スモールビジネスで未経験から広告運用。覚悟を決めて取り組み、4ヶ月でCV数6倍を実現したプロセス
人々の生活・働き方・楽しみ方・文化活動のあり方をデザインし、新しい「アレバ」を生み出すことをミッションに掲げるALEBA株式会社。同社では2022年より海外語学留学支援事業としてフィリピンの語学学校を比較検討できるWebサイト「フィリピン留学APA」を運営しています。
同社ではさらなる事業の拡大と留学希望者の集客を目的にインターネット広告に取り組むことになったものの、広告運用の経験やノウハウが全くない状況だったそうです。そこでインターネット広告をインハウス運用できる体制を目指してTHE MOLTSへお声がけいただき、インターネット広告伴走型インハウス支援にてお取り組みいただきました。
今回は同社代表の堀田さまと、実務を担当する本吉さまに加え、本プロジェクトを担当したTHE MOLTSの菊池 真也を交えて取り組みを振り返りました。
実体験からスタートしたフィリピンへの留学支援。手探りで留学希望者を集客することに
菊池:新型コロナウイルスの感染拡大で海外留学はしばらく派遣中止が続いていましたが、水際対策が終了した2022年頃からようやく再開されました。コロナ禍中であった2021年に創業した貴社では、留学先の語学学校を比較検討できるWebサイト「フィリピン留学APA」を運営されていますが、現在の事業展開は、どのような思いからスタートしているのでしょうか?
堀田:私自身、2年前の2022年にフィリピンへ語学留学をしました。当初は「ふらっと海外でも行ってみるか」くらいの気持ちだったのですが、現地で自分とはまったく違う価値観を持つ人との出会いが、想像していたよりも刺激的で楽しかったのです。
そこでの原体験から海外語学留学にチャレンジする人を応援する海外語学留学支援事業を始めることになりました。留学を扱う事業は初めてのことでしたので、手探り状態からのスタートです。
私たちの立ち位置はフィリピンにある語学学校の代理店でして、日本で海外への語学留学を希望する人を集客、最適な留学先をご紹介し、渡航までサポートすることがミッションです。語学学校の比較検討サイト「フィリピン留学APA」の運営に加え、SNSを活用した情報発信や留学費用の見積もり作成なども手掛けています。
特にフィリピン留学の情報発信には特に力を入れていまして、留学希望者が正しく安心して学校選びができるように、語学学校ごとの細かい情報や受け入れ状況などの最新情報を高頻度で更新しています。
菊池:現在、代表の堀田様と本吉様の主に2名でサービスを運営されていますが、マーケティング業務にはどの程度のリソースを投じていますか?
本吉:事業全体の割合としては、おおよそ1〜2割ほどのリソースをマーケティングに投じていると思います。THE MOLTSさんに伴走いただいていた頃は、3割近いリソースで取り組んでいましたが、インターネット広告のインハウス運用が落ち着いた現在は、新規リードの獲得よりも獲得したリードへの対応やカウンセリングに力を入れています。
より多くの留学希望者を集客し、新規事業への横展開も視野に、広告運用のインハウス化を決意
菊池:堀田さんはもともとWebサイトの制作経験ありとのことでしたよね。インターネット広告についてのご経験はいかがでしょうか?
堀田:私も本吉も、インターネット広告はまったくの未経験でした。知識もゼロで、そもそも自社でインターネット広告が運用できるイメージが沸かず、広告代理店のようなプロに運用をお任せするべきというイメージがありました。
菊池:インターネット広告に着手する以前は、どのように留学希望者を集客していたのでしょうか?
