6年前片手間で始めたオウンドメディアが、今では他部門へ数億円の利益貢献、直接売上約6億を稼ぐ事業部になった背景

6年前片手間で始めたオウンドメディアが、今では他部門へ数億円の利益貢献、直接売上約6億を稼ぐ事業部になった背景

企業理念に「WinWinの関係が築ける商売を展開し 商売を心から楽しむ主体者集団で在り続ける」を掲げ、ネット型リユース事業、モバイル事業、そしてメディア事業を手掛ける株式会社マーケットエンタープライズ

2022年の決算報告より、メディア事業は自社の事業への貢献度を含めたセグメント別利益で3億4500万円の利益を、さらに直接的な売上高として5億9900万円を創出しています。

東証プライム企業を支えるこのメディア事業、実は6年前はまだ形すらなく、自社事業の集客用のオウンドメディアを立ち上げたところから全ては始まりました。集まったのは責任者1名と、他の業務を行いながら片手間で参加する4人のメディア素人メンバー。そのメンバーたちでオウンドメディアを立ち上げ、様々な成果を上げ、拡大し、その結果今のメディア事業の形になっています。

そんな事業部が立ち上がる点となったオウンドメディアを、パートナー企業として支援したのがMOLTSです。

今回はマーケットエンタープライズ社で、現在はマーケティング横断して管轄する執行役員であり、当時メディア事業を管掌していた菅野さまと、本プロジェクトを担当したMOLTSの寺倉大史を交え、これまでの取り組みを振り返りました。

Media Consultant / Business Producer
寺倉 大史
業界歴9年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。藍染職人、株式会社LIGを経て、メディアコンサルタントへ。

上場後の「2年間は利益を出さず、投資期間とする」宣言。新規事業の集客目的にスタートしたメディア事業

マーケットエンタープライズ 菅野さま

寺倉:マーケットエンタープライズと弊社では、2017年よりオウンドメディアの立ち上げ支援からスタートし、この6年間でオウンドメディアの新規立ち上げ、複数の媒体の買収、事業部化、拡大など様々なステージにてご一緒させていただきました。

この6年間をざっくり分類すると、大きく4つのフェーズに分けられます。

  • フェーズ1:立ち上げ期(教育をし、戦える状態にする)
  • フェーズ2:グロース期(トップラインを上げ続ける)
  • フェーズ3:拡張期(新規立ち上げ、複数媒体の買収して広げる)
  • フェーズ4:フォロー期(トラブルや懸念点をフォローアップする)

それぞれのフェーズごとに、解決したい課題やご支援の内容、そして御社の状況も変化して行きましたよね。まずはそもそもの出発点として、弊社にご相談いただいた背景をお聞かせください。

菅野:2016年当時、私は買取専門サイトを運営するリユース事業のマーケティングを担当しながら兼務で新規事業を立ち上げていました。新規事業は立ち上げ当初、収益性が安定せずにCPAが合わなかったので、リスティング広告ではなく、まずは潜在的なニーズを刈り取ることが必要に。

そのため、新しい集客チャネルとして、これまであまり取り組んだことがなかったオウンドメディアを活用することになったのです。

ただ、当時オウンドメディアを体系立ててどのように運営したらよいのか、高い解像度では理解できておらず、メンバーも他の業務の兼任の3、4名しかおらず、私自身も「それほど上手くいくものかな」と半信半疑の状態だったのです。

寺倉:当時描いていたオウンドメディア運営の最終的なゴールをお聞かせください。

菅野:個人的な強いこだわりもあるのですが、事業として売り上げを作ること、その売り上げを最大化することが一番のミッションでした。当時から掲げていたこのミッションは、オウンドメディア運営が起点となってマーケットエンタープライズを支える事業の柱の1つにまで成長した現在も変わっていません。

寺倉:オウンドメディア運営に課題を感じる中で、どのようなアクションを取ったのでしょうか。

菅野:何を改善すれば上手く回りだすかというイメージを持てず、私たちが持つオウンドメディアのノウハウでは不十分だと考え、プロのパートナーを探すことになりました。そこで顧問ネットワークのサービスでマッチングしたことが、寺倉さんとの出会いです。その後、弊社代表の小林とともに現在の課題感や会社の状況を寺倉さんに直接お伝えしました。

寺倉:当時のマーケットエンタープライズ様は上場してからそれほど月日は立っておらず、株主総会では「2年間は利益を出さず、投資期間にする」と宣言されたタイミングでした。オウンドメディアの施策も、そうした新しい挑戦と投資の一環としてスタートしていると小林さんから聞いています。

成果につながるか、疑心暗鬼の中でスタートしたオウンドメディア運営。1件のコンバージョンを獲得するまでの道のり

菅野:お取り組みをスタートした当時は、まさにゼロからのスタートでした。当時オウンドメディアに関わっていたのは、普段はリユース事業や新規事業を担当している4名の社員であり、兼務という形で普段の現場作業とオウンドメディアの仕事を掛け持ちしていました。当然、オウンドメディアに関するノウハウが一切ない状況でしたので、寺倉さんからまずは「教育期間」として週に1回の「教育」をご提案いただきました。

