リスティング広告の運用を代理店に依頼しているが、代理店に支払う月々のコストが気になっている方も多いのではないでしょうか。

広告をインハウスで運用することによって、代理店に依頼していた時には実現しなかった「スピード感のある運用」や「社内へのノウハウの蓄積」など、様々なメリットを享受できます。

しかし、短期的なコスト削減のためにインハウス化を進めてしまうと、担当者が突然辞めてしまった、代理店に依頼していた時よりもパフォーマンスが落ちてしまうなど、結果的に失敗してしまうケースも少なくありません。

広告運用のインハウス化は短期的な視点ではなく、自社の事業の特性や事業フェーズ、リソースなどを十分に考慮した上で、舵をきる必要があります。

本記事では、リスティング広告をインハウスで運用するメリットやデメリット、またインハウス化を成功させるために担当者が留意すべきポイントについて解説します。

リスティング広告の運用をインハウス化するメリット

まずは、なぜインハウスでのリスティング広告運用を検討する企業がいるのか考えてみましょう。それには、主に4つのメリットがあります。

  1. ビジネスや業界への十分な理解がある上で、運用ができる
  2. 運用のノウハウが社内に蓄積する
  3. スピード感のある広告運用ができる
  4. 代理店に支払う手数料がかからない

1.ビジネスや業界への十分な理解がある上で、運用ができる

リスティング広告を自社で運用する最大のメリットは、売りたい商品・サービスやマーケットについて十分な理解がある上で、広告の運用ができる点です。

広告代理店は、いわゆる広告運用のプロではありますが、業界やマーケットに精通した「事業のプロ」ではありません。そのため、サービスや製品、そしてマーケットへの理解が浅いまま広告が運用されるケースがあります。

例えば、「顧客が本当に抱えているニーズ」や「企業の業界での立ち位置」「市場の急速な変化」などを代理店側が察知できずに、最適なキーワード選定や広告文の作成、ターゲティングがなされないといったことが発生します。

一方で、インハウスでリスティング広告を運用することで、自社サービスや業界を熟知した担当者が、直接広告を運用することができます。顧客をよく知っているからこそ、リスティング広告に置いても、顧客との最適なコミュニケーション戦略を描くことが可能になります。

2.運用のノウハウが社内に蓄積する

リスティング広告の運用を代理店に外注している場合、ノウハウが溜まりにくいというデメリットがあります。そのため、いつまでも代理店に依存した状態になってしまい、より高いレベルでのマーケティング施策の立案や実行ができなくなってしまいます

よくあるケースが、クリエイティブの制作から入札調整までを丸投げし、代理店から提出される月1回のレポートだけを確認するといったケースです。自社の担当者が広告運用のノウハウや経験がないと、代理店から提出されるレポートを見るだけでは、日々の獲得成果が妥当なのかを正しく判断できません。

インハウスで広告を運用すると、クリエイティブの制作・配信セグメントの作成・入札調整などを広告運用に必要な要素を全て自社で考えていく必要があります。こういった広告運用の経験を通して、成功と失敗を繰り返すことによって、社内にノウハウを蓄積し、より確度の高い施策を高速で実行できるようになります。

3.スピード感のある広告運用ができる

広告代理店の運用担当者は、一人で数社から数十社程度のクライアントを抱えています。そのため、担当者とのコミュニケーションに時間がかかってしまい、素早く施策の実行に移すことができないケースがあります。

そこで運用自体をインハウス化することで、代理店側からの返答を待つ時間がなくなり、社内のコミュニケーションだけで施策を実行することが可能になります。

例えば弊社では、クライアントの「広告運用に関して専門性のある人材がいない」という課題に対して、一からインハウス化を支援させていただいた実績もあります。広告代理店からの提案に対して良し悪しの判断ができない状態からチームの広告運用スキルを高め、取り組み開始から10ヶ月後にはクライアントチームで自走できるまでになりました。

参考:広告運用の経験者ほぼゼロの状態から、自走して「成果を最大化させ続ける」チームに育ったワケ

4.代理店に支払う手数料がかからない

当然のことですが、インハウスで運用することで代理店に支払う手数料がかからなくなります。

代理店に支払う手数料は、運用予算の20%が相場です。仮に年間で5,000万円のリスティング広告を運用した場合、代理店に1,000万円を支払う計算となり、非常に高額です。