堀田:サービスを立ち上げたばかりの時期は、とにかく多くのマーケティング施策にトライしました。一番最初に取り組んだのはSEO施策で、そこからプレスリリースの配信サービス(PRワイヤー)にも着手し、Instagramの運用や動画制作とYouTubeへの投稿も実施しています。最終的なCVには、無料のLINE相談かWebフォームの入力を設定していたのですが、なかなか継続した成果が得られなかったのです。
知識も経験もなかったものの、継続した成果のためには広告予算を投じてインターネット広告に取り組むべきだと判断しました。
菊池:「インターネット広告の運用はプロに任せるもの」と考えていたなかで、インハウスで運用することを検討し始めたのはなぜなのでしょう。
堀田:語学学校の代理店として留学希望者を集めることは、海外語学留学支援事業における根本的なミッションです。そのミッションをそのまま外注するのであれば、私たちが介在する価値がなくなってしまうのでは、と感じました。
もうひとつの理由として、この機会にインターネット広告やマーケティング全般のノウハウを得たいという狙いがあります。弊社は2021年に創業したばかりで、チャンス次第で今後さまざまなサービスを展開していく予定です。新サービスを立ち上げるにあたって、マーケティングの知識があることは、サービスを成長させるための大きなアドバンテージになるはずです。
こうした思いから、未経験ながらもインターネット広告のインハウス運用に挑戦することになりました。
媒体側が用意する学習コンテンツだけでは、自動化任せで成果に繋がらなかった
菊池:インターネット広告のインハウス運用にあたって、どのように学習を進めましたか?
堀田:リスティング広告を始めるにあたって、チュートリアル動画やオンライントレーニングといったGoogle広告の学習コンテンツを一通り閲覧してみました。そこから各種設定を進めようと思ったのですが、管理画面にある機能があまりに多く、かつ優先度の判断ができずに途方に暮れてしまいました。
菊池:具体的にはどのような情報を求めていましたか?
本吉:私たちのサービスにとって適切なタイトルと説明文の書き方や、広告費用の相場、適切な費用対効果の判断の仕方などですね。ノウハウ本やブログ記事には書かれていない、自分たちで試行錯誤して答えを探していかねばならない情報でしたので、「これは自分たちで考えるよりも専門家に相談したほうが早いのでは」と考えました。
菊池:THE MOLTSの「インターネット広告伴走型インハウス支援」はどこでお知りになりましたか?
堀田:インターネット広告のインハウス化をサポートしていただけるサービスを検索する中で見つけました。検索が甘かっただけかもしれませんが、「広告運用は丸ごと私たちにお任せください」といった広告代理店ばかりで、比較検討するような競合サービスはありませんでした。
競合サービスが見当たらなかったこともあり、ほぼ即決で問い合わせています。Instagramや動画の施策が当たらなかったこともあり、リスティング広告の運用はあくまで仮説検証としてスタートさせていたのですが、手頃な費用感でちょうどよいなと感じたのです。
また、インターネット広告のインハウス体制を構築するには、教えていただく講師の方のレベルが重要だと考えています。下調べでは菊池さんの実績や経歴なども拝見させていただき、経営目線の意思決定の方法や広告予算の決め方などに精通されているだろうと感じ、取り組みを決定しました。
4ヶ月の実践的カリキュラム。定例会で出される宿題をこなしながら自社だけで広告運用
菊池:2023年の12月頃にお問い合わせいただき、2024年の1月から4ヶ月のプログラムを提供させていただきました。定例の場で出される宿題とフィードバックを繰り返す、より実践的なカリキュラムを組んでいます。取り組み当初は、どのような印象を持たれましたか?
本吉:実践中心のカリキュラムでしたが、座学用の資料はとても分厚く、基礎知識のインプットも抜かりはないと感じましたね。定例会で出された宿題には、基本的な広告配信の設定や入札するキーワードの整理、PDCAシートへの記入などが記憶に残っています。
特に大変だなと感じたのは広告文の作成でした。広告用の文章を書くなんて初めてのことで何を書けばいいのかというレベルからのスタートでしたが、「数字を入れてみましょう」「Googleで検索されているキーワードを含めた文章を考えましょう」といった菊池さんのアドバイスを受けながら、なんとかついていけました。
菊池:Google広告の媒体側が提供している学習コンテンツはアクセスしやすく、分かりやすい内容である一方で、「Googleが提供する広告運用の自動化をうまく活用しましょう」という方向性のものがとても多いのです。いわゆる「スマートアシストキャンペーン」と呼ばれるもので、プロモーション目的、予算、集客したいページのURL、広告文などの簡単な項目を入れれば自動で配信、調整してくれる機能です。
一見素晴らしい機能なのですが、機能の特性を理解して設計しないと成果に繋がりにくく、また自動で配信されるために再現性がない、つまりPDCAを回しにくいという問題があります。そのため、初心者向けの機能だと思われがちですが、初心者の方に私はおすすめしていません。実際、貴社も自動化任せの運用に陥っており、あまり成果に繋がっていませんでしたよね。
そこで私からは成果を出すための考え方を中心に広告運用をするプロセスと、自分自身でアカウント構築とキーワード選定、広告文の設定ができることをゴールに4ヶ月間伴走させていただきました。
1週間1件あるかないかのCVが、1日1件は安定して獲得できるように!経営視点の支援を評価
菊池:4ヶ月の伴走型インハウス支援が今月終了を予定しています。現在のタイミングでは、どのような定量的成果がありますか?
