大半のコンペが無駄だと思う理由

こんにちは、THE MOLTSのコンサルタントの田島です。

今までさまざまなコンペに参加してきましたが、正直なところ「これって意味があるのかな?」と感じることが少なくありませんでした。

もちろん、すべてのコンペが無駄だと思っているわけではありません。むしろ、本当に意味のあるコンペも存在します。

ただ、長年この業界で仕事をしていると、「大半のコンペが実際には両者にとって時間の無駄になっている」 という現実を感じることは多々あります。

今回は、なぜそう思うのかを、私の実体験を通じてお話しします。

現実的な提案をした側がよく負ける?

もう5年以上前の話になりますが、二つほど過去にあったことを紹介します。

オウンドメディアのシミュレーションで負けた話

あるオウンドメディアのコンペで、シミュレーション結果の提出を求められたことがありました。私は過去の経験から「初めからシミュレーションは立てない方がいい」ということをクライアントにお伝えしました。

オウンドメディアって多くの人が関わり、多くの変数があるなかで、どう最適解を出して模索して前に進むのかが重要だったりします。どこで伸びるか、どのタイミングで行動を変えるか、どう全体のモチベーションを維持したり高めたりするのかなどを見極めながら走る必要があるなかで、最初から数字で行動を管理すると本質的な事柄を見失いがちだからです。

オウンドメディアによりますが、戦略や施策があっていれば、3〜6ヶ月はアクセス解析すら見なくていいこともあると私は考えています。数字は魔物なので、そっちに目がいってしまうんです。

それでも、どうしてもシミュレーションを出してほしいということでした。オウンドメディアはその企業や組織を育てることで伸びていく側面があるので、期待値を最初にコントロールしないとうまくいきません。なので、きちんと説明した上で現実ラインよりちょっと下の数字を出しました。

その結果、コンペに負けました。理由は「シミュレーション結果が他社の方が良かったから」でした。

どんなに意味がないと言っても、期待を上げすぎない方がいいと伝えても、聞いてもらえませんでした。観測していたのですが、そのメディアは1年で終わりました

やりたいことを提示した企業に負けたケース

もう一つ、似たような経験があります。

クライアントは「あらゆる著名人のインタビューを掲載して、その道で活躍する人たちが集まるメディアを作りたい」とおっしゃいました。ただ、その企業の目的や目標、また企業規模や体力を考えると、絶対にうまくいかないことは明確でした。コスパが悪すぎて、体力が持たないし、ぱっと見の印象と実態の数値は違うからです。

なので、私はやるべきことを提示しました。でも、負けました。

凄いゴージャスでイケてるオウンドメディアがリリースされて、結果を観測していましたが、そこは半年くらいで更新は止まりました

「意思決定者のリテラシー不足」が生む無駄

私がこれらの経験を通じて確信したのは、「意思決定者にそれを見極めるリテラシーが十分でない企業のコンペほど、コンペ開催側も、受ける側も、時間の無駄になる」 ということです。

M-1グランプリの審査員で考えてみる

わかりやすい例で言うと、M-1グランプリの審査員が、漫才もやったことがない、お笑いはまあまあ見るけどそんな深くは見ない人だったらどうでしょうか?

予選からそんな人たちで審査されていたら、あの規模の、あの大会になっていたでしょうか?

参加する側も、参加しないと思います。だって、よくわからない人に順位をつけられるわけですから。また、選んだ側も「この人がグランプリだ」と言っても、それが本当に価値があるかわかっていないですよね。

リテラシーは、その道にある程度の経験や体感がないと身につかないと思うんです。

両者にとって無駄な構造

これって、両者にとって無駄なことだなと思っています。

テーブルの上に、いくつか提案資料を並べて「うーん」と悩む。でも、選ぶ際の判断軸がないんです。

それなのに、時間をかけてコンペを開催して、みんなで集まって時間を取って、悩んで、「この企業だ!」と決めて選んでも、うまくいくかどうかは結果論だったりします。

そして、コンペに参加する側は一生懸命考えても、その企業に伝わるかどうかわからない。伝わらなかった場合は、その時間が無駄になります。

そんな無駄な時間を過ごしているのは、両者にとって本当にもったいないなと感じています。

悪循環が生まれる構造

こういう経験をしていると、良い会社はそのコンペが意味があるかないかがわかるので、避け始めるんです。

また、勝つ会社は「勝ち方」を身につけます。コンペ主催企業のことを考えるのではなく、受注するためにはどういうプレゼンをするべきかを考えるようになります。やるべきことを考えず、その企業がやりたいことを考え始めるんです。

それは本当に、両者にとって、プロジェクトにとって、意味があるのか疑問に思います。

なぜリテラシーが十分でない企業はコンペを開催するのか?

