運用3カ月目で1日1CVを実現した福利厚生のオウンドメディア『BOWGL』の裏側

官公庁や企業への福利厚生の導入や代行をサポートする株式会社ベネフィット・ワンは、“企業と従業員の幸せな関係を築くメディア”を掲げる『BOWGL(ボーグル)』を、2017年6月から運営しています。メディア名の『BOWGL』は、“BenefitOne Working and Good LIfe”の頭文字をとって、名付けられました。

MOLTSは、メディアの立ち上げからコミット。サイト構造の策定をはじめ、グロースや事業構築にもタッチし、立ち上げからわずか3カ月で営業日ベースにして1日1CVの獲得ができるようになりました。また、2018年1月時点で月間36万PV、累計83CVを達成(Google Analytics調べ)。現在まで、着実に数字を伸ばし続けています。

BOWGL

今回の対談では、運営元の株式会社ベネフィット・ワンで『BOWGL』編集長を務める佐々木駿氏と、MOLTSのプランニングディレクターである永田さおりが成長の裏側を語り合いました。

注)インタビュー当時はMOLTS。現在は、KRAFT。(2018年4月:記)

「CPAが高騰しすぎ問題」と「SEOの弱さ」がきっかけに

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永田さおり(左)/佐々木駿氏(右)

永田さおり(以下、永田):佐々木さんからお声掛けいただいたのは、私がMOLTSに入社したての頃だったんですよ。

佐々木駿氏(以下、佐々木氏):そうだったんですね。オウンドメディアを立ち上げようとリサーチしているときに、友人から永田さんを紹介されたのがきっかけでした。

永田:なぜ、オウンドメディアを立ち上げようと?

佐々木氏:課題は2つありました。一つは、ウェブ広告費の高騰です。潜在層への広告施策を検討していましたが、CPAが大幅に上がりそうな予兆がありました。獲得単価1.5万円で済んでいたものが6万円から8万円にもなっていて、私たちにはそこまで割ける予算も、1件にそこまでかける覚悟もありませんでした。もう一つは、ベネフィット・ワンが運営する福利厚生サービスサイトの「ベネフィット・ステーション」のドメイン構成が上手に機能しているとは言い難く、SEOの観点からの弱さを感じていました。一番に獲りたい「福利厚生」というワードでの検索順位も低かったんです。

永田:そこでコンテンツSEOをフックに、リード顧客の獲得を狙ったわけですね。

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佐々木氏:もっとも、僕自信は各種のセミナーでも説かれている通り、「オウンドメディアはブランディングのためにやるもの」という話も腑に落ちてはいました。ただ、それでも僕はCVを狙いにいきたかった。そんなときに永田さんから「CV、獲れます!」と言われて、正直確固たる根拠も自信もなかったけれど、「メディアでCV獲ります!」と進めるに至ったわけです。永田さんの経験と自信に、乗っかってみようと。

永田:佐々木さんからお話を聞いた際には、予算の大きさゆえでもありましたが、(MOLTS代表取締役の寺倉)そめひこと打ち合わせを繰り返しました。MOLTSとしては成果にどれだけコミットできるか、私としても前職のコンテンツマーケティングのコンサルティングで得た経験をどれだけ再現できるかという“挑戦”でしたね。

佐々木氏:永田さんとは最初、Facebookでコミュニケーションをとっていたんですけど、ご相談をしてから早い段階で「CVいけます!」と返事をもらったんですよね(笑)。僕が「ブランディング狙いでもいいですよ」と言うと、「いいえ、CVいきましょう!」という感じで。

永田:そめひこと話して、「これはいける」と手応えを得ていたのもありますが、私たちも前のめりだったので(笑)。とはいえ、お取り組み前に「1〜2カ月では成果は出にくく、中長期的に見ていければCVも獲得できるのではないか」とご理解いただけたのは大きかったですね。結果としては、ローンチ3カ月を過ぎたあたりからCVが獲れ始め、私の予想よりも早いスピードで軌道に乗っています。

デザイナーですら「最もスピーディーな仕事だった」と語る

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佐々木氏:今、振り返ると、開設まで僕らにはそれほどタスクはなかったんですよね。MOLTSさんに概要をお伝えしたら、1週間くらいでSEOキーワードの一覧が挙がってきて、それをブラッシュアップするくらい。あとはロゴの候補から「これ!」と決めた(笑)。

永田:MOLTSでサイト構造から関わるのは珍しいケースですが、本来はそこから入らせてもらった方が、設計がかなりスムーズなんです。立ち上げ前に「とにかく、無駄なキーワードは書かない」という方針を掲げられたのは大きかったですね……。競合を洗い出して、キーワードのプライオリティも決めやすかったですし。ちなみに、今回はウェブデザイナーもアサインしたのですが、「自分史上、最もスピーディーな仕事だった」と言っていました(笑)。

