「面白いコンテンツ」の基準は、上司ではなく自分の中にあると気づいた
この春、THE MOLTSにインハウスマーケターとして入社した。現場メンバーの体験談や学びをコンテンツ化し、マーケターやビジネスパーソンに向けて発信するのが私の役割だ。
しかし、転職したばかりの私は大きな勘違いをしていた。ターゲット層のことを理解すれば、面白いコンテンツが作れると思っていたのだ。
上司の一言が気づかせてくれたこと
業界について詳しくない私は、ターゲット層に近い感覚を持つ上司の基準に合わせることで精一杯だった。
初稿を読み物として成立するレベルに持っていき、上司に見せてOKをもらう。その繰り返しの日々。でも、いつまで経っても完全に任せてもらえるレベルにならない。
なぜなら、上司の基準も日々アップデートされているから。世の中の反応を見て感度を磨き続ける上司に対して、私はただ最低限のラインを守っているだけ。面白いかどうかは二の次になっていた。
そんなある日、いつものように編集を終えたコンテンツを持って尋ねた。 「このコンテンツどうですか?面白いと思いますか?」
すると、上司からこう言われた。
「それは、人に正解を求めることではないよ」
正直、グサッときた。実は前職でも似たようなことを言われたことがある。「良いコンテンツを作るには、まず自分が面白いと思うものを作ってみな」と。
頭では分かっているつもりだった。でも、いざ自分の中での「面白い基準」を持つとなると、やっぱり難しい。特に詳しくない領域ならなおさらだ。
ここで私は大きな間違いに気づいた。ターゲットのことを理解しようとするあまり、1人のユーザーとしての感覚を捨てていたのだ。
分析モードから素直に楽しむモードへ
そこから、まず自分が面白いと思える基準を作ろうと、たくさんのコンテンツを読み始めた。「なぜ面白いと感じたのか」を分析しようとした。
ところが、ここでも落とし穴があった。
言語化や要素の抽象化を意識しすぎて、物事をいちユーザーとして素直に「面白い」と感じられなくなってしまったのだ。
コンテンツを読みながら「この導入部はユーザーの課題を上手く提示している」などと分析モードになってしまう。純粋に楽しむことができない。これでは本末転倒だった。
そこで、考え方を変えてみた。最初から「面白いポイントを探るぞ」という気持ちで入るのではなく、何も考えずに読んで心が動かされたものだけ、なぜ面白いと思ったのかを考えるようにしたのだ。
この変更は思った以上に効果的だった。まず素直に楽しんだ後で分析することで、自分の中の「面白い」という感覚を大切にしながら、その理由も整理できるようになってきた。
1人のユーザーの感覚とターゲット視点の両輪
ただし、自分が面白いと思うだけでは不十分だ。1人のユーザーとしての感覚を持ちながら、同時にターゲット層の視点も理解する必要がある。
業界についての知識をつけることや、ビジネスパーソンとしての視座を上げることも同時に取り組んでいる。ターゲット層が抱えている課題や関心事を、自分事として理解できるようになるためだ。
とはいえ、自分で書いたり編集したコンテンツが本当に面白いかどうか、自信を持つのは今でも難しい。だからこそ、SNSなど世の中の反応をよく見るようになった。
自分が面白いと思っても反応が薄い場合は、「コンテンツ自体が面白くなかったのか」「発信の仕方が悪かったのか」など、仮説を立てて検証する。自分の感覚と世の中の反応が一致すれば理想だが、ズレたときは冷静に要因を探るようにしている。
そうやって少しずつ、自分の感覚を養いながら、ターゲットを理解するを繰り返すしかないことに気づいた。
そして「自分の中の面白い基準」を作るには、以下のようなステップが効果的だと分かった。
1. まず素直に楽しむ
分析モードはオフにして、純粋にコンテンツを楽しむ。心が動いたものだけメモしておく。
2. 「なぜ」を後から考える
心が動いた理由を、後からゆっくり言語化する。無理に法則化しようとしない。
3. ターゲット視点で検証する
自分が面白いと思ったポイントが、ターゲット層にも響くかを考える。
4. 反応を冷静に受け止める
世の中の反応と自分の感覚のズレを観察し、次に活かす。
「自分が面白いと思ったから正解」でもないし、「世の中の反応が全て」でもない。1人のユーザーとしての素直な感覚を大切にしながら、ターゲットの視点も意識する。この両輪が、良質なコンテンツづくりの本質なのではないかと思う。
あの上司の一言から数ヶ月。まだまだ完璧とは言えないが、少なくとも「面白いですか?」と人に正解を求めることはなくなった。自分の感性を信じて、一歩ずつ進んでいきたい。
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