より自由な組織になるために、「法治国家構造」を取り入れることにしました。
THE MOLTS代表の海老澤です。
2025年6月、MOLTSグループでは会社の「法律」を定めました。
こう言うと「これから細かなルールも守らなければならない組織になっていくのだろうか?」と感じられるかもしれませんが、実際はその逆です。この「法律」は、みんながより “自由に” 動けるようにするために作りました。
まもなく設立10年。文脈理解に課題あり
はじめに、法律制定の背景をお話しします。
これまで、社内に存在していたルールのほとんどは「制度」として明文化されていませんでした。新入社員が入るたびに、その都度誰かが説明する。そうやって属人的に伝えてきたんです。
ただ次第に、会社の文脈を理解していれば起きなかったようなコミュニケーションエラーが、たびたび起きるようになっていました。たとえば、メンバーのパフォーマンスを高めるための「出社義務なし」というルールが、「フルリモートOK」とだけ捉えられてしまい、逆にパフォーマンスを下げる原因になっていたり。
そのため、「いずれルールを言語化しなきゃいけない」という課題意識がもともと役員間にはありました。
いざこのタイミングで法律を制定したのは、創業者である寺倉が主導する「組織拡張プロジェクト」がスタートした影響を受けたからです。
毎年同じような組織課題に悩むのはもう止めよう。企業理念である「美味い酒を、飲む」ために、新たな仲間をどんどん増やして、できることの幅を広げていこう。
こうした目的のもと動いている当プロジェクトには、ブランドの再定義やサイトリニューアル、情報発信の仕組み作り、人事制度の見直しなど、さまざまな取り組みが含まれています。
法律の制定も、この組織拡張プロジェクトの一環でおこなわれました。
なぜ「規程」ではなく「法律」なのか
ルールは、会社によくある「規程」ではなく、あえて「法律」としました。
たとえば日本では、あらゆる危険行為が法律で禁止されているため、みんな安心して自由に行動できます。このように本来「法律」とは誰かを縛るためのものではなく、みんながより自由になるために存在するものだと思っています。
一方で「規程」と言うと、社員のあるべき姿やとるべき行動が事細かに羅列されたものが思い浮かぶのではないでしょうか。
今回私たちが明文化するルールは、みんながクライアントの事業成長のために “自由に” 動けることを担保するものでありたい。だから「こうしなさい」ではなくて、「これはやってはいけない」≒「それ以外は自由にやっていい」というものにしたい。そのために「法律」としました。
法律なので、もちろん罰則もあります。ルール違反を見つけたら匿名で報告できる「通報箱」を新たに設置。処罰の内容は、役員会にて納得いくまで議論したうえでTHE MOLTSの代表取締役が決定し、全社に通知することになっています。
「憲法・法律・条例」を定める
「法律」にあわせて、「憲法」「国会」「条例」の仕組みも取り入れることにしました。
- 憲法 → 理念・カルチャー
- 法律 → 守らなければいけないルール
- 国会 → 月一回の役員・主要メンバー会議
- 条例 → 各社・各部署単位のルール
「法律」はMOLTSグループ共通のものであり、各グループ会社においては法律をはみ出ない範囲で「条例」を定めることができます。こうしてグループ共通ルールを明文化することは、THE MOLTSのブランドを担保することにもつながるとも考えています。
また、代表取締役も役員も一般社員も、もちろん法の下では平等です。
もともとあったものを、最小限に
実際の法律はどんなものかというと……
- 引き合い報告:引き合いや案件紹介を受けたらslackにて1週間以内に報告すること
- 受注・終了報告:プロジェクトを受注した際はslackにて1週間以内に報告すること
- グループイベントの出席:グループ会は、全員マストで出席すること
- コープからの依頼対応の義務:コーポレート業務を管理するTHE MOLTSから依頼が発生した場合、必ず期日までに対応をすること
- リモートMTG画面オン:原則リモートMTGにおける画面はオンにすること
- 出社義務の発生:原則出社義務なしではあるが、パフォーマンスや働き方に対する指導が必要な場合は、所属企業の役員の権限を持って出社を義務化すること
- 原則副業NG:原則副業はNG。ただし本業とは全く違う副業なら役員承認で可能
2025年8月現在この7項目だけで、とてもシンプルです。もともと社内に存在していたかつ、「グループとしてここは絶対に守ろう」という項目を最小限にまとめました。
「引き合い報告」や「受注・終了報告」などは過去にルールが破られることもしばしばありましたが、「法律」になったことで漏れなくなってきています。法律を制定してまだ2ヶ月程度ですが、着実に変化が生まれています。
さいごに
今後、組織を運営していくなかで「これもやってはいけない」という新たなNGパターンが出てきたら、随時法律は改定していくつもりです。
なにより重要なことは、それをなぜやってはいけないのかを、憲法(理念・カルチャー)に紐づけてきちんと伝えていくこと。そうしてカルチャーを紡いでいければと考えています。
また、私たちの法律には「これらのルールさえきちんと守っていれば、あとは自由。思う存分クライアントの事業成長に向き合ってほしい」という願いを込めています。
ぜひ働くメンバーには、その “自由さ” に目を向けてもらえれば嬉しいなと思います。
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