「UI改善=CVR向上」と信じていた私が、検証を重ねて気づいた本当に大切なこと

Webサイトを見ていて、画面を覆いつくすほどのポップアップや広告にイライラした経験は、きっと多くの人にあるだろう。私も常々「なんでこんなに邪魔なんだろう」と感じていた一人だった。

ところが、自社メディアの改善を担当するようになって、その考えは大きく揺らぐことになる。

控えめなボタンを目立たせたら、結果が1.5倍に

転機となったのは、記事下部にあった資料ダウンロードボタンの改善だった。

もともとは控えめなサイズで、記事の邪魔にならないよう配慮されていたものの、ダウンロード数は思うように伸びない。デザイン的には美しく、ユーザー体験も損ねていないはずなのに、なぜか成果が上がらない。

そこで試しに、記事の閲覧を多少邪魔するくらい大きなサイズに変更し、スクロールに追従するように設定してみた。正直、自分がユーザーの立場だったら「邪魔だな」と感じるレベルだった。すると、ダウンロード数が1.5倍まで向上したのだ。

この結果を見て、私の中で「目立つデザイン=成果向上」という確信が生まれた。ユーザーとしては邪魔だと感じていたものが、運営者としては明確な成果を生んでいる。この矛盾に違和感を覚えながらも、単純な図式が頭の中にできあがっていった。

デザインの基本を学んでも、期待した結果は生まれなかった

その後、Webサイト改善の支援に本格的に取り組むようになってから、デザインの勉強を始めた。「近接」「整列」「反復」「対比」といった基本原則や、情報提供の最適な順序など、セオリーを一つひとつ学んでは実際のWebサイトに適用していく。

理論的には正しいアプローチのはずだった。丁寧に整理されたレイアウト、適切な余白の使い方、視線の流れを意識した情報配置。どれも間違ってはいないし、確実にサイトの見た目は良くなっている。

しかし、期待していたような劇的な改善はなかなか起こらない。最初に体験したような「1.5倍」といった大きな変化は生まれなかった。

理論通りにやっているのに、なぜ結果が出ないのか。何度も検証を重ねながら、この疑問と向き合い続けた。

見落としていた「気づいてもらう」という視点

そんな中で、一つの仮説が浮かんだ。どんなに良いデザインを作っても、ユーザーに気づかれなければ意味がないのではないか

実際にユーザーの行動を分析してみると、変更した箇所にユーザーの視線が向いていないケースが想像以上に多かった。良いデザインも悪いデザインも、そもそもユーザーが注目していなければ、どちらも同じようなものだ。

「悪名は無名に優る」という言葉があるが、まさにそれだった。ユーザーに何かしらの引っかかりを感じてもらわなければ、行動の変化には繋がらない。

美しく整えられたデザインよりも、多少の違和感を与えても注目を集めるデザインの方が、結果的には効果を発揮する場合があるのだ。私がユーザーとして「邪魔だな」と感じていたあのポップアップも、実はこの原理が働いていたのかもしれない。

「気づかせること」と「迷わせないこと」のバランス

この気づきを得てから、私のアプローチは大きく変わった。まず「ユーザーに気づいてもらう」ことを最優先に考えるようになったのだ。

一方で、多くの専門家はユーザー体験を損なわないよう離脱時にポップアップを表示することを推奨する。確かに理にかなっているが、私が実際に検証した範囲では、離脱時ポップアップの効果は非常に低い結果となることが多かった。

Webサイトアクセス時に表示するポップアップは、確実にユーザー体験を悪化させる。しかし、最初の画面を見ただけで離脱するユーザーが平均30%程度という現実を考えると、そうした人たちに少しでも引っかかりを持ってもらう方が、全体としての成果は向上する。

ただし、何でもかんでも目立たせればいいわけではない。複数の選択肢を同時に提示するのは避けるようになった。選択肢が多いとユーザーはストレスを感じ、結果として何も選ばないという行動を取る傾向がある。注目が分散してしまえば、せっかく気づいてもらえても何も伝わらない。

「気づかせること」と「迷わせないこと」のバランスを取ることが、私なりの新しい基準となった

デザイン改善で意識すべき3つのポイント

これまでの体験を通じて、以下のようなポイントで考えることが効果的だと分かった。

1. まず「気づいてもらう」ことを考える

見た目の美しさよりも、ユーザーが注目するかどうかを最優先に考える。どんなに良いデザインでも、見られなければ意味がない。

2. 選択肢を絞り込む

複数の要素で注目を奪い合わないよう、伝えたいメッセージを一つに絞る。最適なメッセージを一つに絞り込むことで、ユーザーの迷いを減らす。

3. ユーザーの行動変化を軸に判断する

デザインの良し悪しではなく、実際にユーザーの行動が変わるかどうかで効果を測る。重要なのは、ユーザーの行動変化に繋がるかどうかという観点。

Webサイト改善に取り組み始めると、デザインの最適化に注目が集まりがちだ。デザインは目に見えるし、比較的簡単に着手できる。一方で、ユーザー体験はアクセスログとして、Googleアナリティクスやヒートマップで可視化できるが、実際のユーザーの心理を見ることはできない。

目に見える改善に飛びつく前に、ユーザーの行動が変わるためには何が必要かを軸に考えることの重要性を、これまでの体験を通じて学んだ。簡単ではないが、そこをぐっと我慢して本質を見極めることが、本当の改善には欠かせないのだと思う。

著者情報

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SHO KAJII

梶井 祥

Data Analyst

Web解析・改善ツールのマーケティングおよびデータ分析を経て、現在はデータアナリストとしてGoogleアナリティクスなどを活用し、CVR改善やUI/UX改善を支援。

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