寺倉:当時は週に1回の定例会の中で、まずはオウンドメディアを立ち上げることからスタート。フェーズ1では「iPhone格安SIM通信」「ビギナーズ」を立ち上げましたよね。立ち上げてからはとにかくオウンドメディアの知識をひたすらお伝えし、オウンドメディア運営に必要なスキルに関する宿題を出していました。例えば、コンテンツSEO領域でいうと、キーワード選定の方法、記事構成案の組み立て方、コンテンツ作成やメンテナンスの方法です。

当時は現場の方とお話しする際、「行動量をしっかりと出すこと」と「すぐに成果が出るものではないこと」をとことん伝え、成果が見えない中でもしっかりと行動すること伝えるように意識しました。

そのためにも、私のアドバイスを信じてもらいやすいようにリードもコンバージョンも生まれない中でも、少しずつ捉えられるサイトの変化をGAを用いながら解説したり、少しでも和らいだ空気感を出すようにしたり、時には行動が取れてないメンバーに叱咤したりと、伝え方を工夫しています。

菅野:私自身も本当に成果が出るのか少しの不安がありましたが、まずはチームの社員を安心させることが最優先だと感じ、「絶対に上手くいくから!」と言い続けていました。

取り組みが始まると寺倉さんはすごく頼りになる存在だと実感しましたね。経営層から「いつ頃に成果が出るか」と確認があると、「焦らないでください。私が言うことを信じてくれれば、数ヶ月先に成果が出始めます」と寺倉さんからお伝えいただけたのです。寺倉さんが経営層を抑えてくれたことで、私は施策やチームの調整など、成果を出すことにリソースを割くことができました。

フェーズ1で一番印象に残っているのが、取り組みを初めて3、4ヶ月後に1件のコンバージョンを獲得した瞬間です。3、4ヶ月もなかなか結果が出ず、本当にコンバージョンが出るのかメンバーが疑心暗鬼になっていたタイミングでした。

「選定したキーワードと私たちのコンテンツは、人の行動とコンバージョンに結びついていないのではないか」とみんなが感じているなか、私が既存のコンテンツに一手間加えてキーワードを変えたところ、すぐに1件のコンバージョンを獲得することができたのです。

メディア単体の収益化を実現!MOLTSとの取り組みで得たノウハウを標準化し、仕組みを横展開

寺倉:フェーズ2にあたるグロース期は、コンテンツを量産してコンバージョンを獲得していくことを目指して取り組みをさせていただきました。このタイミングで、以前から運営していた2つのオウンドメディアだけでなく、新しいメディアも立ち上げていますよね。

菅野:そうですね。当初立ち上げた2つのメディアは社内の事業向けにコンバージョンを獲得することが目的でした。売り上げを作りたいという私の考えもあって、自社への送客に加えてアフィリエイトによる収益化を始めました。

結果として、広告主のWebサイトに送客することができ、それと比例してアフィリエイトの売り上げも右肩上がりで成長することができ、結果としてメディア単体で稼ぐことができるようになっています。また、新しく立ち上げたメディアは、前二つのメディアのノウハウを横展開しています。

寺倉:フェーズ2では、どのような体制変更がありましたか。

菅野:以前のメンバーは通常業務と兼任で関わっていましたが、このフェーズからは専任体制を構築して売り上げを上げていくという方針に切り替えました。メディアとして売り上げを作ったという実績ができたことで、メンバーも確保しやすくなりましたね。

さらに、メンバーと寺倉さんとの関係性にも変化がありました。フェーズ1は寺倉さんからオウンドメディアのノウハウを教えていくという関係だったのですが、フェーズ2からはメンバーのほうから「どうすればもっと伸びますか」と積極的に質問するようになっています。

寺倉:フェーズ2はアクセルを全開にし、とにかく伸ばし続けました。伸び方が異常でしたよね。

菅野:コンテンツの投下量は1ヶ月100本以上を目指し、とにかくコンテンツを公開することを最優先にしました。コンテンツが増えてPV数が増えてきた頃には、「キーワードの検索順位」「自社事業への売り上げ貢献度」「直接的な売り上げ」をKPIに変更したほうがよいとのアドバイスを受けました。

寺倉:右肩上がりで急成長しているときには、相応のリスクを背負うことになります。例えば、急な検索アルゴリズムのアップデートで検索順位が急落してしまうことも珍しくありません。だからこそ、フェーズ2では客観的な目線で気が付いたリスクをお伝えし、その解決策を一緒に考えていくことを意識しました。

とにかく都度会議にて、伸びている報告を貰うたびに「まだ落ちないんですか」「そろそろ落ちますよ」と言い続けてました(笑)。僕の役回りは、アクセルの踏み方も、ブレーキの重要性も、両方をバランスよく見ていくことにあったと思っています。

また、この頃にマーケットエンタープライズ社員の方に対して感じたのが、物事の標準化がとても上手いということです。ノウハウや技術をインストールして標準化し、自走し、どんどん横展開していく戦い方が、マーケットエンタープライズ社の強みだと実感しました。

