャパン・メディカル・カンパニーさんにとって広告費を伸ばすことがゴールでもなく、私の介入により事業が成長しているかどうかが重要ですので、事業全体を俯瞰し、成果主義の考えを第一にこれまで取り組んできました。定量的な部分ではどのような成果を実感されていますか?

大貫:具体的な数字は公表できず申し訳ないのですが「赤ちゃんの頭のかたち相談室」では取り組み開始時と比較して20倍以上の月間コンバージョンが獲得できるようになり、事業所を関東と関西にそれぞれ増設するまでの成長を遂げています。2024年にはさらにもう1拠点増設する話も挙がっています。

また、Webサイト内に掲載しているコンテンツも、現在はおよそ40本となり、「ヘルメット治療」に関する情報が一通り整っている状態になりました。広告面は高橋さんのおかげで問題ありませんので、学会の専門家の方にファクトチェックやコメントをいただくなど、今後は整ったコンテンツの更なるブラッシュアップに注力していく予定です。

今後は地方や海外への認知拡大も。まだ顕在化していない保護者の悩みにもアプローチしたい

高橋:ジャパン・メディカル・カンパニーさんでは、赤ちゃんのヘルメット治療の認知を広げていくという目標を掲げ、現在もマーケティングに取り組まれていますね。改めて、今後取り組んでいく施策や展望について、どのように考えているか教えてもらえますか?

松井:高橋さんとの取り組みもあり、東京や大阪などの都市圏からのご相談は増えてきた実感があります。一方で地方にお住まいの保護者におけるヘルメット治療の認知度はまだまだです。そもそも小児科のお医者さんでヘルメット治療をご存知の方が少ない現実もあり、保護者まで情報が行き届いていないことも珍しくありません。

今まさに自分のミッションとして実行しているところではありますが、医療機関向けのいわゆるBtoB活動により注力していきたいですね。どうにもこうにも、Web検索で出てきた情報よりもお医者さんから直接聞いた情報の方が信憑性があるじゃないですか。そこに正しい知識を行き渡らせたいです。

大貫:これまで私たちが注力してきたのは、すでに悩んでいる人のお困りごとをWebサイトや電話相談、そしてヘルメット治療で解決することでした。しかし、保護者の悩みにはグラデーションがあり、そこには顕在化していない悩みがあります。

そこで顕在化していない赤ちゃんの頭の悩みを予防するようなアプローチをマーケティングで実施することで、よりヘルメット治療の認知を広げていくことにも取り組んでいきたいですね。そして、ゆくゆくは海外の訪日観光客の方にもアプローチしていくことも視野に入れています。

高橋:インバウンド需要も復活していますし、海外からの需要も取り込めたら最高ですね!メイドインジャパンのヘルメットで世界を制覇したい!では取材の最後に、THE MOLTSとのお取り組みはどのような企業におすすめできそうか教えてください。

松井:高橋さんは良いことも悪いこともはっきりと指摘してくれるアドバイザーであり、ユーザーの代弁者のような存在ですね。弊社のようにフットワークの軽い、これから規模が大きくなる企業におすすめできるのではないでしょうか。

大貫:高橋さんは本当のことを本気で言ってくれるので、中途半端にならずに本気で向き合える企業こそ、相談してみるべきだと思います。
高橋:大きい企業だと、社内政治の関係でこれまでのやり方から変えられないケースもあり、そうなると私たちができることに限界があります。これから伸びていきたい、そのためにやり方や体制を変えることに躊躇しない企業とは確かに相性がよいですね。本日はありがとうございました。

著者情報

SHOTA TAKAHASHI

高橋 翔太

Marketing Director / Consultant

業界歴8年。リスティング広告を中心とする運用型広告の代行、インハウス化支援を担当。また企業の広告担当としての既存代理店との折衝にも従事。

担当領域の
サービス

  • ECマーケティング
  • BtoBマーケティング
  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • SNS広告

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