MOLTSが7期目からやめた3つのこと

MOLTSが7期目からやめた3つのこと

デジタルマーケティングカンパニー「MOLTS」はおかげさまで本日、7期目を迎えることができました。創業から丸6年が経ち、いよいよ新米経営者づらができなくなってきたなと怯えております。

6期目は、毎月100件前後のプロジェクトが動き続け、数多くの実績を残すことができました。そのおかげで、デジタルマーケティングに課題を抱えている知り合い企業を紹介される機会も増えました。

何を事業にするかを決めず、ただ「美味い、酒を飲む。」とだけ決めてスタートしたMOLTSも、デジタルマーケティングカンパニーとして形になってきたなあとしみじみ。

全体的な数字感としては、決算前ですので概算ですが、デジタルマーケティングの支援事業を中心にグループ全体での売上高は約7.5〜8.5億円、税引前利益としては1.5〜2億円。また、MOLTS所属のメンバーは20名前後、平均年収は1,150万円を超えはじめ、グループ全体では25名ほどで着地しています。

まだまだ発展途上ではあるものの、「Result Driven.」のカルチャーが十二分に浸透する状態はつくれたと思っており、力点の置き方次第で化けていくフェーズに入ってきたなと思う次第です。

いよいよ、経営が楽しくなってきた。

今回は6期目であったこと、7期目からMOLTSがやめたこと、はじめたことを簡潔にまとめます。

6期目を振り返って。

まずは6期目を少しだけ振り返ります。

4期目までに入社したメンバーの成長が著しく見えた

まず1つ目の良かった点は、メンバーの成長がダイレクトに見えてきたことです。

マーケティング支援事業で売上を継続的につくり続けるためには、クライアントに手段でなく成果を提供することが求められます。そうすることでクライアントに評価してもらい、案件の継続であったり他の案件のご紹介が生まれたりするからです。

そしてMOLTSでは個々が抱える案件の売上総利益の40%がメンバーに支払われるという給与システムになっていて、さらにメンバー個々が売上総利益の管理・組み立てを行う独立採算制を採っています。

つまり、個々が成長してパフォーマンスの最大化ができていけば、結果的に売上総利益は増えていき、個々の給与も増えていくという好サイクルが個人で見えること。知人やクライアント、元クライアントからの紹介が増えれば、紹介したくなるパフォーマンスが出せているということで、組織として成長していることがわかります。

4期目までに入社したメンバーの入社時の年収は全員1,000万以下で、平均すると400〜600万ほどでしたが、今ではほとんどのメンバーが1,000万円を超える形になりました。

独立採算制であるゆえに、言ってしまえば年収の増え幅が個々の成長度合いを表しますから、メンバーの成長がダイレクトに見えてきたなと感じています。

基盤がしっかりとできあがってきた

続いて2つ目に良かった点は、基盤ができてきたことです。

創業期から行っているマーケティング支援事業に関しては、もう僕がいなくても十分に成長していく状態になりました。

  • 有効お問合せ数は昨対約1.4倍、採用社数は昨対1.45倍へ
  • サイトからのお問合せだけでなく、身内からの紹介・相談も安定して増える
  • パフォーマンスが出てない案件に対して、上下関係なく、メンバー間で指摘が入ってる

結果として、別事業に投資するコストは増えたのに、経常利益が伸びていく状態になりました。さらに、もし何かあったとしても十分に事足りる資産のストックができました。

つまりは、MOLTSとして、新たな価値創造のために突っ走っても、稼いだお金を使っても、潰れることはない状態になったなと思います。

積極的な挑戦ができていなかった

一方で、成長スピードが遅かったというのは6期目の大きな反省点でした。

いろいろな経営の考え方がありますが、僕らはマーケティング支援事業を成長させることだけでなく、前に進むと決めています。

ただし、その事業構築を十分に進めたかというと、そうではないと思えてしまいます。

投資事業を加速させるために、6期目でもいろいろと動いてはいたのですが、コロナ禍ということもあって経常利益を安定的に積み重ねられるかという不安から、目の前のマーケティング支援事業を見すぎてしまったワケです。これは、非常に良くなかったなと思っています。

