SFA定着化で「入力させる」が目的だと失敗する理由

こんにちは、THE MOLTSのCRM/SFAコンサルタントの村田です。

これまで多くの企業のSFA改修支援に携わってきました。そのなかで強く感じているのは、「SFA定着化で『入力させること』を目的化してしまうと、うまくいかない」という現実です。

先日も「SFAを導入したのに現場が使ってくれない。どうしたら定着するのか?」というご相談を受けました。詳しく話を伺うと、やはり「まずは入力させよう」という発想からスタートしているケースが多いのです。

今回は、私自身の経験をもとに、SFA定着化で陥りがちな失敗パターンと、それを乗り越えるために実践している方法についてお話しします。

SFA改修の現場で見えてきた3つの失敗パターン

SFAを導入したものの定着しなかったというご相談は少なくありません。お客様の状況を丁寧に聞いていくと、大きく3つの典型的な失敗パターンが浮かび上がってきます。

1.「最初から完璧なSFA」を目指してしまう

最も多いのは、入力項目が多すぎて現場の負担が大きくなってしまうパターンです。

「せっかく導入するのだから、あらゆる情報を管理できるようにしよう」と、最初から複雑に作り込んでしまいがちです。分析軸をすべて項目化した結果、入力や利用のハードルが高くなり、現場が使わなくなってしまいます。

実際、商談情報だけで50項目以上あったケースもありました。「これ全部入力するの?」と現場が感じてしまうのも当然です。

最初から完璧を目指すより、必要最低限から始めて徐々に拡張していく方が、現場の負担も少なく、定着しやすくなります。

2.「自社に合わせて設計していない」テンプレート問題

次に多いのは、テンプレート的に項目を入れているが、現場は何を入れていいかわからないという状況です。

同じような項目が複数あったり、意味が曖昧なまま「管理したいもの」を増やしてしまい、重複や混乱が生じていることも。

とくに「フェーズ定義」は要注意です。一般的に提唱されている商談フェーズのモデルをそのまま当てはめているため、現場から「どの段階がこのフェーズなのか分からない」と戸惑う場面も多く見てきました。

また、項目が多いと「どのタイミングでどの項目を入力すればいいのか分からない」という声もよく聞きます。現場が混乱しないために、自社の業務フローに合わせて設計し直すことが重要です。

3.「リリースがゴール」になってしまう運用保守の軽視

意外と多いのが、業務フローが変わってもシステムを改修せず、現状に合わなくなっているケースです。

SFAは運用しながら育てていくものですが、初期構築のリリースがゴールになりがちで、その後の運用保守が後回しになってしまいます。その結果、現場の声を反映できず、業務にフィットしなくなり、使われなくなってしまうのです。

定着化には、リリース後も継続的に現場の意見を取り入れ、システムを改善し続ける姿勢が欠かせません。

根本問題は「入力しても意味がない」と現場が感じていること

これらの失敗パターンの根底には、「入力しても自分たちに意味がない」という現場の感覚があります。

経営層は「営業活動を可視化し、成果を向上させたい」と考えていますが、現場の営業メンバーは「入力しても自分の営業活動が楽になるわけでも、受注につながるわけでもない」と感じてしまう。このギャップこそが、SFAが現場に根付かない最大の要因だと私は考えています。

本来、SFAは現場にとっても価値のあるツールであるべきです。たとえば、データを入力することで「どうすれば受注につながりやすいか」の気づきが得られたり、自分の活動量や結果が可視化されてモチベーションが上がる、そんな実感が持てることが大切です。

私が支援した企業では、SFAを使うことで「過去の商談でどんなアプローチが有効だったか」を確認できたり、「今月の活動量が先月と比べてどうか」を簡単に把握できるようになりました。こうした価値を現場が実感できると、自然とSFAが使われるようになります。

SFA定着化のための実践的な改修ステップ

では、定着しなかったSFAをどのように改修しているのか。私が実際に行っている方法をご紹介します。

ステップ1:シンプルな設計に立ち返る

まずは、現場の業務フローを丁寧にヒアリングし、実際の動線を確認しながらシステムを再設計します。

既存項目のデータ入力率を確認し、お客様と一緒に必要・不要を判断。不要な項目は根拠を持って削除し、現場の納得感を高めます。

とくに「何を入力すればいいか分からない」テキスト項目は、特定フェーズで必須にしたり、選択リスト化するなど、入力タイミングの明確化と入力のしやすさを高める工夫が重要です。

ステップ2:現場の声を反映する仕組みを作る

項目整理が終わったら、現場の方々に意見を伺い、商談のどのタイミングでどんなアクションが必要かを整理します。

その内容をフェーズや入力規則、活動の自動作成などに反映し、現場の業務実態に合ったシステムへと調整します。

メール連携や入力動線の工夫で、現場の負担と導入への抵抗を減らすことも大切です。

ステップ3:ユーザテストで現場の受け入れを確認

リリース前には、現場の方に実際に使ってもらい、使い勝手や意見を反映するユーザテストを必ず実施します。

最初は抵抗感があっても、意見を取り入れて改善する姿勢を見せることで、徐々に受け入れてもらえるようになります。

システム導入を強いるのではなく、現場の不安や感情に共感し、共に改善していく姿勢が重要です。

ステップ4:ダッシュボードは段階的に導入

ダッシュボードも、いきなり全機能を提供するのではなく、まずはログイン率など定着化を図る指標から始め、徐々に売上など営業KPIを可視化するダッシュボードを追加していきます。

こうした指標が現場に定着することで、「SFAを使う価値」を実感する段階から、データを日々の営業活動に“活用”する段階へと進化していきます。

もしExcelで見ていたKPIがあれば、最初からダッシュボード化することもあります。

ステップ5:「自分ごと化」を促す

開発段階から現場の意見を取り入れ、「自分たちのシステム」だと感じてもらえるように進めることで、定着が早まると実感しています。

現場が主体的に関わることで、システムへの愛着や責任感が生まれます。

「押し付けられたシステム」ではなく、「自分たちが作ったシステム」だと思えるかどうかが、定着化の成否を分ける大きなポイントです。

さいごに

SFA定着化の課題は、多くの企業が直面しています。私の経験から言えるのは、「入力させること」を目的にするのではなく、「現場にとって価値のあるツール」にすることが最も重要だということです。

現場の業務実態を理解し、本当に必要な機能だけを提供し、段階的に価値を実感してもらう。このアプローチを繰り返し最適化していくことが、定着化には効果的だと感じています。

また、開発段階から現場を巻き込み、「自分たちのシステム」だと感じてもらえるかどうかも、定着化の成否を分ける大きな要素です。

HubSpotやSalesforceなど、どのツールを選ぶかも大切ですが、それ以上に「どのように現場に価値を提供するか」を考えることが、SFA定着化の成功につながると私は考えています。

もしSFAの定着化でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。私たちの経験が、少しでもお役に立てれば幸いです。

著者情報

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ASAMI MURATA

村田 麻美

CRM/SFA Consultant

業界歴8年以上。Salesforce導入ベンダーでPM・SE、外資系企業でテクニカルコンサルタントを経験。SI事業立ち上げや業務システム開発、CRM・SFA導入支援を手掛ける。

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