オウンドメディアの成功は指標で変わる!成功事例から学ぶ設計方法

青波 美智

Content Director

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オウンドメディアの成功は指標で変わる!成功事例から学ぶ設計方法

オウンドメディアを運用してはいるものの、何を目指して良いのかわからず、いまいち効果を得られていない企業は少なくないのではないでしょうか。

オウンドメディアで成果をあげるには、最終的なゴール(KGI)と、それを達成するまでの通過点における指標(KPI)の設計が欠かせません。

本記事では、コンテンツマーケティング領域のプロがオウンドメディアのKPIについて解説していきます。読み終えるころには、下記のポイントをご理解いただけるはずです。

  • KPIとKGIの関係性
  • 実際の成功事例で用いられたKPI
  • KPIツリーの作り方
  • KPI設計で注意すべき4つのポイント

ぜひ、参考にしてください。

そもそもオウンドメディアとは

本記事ではオウンドメディアのKPIについてお話していきますが、その前に、オウンドメディアの定義を振り返ってみたいと思います。

オウンドメディアは、その名の通り「企業が保有するWebサイト」と解釈されることが少なくありません。

これに対しコンテンツマーケティング領域で様々な実績をあげてきた弊社では、オウンドメディアを下記のように定義しています。

自社が抱える事業や採用領域の課題に対して、コンテンツを正しくそして継続的に発信することで潜在顧客(ユーザー)を動かし、課題解決へと導くための手段

ただ一方的かつ闇雲にコンテンツを発信するのではなく、ユーザーと適切なコミュニケーションを取ること。具体的には「ファンになってもらう」「商品を購入してもらう」といった態度変容を促し、「認知拡大」「採用」などの自社課題の解決に繋げる方法の一つです。

そして、企業の課題解決までの戦略をコンテンツを通して共に考えるのが、弊社が得意とするオウンドメディアマーケティング領域でもあります。

KPIの設定には、達成すべきKGIが必要

それでは本記事の本題、オウンドメディアの指標について見ていきましょう。

オウンドメディアマーケティングにおける「ゴール(KGI)」と「指標(KPI)」は、例えるなら「山登り」です。

主な共通点は、2つあります。

  1. ゴールは一つだけ指標はフェーズ毎に設定する

例えば、「富士山の頂上でご来光を見る」ことをゴール(KGI)としましょう。

富士山の頂上という唯一無二のゴールを目指し、早朝(日の出前)に到着できるよう、時間を計算して登っていきます。この時、いきなり頂上の到達時間を目標とする人は少ないと思います。まずは、一番手前にあるポイント(5合目)の到着時間、次に6合目、そして7合目というように、段階的に計画を立てるのが現実的でしょう。

このようにゴール達成までのプロセスに設ける段階的な指標は「KPIツリー」と言います。

KPI設計には明確なKGIが必須

弊社では、オウンドメディアマーケティングにおけるKPIツリーの設計は、オウンドメディアを正しく運営していくための設計図だと考えています。

例えば「月間100万PVを目指したいです」といったご要望をいただくこともありますが、弊社では「なぜPVなのか」「なぜ100万なのか」を議論します。

なぜなら「100万PV」というKPIは、目標達成までの通過点でしかないからです。

決して、「100万PV」をKPIとすること自体が間違っているのではありません。ただ、「100万PV」の先に目指すKGIが明確に定まっていないと、仮にKPIを達成したとしても、プロジェクト的には本末転倒です。

先述の通り、オウンドメディアはユーザーと適切なコミュニケーションを取りながら事業課題を解決する手段です。

KPIの設定には、目指すべきゴール、つまり「オウンドメディアで何を成し遂げたいのか」を考え抜くことが必要不可欠ということを強調しておきたいと思います。

カスタマージャーニーに基づいて考えるKPIの種類

KGIが定まったら、それを達成するためのKPIを設定していきます。

この時どのようなKPIを設定すべきかは、カスタマージャーニーが大きく関係しています。

カスタマージャーニーとは、ユーザーが自社の商品・サービスを認知してからコンバージョンに至るまでの過程を、行動や心理的変化の観点から表したマップです。

KPI設定時には、このカスタマージャーニーを意識することで、ユーザーの心理状況ごとに最適なオウンドメディアの形を設計することができ、正しいKPI設定とブレのない意思決定ができるようになります。

