オウンドメディアマーケティングとは?運用目的から活用事例を解説

田島 光太郎

Media Planner / Consultant

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オウンドメディアマーケティングとは?運用目的から活用事例を解説

昨今、オウンドメディアを運用する企業は依然として増えており、筆者田島もその運用にまつわるご相談を数多くいただいています。

しかし、その中で感じることは、オウンドメディアそのものの役割を正しく理解できておらず、運用が上手くいっていない企業がまだまだ存在するということです。改めて、オウンドメディアではどのようなことが実現できるのか、オウンドメディアを用いたマーケティングを行うためになにが必要なのか、といったことを整理してみたいと思います。

オウンドメディア運用に携わる企業担当者の参考になれば幸いです。

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別記事「1から分かるBtoBマーケティング|具体的な手法や成功事例を解説」では、累計50社以上の事業成長に貢献してきた弊社の知見を活かして、BtoBマーケティングとはそもそも何か?といった基礎知識から、具体的な手法論や成功事例について解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

オウンドメディアの役割

そもそもオウンドメディアとは、どのような役割を持っているのでしょうか。

弊社はこれまで50社以上のオウンドメディアの運用支援に携わっており、その中でオウンドメディアの定義を「事業課題を解決する手段、マーケティングツールの一つ」と捉えています。

たとえば「自社商材のお問い合わせを増やしたい」「求職者からの採用エントリー数を増やしたい」「自社ECサイトの売上を増やしたい」など、企業が抱える事業や採用領域の課題に対し、メディアを通じてユーザーとのコミュニケーションを図り、解決へと導く手段がオウンドメディアというわけです。

そのため、オウンドメディアの運用によって「リード数が増えた」「採用エントリー数が増えた」「メディア経由の商品購入が増えた」などの成果が得られれば、オウンドメディア運用における成功といえるでしょう。当然ながら、闇雲にトラフィックを集めたりコンテンツを作っていても、それ自体が成果につながらなければオウンドメディアの成功とはいえません。

オウンドメディアは、企業が抱える事業課題の解決のために運用されるべきだと考えます。

BtoB向けオウンドメディアのケース

BtoBで見られる事業課題の一つに「顧客のリードを増やす」というものがあります。この場合、オウンドメディアの主な役割はリードを増やすための「問い合わせ獲得」といえます。

リード獲得を目的としたBtoB向けのオウンドメディアは、比較検討フェーズのユーザーへ情報を発信し、中長期的にコンバージョン(CV)を獲得する役割に適しています。比較検討フェーズとは、商品の購入やサービスの利用を判断するために、検討材料となる情報を収集したり、他商品や既存のサービスと比較したりするフェーズを指します。

比較検討フェーズのユーザーは課題解決の目標が明確な分だけ、検索キーワードも明確になり、手を打ちやすくなります。例外はあるものの、リード獲得を目的とするBtoB向けのオウンドメディアは、検索をタッチポイントにメディア運用を行うことで、ユーザーとの接点が生み出せます。

オウンドメディア上で問い合わせを獲得するためには、購買意欲の高いユーザーの集客が欠かせません。単にPVやUUなどのトラフィックを見るのではなく、いかに比較検討フェーズの検索キーワードで上位表示を獲得できるかが重要になってきます

このように、「リード獲得」→「オウンドメディアで問い合わせ獲得」→「問い合わせ獲得に向けたサービスページの作成」→「記事コンテンツで検索キーワードの獲得」と、課題解決までの過程を逆算して整理してみましょう。そうすることでオウンドメディア全体の役割が明確になり、運用がしやすくなります。

そのうえで、CV数やCVR、あるいはキーワード順位や記事公開数など、フェーズごとに適切な指標を設定し、戦略を練っていきましょう。

オウンドメディアマーケティングとコンテンツマーケティングとの違い

よく似た言葉として、コンテンツマーケティングというマーケティング手法があります。オウンドメディアでもよくコンテンツを用いることが多いですが、両者の違いはどのように考えればよいでしょうか。

額面通りに受け取れば、「オウンドメディアを用いたマーケティング」と「コンテンツを用いたマーケティング」になりますが、それではピンと来ません。ただ、それぞれ明確な定義もなく、なかなか理解しづらい概念でもあります。

筆者はオウンドメディアマーケティングのコンサルタントとして日頃から運用支援に入っていますが、よくオウンドメディアの運用をお店の経営に例えたりします。オールジャンルで幅広いテーマを扱うメディアなら総合デパート、なにか1つのテーマに特化した専門メディアなら家電量販店、といった具合です。

