AI活用しても結果が出せない理由は、「背景文脈の理解」が足りないせいだった
AI導入が進むなかで、私は「ある程度はAIを使いこなしている」と思っていた。しかし、なぜか思うような成果が出ない。
そんなとき、AIを使い倒している上司と話す機会があり、そこで自分のAI活用の本質的な課題に気づかされた。
この記事では、その気づきと変化のプロセスを、私自身の体験を通して率直に綴っていきたい。
「点」でしか捉えられていなかったAI活用
その上司からは「松原さんの施策や提案はいつも『点』になってしまっている」というフィードバックを受けた。正直、かなりショックだった。自分なりに考えて提案していたつもりだったが、なぜか通らない。SNS投稿の作成でも「投稿を作る」という目の前のタスクしか見えていなかったのだ。
当時の私は、プロジェクト全体の流れや目的を深く考えず、自分のミッションに追われていた。AI活用も同じで、会話ベースで「知らないことを調べる」「リサーチを効率化する」など、インプットの効率化にとどまっていた。ハックやツール選び、プロンプトの工夫ばかりに目が向き、本質的な活用には至っていなかった。
今振り返ると、目の前のタスクを「こなす」ことに必死で、なぜその作業をしているのか、どんな成果を目指しているのかを深く考えられていなかった。たとえば、SNS投稿も「とにかく数を出す」ことが目的化してしまい、ユーザーの反応や全体の戦略には意識が向いていなかった。
また、AIを使う場面でも「便利なツール」としてしか捉えておらず、AIに何を求めるべきか、どんなアウトプットが理想なのかを自分の中で整理できていなかった。結果として、AIから得られる答えも表面的なものにとどまり、仕事の質も上がらなかったのだ。
この「点」になってしまう問題は、AIに限らず、日常的に背景や文脈を考える習慣がなかったことの表れだったと、今なら思う。自分の視野の狭さや、思考の浅さを痛感した出来事だった。
上司のAI活用に学んだ“文脈理解”
上司が実践しているAI活用方法は、私とは全く違っていた。インプットをAIで爆速化し、その後に抽象化・具体化を経てアウトプットを作る。
しかも、ゴールを明確に設定し、AIにフィードバックを重ねて精度を高めていく。
たとえば、SEO記事をリライトする場合、目的や背景をAIに伝えた上で仕組みを作り、テストし、求めるアウトプットとの差分をAIにフィードバックしていく。単なる「やってみて終わり」ではなく、ゴールから逆算してAIを活用していた。
私も実際にこの方法を試してみた。記事作成でも、まずユーザーのゴールを設定し、必要な要素を洗い出し、既存のインプットを活かして構成を組み立てる。足りない部分はAIに補完させる。こうした思考の流れを意識することで、従来とは全く違うアウトプットが得られるようになった。
最初はうまくいかず、AIに何をどう伝えればいいのか迷うことも多かった。しかし、上司のやり方を真似て「なぜこの作業が必要なのか」「どんな成果を目指すのか」を明確にした上でAIに指示を出すと、返ってくる答えの質が格段に上がった。AIとのやりとり自体が、自分の思考を整理するトレーニングにもなった。
この過程で痛感したのは、「背景と文脈の理解」がAI活用の質を大きく左右するということだ。フィードバックの質や最終的な成果物の方向性も、ここで決まるのだと実感した。AIを使いこなすには、まず自分自身が「何をしたいのか」「なぜそれが必要なのか」を深く考えることが不可欠だと学んだ。
文脈から考えるAI活用で仕事が変わった
今では、何かに取り組む前に必ず「なぜこれをやるのか」「どんな成果を求めているのか」「そのために必要な要素は何か」といった文脈背景を整理するようになった。プロジェクトでも、単に記事数を増やすのではなく、「リード数を増やす」というゴールから逆算して施策を考えるようにしている。
たとえば、記事リライトや新規作成も「数をこなす」ことが目的ではなく、全体の戦略やユーザーのニーズを意識して進めるようになった。
また、AIを使う際もまずは自分のゴールや課題を明確にし、その上でAIに何を求めるかを具体的に伝えることを徹底している。
この変化によって、仕事の進め方が大きく変わった。タスクの優先順位や、アウトプットの質が向上し、周囲からの評価も少しずつ変わってきたと感じている。まだ完璧ではないが、日々の実践を通じて「文脈から考える」ことが少しずつ身についてきた。
今後は、さらにAIを活用した業務改善や新しいチャレンジにも積極的に取り組んでいきたい。
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