松浦シゲキ、MOLTSを退職して独立します!

創業から約7年半が経ったMOLTSは、今年9月より「THE MOLTS」として再スタートを切りました。そして経営として組織を可能な限りコントロールせずに、多くのメンバーに決裁権を与え、各々のメンバーが新しい会社を立ち上げたり、投資したい事業に投資したりし、THE MOLTSを発展させていく動きを取っていきます。
詳細ページ:MOLTSは、「THE MOLTS」へ。
そのため、「美味い、酒を飲む。」という理念は変わりませんが、私たちのあり方が大きく変わるような、MOLTSとしての転換期を迎えました。そして会社としてのあり方が変わるからこそ、多くのメンバーに「やるか、辞めるか」を問いかけました。
その結果、独立を決めたのが、コミュニケーションプランナーとして活躍してきた松浦シゲキです。2022年9月にMOLTSにジョインした彼は、なぜ独立という意思決定をしたのか。またTHE MOLTSはなぜ彼の独立を応援しているのか。
その理由について、松浦シゲキとTHE MOLTS代表の寺倉大史が語り合いました。
MOLTSグループに参画して1年。あらためて「メディアコミュニケーション」が自身の得意領域だと気づくことができた
寺倉:松浦さんはMOLTSに入る以前はハフポスト日本版の初代編集長を務めたり、スマートニュースで事業プロデュースをされてきたりと、 “メディアをつくってプロデュースする人” といった印象も強いと思うのですが、MOLTSでは広報領域に関わりつつも、支援事業でクライアントワークをやったりしてたわけですが、この1年どうでしたか?
松浦:変幻自在だと思われることも多くて、この1年間、支援という形でクライアントに会うときも「松浦は何でもできるけど、何を支援できるの?」といったことは実際よく言われていたよね。
しかも振り返ってみれば、過去にクライアントワークはやったことがあるけど、自身のキャリアを取り上げられるようになった2004年のライブドア入社以降、ずっと事業会社に所属していて、広告制作以外ではほとんどクライアントワークをやってこなかったなと。
寺倉:久々のクライアントワークで、何か気づきや発見はありましたか?
松浦:商業メディアが抱える課題って、ビジネスとしての売上課題はもちろんのこと端的にPVを増やしたいといった課題まで様々。だけれども、セミナーなどで語られるのって、コンテンツのつくり方の話が圧倒的に多い。たとえば、いまトレンドのコンテンツは何かとか、音声コンテンツの時代にどういったコンテンツをつくるべきか、といった具合にね。
実際にクライアントの現場でも、「PVを上げるために、どういったコンテンツをつくるべきか」といったことの話題がよく出てくる。でも、重要なのはメディアコミュニケーションであって、どう伝えるかを議論すること。なぜなら、PVなどの数字はすべてコミュニケーションの結果だと思っているから。
でも、そうしたコミュニケーションをどう改善していくかをまわりでやっている人はいなかったから、MOLTSに入ってクライアントワークでいろいろな企業を支援していく中で、あらためてコミュニケーションプランニングというのが自分の得意としている領域なのだと気づくことができたことは、とても大きな収穫だったと思っている。

