BtoBオウンドメディアの成功事例|施策例や効果・重要性
この記事でわかること
- 多くのBtoB企業がオウンドメディアに取り組む理由
- BtoBのオウンドメディアでリード獲得を成功させた事例
- 取り組む際のポイント
「BtoBのオウンドメディアを始めたいけれど、何から手をつければいいのかがわからない」「BtoBオウンドメディアを運用しているものの、成果につながっていない」このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
弊社では、オウンドメディアを「企業の事業・採用課題を解決するためのメディア」と定義しています。
例えば、BtoBのオウンドメディアとして情報を発信し、商品・サービスの認知拡大やリード獲得に繋げることで、企業のマーケティングや営業領域における「事業課題」を解決することが可能です。
近年、新型コロナウイルスなどの影響から、社内のマーケティング施策をアウトバウンドからインバウンドにシフトする企業が多くなりました。
しかし、インバウンドマーケティングの施策としてオウンドメディアに取り組んだものの、成果が出せていない・改善すべき点がわからないといったケースもよく見られます。
BtoBのオウンドメディアを運用するには、適切に戦略を立てて実行していくことが重要です。まずそこからできていなければ、企業の課題解決に繋がらない無意味なコンテンツを発信し続けてしまう可能性があるのです。
本記事では、BtoBオウンドメディアでリード獲得をおこなう具体例やメリット、戦略を立てるポイントを詳しく解説しています。
これからオウンドメディアの運用を開始したい、BtoBオウンドメディアを改善したいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事におけるリード獲得の定義を「お問い合わせ獲得」とし、話を進めていきます。
オウンドメディアの運用に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
オウンドメディアの立ち上げや運用にお困りではないですか?
オウンドメディアは、適切な戦略設計に基づき正しく運用することで、事業成長を加速させられる可能性があります。
- オウンドメディアを立ち上げ、インバウンドでの顧客獲得を行いたい
- すでに運用しているものの、思うような成果が得られていない
- 社内にリソースがなく、最適な運用ができていない
このようなお悩みは、数々のオウンドメディアマーケティングの支援で成果をあげてきたTHE MOLTSにご相談ください。業界歴10年のプロフェッショナルが、戦略設計や実行支援、組織構築など、貴社の事業成長に必要なご提案をいたします。
オウンドメディアに注力するBtoB企業が多い理由
近年、アウトバウンドマーケティングから、オウンドメディアを含むインバウンドマーケティングにシフトするBtoB企業が増えています。
なぜそのように変化しているのかというと、急速にインターネットが普及して情報収集がしやすくなったことや、冒頭でもお伝えしたコロナ禍の影響など、顧客を取り巻く環境が大きく変化しているからです。
従来は展示会やオフライン施策をおこなっていたものの、コロナ禍によって対面の営業が難しくなったことで、オンライン施策に取り組む企業が増えました。
またそのような他社の取り組みを参考にすることで、アウトバウンドマーケティングのみをおこなっていた企業が、インバウンドマーケティングにも取り組もうとしているケースもよく見られます。
ユーザーも営業による受け身の情報収集ではなく、Webの検索で情報収集や比較検討を行うなど、積極的な情報収集を行うことが多くなりました。
実際に株式会社メディックスが行ったアンケートでは、以下のような結果が出ています。
IT製品選定者、製造製品選定者とも、「認知のきっかけ」フェーズでの情報収集源として、【展示会、専門イベント】【ベンダ・メーカーが主催するイベントやセミナー】が2019年度と比較して減少。対して、【ベンダ・メーカーのホームページ】の割合は、2019年度と比較して増加しており、製品選定者の情報収集源がデジタルにシフトしている。
特にBtoB領域では検索エンジンを活用するユーザーが多いため、コミュニケーション方法を正しく考えたうえで、オウンドメディアにてコンテンツを公開し検索上位を獲得すれば、リード獲得に繋げることができるのです。
また詳しくは後述しますが、オウンドメディアによって検索エンジンをタッチポイントにした集客を行うことで、サービスの利用に至りやすい「比較検討フェーズ」のユーザーと接点を取ることができ、効率良くリードを獲得できる点も、オウンドメディアが注目されている一つの理由です。
