マーケ未経験者が率いるオウンドメディアが年間1.5億円以上もの売上創出を実現し、広告依存から脱却できるまでの軌跡

エアコン工事やアンテナ工事などの事業を展開する株式会社ライフテックス。従来までは広告施策での集客をメインとしてきたものの、CPA高騰により、オウンドメディアでの集客施策に着手。検索流入を増やすべく、自社でコンテンツ制作を進められていましたが、社内にノウハウや知見がなかったことから、THE MOLTSにご相談をいただきました。
そしてコンテンツSEOを進めていく体制が整ったものの、人員の入れ替え等の影響もあり、新設したマーケティング事業部のリーダーを務めることになったのは、もともとデザイナーとして入社したWebマーケティング未経験者。
そこでTHE MOLTSではSEOによる集客施策の支援と同時に、自走する組織を目指すためのインハウス化を支援させていただきました。
今回はライフテックス 代表取締役社長の松田さま、そしてWEBマーケティング事業部 本部長の悦さま、そして本プロジェクトを担当した永田さおりを交え、これまでの取り組みを振り返りました。

広告依存から脱却し、オウンドメディアでの集客を実現。リーダーを育成していかに組織を成長させるかが新たな課題に

永田:もともと広告依存から脱却し、SEOでの集客を強化していきたいというのが、ご相談をいただいた背景でした。そして前回の取材時では、自走する組織の土台ができ、数字を見てオウンドメディアを運営していく文化が根付いてきたという状況でしたね。実際に自走していく上で、新たに見つかった課題感などはありましたか?
松田:THE MOLTSにご支援いただいたことで、現在では広告費を最大で当時の1/10程度にまで削減できていたりと、広告依存から脱却してオウンドメディアで集客できるようになってきました。
そして、もともと広告での集客をゼロにするという目標を掲げており、新たにWEBマーケティング事業部を新設。ただ、人員の入れ替え等もあり、もともとデザイナーとして入社していた悦をリーダーにアサインしました。
しかし、悦自身もWebマーケティング未経験でしたし、他にマーケティング経験者がいる組織ではなかったため、いかにリーダーを育成して、組織を成長させていくかが新たな課題としてありました。
悦:現在はマーケティングチームのリーダーとして、分析から課題を抽出し、導き出された結果から戦略を立て、そこからタスクに落とし込んでチーム全体で動いていくということをやっていますが、当時はマーケティングの用語も一切わからないような状態でした。
永田:当初から掲げていた広告依存からの脱却自体は少しずつ実現できていたため、たとえばリーダー育成といった課題に関しては自社のみで取り組むという選択肢もあったかと思います。そこをTHE MOLTSに継続して依頼しようと思われた理由は何かありましたか?
松田:正直、これまでも永田さんがいたからこそ回っている部署だったと感じており、永田さんがいない選択肢というのはそもそもあり得ないと思っていました。
また、私たちにない知見やノウハウをお持ちであるため、経営者視点としても単にマーケティングチームをどう成長させるかだけでなく、その後どのように事業を成長させていくか、新しい事業展開の可能性含め、ご一緒いただきたいと思ったことが理由でした。
つくったコンテンツは2年で400本以上。愚直にコツコツと取り組む姿勢が成果に繋がっていった
永田:はじめは私も手を動かし、私の動きからいろいろと学んでいただきつつ、「こうすれば成果が上がるのだ」と一緒に成功体験を積んでもらうということを意識して進めていきました。
組織的な課題に加え、当時はCVが200件ペースで伸び悩んでいたため、悦さんやチームの成長をより加速させるためにも、あえて攻めた目標を設定し、いま以上に行動量を増やさないと達成できない状況をあえてつくろうと。そこで半年以内にCV1,000件達成を目指しましょうと提案させていただきましたね。
