【違いを検証】生成AIとコンサルタントにサイトリニューアルを提案してもらった
私は日常的に「生成AI」を活用しているのですが、
「生成AIを壁打ち相手にマーケティングの戦略や施策をブレストしてみても、当たり障りのない内容しか返ってこず、いまいちパッとしない……」
と、歯がゆい思いをすることがよくあります。私がただ生成AIを使いこなせていないだけなのかもしれませんが、
「なぜこんなにも回答がパッとしないの?」
「プロンプトを変えれば「これだ!」と思える回答は得られるの?」
なんて疑問に思うことばかり。
そこで今回はTHE MOLTSのコンサルタントと生成AI、それぞれに同じサイトリニューアルの相談をしてみて、「ヒアリング内容」「提案内容」がどう異なるのかを比較検証してみました!
※私はふだんシステム開発会社のマーケティングを担当しており、副業でTHE MOLTSに関わっている人間です
生成AIとコンサルタント、それぞれに相談してみた
生成AI(Gemini)とのやり取り
①生成AIから施策提案
- 実績ページを強化し、大手企業との取引実績を前面に押し出す
- 業界特化型のポートフォリオを作成し、業界への理解度を示す
- ホワイトペーパーや事例集を作成し、潜在顧客へのアプローチを強化する
- グローバルな開発体制や最新の技術導入などをアピールする
- セキュリティ対策の強化について詳細に説明する
- カスタマーサクセス体制の構築について提案する
②生成AIから追加の質問
- 具体的にターゲットとしている大手企業は?
- 強化したいサービスは?
- 強調したい強みは?
↓↓↓
③私からの回答
- ターゲット企業:BtoC小売メーカー
- 強化したいサービス:オフショア開発
- 強調したい強み:オフショアリソースとUI/UXデザイン
↓↓↓
④生成AIから追加の施策提案
- UI/UXデザイン、オフショア開発の効果を事例で強調
- UI/UXデザインの専門性、ワンストップサービスの価値を明示
- 最新技術の活用とセキュリティ対策、品質管理体制による技術力の証明
- 専任PMの配置と定期報告、カスタマーサクセスチームによる継続的支援の実施
- ウェビナー開催、専門誌広告、SEO対策でターゲット企業へのアプローチを強化
- オフショア×UI/UXの強みを活かし、ビジュアル重視の効率的な提案活動を展開
コンサルタントとのやり取り
①コンサルタントからの質問
- そもそもビジネスモデルはどうなっているか
- 具体的にはどのような案件に取り組んでいるのか
- 会社としてどのような目標が設定されているか
- 受注可能な最大規模はどのくらいか
- 対応可能な人材のキャパシティはどれほどあるのか
- 炎上することはあるのか
- 外部パートナーから仕事を受けるケースはどれほどあるのか
- 月間の受注目標件数はどれくらいか
- 現状の受注ペースはどれくらいか
- ターゲット企業からのお問い合わせはどれほどきているのか
- コーポレートサイト以外にどのようなチャネルがあるのか etc.
↓↓↓
②私からの回答
- 日本人PM+海外エンジニアでチームを組み支援する
- 主たる目標として売上を追いかけている
- 現状のケイパビリティにあった規模感の案件が理想的
- 現在はあらゆる規模感/ジャンルの案件が飛び込んできており社内がバタついている
- 直請と外部パートナー両方対応可能だが、直請を重視する傾向
- ほぼコーポレートサイト経由、主にコンテンツSEOでお問い合わせを獲得
- ターゲット企業からの問い合わせ数は正確な数値を把握できていない etc.