BtoBのオウンドメディアでリード獲得を行う具体例
BtoBのオウンドメディアについてより理解を深めるために、リード獲得をおこなう具体例として、弊社THE MOLTSが運用するオウンドメディア「KAAAN」を参考にして解説していきます。
弊社は、リード獲得を目的としてオウンドメディアを運用しており、主に検索エンジンからの流入を獲得し、それをリード創出に繋げています。
例えば、「リスティング広告」というキーワードでGoogle検索をすると、上位に弊社の記事が表示されます。
※引用元:Google
この記事をクリックしてもらうことで、検索経由でリスティング広告に悩んでいるユーザーと接点を持つことができます。また、記事の内容で価値を提供し、ユーザーを「記事コンテンツ→サービスページ→問い合わせ」といった流れで誘導しているのです。
記事内には、以下のような誘導ボタンを設置しています。
■誘導ボタン
サービスページ内では、提供するサービスや費用などについて詳しく紹介しており、弊社について理解していただいたうえでお問い合わせができるように、お問い合わせフォームへの誘導ボタンを設置しています。
リードの獲得数を増やすには「比較検討系の検索キーワードでいかに上位表示ができるか」にかかっている
まず、「多くのリード獲得をするにはどうしていくべきか」について解説します。
結論から言うと、リードの獲得を目的としてオウンドメディアを運用する場合は、ユーザーがお問い合わせをする一歩か二歩手前の検索キーワード(比較検討ファネルに位置するキーワード)で上位表示を獲得することで、お問い合わせ数を増加させることができます。
例えば、「新規顧客獲得に悩むBtoB企業の担当者Aさん」が、オウンドメディアを経由してお問い合わせに至るまでの一連のステップをもとに考えてみましょう。
認知や興味関心の段階よりも、お問い合わせに近い比較検討をしているときの方が、より自身のやるべきことや課題がはっきりとしています。そのため、この段階のユーザーへ自社のアプローチをすると、お問い合わせにつながる確率が高くなるのです。
つまり、検索キーワードでリードを獲得したい場合、まずはこのお問い合わせに近いキーワードで、いかに検索上位を獲得し多くのユーザーに読んでもらうかが重要になります。
検索をタッチポイントにするのであれば、1位を目指すことが不可欠
先ほど「検索キーワードで上位を獲得」と表現しましたが、実際には一位を獲得できなければ、あまり効果は見込めません。その理由は、検索結果の2位以下のクリック率は、1位の記事と比べて大幅に下がってしまうからです。
米国Advanced Web Ranking社によるデータ(2023年10月時点)によると、狙ったキーワードで検索1位を獲得した際の平均CTR(クリック率)は約45%です。そのキーワードで検索したユーザーのうち、45%の人が1位に表示されたページをクリックします。
しかし、2位が約17%前後、3位が約13%前後、4位ともなれば約6%と1桁になってしまいます。
この事実から、一位以外はあまり成果が得られないと言えるのです。そのため、オウンドメディアを運用する場合、1位を獲得するための努力が重要になります。「オウンドメディアを立ち上げればリードが取れる」というわけではない点に注意が必要です。
1位獲得のためのコンテンツ制作については、別記事でご紹介しています。
BtoB企業のオウンドメディア4つの成功事例
BtoB企業がオウンドメディアを通して成果に繋げるイメージをより深めていただくため、本章では、弊社が支援した企業の取り組みをもとに、他社の成功事例についてご紹介していきます。
リード獲得件数が26〜32.5倍に急成長できたウィルオブ・ワークの事例
ブランドビジョンに「Chance-Making Company」を掲げる株式会社ウィルオブ・ワーク。
同社ではもともとアウトバウンド営業を中心としたリード獲得を行っていましたが、より効率的にリードを創出するための施策として、検索をタッチポイントとしたオウンドメディアの運用に取り組むことになりました。
成果指標を、法人リードの獲得に設定し、検索からの流入を増やすために、コンテンツSEOに取り組み記事数を確保することに注力しました。
デジタルマーケティング部のマネージャー自身が、およそ3ヶ月間、1日1本のコンテンツを作成することに。とことんユーザーと向き合いながらオウンドメディア運営をし続けた結果、取り組みから約1年半でリード件数は毎月130件前後まで急増しました。