例えば各態度において、下記のような指標が考えられます。

【集客段階】

オウンドメディアが市場認知を獲得できていない場合は、「見られている」ことを証明するターゲットキーワードの検索順位、PV数、UU、SNSでのシェア数などが考えられます。

【ファン化段階】

一定の集客が見込める、あるいは集客KPIが達成できている場合は、ユーザーエンゲージメント率を測る直帰率、ページ滞在数などもKPIとなる場合があります。
ただし全てのオウンドメディアモデルに当てはまるわけではなく、主にto CのECサイトなどで用いられます。

【成果獲得段階】

集客KPIが達成されているフェーズでは、実際の事業課題解決に直結する、コンバージョン(お問い合わせ数、資料ダウンロード数、商品購入数など)をKPIに設定することが多くなります。
ただし、コンバージョンを意図しないLPには適用させないなど、コンテンツ毎に適切なKPIを精査する必要はあります。

このようにオウンドメディアの成果指標は、プロジェクトの段階やオウンドメディアの特性によって様々で、一概に「これだけ設定しておけば良い」というKPIを断言することはできません。

まずは自社のオウンドメディアの目的をしっかりと整理し、KPIを独自に考えていく必要があるでしょう。

次章では、KPIツリーの作り方を見て行く前に、実際の事例を用いて説明します。

【事例】フェーズによって異なるオウンドメディアのKPI例

オウンドメディアマーケティングで追うべきKPIが、オウンドメディアの特徴やフェーズによって異なることはすでに説明しました。

ここでは実際の弊社の成功事例から、オウンドメディアのKPI例を見ていきましょう。

1. 検索順位が指標になるケース

ボーグル(旧:BOWGL)は、福利厚生サービスを提供している株式会社ベネフィット・ワンが運営する、働き方改革のポータルサイトです。

2017年、まだ日本政府によって「働き方改革関連法」が施行される前に立ち上がり、広告費を抑えつつも自社サービスのユーザーを増やす方法を模索していました。

そこで「福利厚生 ユニーク」「社内コミュニケーション活性化」など、「働き方改革」を直接的には含まないが認知獲得に繋がるキーワードでコンテンツSEOを実施。設定したキーワードでの「検索順位1位」をKPIに置きました。

その成果として、記事内のCTA(ユーザーを行動喚起させるためのテキストや画像)から、立ち上げから3ヶ月で、月に1件のコンバージョンに貢献。また半年後には、当初のKPIでは含んでいなかったビッグキーワード「働き方改革」でも検索1位を獲得し、問い合わせの最大化に成功しています。

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ボーグルの成長秘話については、下記もあわせてご覧ください
働き方改革や福利厚生などの主要キーワードで1位を獲得し続ける『ボーグル』成長の裏側

2. コンバージョンが指標になるケース

オウンドメディアがすでに一定数の集客に成功している場合は、コンバージョンをKPIに設けるケースもあります。

とあるテレワーク系ベンダー企業のオウンドメディア(to B向け)では、プロジェクト第一段階において十分なPVを獲得できており、他メディアとの連携などからも、市場においてある一定の認知は得られていました。

そこで、認知されてから実際のコンバージョン率を高めることを課題とし、成果指標をコンバージョン数(下記の総数)に置きました。

1. 問い合わせ数
2. 資料ダウンロード数
3. 無料体験申し込み数

この段階では、PVや検索順位をKPIとして追わない分、比較検討段階のユーザーに訴求するためのサイトリニューアルおよびコンテンツ制作、また広告運用も合わせて包括的な施策を行いました。

短期間集中型でコンテンツ制作とメンテナンスを展開し、プロジェクト開始から1年2ヶ月後に設定していた目標に対して3倍以上のリード獲得に成功。結果、サイト全体のトラ フィックか一気に底上げされ、リニューアル時に設計していた、企業とサービスの認知促進にも貢献しています。

ちなみに、「アフィリエイトサイトは収益化してなんぼなので、コンバージョンを指標とするのが正しいですか?」とは良く聞かれる質問ですが、これに対する弊社としての答えは、「場合による」です。

ECサイトやアフィリエイトサイトなど収益化を目的としたWebサイトでは、最終的な購入や問い合わせのみを追いかけがちになってしまうかもしれませんが、極端な話、PVがゼロのWebサイトにいくらコンバージョンポイントを設けても、最終成果には結びつきません。