インハウスで運用することで、浮いた予算を媒体費として使う・広告運用の経験者を採用するといった選択肢を取ることが可能になります。

▼関連記事
広告予算の根本的な見直しをお考えの方は、「リスティング広告の適正な広告予算とは。KPIの定め方について解説」もぜひご参照ください。

リスティング広告の運用をインハウス化するデメリット

一方で、自社でのリスティング広告にはデメリットも存在します。

1.広告運用の知識やノウハウのある人材が必要不可欠

広告運用の未経験者を担当にすることもできますが、短期間で成果を出したい場合や高額での広告運用を検討している場合には、知識やノウハウをもった人材が必要不可欠になります。

社内に運用経験者がいない場合は、新たに採用する必要がありますが、高いスキルを持った人材は採用市場でも非常に限られており、簡単に採用できるものではありません。

また、せっかく経験者を採用できてもその後のキャリアプランがなければ、数年後に辞めてしまうケースも少なくありません。運用担当者が一人しかいない場合には、他の人が業務を引き継ぐことができずに、運用自体が止まってしまう可能性も孕んでいます。

採用にかかるコストや、未経験者を一から育てる時間を考えれば、広告のプロである代理店の手数料も決して高いとは言えないでしょう。

2.社内のリソースを必要とする

リスティング広告を運用するには、アカウントの開設やキーワードの選定・クリエティブ制作・入札調整など非常に多くの時間を要します。

専任の担当者を確保できる場合は良いのですが、多くの企業の場合、他の業務と兼任の担当者が運用するケースがほとんどです。そのため、どうしても別の業務に追われてしまい、広告運用がないがしろになってしまうといった話もよく聞かれます。

代理店に依頼することで、運用に関わる業務をアウトソースできるので、本来の業務に注力しながら、広告運用を進めることが可能になります。

3.情報収集が遅くなる

リスティング広告をはじめとする運用型広告において、Google 広告・Yahoo!広告など媒体の仕様変更や機能の追加といったアップデートが頻繁に発生します。

インハウスで広告運用をしていると、どうしても情報収集が遅くなってしまい、媒体の変化に対応仕切れなくなってしまいます。

代理店は、数十社〜百社程度のクライアントを抱え、多くの運用実績があります。他社の事例を聞くことによって、運用施策に活かすことが可能になります。

リスティング広告のインハウス化でよくある失敗パターン

ご紹介したメリット・デメリットを照らし合わせ、メリットが大きいのであればインハウス化をしてみるのももちろん間違いではありません。

しかし、自信を持ってインハウス化をすべきではないと言えるケースもありますので、本章ではその理由も含めて説明します。

短期的なコストダウンを目的としたインハウス化

弊社へのお問い合わせでもよくある「インハウス化を進めたい」という企業からよく聞かれるのが、代理店に支払っているコストを削減したいという理由です。もちろん、代理店からインハウスの運用に切り替えることで、短期的なコストダウンは可能になりますが、長期的なリターンを見ると決してコスト削減に繋がっていないケースも多くみられます。

これに対し、広告は企業による投資に過ぎませんので、成果を獲得し続けなければ、運用を行う意味がないというのが弊社の見解です。長期的に成果を獲得し続けるには、運用のノウハウや経験を社内に蓄積するだけでなく、成果を出し続ける強い組織の構築が必要になってきます。

強い組織の構築には、即戦力となる高いスキルを持った人材の採用や、未経験者を育てていくためのロードマップの作成、またマネジメント層がしっかりと広告運用について理解し、メンバーを評価する体制が欠かせません。

これらの組織構築の必要性を加味せず、なんとなくコスト削減に繋がるといった理由でインハウス化を進めると、一時的にコスト削減を達成することはあっても、成果を恒常的に出し続けることは難しく、成果は出ないが人件費だけかかり続けるといったことが起こりかねません。