また、お問い合わせ件数が増えるだけではなく、獲得した問い合わせから億を超える売上を作り出すことに成功しました。
半年でリード数10件→500件へ成長させたSAKIYOMIの事例
Instagramの運用代行やコンサル、運用支援ツールの提供をする株式会社SAKIYOMIでは、自社のリード獲得を目的としたオウンドメディアを運営しています。
当初から、将来的にはオウンドメディアを軸にインバウンドでCV獲得ができる体制を目指し、社内で制作を全て内製化。その後、3カ月で100記事ほどのコンテンツを制作しました。
しかし、コンテンツの掲載である程度の流入は見込めたものの、想定していた成果に繋がっていないという運営上の課題がありました。
ある程度の流入の確保ができていたこと、またそれに連動する形で検索の上位表示が獲得できていた背景から、課題は「成果に結びつけるための導線がないこと」という現状を加味し、CTA改善施策と戦略的リライト施策を実行しました。
例えば以下のようなCTAを作成し、記事を読んだユーザーをコンバージョンへと繋げるための施策を実施しました。
結果、リード創出は月10件→500件増加し、そのうち月間40〜50件が安定してアポ獲得、月5件はオウンドメディアから安定して受注できる体制を整えることができました。
3カ月でリード獲得数を4,000件に増加させたボクシルマガジンの事例
『ボクシルマガジン』は「テクノロジーで社会の非効率を無くす」というミッションのもと、営業やマーケティング活動の自動化サービスを提供している株式会社スマートキャンプが運営するオウンドメディアです。
オウンドメディアでの長期的なリードの獲得には、適切なキーワードで検索1位を取ることが重要です。そのため、キーワードツリーとコンテンツツリーを活用しながらリード獲得のために必要なキーワードを綿密に選定をしたうえで、そのキーワードで1位を獲得するということを重視していきました。
結果、掲載しているコンテンツの1/5は1位を獲得し、リード獲得数は3カ月で4,000件に増加しました。オウンドメディアは企業の課題解決がなされなければ意味がありません。課題を解決することのできるキーワードを選定し、1位を獲得していくことが重要なのです。
半年間でリード獲得数が10倍になったテレワークナビの事例
『テレワークナビ』は「テレワークで日本を変える」というスローガンの下にWeb会議システムやテレビ会議システムなどのテレワークに関するサービスを提供している株式会社ブイキューブが運営するオウンドメディアです。
お取り組み開始前より400~500件あったリード総数を、1年間で3倍の1,500件にするという目標を掲げ取り組みが始まりました。
特に最初の2ヶ月間は120〜130コンテンツのリライト、そして新規コンテンツの制作を行い、BtoBのオウンドメディアのポイントの4つ目である「行動量をとる」と言う点を重視していきました。
結果、新型コロナウイルスなどの影響も追い風となり取り組みを始めてから半年ほどで獲得リード数は10倍以上に。当初の目標であった1年間よりも早く、1,500件のリードを獲得できました。
92ヶ月間で120〜130コンテンツのリライトとそして新規コンテンツの制作を行っていくことは、行動量としては多く非常にハードに思われます。しかし、選択と集中しやるべきことを明確にした上で適切な行動量を積んだことこそが目標であったリード数の増加に繋がったのだと言えます。
今回の株式会社ブイキューブの『テレワークナビ』の事例から、オウンドメディアの成功には一定の行動量が必要であることを理解していただけたのではないでしょうか。
BtoB企業がオウンドメディアを立ち上げる3つのメリット
ここまで、BtoB企業がオウンドメディアを運用する理由やリード獲得の具体例を紹介しましたが、「オウンドメディアをやるべきか」でお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そこで、以下のオウンドメディアを立ち上げるメリットについて解説していきます。
- 長期的な集客が見込める
- 広告費の削減が期待できる
- 費用帯効果が高い
これらのメリットを踏まえたうえで、自社にオウンドメディアは必要かを検討してみましょう。
長期的な集客が見込める
オウンドメディアでユーザーのニーズを満たす良質なコンテンツを発信することで、長期的な集客や認知拡大が見込めます。
例えば、リード獲得を目的に検索エンジン経由で集客を行う場合、検索順位1位を維持し続けることができれば、継続的にユーザーと接点を持ちコンバージョンへと繋げていくことができるでしょう。