オウンドメディアマーケティングを理解するために、以下のように考えてみましょう。

メディア=店舗、コンテンツ=販売員で、考えてみる


※今回は、オウンドメディア=自社保有のWebメディアとして考えてみます

オウンドメディア運用を家電量販店経営に置き換えると、オウンドメディア=「店舗」そのもので、それぞれ専門の情報を持ち合わせているという意味ではコンテンツ=「販売員」です。販売員が接客を行い、お客さんに欲しいと思ってもらい、その結果商品を買ってもらう、つまり家電量販店における「成果」として売り上げが生まれるわけです。

筆者も実際に家電量販店の経営をおこなっているわけではありませんが、売上向上のためにさまざまな工夫がされていることかと思います。

  • 店舗に足を運んでもらうための「集客施策」を行なっている
  • お客さんの困ったを解決するために、「専門的な知識を持った販売員」を適材適所に配置
  • 販売員には正しい知識を持たせるだけでなく、「クロージング」も強化
  • 商品を「カテゴリ」で分けそれぞれに販売員を配置し、目的の商品や情報を探しやすくしている

ほかにも家電量販店ならではの経営手法や施策が用いられているかと思いますが、オウンドメディア運用に当てはまることも多いです。オウンドメディアもユーザーを呼び込むための「集客施策」を行い、コンテンツによってユーザーと「コミュニケーション」を図り、その一連のプロセスを通じて「成果」を上げていく、というイメージです。

さて、オウンドメディアマーケティングとコンテンツマーケティングの違いに話を戻すと、オウンドメディアを用いたマーケティングは店舗全体で成果をあげる手法、コンテンツマーケティングは販売員単位で成果をあげる手法と考えることができます。

販売員単位というとイメージしづらいですが、たとえばお店の外で販売員が実演販売している状態を想像してみてください。優秀な販売員であれば、お店のブランドや集客力に頼らずとも自らの力で集客し、商品の魅力を伝え、実際に商品を買ってもらうことはできるでしょう。比較的コストをかけずに実行でき、早ければ1日でも十分な成果をあげられるかもしれません。

ただ、やはり店舗と比べるとなると集客力や売上規模は敵いません。コストは抑えられても、取れる戦略の幅は小さく、得られる成果は限られてしまいます。

このように販売員だけの力で売り上げを上げていくのか、それとも販売員の力も借りながら店舗全体で売り上げを上げていくのか、と比較しながら考えるとオウンドメディアマーケティング、コンテンツマーケティングの違いも見えてくるのではないでしょうか。以下に整理してみます。

オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違い

オウンドメディアの中にコンテンツが蓄積されるため、両者は親子関係のようなものです。どちらの手法が正しいというわけではなく、求める成果に対してどちらの施策が適切なのか、それぞれの特性を理解しておくことが大切です。

コンテンツマーケティングについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

オウンドメディアマーケティングで実現できること

さて、オウンドメディアマーケティングの概念を理解したところで、もう少し具体的な話に入っていきます。実際にオウンドメディアマーケティングを行うことで、どのような成果が得られるのか、これまで携わってきた企業の成功事例から見ていきましょう。

1.CVを約3.8倍に伸ばしたBtoBオウンドメディアの例

企業の広告運用担当向けに、販促ツールを提供していた企業の事例です。

お取り組み時のオーダーとしては、自然検索経由でのコンバージョン(リード)最大化に対する支援でした。当時の課題として、自社のブランド名検索でも上位表示されず、ほとんど広告流入に依存していた状態だったためです。

サービスの仕様変更に伴いオウンドメディアがリニューアルされるとのことで、そのタイミングでサイト設計から見直すこととしました。今回のターゲットとなりうるペルソナの設計から、カスタマージャーニー設計、自然検索経由の流入設計、リード獲得に至るまでの経路設計、そしてコンテンツの実制作の部分まで、コンサルティングとしてアドバイスをさせていただきました。

その結果、リニューアルから半年で自然検索経由のトラフィックは約23倍、コンバージョン獲得も約3.8倍アップという大きな成果を出すことができました。結果的に広告流入の比率を下げることとなり、コスト削減にも貢献しています。

2.約1年で新規ユーザーの集客を0から月間10万人まで伸ばした飲料系メディアの例

複数の自社事業をつなぐ情報発信の場としてオウンドメディアを立ち上げることになった、飲料系企業の事例です。

事業間をまたいだ横断的なマーケティングができていないことが課題として挙げられ、そのハブとしてオウンドメディアを運用することに。ユーザーとのタッチポイントを一つのメディアに絞ることで、最終的に自社事業の顧客となりうる新たなユーザーを獲得することを狙いとして定め、運用をスタートさせました。

すでにクライアント社内でメディアの構想は練られていたため、弊社は成果指標である「新規ユーザー数」の目標達成に向け、マーケティング観点でオウンドメディアの設計支援および運用に入りました。具体的には、見込み顧客となるユーザーのペルソナ像を設定し、継続的な流入につながるよう検索流入中心のキーワード設計、そして実際のコンテンツ運用までを実施しました。

