BtoB主力事業の商談機会を新たに創出。インバウンドマーケの足掛かりをつくったKaizen Platformの取り組み

顧客体験DXを掲げ、Webサイト改善や動画広告の効果改善など、デジタル領域における様々な顧客体験向上を支援する株式会社Kaizen Platform。
もともとはアウトバウンド営業や社内外のリファラルによる案件獲得が中心でした。そこで企業成長のためにもインバウンドでのリード獲得基盤を構築したいとご相談をいただき、2020年9月より、MOLTSではインバウンド体制構築の初期フェーズとしてSEO領域を中心としたコンテンツマーケティングをご支援させていただいております。
今回は同社マーケティンググループにてマネージャーを務める肥田 雄一朗さま、梁川 宰源さま、横山 未歩さま、そして本プロジェクトにおいて戦略設計を担当したMOLTSの田島 光太郎、コンテンツ制作領域を担当した永田 さおりを交えて、これまでのお取り組みを振り返りました。


インバウンド体制移行のために注力したのは、大掛かりな施策ではなく着実な基盤構築。まずは社内の信頼を得るために行動を積み重ねた
田島:今回、御社のインバウンド体制構築の取っ掛かりとしてコンテンツマーケティング、特にSEO領域でのご支援をさせていただきました。あらためてご相談いただいた当時の課題感やMOLTSを選んでいただいた理由について教えていただけますか?
肥田:私がKaizenにジョインした当初、案件の多くは社内外の紹介案件が占めており、マーケティング施策起因の割合は非常に小さい状態でした。まずは現状分析という中で、当たり前のことも当たり前に出来ていない状態が見えてきたので、基礎固めから始めようと考えました。しかしながらマーケティング部門は私独りだけという状況で、リード獲得のための基礎を固めようにもリソースが足りず、そこで外部のパートナーに相談しようと思ったという経緯があります。

また前出のようにリファラル経由の案件が多かったことからもお分かりと思いますが、指名検索での流入はあれど、自社の3大事業(動画広告、UX、DX)関連のキーワードで検索しても全く何もヒットしない状態でした。それでは自社は愚か、サービスさえ認知してもらえないだろうなと。またMAツールもメール配信だけに使うなど、戦略的なマーケティング活動ができていないことが分かったので、まずは奇をてらった施策ではなく、基本的なところから固めていく必要がありました。
特にマーケティング活動を推し進める上でお客様へ情報提供をしていくことは大事なわけですが、限られたリソースで最大の成果を上げていくためには、勢いに任せあれこれ手をつけるのではなくて、時間がかかっても良いので確実に成果を伸ばしていける基盤を作ることが大切だと考えていました。そこで外部のパートナーを探していたときに、たまたまMOLTSさんの事例記事を拝見したことが依頼したキッカケです。もう一社検討していた企業もあったのですが、ご担当の方との相性というのも私は大事にしたいと思っていて、ご提案までのコミュニケーションが気持ち良かったのがMOLTSさんだったんですね。
また目先の「SEOの順位を上げること」を目的化するのではなく、その先のマーケティング成果を出すことにコミットしている集団なのだと会話の節々から感じたことが、依頼を決めた大きな理由でした。