7期目から「やめる」と決めた3つのこと

6期目の振り返りから、7期目から少なくとも3年間はやめると決めたことは以下の3つです。

01. 経常利益を追うこと

投資のために経常利益を積み上げていこうとしてきましたが、経常利益が増えることに安心し、目の前の事業に注力してしまっては本末転倒。そこで7期目からは経常利益を管理会計上の最終項目から外しました。あくまで、経常利益は中間指標。

変えるべきは、マインドでなく、見るべき指標から。

変えるべきは、勢いやモチベーションでなく、仕組みから。

では何を会社としての最終指標とするかと言うと、それは極端ですが残予算です。当期中に得られたキャッシュを、新たな価値創造に対してしっかりと価値ある使い方ができているか、です。

そこで当期で得た利益を、当期中に使う管理会計へアップデートしました。これにより、当期の利益は残らないものの、みんなの意識が投資に向く、何より経営層のPL脳を無くす下地を作っていた次第です。

予算を積み上げるマーケティング支援事業と、予算を限りなく価値ある投資に費やす投資事業のチームに分かれ、邁進していきます。

02. 会社として目標数値を持つこと

これまでMOLTSでは、売上、売上総利益、経常利益などの数値目標を一切掲げていませんでした。なぜなら、現在主力であるマーケティング支援事業において、クライアントの価値提供と、自社の目標は相反する動きを見せるケースがゼロではないため、前者に振り切れない状態をつくるのは僕らのあり方的にNGだったからです。

ただ、チームとしての動きを活発化させるため、6期目下半期ではチームで集まり、7期目から経常利益の目標を高く設定し、それを創出するにはどうするかを議論し、組み立てていく機会をつくりました。

しかし、いざ明確な数値目標を掲げて動いてみると、 “数字を組み立てるために” という心情が強くなってしまい、クライアントへのリザルト(成果)ドリブンで動いていたMOLTSが、経営数字ドリブンで採用活動を行ったり、経営数字ドリブンでの計画が混じるようになってしまいました。

当たり前なんですけどね(笑)。

そういう状態を見ていて、それってMOLTSじゃないなと。このままだと、大事にしてきた「らしさ」が崩れてしまう。Result Driven. こそがMOLTSらしさであり、MOLTSらしさの濃度が高いまま進んでいかなければ意味がない。そう思い、7期目からは再び経営数値の目標を、マーケティング支援事業に置いて持つことをやめることにしました。

改めて。

我々は「美味い、酒を飲む。」ために、マーケティングを手段として、成果を提供し、結果として対価をもらうことを徹底していきます。

03. 成果に対して対価を支払わないこと

「ミッションが生まれたらプロジェクト化し、プロジェクトにはリソースを、リソースには対価を」

僕らは6期目、この原理原則を見失いがちでした。

というのも、会社としてなにか新しいことを始めたりすると、中途半端なことが増えてきます。たとえば「採用は私が(片手間で)協力します」とか、「チームの案件を増やすために(片手間で)これを協力します」といった形で、本来なかった新たなタスクが生まれるわけですが、明確にプロジェクト化しないと、それらの協力タスクはボランティアになってしまうんですよね。

どうしても協力タスクだと、ミッション達成していなくても許されますし、メインの仕事が忙しくて置き去りになってしまいがちです。そうした中途半端な状態が多くなっていくと、確実に成長は鈍くなります。ミッションに価値を見いだせなくなる状態は、組織のカルチャーを少しずつ蝕んでいくなと。

気持ちだけで突き進められることもあるかもしれませんが、そうそうないですし、確実性が弱い。

そこでミッションはしっかりとプロジェクト化して成果を定め、成果に対しての対価を設定すること。対価が支払えないプロジェクトなんて優先順位が低くなる一方だからこそ、やめなければいけない。そう考え、7期目からは協力タスクをなくすために、成果に対して対価を支払わないということをやめました。