立ち上げ前のまったくゼロの状態からスタートし、結果1年強で新規ユーザー数は月間10万UUを達成。検索クエリをみると、ほとんどが想定どおりのキーワードで流入しており、初期のキーワード設計がうまく機能しました。

今後はオウンドメディアを中心に、ECサイトの強化やオフラインのコンテンツ強化にもつなげていくとのこと。まさに、オウンドメディアをハブとして各事業部が動き始めた状態になりました。

3.未経験メンバーでも月100万円のアフリエイト収益を獲得したエンタメ系メディアの例

エンタメ関連のオウンドメディアを運用する企業の事例です。

オウンドメディア運用やマネタイズ戦略のノウハウが不足しているなかで、オウンドメディア単体でのマネタイズや収益最大化を実現させることを直近の事業課題として依頼を受けました。

全体としては月2回の定例ミーティングで進捗・タスクの振り返りを行いつつ、オウンドメディア単体での収益最大化に向けたプロセスの落とし込み、戦略設計のサポートをしました。まずはアフィリエイトを基盤とした収益化からスタートし、商材選定や検索流入を軸にしたキーワード設計・コンテンツ設計・制作・運用に至るまでのアドバイザリーを行いました。

その結果、半年後にはアフィリエイトの収益が発生し、1年後には月100万円の収益発生を達成できました。CVへ直結するキーワードや、それ以外のインフォメーショナルクエリで検索結果上位を獲得し、前年比で1400%のトラフィックが流入するようになりました。アフィリエイトの掲載依頼がくるようになり、特単交渉も進展しました。

アフィリエイト収益はいまなお拡大し、今後はその収益をベースとして新たな事業へと展開し、オウンドメディアとしては第2のフェーズに入っていくことになります。


ここに述べたリード獲得や新規ユーザー獲得のほか、ECサイトでの購買強化や、自社プロダクトの展開を見据えたメディア収益の拡大など、弊社ではそれぞれの企業課題に合わせたオウンドメディアマーケティングを支援しています。

参画したプロジェクトはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。

事例一覧|業界・支援内容別|MOLTS(モルツ)

オウンドメディアマーケティングの実践に必要なこと

最後に、オウンドメディアマーケティングで成果を出すためのポイントをご紹介します。

これからオウンドメディアを立ち上げるケース、すでに運用を行なっているケース、どちらにも当てはまる考え方なので、ぜひ参考にしてみてください。

オウンドメディアの運用目的と成果指標を定義する

冒頭の章で、オウンドメディアは「事業課題を解決する手段、マーケティングツールの一つ」とお伝えしました。その言葉のとおり、オウンドメディア運用の成否は「事業課題が解決できたか、解決につながったかどうか」に懸っています。

そのため、どのようなオウンドメディアを運用する場合でも、なにをもって解決したといえるのか、解決すべき課題と、達成基準となる成果指標を定義する必要があります。

たとえば、自社サービスの利用者拡大に向け、課題として「見込み客との接触機会の創出」があげられる場合、成果指標として「リード獲得数」、目標は「◯月までに△件」、といった具合です。

もちろんリード獲得数以外にも、会員登録数、新規ユーザー数、リピーター数、指名検索数などと、定義すべき成果指標は事業課題によりさまざまです。

そのため、「自社が抱える事業・採用課題は何か?」「オウンドメディアを用いて、それらの課題をどのように解決したいのか?」「どうなったら、解決できたといえるのか?」といったことから、オウンドメディアが目指すべき方向性を策定しましょう。

成果達成に向けたストーリー(戦略)を設計する

解決すべき課題や達成基準となる成果指標が定義できれば、達成に向けた戦略を練っていきます。

「リード獲得」を成果指標として考えた場合、戦略のひとつとしてたとえばコンテンツSEOを軸とした設計・運用が考えられます。自社商品・サービスの購買見込みがあるユーザーや興味関心が高いユーザーにターゲットを絞り、ターゲットが検索しうるキーワードを中心に検索上位を獲得していく戦略です。

この場合、コンテンツを多く作ることやトラフィックを伸ばすことよりも、購買意欲の高いターゲットユーザーが検索するキーワードで、いかに検索上位を獲得していくかが重要です。むやみにコンテンツ数を増やすのではなく、狙うべきキーワードの設計やその順位獲得に注力します。(このような購買意欲が高いであろうキーワードを「比較検討フェーズのキーワード」と呼んだりします)

