3カ月でリード総数を4000件へ倍増させた『ボクシルマガジン』のコンテンツグロースの軌跡

3カ月でリード総数を4000件へ倍増させた『ボクシルマガジン』のコンテンツグロースの軌跡

法人向けITサービスの比較・資料請求ができる「ボクシル」を母体とする、クラウド時代のオウンドメディア『ボクシルマガジン』。記事を通じて、読者に多種多様なクラウドサービスのトレンドや事業者を紹介し、サービスの掲載を希望する企業には見込み顧客のリード獲得を促しています。

MOLTSは、3カ月間という期間限定でコンサルティングを担当。戦略的にメディアをグロースさせる体制を構築し、コンテンツの思考法や制作スキームを伝えました。その結果、3カ月間で月間40万UUから70万UUへ伸長し(※)、リード獲得も4000件弱に倍増。大きな成果につなげました。MOLTSは、その後も月1回のペースで、相談役として関わり続けています。

今回、『ボクシルマガジン』を運営するスマートキャンプ株式会社・森重湧太氏と同社の畑智香子氏、MOTLS代表取締役・寺倉そめひこを交えた3名で、短期間で『ボクシルマガジン』を成長させた裏側を振り返りました。

※2017年10月には、月間100万UUを達成。

注)インタビュー当時はMOLTS。現在は、KRAFT。(2018年4月:記)

Media Consultant / Business Producer
寺倉 大史
業界歴9年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。藍染職人、株式会社LIGを経て、メディアコンサルタントへ。

コンテンツの基礎、リライト、キーワード選定を学ぶ「攻めの3カ月」

畑智香子氏(左)/森重湧太氏(右)

寺倉そめひこ(以下、そめひこ):『ボクシルマガジン』には、「3カ月」という割とタイトな期間限定のコンサルティングで関わらせていただきました。一気に走り抜けた3カ月でしたね。

森重湧太氏(以下、森重):あっという間の3カ月でしたね。ご依頼した当時は、制作ができる土台は一通り整えられたものの、PV数・UU数ともに伸び悩んでいた時期でした。

そめひこ:当時、抱えていた課題は、どういったものだったのでしょうか?

森重:SEOに関する知識は社内にありましたが、体系化されていない状態でした。担当になった僕が「とりあえず、こんな感じかな」と考えながら、とにかくSEOに特化した記事を出していました。ただ、それだけやっても数字が伸びなくなったので、新しい知見が欲しいタイミングだったんです。

そめひこ:その状況を伺って、僕から提示した期間が3カ月でした。戦略フェーズから関わる場合は長くなるケースもありますが、一通りコンテンツづくりの土台を整えるために必要な期間は、3カ月ほど。現場のチームにコンテンツづくりの考え方をお伝えし、(現場が)制作に集中できるようになっているのであれば、あとは経験を伸ばしていくことが重要です。そういった考えがあり、3カ月間、集中して関わった方がいいと思って、ご提案しました。

畑智香子氏(以下、畑):3カ月で、ちょうど良かったですね。経験の濃い、3カ月でした。

テクニックに頼らないコンテンツSEOの思考法

そめひこ:当時は、ソーシャルのコンテンツもつくられていましたね。

森重:そうです。数字が伸び悩んでいたので、ソーシャルでバズを狙おうという気持ちで検討を始めて、結構、うまくいきました。ただ、確率的な要素が含まれるので、長期的に見たらSEOで着実に伸ばした方がいいなと。

そめひこ:軸をSEOに移して、コンテンツSEOとしてのやり方を徹底的にお伝えしましたよね。まずは基礎知識をつけて新規コンテンツをつくれるようにしようと、最初の1カ月はキーワード設定とコンテンツの骨子づくりに取り組みました。

畑:そめひこさんにお願いする前は、作業フローも決まっていない状態でした。そめひこさんから「アウトラインから作成して、記事を書き、提出された原稿を微調整する」とフローを教えていただいたことで、うまく制作が回るようになったんです。また、「コンテンツは、SEOで狙いたいキーワードだけを決めるのではなく、ユーザーに読み取ってほしいところまで決めた上でつくりましょう」という指導もありました。

そめひこ:「テクニックに頼るな」という話ですよね。ユーザー目線で全ての物事を捉え、キーワードからニーズを読み取って、ユーザーが欲しい情報をピックアップしていきましょうと。例えば、タイトルを考えるとき、「主要キーワードは先頭につけた方がいいのか?」といったテクニック論についてご質問いただいた際にも、「そもそも、ユーザー目線で知りたいキーワードが先頭にあった方がいいのかどうかを考えることが大事です」と答えました。

寺倉そめひこ

畑:ユーザー目線から、記事の内容の順番についても話し合いましたね。どの順番だとユーザーが読みやすいのかという視点は、既存コンテンツのリライトでも役立ちました。最近は、ヒートマップで、ユーザーがどこで離脱をしているか、どこをクリックしているかといった分析をしています。