ただし、上位表示させるための施策は競合もおこなっているため、そのコンテンツの価値が低下しないように、上位表示を達成した後も定期的なメンテナンスをおこなう必要があります。
広告費の削減が期待できる
Web広告を運用した場合、広告費がかかります。中には、CPAが高騰したことで、オウンドメディアからの集客を検討しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
オウンドメディアの運用には広告費が必要ないため、そこからリードを獲得できれば、それまでかけていた広告費を削減できる可能性があります。
実際に、弊社にご依頼いただいた中で、広告施策をメインとして行っていた企業がオウンドメディアに取り組み、広告費の割合を減らしつつ、4か月で売上が昨対比140%を達成したという例もあります。
目的にマッチしていれば費用対効果が高くなることも多い
オウンドメディアはコンテンツ制作やサイト構築などで費用がかかりますが、長期的に見ると費用対効果は高い施策と言えます。なぜなら、先ほども解説したように、リード獲得を目的とする場合は、上位表示を達成しながら順位をキープできれば、安定して長期的な集客が見込めるからです。
また、BtoBはBtoCに比べて単価が高い傾向にあるため、オウンドメディアに投資した費用の回収もしやすいでしょう。
BtoB企業がオウンドメディアを立ち上げる2つの注意点
オウンドメディアにはいくつものメリットもありますが、以下のようなデメリットも存在します。
- 効果が出るまでに時間がかかる
- リード獲得を目的とする場合、SEOに関する深い知識が求められる
では、デメリットについても詳しく見ていきましょう。
結果が出るまで時間がかかる
オウンドメディアを立ち上げても、すぐに成果が得られるわけではありません。例えばリード獲得を目的としてSEOに取り組んだ場合、コンテンツを制作・公開したとしても、Googleに評価されてランキングに表示されるまでに数か月の時間を要するケースもあるからです。
また、最初から1位を獲得できるケースは少ないため、リライトを繰り返して記事の品質を高めていく必要もあります。
リライトを実施するには、どの記事のメンテナンスが必要か、どのような情報が不足しているか、どこがニーズとずれているのかといった分析や、それを基にしてライティング作業を行うため、時間がかかります。
これらのことから、オウンドメディアの成果が出てきたと実感できるまでには時間がかかるため、計画を立てる際にも短期ではなく中長期で検討しなければなりません。
リード獲得を目的とする場合、SEOに関する深い理解が求められる
オウンドメディアで成果を上げるには、さまざまな専門知識が必要です。
例えば、
- 自社の課題解決に繋がるキーワードはなにか
- ユーザーのニーズはどのようなものか
- どのような情報があれば、ユーザーが満足するのか
といった分析が必要で、さらにライティングや記事内に入れるイラスト・CTAの作成も行わなくてはなりません。また、SEOの観点から見ると、質の高い記事制作だけでなくサイト構成なども重要になります。
リード獲得を目的としてSEOに取り組む場合、十分な知識がなければユーザーのニーズを満たしてGoogleに評価される記事制作はできません。
場合によっては、専門家への相談が必要になるでしょう。
- オウンドメディアを新規で立ち上げたい
- メディアを立ち上げ、運用を続けているものの、一向に成果が出ない
- 外部のパートナーに任せっきりで社内にノウハウがなく、運用をインハウス化していきたい
BtoB企業のオウンドメディアの戦略を立てる6つのポイント
オウンドメディアの戦略は、それぞれの企業で何一つとして同じ条件はなく、事業分野、従業員数、オウンドメディアの担当メンバー体制から運用予算まで、同じ戦略で進められることはありません。オウンドメディアの戦略設計は、オウンドメディアの数だけ多様にあるといっても過言ではありません。
ただし、そんな中でも共通しているポイントがありますので、本章ではオウンドメディアの戦略を立てる際の6つのポイントを紹介します。
- 戦略を考える前に「目的から成果を定義」する
- オウンドメディアの戦略はフェーズを分けて考える
- 最短ルートを歩むために、リソースを集中させる
- 事業の成功から逆算した指標の設計をおこなう
- 基盤づくりのための、行動量を増やす
- ペルソナとカスタマージャーニーマップを定める
1. 戦略を考える前に「目的から成果を定義」する
そもそもオウンドメディアとは、企業が抱えている事業・採用課題を解決するための手段としてのメディアです。そのため、まずは「何のためにオウンドメディアを運用するのか」という目的を決める必要があります。目的は企業によって様々です。