松田:私も「それはさすがに無理だろう」という反応ではなく、「それくらい当たり前だよね」といったリアクションであったため、悦にとっては相当なプレッシャーだったかなと思います(笑)。
悦:はじめは、本当にその数字を目指すのだろうかと半信半疑でした。しかし、永田さんも代表も「当たり前に目指す」という感じであったため、これは嘘じゃないんだと。自然と視座が高まっていきました。
そして永田さんがその数字を設定するということは、無理な目標ではなく、現実的に達成できる目標であり、私たちのポテンシャルはまだまだあるのだと思い、行動量を増やして取り組んでいきました。
永田:「アンテナ工事 x 世田谷区」といった購買に近い地域コンテンツでCVを獲得していくことが重要でしたから、振り返れば2年間で400本以上のコンテンツをつくっていきましたね。
悦:そうした地域コンテンツをコツコツとつくっていきましたが、やはり一つひとつのクエリがスモールキーワードのため、はじめは本当にこのコンテンツでCVを獲得できるのだろうかという不安はありました。
しかし、コンテンツが増えれば増えるほどCV数は増えていったため、戦略に沿って着実に質の高いコンテンツをつくり続けることが集客に繋がっているのだと実感することができていきました。
また、コツコツとコンテンツを増やしていった結果、ドメインパワーも強まり、たとえばお役立ちコンテンツなどをつくったときも、上位表示されやすくなっていったりと、手応えを感じる機会が増えていきました。
永田:悦さんがきちんとリーダーシップを発揮されていて、愚直に頑張って取り組めるチームになっていたので、着実に成果に繋がっていくだろうと私自身も感じていました。
答えは教えない。その結果、チーム全体で自ら考えて実行、検証していくカルチャーが醸成されていった
永田:オウンドメディア運用では、ついつい現場はCV数に目が行きがちです。もちろんCV数は大切なのですが、いかに増益増収で会社を大きくしていくかという観点も忘れてはいけません。
実際に今回もCV数が下がったタイミングがありましたが、最終的に売上はどうなっているか、点ではなく線で見ることの重要性をよくお伝えさせていただきましたね。
悦:はじめは点で見がちでしたが、何か分からないことがあって相談させてもらうと、点ではなく線で見るというお話をいつもしていただき、はっとさせられることばかりでした。
また考える力を身に着けてほしいという意図があったと思うのですが、途中からは答えを教えるのではなく、ヒントだけいただき、あとは自分たちで考えてみるという形へとコミュニケーションも変わっていきました。
そのため、他のメンバーとああでもない、こうでもないと話し合い、自分たちなりの答えを出すまでには苦戦しましたし、時間もかかりました。しかし、そうして自ら考えて実行していくことで、失敗することのほうが多かったものの、成功したときにはすごくモチベーションが高まりましたし、次はこうやれば良さそうだと考えられるようになったのは、非常に貴重な成功体験を詰めたと感じています。
永田:はじめは、答えにはすぐにたどり着かないだろうと思いつつ、あえて答えは言いませんでした。というのも、やはり悦さんはリーダーという人を育てていくポジションであるからこそ、自ら考えてやってみて、失敗するという経験が必要だと思いましたし、そうした経験が部下の育成にも活きてくると考えていたからです。
実際に現在では私が悦さんにしていたのと同じコミュニケーションを部下の方々と取られていて、マーケティングチーム全体に自ら考えて実行して、検証するというカルチャーが醸成されていると感じていますし、成功事例が生まれると次も試してみたいといった楽しみに繋がっていると感じています。
CV件数は1年で約4倍に。広告費換算で単月1,000万以上、実際には年間1.5億円以上の売上創出に貢献している
永田:あらためて今回の取り組みを通じて、どのような成果が生まれていますか?