堀田:インハウス化支援を受け始めた早い段階から定量的な成果が出始めていまして、最初の1ヶ月目から数件の問い合わせが発生するようになりました。以前は不定期かつ散発的で1週間に1件の問い合わせがあるかどうかでしたが、リスティング広告に取り組むようになって1日1件ほどはCVを安定して獲得できています。
インターネット広告でCVをしっかり獲得できることを実感したこと、正しいPDCAの回し方を学べたことで、安心して広告予算を増額することができています。キックオフのタイミングと比べて、1ヶ月で30万円ほど増額するという意思決定をしました。
菊池:「インターネット広告伴走型インハウス支援」に対して、どのように評価いただいていますか?
本吉:テクニカルなことやGoogle広告の機能、そもそものインターネット広告の考え方など、さまざまなノウハウを学ぶことができました。ただ、それよりも重要な学びになったのは、広告運用で得られた成果を経営視点で捉え、PDCAを回していく思考です。
菊池:私も今回の取り組みでは、スモールビジネスを経営するという観点から少額の広告予算でリターンを最大化し、ビジネスの拡大につなげていくことを念頭においてサポートしました。
ただ、経営視点でサポートと、成果にこだわるという2点は、THE MOLTSのカルチャーとして他の案件と変わらず取り組みをしています。限られたカードで勝ちにいくという視点では、以前は一緒になっていた顕在層向けのキーワードと潜在層向けのキーワードを分けて考えるべき、というアドバイスをさせていただきました。広告予算が限られているのであれば、まずは最もCVの確度が高い顕在層のユーザーを狙って広告文を作成、配信するべきだという意図です。
その他にも、さまざまな機能や設定で選択と集中を行い、少ない社員数、少ない広告運用費でも、最大限の成果を生み出せるように定例会の内容を工夫させていただきました。
既存の事業だけでなく、今後の新しいサービスにも広告運用のノウハウを活かしたい
堀田:これまで抱いていたインターネット広告のイメージが大きく変わりました。インターネット広告は、クリエイティブでセンスのある人や優秀な方が運用、分析するもので、広告代理店にお願いすべきものだとイメージしていたのです。
しかし、今回の取り組みで菊池さんからお話を伺っていくなかで、ロジカルに考えていけば自分自身でもインターネット広告を運用でき、正しく成果に繋げられるものなのだと気付けました。当然、まだまだ難しいなと感じる部分は多々ありますが、今後もインターネット広告に取り組んでいく中で少しずつ自社なりのノウハウをさらに蓄積していきたいですね。
菊池:コロナ禍の記憶が薄れつつある昨今、さらに語学留学を希望する人は増えてくると思います。今後の海外語学留学支援事業における、インターネット広告の展望をお聞かせください。
堀田:Instagramや動画、YouTubeにも挑戦してきましたが、今後はよりCVに近い顕在層を狙ってインターネット広告のインハウス運用をしていきたいですね。ただ、まだ社員は2名しかいない会社ですので、カウンセリングや留学サポートといった業務の建付けも平行して進めていきます。
また、当初の狙い通りマーケティングのノウハウを蓄積することができましたので、今後展開するサービスにぜひ活用していきます。
菊池:「インターネット広告伴走型インハウス支援」はどのような企業におすすめできるサービスだと言えそうでしょうか?
堀田:THE MOLTSさんでは大企業の、大規模な案件に対して支援することが多かったと聞いていますが、私たちのようにゼロイチでマーケティング体制を構築し、伴走してくれるパートナーを求めている企業にこそおすすめできます。
マーケティング、特にインターネット広告を未経験から始めようとしても、どこから着手すればいいのかが分かりません。しかし、スモールビジネスだとしてもさまざまな競合サービスが存在する現在の市場環境では、インターネット広告施策への注力は避けては通れません。
インターネット広告から逃げず、覚悟をもって運用することを決めたスモールビジネスのオーナーにこそ、THE MOLTSのサービスはおすすめできると思います。
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