↓↓↓
③コンサルタントからの提案
- 需要がすでにある市場で相談数を増やすことはそこまで難しいことではない
- ただ重要なのは「炎上を防ぎ、プロジェクトを滞りなく遂行できる体制づくり」と「炎上傾向のあるプロジェクトを定義して案件獲得の最適解を見つけること」
- 売上を追うことで炎上するリスクが高いのであればターゲティングから見直すべき
- 炎上にかかる見えないコストは大きい。社内外のムードが悪くなりあらゆる問題に連鎖し、利益を逼迫する
- 直近は売上だけでなく利益を重視するよう経営と認識を揃える必要ありそう
- ゴールはサイトリニューアルではなく事業成長。事業構造から集客全体の見直しを視野にいれて、2〜3ヶ月かけての戦略設計をおこないたい
- 過去案件の傾向や受注率などのデータ分析をおこない、適切な案件獲得の仕組みを構築していくことで持続可能な成長を目指す
- コンテンツSEOは残しながらも、ターゲットにアプローチするためには他の施策の検討も必要。それも加味したサイトリニューアルを
それぞれ提案をもらって思ったこと
生成AIのアウトプットは、やはり「当たり障りのない内容しか返ってこず、いまいちパッとしないな……」という印象でした。
「サイトリニューアルの提案をください」と指示しているので当然のことではありますが、ほとんどの回答が「サイト上でどのようなコンテンツを展開すべきか」という枠組みにおさまっています。
一方で、コンサルタントから提案された「重要なのは炎上を防ぎ、プロジェクトを滞りなく遂行できる体制づくりと、案件獲得の最適解を見つけること」という方針にはドキっとしました。
なぜなら、お問い合わせ数を増やして売上目標を達成することと同じくらい、あるいはそれ以上に、「炎上しない体制づくり」が大きな課題であったからです。マーケティング側からこの課題にアプローチするという発想がなく、ハッとさせられました。
また、相談開始時は「大手企業からのお問い合わせ数を増やしたい。その手段としてコーポレートサイトをリニューアルしたい」という気持ちでしたが、ヒアリングと提案を受けるなかで、「それって事業を成長させるために本当にいま必要なんだっけ?」と考えさせられました。
「具体的になにをやるべきかは一度データを分析してみないとわからない」というオチではあったものの、「ターゲット企業からのお問い合わせはどれほどきているのか」などパッと答えられなかった数字があった手前、「たしかに一度分析してみないと本当に必要な打ち手はわからないな」という気持ちにもなりました。
生成AIとコンサルタント、なにが違ったのか?
生成AIとコンサルタントの差を改めて考えてみると、私が依頼した内容に対して応えてくれるのが生成AI、私が依頼した内容にこだわらず本来やるべきことを模索してくれるのがコンサルタントなのかな、と感じています。
私の依頼は「サイトリニューアル」でしたが、本来の目的は事業成長であり、サイトリニューアルはあくまで手段です。話していくなかで事業成長に目を向けられたのは、コンサルタントならではだと思います。
「なぜこんなにも生成AIの回答はパッとしないの?」といつも感じてしまっていたのは、「依頼内容の背景にある課題を解決したかったのに、その回答が得られなかったから」かもしれません。
ちなみに、生成AIに「生成AIとコンサルタントの違いを3つ教えてください」と聞いてみたところ、次のような回答が返ってきました。
生成AIは網羅的な提案が得意ですが、組織固有の課題の深掘りは苦手です。一方、コンサルタントはヒアリングを通じて本質的な課題を特定し、長期的な視点で解決策を提案します。
2. 解決策のカスタマイズ
生成AIは一般的な解決策を提示する傾向にありますが、コンサルタントは企業独自の状況や目標に応じた具体的な施策を設計します。
3. 実行とフォローアップ
生成AIは提案段階で終わることが多いのに対し、コンサルタントは戦略的根拠を示しながら、実行支援や進行管理まで一貫してサポートできます。
これらを踏まえると、生成AIは「汎用的なアイデアをたくさん出すこと」に、コンサルタントは「個別の状況に合わせた実現可能な戦略を提案すること」に長けているのではないかと思います。
おまけ:プロンプトを改良してみた
最後に、THE MOLTS社内にて「どうすればもっと生成AIからいい回答が得られるのか?」を聞いて回ったところ、「プロセスごとにプロンプトを区切ること」をおすすめされました。
通常人間が戦略や施策を導き出すときは、Aという目的に対してBという現状、CというKPIがあり、達成するためにはDという選択肢があって、なかでもEが最適である……というふうに、順序立てて考えていると思います。しかしながら、生成AIに対してはつい「Aという目的に対して最適なEを提案してください」と、プロセスを省いてオーダーしがちです。
今回のケースであれば、「受注を増やすためにコーポレートサイトをリニューアルしたい。最適な提案をください」ではなく、
- 「売上を伸ばしたいと考えています。現状はXXX。目的を達成するためのKPIツリーを作成してください」
- 「上記のKPIツリーに対して、受注を増やすためにはどういう施策が考えられますか?」
- 「上記の施策に対して、コーポレートサイトのリニューアルによって改善できるポイントはどこですか?」
とプロセスごとに区切り、出てきた回答を都度コピーして、次のプロンプトとセットで入力していくとよいとのこと。
実際にやってみたところ、たしかに最初のアウトプットよりも事業成長のために必要な施策全体を俯瞰しながら、より細かな改善提案を得ることができました。プロンプトって、難しいですね……。
ただし、そもそもプロセスを最適な粒度で区切ることが意外と難しい印象です。これから生成AIがますます進化して、プロセスまでうまく順序立ててくれることを願いたいと思います。
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