松田:22年5月時点で月間CV250件だったところから、1年後の23年5月時点では約1,000件と4倍ものCV獲得ができるようになっています。
もともと23年12月で1,000件達成を目標としていたので、半年以上も早く達成することができましたし、6月以降も毎月1,000件以上のCV数を獲得できており、達成率としてはCV数が平均150%、さらにセッション数も180%と大幅達成を実現できています。
月間で1,000件のCV数というのは、広告CPA換算すると1,000万円相当に値しますし、売上換算すると1.5億円以上の売上になりますから、相当なインパクト。そして、現在3名体制でオウンドメディアを運営していますが、未経験者を含めた3人で1.5億円以上もの売上に繋がるオウンドメディアを運営しているというのは、非常にすごいことだなと。
繁忙期以降もコンスタントに1,000件を獲得できるようになれば、オウンドメディアのみで集客できるため、目標としていた広告での集客をゼロにできそうだと思っています。
また、いまはマーケティングチームのメンバーのモチベーションも非常に高く、チームの雰囲気が明るくなったことも大きな変化だと感じています。
悦:私がプロジェクトにはじめて参画したときは、何か発言するのもはばかられる雰囲気でした。しかし成功体験を積んでいったことで、チーム全体の視座が高まり、ポジティブな雰囲気になっていったなと感じています。
また、自ら考えて行動を繰り返していったことで、永田さんに頼らずともできることが着実に増えていきました。しかし、まだまだ知らないこと、自分たちでは気づけないことも多く、「次はこんなこともできるかもしれない」などと新しい知見、新しい可能性を見出していただけるのは非常に助かっています。
松田:発足した当初は、他部門の部長らはマーケティングチームが何をやっているのかわからないといった感じでした。
しかし、みんな相当な広告費が以前までかかっていたことは知っていたため、広告出稿せずとも案件を獲得できていることに驚いていて、「オウンドメディアすごい」といった形で、マーケティングチームのポジションが確立されていますし、悦さんの存在感が社内でも大きくなっていると感じています。
悦:以前に永田さんから、点ではなく線で見ていこうとすると、他部署との連携も大事であるという話をしてもらったことがありました。
それまでは他部署の方と話す機会はほとんどなかったのですが、それからは他部署へも積極的に「何か困っていることはないですか?」とコミュニケーションを取るようにして、他部署の課題をマーケティングチームで解決できることはないかという発想を持てるようになっていきました。
永田:悦さんの素晴らしいところは、そうした実行力。コンテンツをコツコツつくることもそうですが、そうした助言を聞き流さずに、しっかりと実行されているのが本当に素晴らしいですし、だからこそ着実に成果に繋がっているのだと思います。
今後は自社集客だけでなく、マーケティング事業部単体で収益化を実現していきたい
永田:あらためて、これまでを振り返ってみていかがですか?
悦:いまやっていることももちろん楽しいですし、チームとして成長しているのを強く感じています。そして、これからは私以外のチームメンバーだけでPDCAを回せる状態にしていき、チームとしてもう一段上に成長していくべきフェーズ。
そのためにも、私自身がもっと成長していくべきですし、一人ひとりのメンバーが担当プロジェクトを持って、任せても安心だなと思える状態にしていき、より新しい挑戦に取り組める環境を目指していきたいと考えています。
永田:そうですね、悦さんがいないと回らない組織というのは不健全だと思うので、ぜひ他メンバーだけでも回していける状態を目指していきましょう。
また、人は新しいことに挑戦しないと、成長が鈍化してしまうと思っています。そして会社の中核を担うのがマーケティングチームだと思っていますので、マーケティング起点で営業と連携したり、事業をどう成長させていくか、会社としてどう成長していくかという視点で挑戦していきたいですね。
最後に、今後のTHE MOLTSに期待していることがあれば教えて下さい。
松田:ご相談当初は毎月何百万円という広告費が掛け捨てで出て行ってしまう状態で、広告依存から脱却しないと会社が潰れてしまいかねない状況でした。
しかし、いまでは自社で集客できるようになり、いつかは新しい事業を展開してみたいと思っていたことが具体化できそうになっているのは、想定していなかったことで非常に楽しみです。創業当初は、私たちがWebの部署をつくるなんて、想像もしていませんでしたからね。
そして今後はアフィリエイト等、マーケティング事業部で自社集客以外のマネタイズを考えていき、部署単体での収益化を実現してきたいと思っています。そのためにも、今後ともぜひよろしくお願いいたします!

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