通販・EC企業が今すぐ始めるべき効果的なオフライン施策10選

EC事業者の中には、デジタル施策のみ展開し、印刷物などを用いたオフライン施策になかなか取り組めていない企業が多く見受けられます。もちろん、オフライン施策はデジタル施策よりもコストがかかる上に、なかなか費用対効果を図りづらい施策もあるでしょう。

しかし、私自身がこれまでに様々なEC事業者のコンサルティングを担当させていただいた中で、オフライン施策を交えて展開してくことでCRMが改善し、売上を伸ばしていったケースは多くあります。

そこで今回は、これまでデジタル施策オンリーだったEC企業のマーケティング担当者の方に、私自身がこれまでに実施して実際に成果に繋がった基本的なオフラインでのCRM施策をまとめてみました。

まず押さえるべきオフライン施策の4つの特徴

まずデジタル、オフライン問わず、CRMを考える上では、お客様とのコミュニケーションをどう設計すべきかということを考えることが大切です。そしてコミュニケーション設計において整理すべき軸は、以下の5つです。

  1. ターゲット
  2. チャネル
  3. コンテンツ
  4. オファー
  5. タイミング

詳しくは「CRMを導入してもLTVが上がらない理由と、もう一度見直したい5つのコミュニケーション」にて紹介していますのでご覧ください。

今回ご紹介するのはこのうちのチャネルの部分についてで、具体的なオフライン施策のチャネルとしては、下記のようなものがあります。

  • 同梱物:商品をお届けする段ボールの中に入れるチラシ、カタログ、クーポンなど
  • DM:郵送でお送りするハガキ、封筒、カタログなど
  • アウトバウンド:オペレーターからのお電話
  • SMS(※):意外にレスポンスのあるショートメッセージ

メールやLINEなどのチャネルであればさほど送信コストはかかりません。そのため、デジタル施策がメインとなり、コストがかかるオフライン施策に一歩踏み出せないというEC企業は多いのではないでしょうか。

しかし、よりCRMの成果を最大化させていくためには、デジタル施策とオフライン施策を掛け合わせることが大切であると考えています。ではオフライン施策の実施を検討する上で、まず理解すべきオフライン施策の特徴が、次の4つになります。

(※)SMSはオフライン施策なのか、という疑問を抱かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、TVや新聞などのオフライン媒体から電話注文いただいたお客様は、メールアドレスの取得ができない場合が多く、この場合SMSでのアプローチが効果的のため、本記事ではオフライン施策のカテゴリとして扱っています

01. 高い開封率

デジタル施策で一般的なメール施策やLINE施策ですが、一般的にメールの開封率は30~50%、LINEの開封率は50〜70%と言われています。

一方でオフライン施策の場合、同梱物は70~100%、DMは60~75%、アウトバウンドは40~60%、SMSは60~75%と、非常に高い開封率がポイントです。そのため、より着実に多くのお客様へアプローチしたいといった場合は、メールやLINEと組み合わせてオフライン施策を実施するというのも、選択肢のひとつでしょう。

02. エンゲージメントの高さ

EC企業だけでなく、多くの企業がメールやLINE施策を行う昨今、自社が送信するメールもお客様にとっては数多くあるメールの1つでしかありません。一方でオフライン施策を実施する企業はさほど多くはないため、戦略的に実施することで非常に効果的な施策となりえます。

たとえば同梱物やDMは、印刷物の特性を活かしてデジタル施策にはできない視覚的な訴求ができる他、物理的に手元に届くため、リテンション率向上を狙うことができます。またアウトバウンドであれば、お客様の抱える疑問や質問にも答えることができたりと、電話で双方向でコミュニケーションがとれるため、関係構築がしやすく、顧客のエンゲージメント向上が期待できるでしょう。

03. タイミングや数量をコントロールしづらい

オフライン施策はお客様にとってはインパクトのある施策ですが、デジタル施策のようにタイミングや数量をコントロールすることが難しいことも特徴のひとつとして挙げられます。

たとえば同梱物であれば注文から配送完了までのリードタイムが発生しますし、基本的に注文数分しか発送できません。またアウトバウンドも、お客様が電話に出られないタイミングもあるでしょうし、オペレーターの数の問題上、ターゲット顧客に対して一斉に同タイミングで施策を実施するということは難しいでしょう。