佐々木氏:僕としては、メディアとしてデザインなどのディテールを深めるよりも、スピーディーにやりたかったんですよ。そのために、担当者同士で物事を決められるくらいの社内調整も済ませていましたから。メディアって、早くつくった方がGoogleにも人にも認知されますし、つくったコンテンツは財産にもなると思っています。広告に1千万投資して一時的なCVを100件獲るより、3年から5年にわたって成果を得ていくようにできれば、コンテンツという社内資産も増えていいんじゃないかと。

永田:まさに、オウンドメディアマーケティングの発想だと感じます。

佐々木氏:とはいえ、今回はMOLTSさんからすれば、ほとんど丸投げに近いくらいの感覚だったかもしれないけれど(笑)。でも、確かな実績を持っているので、やりやすいように進めてもらった方がいいと思ったんです。

永田:確かに、私もディテールでCVの獲得ができるとは考えていませんでしたから、そこは相性が良かったですよね。やはり、一から任せてもらえたのはありがたかったですし、スピード感も増しました。「福利厚生」のコンテンツづくりなど、ベネフィット・ワンさんが精通なさっているテーマについてはお手伝いをいただけたことで、さらに速度が上がりました。

「働き方改革」で首相官邸のページを早期で超えてしまった

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佐々木氏:ローンチしてからは「1営業日1記事」で月20本を公開していって。今は優先して獲りたいキーワードも落ち着いてきたので、3日に1本ほどになっていますが……そういえば、ローンチ2カ月で1万PVから急に10万PVになったのには、驚きましたよ。

永田:「働き方改革」で首相官邸のページを超えましたからね(笑)。

佐々木氏:まさか、超えるとは思ってなかったです。首相官邸の下くらいで、5位以内に入れば御の字くらいに思っていたので……。でも、首相官邸に(『BOWGL』の)ページをまねしてほしいくらい、わかりやすくつくられていますよね。

永田:コンテンツSEOをしっかり行った成果が出ています。はよく「他社のコンテンツを真似て長文記事を作る」ことがよしとされていますが、そうじゃなくて、キーワードごとに検索される背景をしっかりと読み取り、その上でライター、ディレクターがしっかりと勉強し、記事化していくことが大事だと。

佐々木氏:繰り返し教えていただいたことで、コンテンツSEOの考え方が身に付いてきました。「働き方改革」のワードで上位が穫れたことも、その結果の一つかなと。

永田:その他のキーワードも、好調です。72のキーワードのうち、54ワードが検索5位以内なので(※)、順調に数字が伸びています。「福利厚生」も2位ですし、「ワーク・ライフ・バランス」や「女性の活躍」あたりも。

※インタビュー当時(2017年10月)の数字。

佐々木氏:個人的には、「福利厚生」で関連キーワードもどんどん獲っていきたいですね。何なら、1ページ目を占拠するくらいに(笑)。ビッグワードも押さえられてきていますし、今は人材定着に課題を抱えていそうな業界を狙い撃ちして、ソリューションを探している人々に福利厚生の情報を届けるイメージでつくっている部分も、ハマってきました。しっかりとキーワードを獲得していくことで、『BOWGL』の世界観を伝えていければと思っています。

ユーザーにとってメリットあるコンテンツとは何かを探し続ける

佐々木氏:僕が永田さんにコンテンツ制作で言われたことで印象に残っているのが、「常に、そのコンテンツがユーザーにとってメリットがあるのかを考える」というユーザー目線の話で。

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永田:私が、常に気を付けていることです。言い換えると、コンテンツのゴールが明示されていること。もちろん、営業要素を入れるときもありますが、記事はユーザービリティ第一主義。その上で、CVが発生しうる記事は、まずベネフィット・ワンさんのご紹介をしてから、ライトで読みやすいものに構成する……といったように工夫をしていくのが大事だと思っています。

佐々木氏:営業要素の入れ方って、難しいんですよね。僕は今、メディアの編集長をしていますが、元は営業です。やっぱり、営業の色を出していきたい気持ちはあったんですが、メディアの公平性などを考えると、営業職は薄めた方がいいかなって。でも、永田さんから「ちゃんと理にかなって、お客さんにもメリットがあれば、営業要素も『載せるべき情報』になる」と教わって、目からうろこだったんです。

永田:ユーザーにとってメリットがあれば、もちろん載せるべきですよね。

佐々木氏:それを知って、自分たちの商材をより信頼した……というか、論理的に説明すれば、しっかり刺さる商材なんだと思えるようになりました。実は、自分たちの商材に自信を持てないときもあったんです。でも、論理的に書けば書くほど良い商品だと思えるようになって、元・営業職としてはこれは営業にも生きるな、と思っています。

永田:それは、メディア運営の副次的効果としても良い事例ですね! そうやって佐々木さんをはじめ、ベネフィット・ワンの皆さんがコンテンツ制作に携わってくれて。今も基本は私がディレクターとしてコンテンツをまとめる形をとっていますが、コンサルタントとしては、ノウハウを残して去っていくのがきれいだと思うので、そういう体制をつくっていきたいですね。