まずは、オウンドメディアが「見られている」状態を作る必要があります。

3. 行動量が指標になるケース

PVやCVRのようなカスタマージャーニーに基づいたKPIではなく、「コンテンツを◯本公開する」といった行動指標をあえて設けることもあります。

必ずしも多くの人に読まれることを想定していないニッチな産業のWebサイトや、事例集・資料ダウンロード専用の情報サイトなどがこれにあたります。

オウンドメディアの目的や事業フェーズによって、成果指標を見直し最適化させることは常に意識しましょう。

オウンドメディアのKPIツリーの作り方

オウンドメディアのKPIは、最終目標であるKGIから逆算し、「どんな要素が揃えば各フェーズが達成できるのか」をできるだけ定量的・具体的に洗い出していきます。

例)売上の最大化をKGIをしたオウンドメディアの例

なぜ売上を伸ばしたいのか

そのために必要なパフォーマンスは何か

どれくらいのコンバージョンがあれば良いのか

それを実現させるにはどのくらいのPVが必要か

どの領域(カテゴリーなど)から攻めていくのが効率が良いか

そもそも判断できるデータはあるか

例えば「自社サービス売上の伸び悩み」という課題一つをとっても、「リピート率の向上」で解決されるのか、「購買検討しているユーザーのコンバージョン」が足りないのか、「そもそも知られていない」のかによって、KPIツリーの内容は大幅に変わってきます。

このように逆算すれば、自社のオウンドメディアが現状どの段階にいるかを判断した上で、KPIツリーを設定することができます。

その結果、戦略意図に沿ったチーム構築もでき、目的達成のための最短ルートを辿ることができるのです。

なぜフェーズ毎にKPIを設ける必要があるのか

ここまでお読みいただければ、オウンドメディアのKPIは最初から最後まで一貫して定めるのではなく、プロジェクトの段階や目的に応じて、柔軟に変更されるものだということをご理解いただけたかと思います。

KPI設計をオウンドメディアのフェーズ毎に分けるのは、ユーザーの心理状態により訴求するためでもありますが、もう一つ理由があると考えています。

それは、無駄を排除し、取るべき行動を明確化させるためです。

正直、「なんとなく他社がやっているから」といった理由でオウンドメディアを運用している企業も少なくないでしょう。確かにオウンドメディアマーケティングは、広告運用やユーザー解析など、他のマーケティング施策と組み合わせて展開することもできます。ユーザーが集まれば、オウンドメディアだけでマネタイズを行うこともできるなど、可能性は無限大です。

しかし、明確な目的、KGI、そしてKPIツリーが設定されていなければ、かえってあれこれと手出しすることで迷走してしまい、オウンドメディアマーケティングの効果を得られないことも十分に考えられます。

チームで一丸となって最短距離で成果を出すことができるよう、注力すべきKPIに優先順位をつけ、選択と集中をすることが必要不可欠です。

オウンドメディアの指標を設ける際の4つの注意点

最後に、より効果的にオウンドメディアの指標を設けるための注意点を4つだけお伝えします。

オウンドメディアマーケティング領域で多くのプロジェクトとPDCAを回してきた中で、弊社が学び得たことです。ぜひ、お役立ていただけますと嬉しいです。

効果測定できることが大前提

KPIはオウンドメディアの特性やフェーズによって異なるとはお伝えしたものの、共通認識として「SMART」なKPIを設けましょう。

「SMART」は、効果的なKPIを設計するためのフレームワークで、それぞれ下記の頭文字をとったものになります。

  • S(Specific):明確であるか
  • M(Measurable):測定可能か
  • A(Achievable):現実的に達成可能か
  • R(Relevant):ゴールと関連性があるか
  • T(Time-bound):期限があるか

オウンドメディアの成果は、先述の通り様々な指標で測ることができますが、弊社では成果を明確にて「美味い、酒を飲む」ために、出発点と着地点をしっかりと定義してプロジェクトを進めていきます。

そのためデータ集計ができていない場合は、具体的な指標を立てる前に、データ収集・分析の提案をさせていただくこともあります。

KPIは、ある一点から別の点への改善効果を測るものですが、明確なデータを元にした根拠がないと、効果測定そのものができないからです。

▼関連記事
オウンドメディアに関わるデータの収集・計測、そして具体的な活用事例については、「Googleアナリティクスとは?使い方・導入方法の全体感を解説」をあわせてご覧ください。