例えば、
- 商品やサービスの売上拡大のため
- 採用効果を高めるため
このような目的が定まったら、目的を達成したと言うためには「どのような状態になれば成果と言えるのか」を考える必要があります。
商品やサービスの売上拡大が目的であれば「お問い合わせ数」や「資料請求数」といったリードの総数が成果になり、採用が目的であれば「採用のエントリー数」が成果になります。
2. オウンドメディアの戦略はフェーズを分けて考える
企業によってはオウンドメディアを運用する目的がひとつでない場合があります。
目的が複数ある場合は、同時進行で進めていくのではなく、目的ごとにフェーズを区切って戦略を立てていく必要があります。
たとえば、リードの獲得とブランディングをどちらが先のフェーズで行うべきかは、自社の優先度合いによります。まずリードの獲得が最優先なのであれば、リードをいかに取るのかといった戦略から先に組み立て、一定の成果が得られた時点でブランディングの施策へと移行していきましょう。
3. 最短ルートを歩むためにリソースを集中させる
オウンドメディア運用では、目的の達成まで最短のルートを歩むことを意識しなければなりません。
しかし、多くの企業では、オウンドメディアにかけることのできるリソースは限られています。そんな中で闇雲に施策をとっても成果に直結せず、目的を達成するためにかえって時間がかかってしまうでしょう。
「いかに無駄なく成果を出せるか」という視点で、正しい戦略設計をもとに、リソースの選択と集中を行う事が大切です。
4. 事業の成功から逆算した指標の設計を行う
弊社がこれまで多くのメディア運営を支援してきた中で、成果に伸び悩んでいるオウンドメディアでは、指標を「PV」や「UU」といったトラフィックに関するものに設定しているケースを多く見てきました。
もちろん、その指標がゴールとイコールとなっていれば問題ありません。しかし、なぜこの指標を設定したのかを聞くと、事業課題に対して乖離している設定が多く、「なんとなく目の前にある数値を追っている」という企業が非常に多いように感じました。
なぜこのようなことが起きるのかというと、オウンドメディアの運営が「どのように事業、ひいては企業の成功につながっていくのか」をイメージができてないことが原因であると考えられます。
例えば、オウンドメディア運営における目的が「リード獲得」だったとします。
以下の図は、オウンドメディアにおけるリード獲得から売上までを可視化したものです。このように1枚の絵に書くことで、メディア運営がどのような役割を果たしているのかが明確になります。
※CTAとは、コールトゥーアクションの略でサービスページやコンバージョンへ促すためのバナーなどの仕掛けのこと
本来であれば、これが頭の中に描けたうえで、「自社で何を目標としてメディア運営をしていくべきか」という指標が見えているはずです。しかし、多くのメディア担当者が、「施策単位」で成功を定義し進めているため、ゴールにそぐわない指標の設定をしてしまいます。
まずは、オウンドメディアを運営することを目的とするのではなく、「事業課題を解決する手段」であることを正しく認識しましょう。そのうえで事業の成功とは何か、そのためにオウンドメディアを活用して何をしていくのかを定義し、運営していく必要があります。
5. 基盤作りのための行動量を増やす
前述したように、オウンドメディアを立ち上げる際には、事業の成功を定義し、そこから逆算した指標の設定を行う必要があります。しかし、初期フェーズで詳細な指標を設定する必要はありません。
もちろん施策が進めば、お問い合わせを獲得するために、
- 記事のセッション数
- CTAのCTR
- サービスページへの送客
といった細かいKPIの設定は非常に重要です。
しかし、これらはコンテンツがきちんと上位表示され、ある程度のセッション数を確保できている場合の話になります。つまり、最初に肝心なのはお問い合わせ数を増やすために必要な数値を追うのではなく、成果を上げるための基盤作りが重要なのです。
そのためには、初期でコンテンツを作るためのチーム体制の構築をゴールにする、そのチームで月10本の記事を作る、などの基盤を整えるためのKPIを設定します。
オウンドメディアで成果を上げるためには行動量が欠かせません。行動量がないところに戦略があっても意味はなく、戦略を正しく実行させられません。
これまで成果を上げてきた多くの企業もまた必ずといっていいほど一定の行動量を積んでいたことでしょう。
6. ペルソナとカスタマージャーニーマップを定める