このように、戦略設計ではやるべきことを決めるのと同時に、やらないこと、諦めることを決めます。どのようなケースでも人やお金、時間は無限ではなく、投下できるリソースは限られています。その中で成果獲得のために最短ルートを走っていくためには、やることを決めるのと同じくらい、やらないことを決めることが大切です。

限られたリソースをどこに投下すべきか、あらゆる仮説から考えられる正しい戦略設計を行いましょう。

すべては実行あるのみ。運用体制を構築する

戦略が大事とはいえ、理想的なストーリーを描いただけではなにも意味はありません。その正しさは結果が証明するほかないので、やること、やらないことを決めた以上、実行し、やり切ることに全力を注ぎましょう。

すでに運用されている担当者の方々には周知の事実かもしれませんが、オウンドメディア運用においてやるべきことは多岐に渡ります。先ほどのリード獲得に向けたコンテンツSEOの戦略を例に挙げてみると、

  • メディアコンセプトの設計(一貫したテーマ設定、メッセージの統一)
  • リード獲得に繋がるキーワード設計、キーワード選定
  • コンテンツ制作体制の構築
  • 制作フローの構築
  • コンテンツスケジュールの設定
  • コンテンツ設計、企画
  • コンテンツレギュレーションを決める
  • ディレクション、ライティング、編集、監修などの実制作
  • 検索上位をとるためのメンテナンス、コンテンツ改修

などでしょうか。その他、会議体を決めたり、ツールを活用したコミュニケーションフローを決めたりと、実行フェーズは想像以上にやることが多く、それだけ多くの時間を要します。目標達成に向けた行動計画を立て、特に成果が出ない立ち上げ初期は、行動量をこなすことを最優先に考えましょう。

社内にリソースが不足している場合は、外部リソースの活用も検討したり、そもそもの戦略設計から見直し、コンテンツ制作領域を絞るなど投下すべきリソース配分を再検討してみてください。

指標の計測設定と適切な評価を行う

実行フェーズに入れば、検証と改善の繰り返しによって成果を積み上げていきます。振り返りのためには、追うべき指標の現状把握と、目標にギャップがある場合はその課題分析と対策が必要です。

リード獲得を目的としたコンテンツSEOであれば、まずは狙うべきキーワードで検索上位を獲得できているかが重要です。Googleサーチコンソールなどを用いてキーワードの順位状況を把握し、改善に向けた対策を打ちましょう。

これまでも複数の企業でオウンドメディア運用に携わってきましたが、見るべき指標を多く設定しないのがコツです。コンテンツSEO戦略のケースでは、獲得できた「コンバージョン数」のほか、「対策キーワードの検索順位」や「コンテンツ公開本数(≒保有キーワード数)」が中心で、分析のためにインプレッション数やCTRなどを把握しておく程度です。

あまり多くの指標を立てすぎると、リソースを投下すべきポイントがブレてしまったり、データの把握だけで時間がかかったりと本末転倒です。限られたリソースを効果的に投下していくためにも、見るべき指標を絞ることが大切です。

事業課題解決の手段と捉え、正しい運用を行いましょう

今回はオウンドメディアマーケティングをテーマに、そもそもの考え方から、コンテンツマーケティングとの違い、オウンドメディアマーケティングで実現できること、実現のために必要な考え方をお伝えしてきました。

聞き慣れない言葉ではあるものの、その本質が「事業課題を解決するための手段」と捉えれば、考えるべきことはシンプルです。なんのためにオウンドメディアを運用するのか、それによって解決したい事業課題はなんなのかを明らかにし、成果獲得に向けた正しい運用を行いましょう。

弊社も数々のオウンドメディア運用のご相談をいただき、コンサルティングに入るケースが多いですが、明確な成果指標が立てられていなかったり、そのための戦略設計でつまづいているメディアも多いです。裏を返せば、オウンドメディアの設計を正しく行うことで、大きくグロースするケースも往々にしてあります。

もしオウンドメディア運用につまづいている、なかなか成果がでないとお困りであれば、まずは運用目的や成果の定義、あるいは戦略設計の部分から見直してみてください。

この記事を書いたメンバー

KOTARO TAJIMA

田島 光太郎

Media Planner / Consultant

1990年、大阪生まれ。新卒入社した企業にて新規事業となるオウンドメディアの運用に立ち上げ期から参画。コンテンツディレクターとして企画〜制作〜分析などに携わり、開設約2年半で月間400万ユニークユーザー規模へと成長。コンテンツSEOを軸としたメディアのグロース、マネタイズ運用を経て、2018年5月より株式会社MOLTSへ参画。子会社の株式会社KRAFTに所属し、現在はオウンドメディア・コンテンツマーケティングを用いたプロジェクトの立ち上げ・戦略設計、インハウス運用支援、運用代行を行う。2020年9月より同社執行役員に就任。

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