既存メディアのチームは完全に自走できる状態に。積極的にメディアを買収し、さらなる事業拡大へ

寺倉:フェーズ3の拡張期は、メディア事業の体制が固まり、自走する力が圧倒的についており、その体制を横にも加速度的に展開するため、オウンドメディアの買収を積極的にされていましたよね。MOLTSの関わり方も、オウンドメディアのグロースという範囲から、より組織や体制、ビジネスモデルに拡大していきました。

菅野:この頃は、会社が2020年に買収した「最安修理ドットコム」をはじめ、複数の事業やメディアを買収したため受け入れ業務に回っていたので、既存のオウンドメディアの運営は別の社員に任せていました。そのため、私抜きで自走してメディアを運営できるように、寺倉さんとの取り組みで得られたノウハウや知識をドキュメント化、さらには各種ツールを導入して徹底的に仕組み化しています。

また、常時50名ほどの社外ライターさんと取り組みをするようになり、マネジメントとチーム化を推進したのも、フェーズ3の特徴です。各メディアには編集長のポジションを用意し、その編集長から寺倉さんに相談するようになりました。

寺倉:定例会ではメディアの編集長の方から現状の成果を共有いただき、それぞれのご質問にお答えするという流れでした。また、これまでのようなオウンドメディアに関するアドバイスはもはや不要でしたので、都度発生する問題、課題に対するアドバイスに加え、検索アルゴリズムのアップデートに関する情報や、他社メディアの状況といった情報をお伝えするくらいです。最終的には、定例会は週に一度から月に一度に減らしています。

買収した媒体は、同じフレームが通用することもあれば、ビジネスモデルが違うため、全く異なる戦い方をする必要があったり、これまでメディアで完結していた事柄が、営業も含めて考えたりするなど、様々な展開がありました。だからこそ、悩む事柄も多岐に渡り、営業面、また編集長ならではの組織面、評価面のアドバイスなども行い続けました。

結果として、全体的なトップラインが上がり、リスクヘッジは以前にもましてしっかりとできるようになりましたね。

「MOLTSはフェーズにあった課題に、一緒に取り組んでくれる『力強い仲間』」

寺倉:フォロー期である現在のフェーズ4に入ってからすでに1、2年が経ちました。メディアの買収が落ち着いて自走し、月1のアドバイザリーで安定している状態です。正直なところ、MOLTSとしてはやることがないレベルです(笑)。もちろん、アドバイザリーの内容に価値を出そうとしますが、自走し、スピードを持って展開されてるフェーズではもう何かあった時に話をもらうくらいの温度感が心地いい。

現状の進行ではあまり介在価値が見えないため、最近は新しい視点を持つための介入として、これまでにないオウンドメディアの攻め方、デジタルマーケティングの考え方、施策の打ち出し方が育つような流れを作るようなアドバイスをしています。

菅野:社外パートナーというイメージはありません。月に一度しかお会いしていませんが、とても近くにいてくれているイメージで、私とメンバーにとって、心強い存在です。

当時はメディアも組織も何もなかったところから、今はいくつものメディアが自走し、それぞれに編集長とコンテンツ制作の体制が整っており、メディア事業という収益の柱にまで成長しています。これはすごいことで、だいぶ遠いところまできたな、という感想です。私自身も、最初はメディアを成長させるために最前線で頑張っていましたが、今はもうメディア実務にほとんど関わっておらず、後任たちが伸ばしています。これも、面白いことですね。

寺倉:すごく長く、そして短く、そして様々な事柄があった6年間でした。

お互いの取り組みがうまくいき、合弁会社を立ち上げたり、2021年に菅野さんはマーケティングディビジョンの執行役員に昇進したり、弊社のオフィスに菅野さんや小林さんが遊びに来られたことも。小林さんには料理を作っていただき、一緒に旨い酒を飲んだ瞬間は、すごく嬉しかったです。

その時に、MOLTSに関わったことに意味があったと実感させられました。

改めて、6年前から今を振り返って、MOLTSのどのような点を評価いただいていますか?

菅野:過去にMOLTSさん以外にも、別の領域で何社かコンサルティングをしていただいたことがありました。現状、MOLTSさんが最も上手くいき、最も長く続いているお取り組みだと思います。

他社のコンサルティングの場合、事前説明をしっかりしないと認識がずれてしまうことが多々あります。特定の課題を解決することがゴールになってしまい、プロジェクト単位での取り組みになってしまうのです。

MOLTSさんの場合、そのフェーズにあった課題に対して一緒に取り組んでいただけたことが一番評価していることです。施策や事業単位ではなく、会社としての目的を一緒に達成してくれる「力強い仲間」だと思っていますし、課題が今後も変わっていく中でもお付き合いいただけると嬉しいですね。

著者情報

TAISHI TERAKURA

寺倉 大史

Media Consultant / Business Producer

業界歴9年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。藍染職人、株式会社LIGを経て、メディアコンサルタントへ。

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