「AIで効率化」はただの手段であり、目的ではないと気づいた話
新しいAIツールを使って作業を効率化していた時のことだ。「これで作業が劇的に早くなる」と心躍らせていた。確かにAIが提案してくれる内容は素晴らしく、作業スピードも格段に上がった。
しかし、気がつけば私は大切な何かを見失っていた。本来の目的は「最高のアウトプットを作ること」だったはずなのに、いつの間にか「AIを使って効率化すること」そのものに夢中になってしまっていたのだ。
上司からのフィードバックで、この現実を突きつけられた時の衝撃は今でも忘れられない。
「AIと直接対話しすぎていて、既存の文脈や原理原則を考えられていない」
その一言で、私は手段が目的になっていたことに気づいた。
「AIで効率化」に夢中になり、大切なことを見失っていた
AIツールを使い始めた頃の私は、完全に手段が目的化していた。
本来であれば「最高の状態や最終的なゴールから今やることを逆算する」という思考で進めるべきだった。でも実際は「今できることで、AIを使って目指す姿に近づけるにはどうしたらいいか」という、目の前のことしか見えていない、手段ありきの思考になってしまっていた。
AIの可能性に興奮し、「あれもこれも効率化できる」「もっと効率化できるはず」という気持ちに駆られていた。その結果、そもそもの文脈や背景の重要さに気がつけなくなり、これらを踏まえた設計ができていなかったのだ。
AIツールの魅力的な機能に触れると、どうしても「表面を綺麗に見せる」「表面を効率化する」ことばかりに目が向いてしまう。コードが素早く生成される様子や、複雑な処理がシンプルに書ける体験は、とても革命的だった。
でも、その興奮の中で私は忘れていた。重要なのは軸を持つことであり、ゴールをどこに設定するか、どんなゴールを目指すかを決めることが何より大切だった。
最高のアウトプットを出すためのAI活用ポイント
上司からのフィードバックを受けてから、私はAI活用のアプローチを根本的に変え、以下の2つのポイントを意識するようにしている。
1. 作業前に必ず「ゴール確認」をする
AIツールを使う前に、「この作業で最終的に何を達成したいのか?」を自分に問いかけるようにした。これだけで、手段が目的化することを防げる。
AIでいろんなことができるようになって、あれもこれも試したくなってしまう。しかし、重要なのは、本当に叶えるべき最も重要なゴール・ミッションは何かを考えることだ。これはAIに限らない話かもしれないが、特にAIツールを使う時には意識的に行う必要があると思う。
2. 「文脈・背景情報」をAIに伝える習慣をつける
継続的なプロジェクトの場合、「これまでの経緯」「なぜこの作業が必要なのか」といった背景をAIに説明することで、より的確なアウトプットが得られるようになった。
全体像がないままでは、本当に正しいゴール設定や適切なアウトプットを作るのは難しい。自分がある程度詳しい領域や、これまでの経緯や背景がある場合は、AIに任せきりにするのではなく、適切なフィードバックやインプット情報を与えることが大切になってくる。
この改善の結果、上司からも「着目する視点がかなり良くなったね」と評価してもらうことができた。手段が目的化していた状態から脱却できた瞬間だった。
私なりの「AIとの付き合い方」
同じようにAIツールを使い始めた人、特にCursorなどのコーディング支援AIを使っている人に伝えたいのは、AIは非常に優れているが、やはり「誰がどのように使うか?」によって大きくアウトプットの質は変わるということだ。
まずはとにかく触って慣れることが第一に必要だと思う。同時に、AIが出力するものに対して適切なフィードバックや判断ができるように、自身の経験やスキル・知識を高めていくことも重要だ。さらに、このスキルアップに対してもAIをどんどん活用していき、スピードを早めることが理想的だろう。
AIツールは確かに素晴らしい。しかし、それを使う私たちが軸を持ち、適切な文脈の中で活用してこそ、真の価値を発揮するのだと思う。
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