寺倉:昔、商業メディアのコンサルティングに入ったとき、どういったコンテンツをつくるかよりも、それ以外の要素が重要だというのはいつも思っていて。そもそもメディアとしての根本構造が変わらなければ、メディアが大きくグロースするというのを描きづらいと感じたことがありました。
メディア単体でどう勝つかというよりも、社内だけでなく社外を巻き込んで力を合わせていくことが大切。そうしたときに、松浦さんが独立していろいろなプロジェクトに加わっていくことでハブ的な存在となり、環境が少しずつ変化し、その流れでMOLTSと松浦さんで一緒にできることが生まれてくるんだろうなとワクワクしています。
松浦:独立後はプロジェクト単位でコミットする形になるけれども、いろいろな企業のプロジェクトにコミットしていくことで、情報がたくさん集まり、それをまた各プロジェクトに還元できるようになる。事業会社の中でそれができる人材はなかなかいないからこそ、ハブとしての存在価値を出していきたいと思っている。
というのも、これまでも「みんなでしあわせになろうよ」というセルフビジョンを持ってメディアに携わってきた。だけども、昔であればマスメディアでみんなに同じ情報を伝えられたけれども、いまは情報の伝わり方が変わってきている。
そうしたいまの時代において、みんなでしあわせなるためには、多くのメディアを支援することが自分にとっての糸口だと思っているんだよね。
そして、MOLTSでは商業メディアの支援だけでなく、たとえばNFT事業の支援などもやってきたけど、ビジネス開発というのも自分のスキルのひとつ。メディア支援は手段のひとつであって、これからも様々な手段を通じて自分のビジョン実現に向けて動いていきたいと思っている。
「ひとりでも生きていけるやつらが集まっているのがMOLTS」その言葉が松浦シゲキの人生を変える大きなキッカケとなった
寺倉:松浦さん独立のキッカケとなったのが、MOLTSが「THE MOLTS」へと生まれ変わるため、独立しても一人で生きていけるメンバーに対してやるか辞めるかの判断を迫ったことでしたね。 “美味い、酒を飲む。” という理念は変わらないものの、THE MOLTSへと変わることはMOLTSのマイナーアップデートではなく、僕らのあり方が大きく変わる出来事。
THE MOLTSでは、一人ひとりがこれまで以上に主役になって、よりお互いに刺激し合える環境を目指していくような、ピア効果(※)が生まれ続ける組織として再設計をしています。
たとえば支援事業のメンバーは独立採算制で、みな一律で同じ戦い方をしていたため、シニアクラスにとっては当たり前にできることも、ジュニアクラスにとってはしんどいみたいなことがありました。そこでTHE MOLTSではプロフェッショナルとメンバーでレイヤーを設け、プロフェッショナルに権限を可能な限り付与。新規事業をはじめたり、投資したい事業に投資をしたりと、決裁権を持って動けるように変わります。
そうした社としての方針以上に、個としてのあり方をより尊重したTHE MOLTSの変化に対して、滾るなら一緒にやろうぜ、と。だけども、組織としては大きな変化が訪れるから、辞めるならいまのうちに辞めたほうがいい、といった話を5月、6月あたりにメンバーには話しました。松浦さんはそれを聞いて、どう思いました?
(※)ピア効果とは、近しい視座の高さを持った仲間が同じ環境に集まることで、お互いに切磋琢磨して自然とモチベーションが高まったり、成長が加速すること。

松浦:はじめは「いいじゃん、その方向で進めていこうぜ」と思った。だからこそ、なんで辞めるか辞めないかの判断を迫るのだろうと疑問だった。なぜなら、「この方向でMOLTSは進んでいくから、一緒にやっていこうぜ」と言えばいいのだから。
しかし、それでも判断を迫るのだから、あらためて自分はどんな道を選ぶべきかを真剣に考えたよね。
寺倉:最悪のシナリオとして、MOLTSが僕一人になる結末も想定していましたし、各人の高め合いが全体を成長させる構造に変えたため、各人の覚悟が極めて重要になると思っていました。だから、「一緒にやろうぜ」とは言えないなと。だからこそ、何も包み隠さず、業績や今後のプランニングを無視して、とにかく真摯に伝えようと思っていました。
松浦:THE MOLTSへと生まれ変わることは、MOLTSとしてさらなるいただきを目指すために、そして個人としてもより滾ることができるチャレンジ。一方で、滾るのだけれども、プロフェッショナルとして動いていくというのは、これまでもやってきたことでもあると思った。
では、自分にとって困難な道はなんなのだろうと考えたときに、いつも寺倉が言う言葉が頭をよぎった。それは「ひとりでも生きていけるやつらが集まっているのがMOLTSだ」ということ。そのときに、ふと「あれ、自分はプロフェッショナルとして動いてきたけれども、独立したことがないよな」と思ったんだよね。
それであれば、自分にとって本当にチャレンジングなことって、MOLTSに居続けることではなくて、独立することなのではと思ったことが大きかった。
そしてMOLTSにいた1年間、ありがたいことに自分のスペシャリティにあらためて気づくことができたわけで、独立してもいろいろな企業にプロジェクト単位で入っていくつもりだから、いつかMOLTSのプロジェクトに自分が加わることで、独立して得た知識や経験を還元できればいいなと思えた。そういった未来の選択肢もあるのだと気づいたからこそ、独立するという道を自分は選んだ。