そめひこ:特に、コンテンツSEOでは、ユーザーにとって適切な情報の順番を考えないと、すぐ離脱してしまいますからね……。2カ月目からは結果を見たかったので、新規コンテンツもつくりつつ、畑さんが話されていたように、既存のコンテンツのメンテナンスもゴリゴリやって。3カ月目からは……あれ? 何をしていたか、あまり覚えていないです……。

畑:3カ月目は、遊んでいましたもん(笑)。

森重:いや、遊んではないですよ(笑)。3カ月間、そめひこさんから毎回出る宿題を、ひたすらこなすような感じでしたね。宿題が出来上がっていく中で生まれた質問を、また、そめひこさんに聞くサイクルで。僕たち、聞きまくったからなぁ。

畑:攻めの姿勢で3カ月、でしたからね。

そめひこ:コンサルに入った3カ月で、数字は40万UUから70万UUになりましたが、近いうち、100万UUに届くんじゃないでしょうか? そこまでは、見届けたいなと思いますね。

畑:来月以降は(笑)? “心の癒やし”として、月に1回は雑談しに来てほしいです!

洗練した「キーワード」で効果的に検索1位を取りにいくスタンスを

そめひこ:今回の取り組みで印象に残っているのが、最初のキーワード選定です。「キーワードは、メディアの目的に沿って選ばないと意味がない」という話をして、キーワードをたくさん出して、絞って、出して、絞って……を繰り返した結果、スプレッドシートに、洗練されたキーワードが並んだタブが5つくらい、出来上がりました。

森重:「そこまでして、キーワードを選ぶんだ」というか、あれほど研ぎ澄ませたことはなかったですね。それまでは、もっと漠然とした「オンライン・ストレージ」、「ウイルス対策ソフト」、「グループウェア」といったボクシルのカテゴリー名と、価格や機能を掛け合わせただけのリストでしたから。検索サジェスチョンから絞り込んだり、キーワードツリーをつくったり……。それらの手法も新しくて、勉強になりました。

畑:今もキーワードを出すときは、自然と、教わったことが生かせています。

そめひこ:うれしい限りです。キーワードツリーとコンテンツツリーをまず作成する→絶対に取りたいキーワードがあったら、関連性のあるキーワードツリーをつくる→そこから、それぞれで取りたいキーワードをまたツリー状にしてコンテンツツリーをつくり、プライオリティーを決めて制作を進めていく……という考え方です。そうすると、コンテンツのメンテナンスやコンテンツ制作がやりやすくなります。

森重:そういった考え方が身についたので、今では「とりあえずやろう」という考えはなくなりましたね。

そめひこ:MOLTSでは、基本的に、オウンドメディアは企業の事業・採用課題を解決するための一手段としてのメディアだと定義しています。コンテンツSEOでキーワードを漠然と並べるオウンドメディアもありますが、例えば『ボクシルマガジン』やボクシルの目的である「リード獲得」に関連しないキーワードを選んでも、課題解決にはつながらない可能性が高い。これでは、あまり意味がありませんよね。

畑:以前はそうでしたね。森重がさっき言っていたように、ボクシルのカテゴリーで信用性のありそうなキーワードを選定して、スピード重視でたくさんコンテンツをつくっていました。「とりあえず書こう。そして、終わらん!」って感じでしたね(笑)。

そめひこ:量と質の兼ね合いから、時間が限られた中でコンテンツ制作やメンテナンスをしていく必要があったので、いかに無駄を省いて効果的なものをピックアップできるかが大事だろうと。検索順位が1位の記事と2位の記事では、平均的に見てクリック率が10%ほど違います。なので、無駄にキーワードを出し上位で喜ぶよりも、絶対に取りたいキーワードだけに絞る。そして、コンテンツをつくったからには1位を取るためにコンテンツを育てていくことが大事だと思っています。

畑:記事ベースでは7月に150記事を掲載していますが、30記事ほどは1位になりました。今でも、掲載すると1位になる記事が増えていっています。

森重:何回も1位になる経験を得ると、他のメディアを見ても「『ボクシルマガジン』だったら勝てる」という自信がついてきていますね。

短期間グロースの鍵は「似た者同士」と「編集部員の素直さ」にあり?

そめひこ:この3カ月で正直言って「しんどかったこと」ってありますか?

畑:ありましたっけ?

森重:しんどかったかもしれないんですけど、覚えてないですね。素直なメンバーなので、粛々とアドバイスを参考にしてました(笑)

そめひこ:たしかに、みなさん驚くほどに素直な印象はありました。いろんな企業とお仕事をご一緒していますが、中でも『ボクシルマガジン』編集部は素直な人ばかり。土台を作るために必要なインプットをして、考え方を学んでいっても、できるようになるまでが難しいこともあります。でも、みなさんは僕への疑いの目もなく、真面目に取り組んでくださった。「大丈夫?」と心配になるほどに。笑

畑:そうですね、みんな「ついていきます!」ってなってました(笑)考え方についても納得いくまで何度も聞かせていただけていたので、先生のような感じでした。そめひこさんは明確に「どうすればいいのか」を教えてくださるので安心しますよね。パシッて言ってくれたほうが「よし!やりましょう!」とモチベーションも高まります。