7期目から新しくはじめる3つのこと

やめたことがある反面、新たにはじめたこともあります。

01. 事業投資

投資を加速させていくために準備をして、反省点もあった6期目。タネは少しずつ蒔いてきましたが、7期目は仕組みをつくったので、加速させます。

株式会社マーケットエンタープライズと共同出資で2021年にスタートしたミナオシ。こちらは言わずもがなゴリゴリ投資していきます。さらに自社事業としてつくっていきたいものもあるため、投資事業に対してフルコミットできるメンバーもあわせて増やしていきます。

また、今まで投資事業を推進してきたのは僕でしたが、いい奴らが揃ってきたので、ガシガシとみんなにも挑戦してもらいます。

成果で語れるよう、とにかく楽しみます。

02. 開発体制の構築

投資にぶっ込んでいくために、新たな体制もつくっていきます。これまではエージェンシー事業を主力としてきたため、ビジネスを伸ばすことが得意なプレイヤーが多い組織でした。

今後は投資事業を加速させるために、今期からはリーンなモノづくりができる体制を強化することに惜しみなく投資していきます。分岐点となるタイミングを今期、来期と定め、体制がつくれていなかったら終了というくらい、本気でつくっていきます。

もちろん、中途半端な体制をつくるつもりはありません。強力な開発体制を、業務委託や社員関係なしに構築していき、投資事業を最大化できる環境をつくっていきます。

03. 社内マーケターの投資事業への貸し出し

MOLTSは今の主力であるマーケティング支援事業だけで挑戦するとは、はじめから考えていませんでした。

だから、労働者でなく知的労働者を、プロセス主義でなく成果主義を、マーケターでなく事業数字を伸ばせるビジネスマンを、一つの領域を掘って事業を伸ばすのでなく様々なスペシャリティを持つ総合的な支援を大切にしてきました。

これらは全て、新たな価値創造への転換をどこかのタイミングで行うことを前提として、個々人の役割が変わったとしても、幅広く対応していける状態をつくるがゆえのこと。

そうした社内リソースを、投資領域にも活かしていき、さらなるシナジーを生み出していきたいと考えています。そこで今期は投資事業へ社内マーケターの貸し出しを行っていきます。

あわせて独立採算制におけるインセンティブ設計も見直し、社内マーケターがすぐには売上総利益を生み出しづらい投資事業にコミットしても、成果に対してしっかりと対価が支払われる設計にしました。

おわりに

前提としてMOLTSはもともと、15年で終わることを前提としている会社でして。

昨日で6年間が終わり、始まった7期、そして続く8期、9期は、15年のちょうど中間に位置する3年間であり、大きく物事を転換するには折り返しとしてキリがいいタイミングだと思っています。

この3年で、何者かになれるか、何者にもなれないかが決まっていく。

そういう捉え方をすると、今目の前ですべきことに対する力が湧いてくる一方、時折不安が押し寄せてくることもあります。

最初は、自分とクライアントが「美味い、酒を飲む。」ために立ち上げた会社でした。ただ振り返れば6年間で、何者でもないMOLTSにジョインしてくれて、離れずに一緒に突き進んでくれて、会社を作り上げてくれる奴らが増えてきて

「こいつらに、格別に美味い酒を飲ませてえ」

と、素直に思うようになってきて。

誰かに背負われて、与えられて、人生を左右されたくない奴らの巣窟だと思うので、「てめえに美味い酒なんて飲ませてやるとか思われたくねえわ」と一喝されそうですが、それでも仲間というのはここまで不安な気持ちをかき消してくれて、気持ちを奮い立たせてくれるのかと、振り返って気づきました。

もう34歳なんですけどね、今更ですが、いい気づきでした。

そして、気づけたからよかった。メンタル好調、やったるぞ、って気持ちです。

著者情報

TAISHI TERAKURA

寺倉 大史

Media Consultant / Business Producer

業界歴9年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。藍染職人、株式会社LIGを経て、メディアコンサルタントへ。

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