認知獲得の段階でPVを指標に置かない

認知獲得のフェーズでPVを指標においているオウンドメディアのケースをよく見ますが、弊社では2つの理由から、そのような提案は基本的にしていません。

1つは、PV数は季節やトレンドなど、コントロール不可能な要因に影響されてしまうこと。もう1つは、検索順位が上がれば、ユーザーが検索結果画面からサイトを訪れてくれる割合(=CTR、クリック率)が上がり、PVも自ずと増えるからです。

米国Advanced Web Ranking社による調査(2020年4月時点)では、特定のキーワードで検索順位トップを獲得したサイトの平均CTRは、約35%であることがわかっています。これは、同じキーワードを検索したユーザー10人のうち3人程度が、サイトを訪れてくれることを意味します。なお、2位では17%程度、4位以下では一桁台にまで落ち込んでしまいます。

※月あたりの検索ボリュームが500以上のキーワードデータの国際平均CTR値(2020年4月時点)

つまり、検索結果が2位から1位になっただけで、PV数は2倍に跳ね上がるのです。

このように集客を目的としたフェーズにおいては、検索順位をKPIに置くことは稀ではありません。

▼関連記事
検索1位を達成するためのコンテンツSEOの作り方については、「初心者が学ぶべきSEOライティングの基本|成果を出すための12の要素を解説」で詳しく説明しています。

ゴール達成のインパクトはあるか

指標を達成することで到達できるゴールが、企業にとって十分なインパクトをもたらすのかも見極めましょう。

例えば、大学法人向けのSaaS型サービスを提供している企業のオウンドメディアで「問い合わせ数」を指標に置くとしましょう。

文部科学省の「令和元年度学校基本調査」によれば、全国の大学機関は786校です。仮に全校舎がサービスに興味を示してくれたとしても、最大786で頭打ちとなってしまいます。

このように、設ける指標が果たして市場において現実的であるかどうかは、考え直さなければいけません。

どれだけオウンドメディアで成果を出すことができても、限界が決まっている「出来レース」になってしまっては意味がないのです。

コンテンツの役割によって適切な指標は変わる

指標を設定するときは、それが対象コンテンツにおいて妥当であるか判断する必要があります。

例えば、「読了率」「滞在率」です。

比較検討系キーワードで執筆されたSEOコンテンツや、医療系のお悩み解決コンテンツは、「読了率が高ければ良い」「滞在時間が長ければ良い」とは言い切れません。なぜなら、前者であれば早くに購入してもらうこと、後者であれば早くに対処法がわかることがベストだからです。

ユーザーが早々に”解”を得られることが大切である以上、最後まで目を通してもらうことが必ずしも良いとは限りません。

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コンテンツマーケティングとは?成果を出すための考え方と6つの成功事例」では、コンテンツマーケティングの本質的な考え方と、事業解決に貢献した事例について詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

オウンドメディアは運用してからが勝負

Facebookの創設者、マーク・ザッカーバーグ氏が言ったとされる有名な言葉に「Done is better than perfect.(完璧を目指すより、まずは終わらせろ)」がとありますが、オウンドメディアの運用においても、この姿勢は極めて重要です。

オウンドメディアのPDCAサイクルの中で、KPIが変動することは大いにあり得ます。本記事で事例にあげたボーグルも、第一フェーズでは「検索順位」であった指標を、オウンドメディアの成長や状況に合わせて「資料請求」や「問い合わせ」へと変化させていきました。最終的なゴールに対して今の指標が最適かどうか、常に問い続けてきただからです。

オウンドメディアを成功へと導くためには、最初に立てた指標に固執するのではなく、PDCAの中で柔軟に指標を設けることで理想のオウンドメディアに近づけていきましょう。

この記事を書いたメンバー

MISATO AONAMI

青波 美智

Content Director

1992年生まれ。米系リサーチ会社Guidepointのシンガポール支部でのリサーチャー、現地教育情報誌の営業・Webプランナーを経て、独立。to Bの海外渡航コーディネーターとして活動する傍ら、HR、テレワーク、観光など様々な領域のオウンドメディアでコンテンツディレクターを兼任。 2020年4月よりMOLTSに参画し、子会社KRAFTに所属。オウンドメディアの制作ディレクションや、問い合わせや資料請求等のCVに結びつくコンテンツの設計を行う。

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