そめひこ:編集部を見ていて、人柄の明るさと、良い意味で「みんな似ていた」のは僕としてはやりやすかったです。それこそ、ため息をつくポイントまで一緒だから(笑)

森重:とりあえず素直にやって、わからないものはとことん聞いて。「一緒に戦う」という環境を作っていただけたのは良かったです。そめひこさんが入り口になって新しい知識を得られていったはテンション上がりましたね。

畑:新しい知識といえば、他社事例を具体的に話してくださったのもよかったです。

そめひこ:そうですね。他社の事例で得た知見も、色々とお話しました。「実際にやりましょう」というときに、成功するイメージがなければ半信半疑で進むことになります。でも、他社での事例を交えて説明すると、成功するイメージがわき、モチベーション高く進むことができます。僕らも常に事例、または知識をアップデートしており、惜しみなく情報を提供しています。御社で得た知見も社名を隠したうえで他社で活用することもあります。そうすることで全体として良い循環ができていくと思うんです。

森重:たしかに「どうして検索順位が上がっているのか」を読み取りづらい時がありますから、他社事例を知ることができるのは大事ですよね。

そめひこ:これから、『ボクシルマガジン』はどう運営していくんですか?

森重:この先、サービスがテーマを横展開をしていくので、新しいキーワードでコンテンツを出していきたいですね。また、PVを目標におくメディアを立ち上げたいです。こちらは、ニュースもカバーし、メディア単体での収益化も目指したいと思います。

そめひこ:幅を広げていくんですね。

僕個人としては、『ボクシルマガジン』をもっともっと、グロースさせたいとおもっていました。。たとえば、ブランディング。オウンドメディアはトップページへの流入が少ないという課題を抱えがちなんですが、それは本質的ではないと思っているんです。

森重:そうすると、どうしたらいいんでしょうか?

そめひこ:「『ボクシルマガジン』に読者が来る意味」を作ることができれば、「指名検索」を増やしてトップページへの流入を増やし、サイト全体の検索流入を増加させることにつながります。『ボクシルマガジン』の場合、機能的ベネフィットを全面に押し出す設計、そしてアシストするコンテンツ作りができればもっともっと、面白くなりそうだなと思ったりしていました。あとはSNS。メディアの土台ができた後に、アクセスが集中するようなSNSのコンテンツを出していくとスケールアップできるので。

森重、畑:そうします!(笑)

そめひこ:どこまでも素直すぎる。

そめひこさんは仕事以外で一切連絡しないですよね

そめひこ:逆に「こうして欲しかった!」と思うことってありましたか? ぶっちゃけトークがしたいです!

森重:記事を書いてほしかったです。

畑:あぁ〜……そうですよね。それはしてくれなかったなぁ。

そめひこ:僕、絶対しないっていう仕事が2つあるんです。ひとつは記事の編集で、もうひとつはライティングです。しないっていうよりも、できないですね(笑)コンテンツ制作にも再現性のある手法はあり、そこに対して考え方や構造のフィードバックはできますし、クオリティが最低限担保できていないものは、直したりもできます。ただ、一流のライティング、編集はスキルとして持ち合わせていないというのが正直なところですね。

コンテンツ制作に関して「僕じゃ力不足」というときは、外部パートナーや、MOLTSのメンバーと交代します。

森重:あと、そめひこさんに何かやってほしいこと……あ、会社に来ていないとき以外は一切連絡なかったですよね。ドライな感じで。

そめひこ:なんか、すみません……(笑)僕はやり方をお伝えして、宿題を出して、その確認をするんですけど、途中で連絡をする必要がないんじゃないかなってほどに十分に準備をしてからいくのもあって。

畑:打ち合わせの時間以外でも、最新の事例や動向をリアルタイムでシェアしてもらいたかったです!

そめひこ:それは素晴らしい専門家の方々のTwitterを教えるのでそこでチェックしてもらっていいですか?笑

森重:打ち合わせの時間でこちらもグイグイ聞いて、やるべき宿題もたくさんあって、次の打ち合わせまでの時間はあっという間でした。とても満足しています。

そめひこ:今回はすごく楽しかったですし、僕を使い倒していただいてありがたいです(笑)結果も最終的に70万UUまで上がったんですよね。正直、このスピード感はすごかった。次の打ち合わせは夕方からにして、打ち上げっぽくしましょうか!移転のお祝いで御社に「モルツ」ビールを50缶以上送るので。

畑:いいですね!女性陣は飲めるんですけど、男性陣は飲めなくて、ひよっていますけれど……でも、そこも優しくてみんなのいいところです(笑)

そめひこ:なんで最後フォロー入れたんですか。僕らの企業理念は「美味い、酒を飲む。」ですし、祝杯のビールが一番ですからね。一緒に、ぜひ美味い酒を飲みましょう。

著者情報

TAISHI TERAKURA

寺倉 大史

Media Consultant / Business Producer

業界歴9年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。藍染職人、株式会社LIGを経て、メディアコンサルタントへ。

担当領域の
サービス

  • コミュニケーションプランニング
  • BtoBマーケティング
  • コンテンツマーケティング
  • オウンドメディア
  • SEO
  • アクセス解析
  • WEBサイト制作

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