田島:あくまでもSEO施策はインバウンド体制を根付かせるための最初の取っ掛かりでしかありません。本質的に解決しなければいけない課題は、リファラルやアウトバウンド営業といった従来の施策に依存しない新しいインバウンドチャネルの開拓でしたからね。
ただ「SEO施策をしました」だけでは何の意味もなく、最終的な事業の成功を描きながら施策の方針を考える必要がありました。
そして今回は、コンテンツを発信していくためのメディア構築や体制づくりなどを含め、ゼロからのスタートでした。データもなければ施策からどのくらいのリードを獲得できるのか、正直やってみないと分からないことばかりで。根拠のある数値がない状況でした。最初は小さくても成功体験を積むために、まずは獲得すべきキーワードの定義を行ったうえでコンテンツ制作の行動量を徹底し、狙ったキーワードでの検索上位表示の実現を推し進めていきました。
肥田さん自身はマーケティング経験も豊富でいらっしゃいますが、リソース面以外で、外部パートナーとのこうした取り組みに期待していたことは何かありますか?
肥田:私自身SEOについては過去に事業会社で取組み、成功した経験があったのですが、実務としてはもう10年以上ブランクがありました。すでに策定済みだった対象ペルソナの価値訴求キーワードと、検索ボリュームを掛け合わせ、どのようにして検索順位を向上するためのコンテンツとしてカタチにしていくのか、最新のアップデートが自分の中に不足していたことがあります。だからこそ、今回はBtoBマーケティングにおけるインバウンド体制全体を俯瞰する知見を持ちつつ、SEO領域についても理論だけでなく、実務経験が豊富なプロフェッショナルを求めていました。
また、昨今はあらゆる領域において専門性がどんどん高まっていて、ひとりの人間がすべてを網羅して深堀りすることは難しくなっていますし、そんなことをする必要はないかな、と。とはいえ事業としてやるわけですから、常に先へ先へと成果を見据えて走れるチーム体制は重要でしたね。
取り組み開始半年で、コア事業のキーワードで1位を獲得。小さな実績と信頼を積み重ね続けたからこそ次のフェーズへ進める
田島:実際のプロジェクトはすべてオンラインでの進行でした。初期はデータを貯めていくためにも、まずは行動量が求められるフェーズだったので、MOLTSとしては計画に則ることはもちろん、常に課題を見つけながらそれに対する打ち手を考え一つずつ着実にプロジェクトを前進させていくことを意識していました。
永田:コンテンツSEOも闇雲に記事制作を進めるのではなく、あくまで重要なことはKaizen Platformの事業成功にどのようにつなげていくのか、です。そのためには、その事業部でコアとなるキーワードを設計し検索で上位表示を獲得する必要があります。ただ記事を書くだけでは見込み客は集められませんし、早期に記事を見られる状態を作ることが重要だと考えました。そのため、事業部ごとに検索で一位を獲得するためのキーワードを決め、施策を進めて行きました。
既存コンテンツの改修を含めれば、80本近くのコンテンツを公開していきましたね。かなりのビッグワードなので決して容易ではありませんでしたが、最初からコンテンツの質にはこだわって行動量を積んでいったため、コンテンツが公開されて半年も経たないくらいで、どちらの事業部においても狙っていたキーワードで無事検索1位を取ることができました。

肥田:検索表示1位を取れたときは、社内からも「すごい!」と大きく反響がありました。競合性が高くて、正直半年で成果が出るとは思っていなかったので。
また今回は、コンテンツ量を増やすために自社noteで公開していたコンテンツもオウンドメディアに移管するということをやりました。もともとnoteはすでに多くのフォロワーがいたことから社内を説得するのが大変で。「ほら、やらない方が良かったじゃないか」と自社の信用を失ったらどうしようと思っていたからこそ、無事1位表示を取れたときは嬉しかったです。
梁川:私はSEO施策について定例で報告する役割を担っていたのですが、おかげさまでいつも右肩上がりで伸びていたので、いつもどや顔で報告することができました(笑)。
コンテンツマーケティングには、検索順位を上げてアクセス数を増やすフェーズ、CVRを上げてリードを獲得するフェーズ、MQLからSQLへと転換を狙うフェーズといった段階がある中、CVRを上げてリードを獲得するフェーズはページの改善をしながら、数値を見て論理的にPDCAを回すことができますが、SEOのフェーズってGoogleがどうすべきか開示しているものではないからこそ、「こうすれば確実に上位表示される」という正解がない領域じゃないですか。
仮にSEOがうまくいかない時期が続いてしまえば、社内的にも費用対効果を厳しく見られてしまい、「MOLTSさんと一緒にやることはどうなのか?」みたいな無駄な議論が発生していたと思います。
このSEO領域を早々にクリアできたからこそ、リード獲得や案件獲得といった次のフェーズの施策をスピーディーに展開していけるのだと感じています。