佐々木氏:運営メンバーは悲しむだろうなぁ。「記事を書きたい!」「メディアを立ち上げたい!」と部署を横断して集まった前向きな5人ですし、僕らからすれば永田さんは「メディアのことを教えてくれるお姉さん」って感じだから(笑)。

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永田:そんなポジションなんですね(笑)。でも、佐々木さんも記事を書くのがどんどん上手くなっていて……。

佐々木氏:いやいや……(首を振る)。もともと、超苦手なんですよ、文章を書くの。苦手意識があるからこそ、書けるようになりたいと思っていたんですけど。毎回、永田さんから細かな校正をもらって、ようやく一人でも形にできるようになってきました。今は、導入事例のコンテンツもリリースし始めましたが、取材コンテンツのレクチャーももらえて、助かっています。

永田:SEOに必要なコンテンツは、組み立て方や論理性といった構成力が問われるので、文章が苦手な方でも、スキルは得られるんですよね。「表現力」は慣れやセンスがあるとは思いますが……。

B to B向けメディアだからこそ、質の良いCVを

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佐々木氏:今では、ベネフィット・ワンの営業部隊も見てくれているメディアになってきています。というのも、資料請求があったらそれに適する営業担当者をアサインしているので、獲得経路の一つとしてみんなが認知し始めてくれていて。

永田:大事ですよね、社内認知。

佐々木氏:そう。それで、「やっぱり、導入事例の紹介をしていきましょう」「やはり、中小企業であれば事業規模が同じくらい。非正規社員が多い企業ならば、人員構成が似ている」というように、導入する側は参考事例を求めているんですよね。ローンチ当初はインタビューや導入事例紹介なんて考えていなかったんですけど、僕も営業をやっているので、欲しい気持ちは理解できるんですよね。

永田:それも「いける!」と思って、先日ご提案させていただいて。良かったです!

佐々木氏:もともと、B to B向けのサービスですし、メディア経由でCVも獲れることがわかってきましたから。上司からは「なんとかバズれないか?」なんて言われていますが(笑)、今はそっちの方向性ではないな、と。

永田:バズもオウンドメディアのグロース観点からすると、ケースバイケースで必要なときもあると思っています(笑)。ただ、ユーザーのためになる素晴らしいコンテンツをどの流入経路で取りに行くか、それ次第でもありますね。

佐々木氏:コンテンツの目的や狙う流入経路に合わせて考えていかなければならない、ってことですよね。そのあたりも、教えてください(笑)。

永田:私もB to Bの案件は初めてに近いですし、知見にもなりますから、一緒に頑張っていきたいです。『BOWGL』を続けていく中で手探りの部分もありましたけど、企業それぞれに合った方法を当て込んでいくことが大事なんだと、あらためて思っています。事例紹介は『BOWGL』にハマると思うので、「CVの質を上げていく」という次のフェーズにつながりますよね。

佐々木氏:そうですね。それに、そもそも今までも営業担当は訪問先に向けて、その都度、導入事例をまとめていたんです。例えば、社内で「人材派遣業界の実績はありませんか?」と聞き回って、それを資料にして。その際の情報の収集方法は、メールなどのクローズドなコミュニケーションなんです。でも、集まった情報をウェブ上の記事として網羅できれば、社員の工数も減りますよね。なおかつ、内容が良く、校正も経ているので、営業をバックアップできるツールにもなると思うんです。

永田:オウンドメディアマーケティングを余すことなく活用されていて、とてもうれしいです!

佐々木氏:僕としては『BOWGL』でCVが獲れなかったら、PRに使えばいいかと思っているんです(笑)。仮に「60万PVある」と言えれば、そのときに方向性を変えて、ブランディング目的で使えるから。もちろん、PVとCVが両立しているのがベストですけどね。

永田:目的がCVなので、PVはいったん見なくてもいいかもしれませんね(笑)。MOLTSとしても引き続き、ご一緒できればうれしいです。そうだ、打ち上げしないとですね、打ち上げ!

佐々木氏:紹介してくれた人も呼んで開かないとですねぇ。多分、「働き方改革」で検索1位を獲ったときが、ぴったりだった! ちょっと、タイミング見失っているなぁ……。じゃあ、「福利厚生」で1位を獲ったときにやりましょうか(笑)。

永田:今、2位ですしね。

佐々木氏:「福利厚生」単体のワードでも獲っていないから、2位でもいいかも。いや、でも、さすがにこのワードは獲れないかもしれない……。

永田:いえ、獲りましょう! 獲って、美味しいビールを飲みましょう(笑)!

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永田さおり 永田さおり
KRAFT 取締役兼COO
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永田さおり

この記事の著者

永田さおり

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大手英会話学校での営業事務、楽天カード株式会社および楽天Edy株式会社での法人営業とO2Oマーケティング業務を経て、株式会社ルーシーに入社。メディアコンサルタントとして、不動産、審美歯科/美容整形、転職会社など幅広い業種のメディアを担当し、コンサルタントの実績を積む。2017年3月MOLTSへジョイン。設計、立ち上げから運用、グロースといった一貫したオウンドメディア運営を担う。