オウンドメディアで成果を上げるためには、ユーザーとのコミュニケーションの設計や、ユーザーのニーズを満たす記事の制作が不可欠です。
ターゲットとなるユーザーのニーズを把握し、どのようにコンバージョンに至るのかを理解するために、ペルソナの設定とカスタマージャーニーマップの作成をおこないましょう。
ペルソナとは、サービスやプロダクトを販売するときに重要となる人物像のことであり、カスタマージャーニーマップとは、ユーザーのゴールまでの道筋を描いたものです。
今回の場合、お問い合わせをゴールとした時にターゲットユーザーがどのように態度変容を繰り返していくのか、そのステップを記したものです。
例えば、弊社へのお問い合わせ獲得を考えた際、以下のようなターゲットが、態度変容を繰り返しながらゴールであるお問い合わせへと辿り着くことがわかります。
マーケティング部にお問い合わせが欲しいという課題を、「キーワード」として顕在化させることで、課題解決を試みます。
このターゲットユーザーを獲得しようと考えた場合、検索を接点としたコンテンツを制作することで、私たちを知ってもらう+問い合わせをしてもらうきっかけを作ることが可能です。
今回は例として、一つのターゲットについて深堀をしていきましたが、実際にターゲットとなるユーザーが複数いる場合もあり、その分のカスタマージャーニーマップを作ることでより多くの課題やニーズが見えてくることもあります。
また、これらはあくまで仮説であり、そもそもコンテンツを作り、メディアに掲載させることでお問い合わせが獲得できるのかどうかを確認しなければなりません。
もしも検索で成果が上がるのであれば、検索を主としたコンテンツ制作を引き続き進めるべきです。しかし、ここで成果が上がらないのであれば、ターゲットの見直しをしつつ戦略自体を変更して施策を進める必要があります。
このように、ゴールから逆算し、ペルソナを定めカスタマージャーニーマップを引いてみることで、マーケティング戦略の全体像が定まり、自然と何をすべきかが明確になります。
まとめ|BtoB企業のオウンドメディア運営は全体像をきちんと把握しよう
今回の記事では、BtoB企業のオウンドメディア運営の必要性や、戦略を立てる重要なポイントについて話を進めてきました。最後にまとめをご紹介します。
オウンドメディアに取り組むBtoB企業が増えた理由として、急速にインターネットが普及して情報収集がしやすくなったことや、冒頭でもお伝えしたコロナ禍の影響など、顧客を取り巻く環境が大きく変化したことが挙げられます。
オウンドメディアを立ち上げるメリット・デメリットは以下の通りです。
■メリット
- 長期的な集客が見込める
- 広告費の削減が期待できる
- 費用帯効果が高い
■デメリット
- 効果が出るまでに時間がかかる
- リード獲得を目的とする場合、SEOに関する深い知識が求められる
オウンドメディアの戦略を立てる際のポイントは、以下の6つです。
- 戦略を考える前に「目的から成果を定義」する
- オウンドメディアの戦略はフェーズを分けて考える
- 最短ルートを歩むためにリソースを集中させる
- 事業の成功から逆算した指標の設計をおこなう
- 基盤づくりのための、行動量を増やす
- ペルソナとカスタマージャーニーマップを定める
オウンドメディアを立ち上げる際には、事業の成功に繋がるにはどうすべきかを逆算して考え、適切な指標を設定しましょう。
オウンドメディアの戦略設計や運用は、プロにご相談ください
オウンドメディアの可能性は非常に大きく、リード獲得や認知拡大、採用への貢献など、企業が持つさまざまな課題解決に貢献する可能性を秘めています。しかし、できることが多いがゆえに、ノウハウやリソースが不足し、適切な設計や運用に課題を抱える企業も少なくないでしょう。
事業成長やマーケティング成果のためのオウンドメディア運用を検討されている方は、ぜひTHE MOLTSにご相談ください。オウンドメディア運用を通じた数々のプロジェクトで成果を上げてきたプロフェッショナルが、貴社の事業成長を支援いたします。
- 月数件のリード獲得が約2年の運用を経て年5,000件へ成長
- 片手間で運用していたオウンドメディアが、直接売上約6億を稼ぐ事業へと変革
- 広告CPAの高騰をきっかけに始まったオウンドメディアが、4ヶ月で売上140%アップ
まずは貴社のお取り組み状況についてお聞かせください。オウンドメディアマーケティングのプロが、事業成長の観点から成果を出すための最適なご提案をいたします。
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