ゼロだった検索起因の商談を新たに創出。検索順位の先にある事業成果にいかに繋げるかがMOLTSの介在価値
永田:今回のプロジェクトをキッカケに、別の部署の案件をご紹介いただけて、Kaizen Platformの中でも「成果に繋がるSEOなら、MOLTS」といった認知をしていただけているのが嬉しく、またとてもありがたいなと感じています。あらためて今回の取り組みを振り返ってみて、良かったなと感じることはなにかありますか?
肥田:やはり初期に設定していた目標を、しっかりと達成できていることです。実際に成果が結びついているというのが一番大きいですね。さらに今後に繋がるデータが蓄積されていっているというのも、非常に価値あることだと思っています。
具体的には、コンテンツ投入が開始されて半年で、平均掲載順位は45位から21位に上昇、1位表示のキーワードは指名検索以外で0だったのが、今では安定して30件前後を獲得できるようになっています。その中には「えっ、このビッグワードで取れるの?」というキーワードも含まれています。
その後のコンバージョンとアポ獲得、商談獲得が非常に重要ですが、検索起因で獲得したリードから、半年で60件超のアポ創出、現時点で20件以上が商談化できています。これは、取り組み前には全くなかった数字ですから、本当に大きいと思っています。
また四半期に一度、社内では成果を出した人への表彰制度がありまして、最終的にその賞には選ばれなかったものの、私に投票してくれたメンバーの中に弊社の代表もいて、コメントで今回のSEO施策の成果の件についても触れられていたのが、個人的には嬉しかったなと思います。
横山:私はまだジョインして日が浅いのですが、MOLTSさんとの取り組みを通じて日々勉強させてもらっているなと強く感じています。ディスカッションでも「外部のパートナーだから……」と引いて意見を出すのではなく、対等に意見をぶつけてくださるからこそ、我々も新しい気づきが得られます。本当に素晴らしいパートナーに出会えたなと思いました。

田島:本当ですか、そう言ってもらえて嬉しいです。我々としても、今回お取り組みを通じてKaizen Platformの他の皆さまともお話する機会がありましたが、みなさんが持つ知識やノウハウ、日々活用されているフレームワークなどがすごく豊富だなと感じています。
今回の取り組みでは検索順位1位を取れたものの、そこが目的ではないですからね。そこからリード獲得に繋げ、受注に繋げていくためにも、レポーティングまわり含めてやらなければいけないことがまだまだたくさんあります。
今後、Kaizen Platformのマーケティング部門としての展望はどう考えていますか?

肥田:これまでは代表の知名度やリファラルでの集客、そして営業でなんとかなってきましたが、今後はそれだけでは大きな成長は見込めません。そして弊社がマーケティングを提供している会社だからこそ、自分たちも成果を出していることを示し続けたいと思っています。
具体的には、マーケティング部門としては良質なリードを獲得して営業にパスをしていくという、ある意味、マーケティングとして当たり前のことを当たり前にできる状態を目指していきます。この当たり前を続けることが本当に大変なのですがね。
たとえばレポーティング環境もこれまではデータがバラバラに存在していて手動で集計する必要がありましたが、今後は自動で集計して、しっかりとデータを振り返って次のアクションへと繋げていくということをやっていきたい。そして最終的に成果に繋がる良質なリード獲得ができるよう、MOLTSさんにもサポートいただきながら、マーケティング部門としてあるべき姿を実現していきたいです。
田島:SEO強化以外にも、今後は企画コンテンツの取り組みなど、様々なグロース施策がスタートしますね。これまでの取り組みはまだ第一フェーズ。しっかりとこれからも成果を出して、みなさんと美味い酒が飲めるといいなと思っています。
永田:田島の言うとおり、最終的なゴールから逆算すると、いまはSEOでのトラフィックづくりができた第一段階にすぎません。ここからいかにSEOの先にある成果に繋げていくか、つまりリードを獲得して受注に繋げていくということの実現が、私たちがすべき価値提供だと思っています。
市場をかっさらっていくくらいの気持ちで、今後も成果最大化に向けて取り組んでいきます。この度はありがとうございました!
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