寺倉:松浦さんにその話を聞いたとき、僕はめちゃくちゃ嬉しかったです。これまでもMOLTSを退職するメンバーの約6割は独立していますが、僕らは「ひとりで生きていけるやつらが、それでもMOLTSにいる理由があれば一緒にやろうぜ」というスタンス。
そのため、メンバーが独立すること自体は否定的ではないですし、むしろ独立した後もまたどこかで一緒に仕事ができれば嬉しいなと思っています。
そうした中、MOLTSが松浦シゲキの新たな人生の点になれたというだけでも、MOLTSをつくって良かったと思えるし、これからもぜひ一緒にワクワクすることをやっていきたいと思っています。
松浦:MOLTSに入って、様々なことに挑戦する過程でいろいろなことが起きた。そしてめちゃくちゃ楽しんだ。そしてMOLTSの「美味い、酒を飲む。」という理念も、自分たちの話だけでなく、まわりの人たちと一緒に幸せになるからこそ、美味い酒になるという考えだから、実はみんなでwin-winな状態をつくろうとしている理念。
入社インタビューでも語ったけど、そうしたMOLTSの考え方は面白いしユニークだから、MOLTSの考え方を他社にもインストールしていくというのは、今後も続けていくつもりだし、それを続けることで社会が良くなると自分は信じているよ。
「大事なのは、肩書きで飯を食わないこと」これからも打席に立ち続けなければ独立する意味がない
寺倉:僕の中で “仲間” の定義があるんですけど、それはひとつのミッションがあって、そこにみんなが向かっている状況が組織であり、その組織のメンバーが仲間であるというもの。
そしてTHE MOLTSのメンバーとは仲間として、互いに高め合っていきたいと思っていますし、松浦さんがMOLTSを辞めた後も、「あのとき一緒に目指したよね」という仲間だった間柄として松浦さんのことを見ています。それくらい、この1年間はめちゃくちゃ密度の濃い時間でした。
松浦:密度の濃い時間を過ごした関係性というのは、人生の中でとても大事なことだよね。 “同じ釜の飯を食った仲” なんて言うけれど、それで言えば自分はこれまでいろいろな釜の飯を食っているわけで。
会社を辞めることに対してネガティブに捉える人もいるかもしれないけど、同じ釜の飯を食った仲間がたくさんいるというのは、とても喜ばしいことだなと自分は思っている。
寺倉:僕らの理念である「美味い、酒を飲む。」というのも、プロジェクトの期間とかではないですもんね。短い期間であっても、本気で取り組んで、挑戦して達成するという濃い時間を過ごすことができるかが重要だなと。
そして松浦さんとそうした濃い時間を過ごせたのは、腹を割って本音でコミュニケーションができたからだと思っています。そして、松浦さんは僕からすると人生の先輩だし、めちゃくちゃ大人というか、おじいちゃん(笑)。だからコミュニケーションの幅が広くて、なんでも相談することができました。
これからも定期的にコミュニケーションを取っていきたいと思っているのが、唯一松浦さんにお願いしたいのは、仲間だった間柄として、これからも僕に刺激を与えてくれるような存在であり続けてほしいということです。

松浦:大丈夫、おじいちゃん引退しないよ(笑)。自分が大事にしているのは、肩書で飯を食わないということ。元ライブドアだとか、ハフポスト日本版の初代編集長とかってこれまでやってきたことはあるけれども、自分は会社の名刺で飯を食っているわけじゃない。
自分のプレゼンスで生きるという信念を持っているから、これからは独立して一人で生きていくわけで、それができないなら、ダサいなと思う。だからこそ、これからも打席に立ち続ける。そうしないと、独立の意味がないよね。
寺倉:そう言えるのが、さすが。20代のときは有り余るパワーがあってどんどん前に進めようというモチベーションがありましたけど、30代になってからはコンフォートゾーンができてきて、そこに居続けちゃうという人は多い中、松浦さんは違う。
MOLTSとしても、美味い酒を飲むと決めているのだから、ひとつ達成したら次の美味い酒を飲むための挑戦をすることが当たり前。そして独立採算制の仕組みで、一人ひとりが採算管理を当たり前にできるようになることで個々が強くなってきました。
だけども、当たり前にできるようになると、僕も含めてコンフォートゾーンに入りやすいんですよね。そこでさらに高みを目指していくために、お互いに刺激し合える組織へと変わっていこうというのが今回のTHE MOLTSへと生まれ変わる理由でした。
そうした仕組みをつくることはもちろん簡単なことではありませんが、そうした組織を目指していく。それ自体が僕にとってのチャレンジです。最後に今後の松浦さんの展望を聞かせてください。
松浦:あらためて、自分のセルフビジョンは「みんなでしあわせになろうよ」ということ。それはどういうことかと言うと、何かしら情報を伝えると、その情報を受け取った人が、何かしら次のアクションが生まれていくわけです。つまり、自分にとって “良質な情報” というのは、その情報によって次の良質な情報や行動が生み出すもの。
そんな良質な情報が生まれ続ければ、世界が平和になると信じていますし、それが私の願いです。
寺倉:これからも年齢とかキャリアとか関係なく、純粋に対等な付き合い方をしていたいので、お互い高みを登っていって、またスナックで飲みましょう!
そして、これからは松浦さんはただの先輩なのでご馳走様です!笑
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