担当者が突然辞めてしまう

運用の担当者をなんとか確保したものの、突然会社を辞めてしまい運用自体が止まってしまうケースも多く聞かれます。

リスティング広告の運用を担当者ひとりに任せきりにしてしまうと、ナレッジやノウハウが属人化してしまい、新しい担当者が業務を引き継ぐのが難しくなります。

事業会社の広告運用担当者で高いパフォーマンスを発揮できる人材は、当然ですが市場での価値も高まり、外部の会社から引き抜きの声がかかるケースも少なくありません。

マネジメント層が運用担当者のキャリアプランをしっかりと描くことや、運用をひとりに任せずに蓄積されるナレッジやノウハウを社内で共有する体制、既存の担当者が仮に抜けてしまっても新しい担当者がすぐにコミットし一定のパフォーマンスを発揮できる組織を作ることが大切になってきます。

リスティング広告の目的が明確化されていない

新しく広告運用を始めたいという企業に多いのが、リスティング広告を何のために運用するのかという目的が明確になっていないケースです。

広告運用の目的は、販売促進・ブランドの認知拡大など、企業によってさまざまですが、広告運用を通じて達成したい目的が明確でなければ、広告の正しい設計をすることができません。結果的に、誤った目標設定をしてしまい広告の予算に見合ったリターンを得られないといった問題が発生します。

リスティング広告のインハウス化を成功させるポイント

ここまで、広告運用は全て企業投資であり、インハウス化もその手段として成果と向き合った上で実施する必要があることを述べてきました。

本章ではそうした背景を念頭に、リスティング広告のインハウス化を成功に導く上で担当者が十分に留意すべきポイントについて解説します。

まずは自社で運用し、運用の大変さや課題を見つける

リスティング広告のインハウス化が適しているかどうかは、事業の規模やフェーズ・担当者のスキルによって異なるため、一概に良い・悪いを決めることはできません。

しかし、スタートアップ企業や少額での運用、また短期間での成果を求めていないケースであれば、まずはインハウスでの運用を始めてみることをおすすめします。

最近では、各広告媒体のヘルプやオンラインでの学習ツールを活用することで、初心者でも短期間で、運用を開始することが可能です。

実際に広告を運用すると、日々の入札調整やクリエイティブ制作の大変さを身をもって理解できますし、運用の課題を見つけることができます。

その上であたらめて代理店に依頼するメリットを照らし合わせることで、本当にインハウス化を進めるのが妥当かどうかの判断をすることができるでしょう。

伴走型のコンサルティングを活用する

インハウス化を考えた時に、いきなり全てを自社で運用するのではなく、伴走型の運用支援を付けるのもおすすめです。

未経験者が一から運用を始めるとなると、どうしても成果が出るまでに時間がかかってしまいます。また、そもそものKPI・KGIなど目標設定が正しくなされていなければ、成果が出ているのかの適切な判断すらできません。

そこで、運用自体は自社で行いつつも、伴走型のコンサルティングを付けることで、メンバーの教育や組織づくり・目標設定をサポートしてもらうことができます。

また、見過ごしがちな運用ミスのチェック機能として、伴走型コンサルティングを活用することもできます。例えば、作業ミスに気づけず、リンク切れを起こしたまま広告を配信し続けてしまえば、そこにかけた数十万、数百万円は無駄になってしまいます。

伴走型コンサルティングと連携し、運用のミスを防止するスキームを作ることで、起こりうるリスクを事前に回避できる可能性が高くなります。

まとめ|インハウス化に固執せず、事業の状態から最適な運用方法を見つけよう

本記事では、リスティング広告をインハウス化するメリット・デメリットや成功させるポイントについて解説しました。

リスティング広告のインハウス化は、インハウス化することを前提として話が進んでしまうケースが多々あります。特に、日々の運用コストが大きく、代理店に支払う手数料が高額な場合や、既存の代理店の成果が芳しくない場合には、いち早くインハウス化したいと考える担当者も多いでしょう。

しかし、長期的な視点で見た時に果たしてインハウス化が妥当なのか、また本当にインハウス化することができるのかといった判断をすることを忘れてはいけません。

インハウス化をすれば必ずコスト削減に繋がる訳ではなく、組織や評価体制を社内でしっかりと構築する必要がありますし、担当者が突然辞めてしまった時に、事業に影響が出ないかも考慮しなければいけません。

弊社では、運用型広告のインハウス化を支援すると共に、インハウス化が妥当なのかのご相談にも対応しています。インハウス化を進めるべきか悩んでいる企業の担当者は、お気軽にご相談ください。