では、何故リテラシーが十分でない企業がコンペを開催するのかを、少し推測も含めてまとめてみました。

1. 判断基準がわからないから比較する

私も昔コンペをやったり、クライアント側のコンペの選定者に入ったりしていた経験があります。

そのなかで感じたのは、判断基準がわからないから比較をしようとするということです。その結果、「比較すれば見えてくるだろう」「たくさん提案をもらえば正解があるだろう」 と量で補おうとする傾向があります。

2. 責任回避のためのアリバイづくり

責任回避のためのアリバイづくりもあると思います。社内で複数者に話を聞いた結果、ということで全体が正当性を担保しようとするんです。

説明責任をなにかあったときに求められる人なので、ケースバイケースですが、現場もマネージャーもあります。

3. 習慣化している

考えて行うではなく、習慣化しているからという理由もあると思います。「一旦、コンペをしよう」のような感じです。または、会社のルールだからやるといった場合もあります。

RFPを見ればわかる「意味のないコンペ」

コンペに意味があるかないかは、話をしたり、どういうプロセスで進むのかなどで判断できることが多いです。RFPを見ると傾向が見えてくることもあります

RFPの内容を見たら、この領域のこと、提案をもらうに値する方向性として筋が通っているということが、経験者はわかります。

たとえば、オウンドメディアなどで言うと、「KPIとしてPVを追いかけます!」 といった内容を見たときに、そこに価値があまりないということを感じることがあります。

参加したいと思えるコンペの特徴

逆に、参加したいなと思うのは、自分たちの実力や提案の価値、意味を理解してもらえるコンペです。

もうRFPから違います。すごくまとまっているし、合理的。かつ、それを選定する人のリテラシーが高かったり、すごい実績を出していたりするので、そのようなコンペに参加すると本質的なパフォーマンスが求められていると思います。

リテラシーが十分でない領域はどうやってパートナーを選ぶべきか

では、どうしたら適切なパートナーを見つけられるのか。私はいつもやっている方法をいくつかご紹介します。

提案前の情報で判断する

私は、提案書を見てもわからないなら、提案する前の情報で判断すればいいと思っています。

提案書を見ても、それが本当にやるべきことかどうかは、提案する企業が受注を取りたいのかどうかによっても変わってくるので惑わされるんです。

なので、コンペする前に選んで、その人たちに提案してもらう方が合理的だと思います。

人脈経由が最も効果的

私たちのプロジェクトでうまくいくケースは、大体人脈経由での相談だったりします。

その人の実績、その人のパフォーマンス、その人たちの考え方、予算などが頭に入っていたりするので、提案内容を見なくても、普通にその人にオーダーしたりします。むしろ、提案をもらわないケースも多いです。

その人のことを知っていたら、詳細な提案をもらう必要性も低くなるのではないでしょうか。

実績を見れば企業のカラーがわかる

人脈経由で紹介してもらうのが最も良いですが、まったく道がない場合は、実績を見ます。

実績って、その企業のカラーがすごく出るんですよね。タイトルや内容を見て、自分が求めているものがあるかどうかがわかります。

たとえば、業績向上を求めているなら、それが色濃く出ている実績がある会社を探したり。クリエイティブのクオリティを見るなら、そこを見たりなど。実績には選ぶ軸が顕著に出ているので、そこを見ればいいんです。

なので、提案をもらう前に決めるということをまず前提として、信用できる人に相談するとかで絞ったり、何社か聞いて見て実績などを見て選んでから提案をもらうとかがいいと思います。

これら方法なら判断に迷うことも少なくなります。テーブルに並べてもうまくいくかどうかわからないなら、別のアプローチを試してみるのもいいかもしれません。

「納品ゴール」と「成果創出ゴール」の違い

プロジェクトにもよりますが、進行方法などは提案してもらった方がよいかと思います。ただ、最初から完璧に定められた内容というのは、自社のリソースや状況によって変わってくることが多いのではないでしょうか。

たとえばクリエイティブなどは、作るべきものが明確なので、提案も明確になりやすいです。ただ、具体的なデザインまで踏み込む必要はないかもしれません。実績を見ればある程度判断できますし、詳細なデザインが必要であれば、有償で制作を依頼することもできます。

逆に成果の創出がゴールなら、改善が入ってきます。

たとえば、「オウンドメディアで月10本コンテンツを作ります!いくらです!」 といった提案があったとします。これは成果ではなく納品をゴールにした提案になっています。

私はいつも、最初の3ヶ月は固定で進めて、4ヶ月目以降は予算に応じてフレキシブルに対応しましょうという提案をしています。プロジェクトの進行に合わせて、柔軟に調整していく必要があるからです。

さいごに

私はよくクライアントに、「従来のコンペ方式が有効に機能することもあると思いますが、成功する確率は下がります」と伝えています。きちんと選ぶためにやろうとせず、宝くじのような結果論としてやろうというならいいんじゃないと。

この業界もどんどん変わっている気がしますが、変わっていない領域も結構あるかなと思います。会社のルールとして決まっているということもあると思いますし、先ほど話したような理由があるからじゃないでしょうか。

実は、コンペの在り方について疑問を感じている企業の方も多くいらっしゃいます。この課題は以前からあるもので、少しずつですが改善の兆しも見えてきているように感じています。

今回お話しした内容は私が考えていることなので、誰かを否定したりする意図は全くありません。10人いたら10人それぞれのやり方があると思っているので、これが100%正しいとも思っていません。

なので、私の経験や考えを参考程度に受け取っていただければと思います。

著者情報

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KOTARO TAJIMA

田島 光太郎

Media Planner / Consultant

業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。

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