04. デジタル施策よりもコストがかかる

オフライン施策は印刷費や郵送代といった、デジタル施策ではかからないコストが発生します。たとえばメール施策であれば0.1〜1円/1通、LINE施策であれば1.5〜3円/1通で実施できるのに対して、オフライン施策の場合は比較的コストのかからないSMS施策で10~30円/1通、そしてDM施策に関しては100〜150円/1通、アウトバウンドであれば300〜500円/1リストといったコストが発生します。

このようにオフライン施策はデジタル施策以上にコストがかかり、またタイミングや数量をコントロールしづらいといった特徴もありますが、そうした特徴を踏まえて実際に私が実施して、オフライン施策を展開したことがない企業がまずは着手してみても良いと思えるのが次の10の施策です。

まず着手すべき基本的な10のオフライン施策

これまでオンライン、オフライン問わず、様々な施策に取り組んできましたが、その中でも成果が見えやすく、着手しやすい10のオフライン施策をまとめました。

01. 【F2転換】梱包材のオリジナル化

いまでもたまに見受けられるのが、無地の段ボールに申し訳ない程度の緩衝材が入っていて、そこに明細書と商品が雑に入っているような梱包です。せっかくお金を出して購入した商品が無機質な梱包で届いたのを見て、「嬉しい」と感じるお客様が多くはないということは想像に難しくないでしょう。

皆さん自身も経験があると思いますが、注文した商品が届き、段ボールを開封して商品を手にする体験というのは、お客様のテンションが上がるタイミングでもあります。だからこそ、アドオンでの施策を検討する前に、そもそもで顧客のエンゲージメントを高めるために行うべきが、こちらの梱包材のオリジナル化です。

配送用段ボールにブランドロゴやお客様へのご挨拶、また配送会社のドライバー向けに気遣いの言葉を添えて「お客様の大切な商品」であることを伝える文言を入れるなど、お客様への気遣いを段ボールで提示するだけでも印象は異なります。

また緩衝材も、一般的な茶色の緩衝材やエアパッキンではなく、商品サイズに合わせた型紙を用いることで、シンデレラフィット(モノがぴったりと収まった状態)の気持ちよさをお客様に感じていただくことができます。

02. 【F2転換】挨拶状・スターターブックの同梱

初回購入のお客様に対しては、はじめましてのご挨拶、そして感謝を伝えるためにも挨拶状を同梱することが大切です。ただ商品だけが送られてくるよりも、挨拶状があることでお客様にとっては商品の先にあるブランドや企業を思い出すキッカケにもなるからです。

また商品にもよりますが、利用促進が必要な商品であれば、正しく使っていただき、商品のパフォーマンスをしっかりと体感いただくための『スターターブック』もあわせて同梱すると良いでしょう。

スターターブックには商品の使い方の他にも、著名人など推薦者の声やFAQ、企業としてお客様へ提供したいことの想いなどもコンテンツとして掲載しましょう。

03. 【F2転換】商品券風クーポンの同梱

3つめに効果があったのが、商品券のようなデザインのクーポンの同梱施策です。単純にメールで「〇〇円引き」「〇〇%OFF」といったオファーを送るよりも、商品券のようなデザインや大きさのクーポンをお届けすることにより、 “金銭的価値” を感じていただきやすくなります

そのため、ただの割引チラシと比べ、「使わないともったいない」といった心象になりやすくなるのです。なお、利用促進のためには、割引率だけでなく、有効期限もあわせて記載することがポイントです。

04. 【F2転換】保証書の同梱

商材やブランドへのロイヤリティを高め、リテンションへ繋げていく施策として実際に効果があったのが、保証書の同梱施策です。

商品ページなどで「3年保証」「5年保証」と記載するだけでなく、賞状のようなリッチなデザインや紙質の保証書を発行することにより、お客様により安心感を持っていただくことができ、商品の継続利用に繋がっていきます。

この保証書施策は、家電のように一般的に保証期間が設けられている商材の他、ダイエット商材や育毛剤など、お客様に満足いただけなかったら返品・返金保証するという訴求をうたえる商材に向いています

「育毛剤 保証書」などと画像検索すると、様々な企業の実際の保証書イメージがでてきますので、ぜひ参考にしてみてください。

05. 【F2転換】カゴ落ちDM

デジタル施策では、カゴ落ちのフォローメールが効果的な施策として知られていますが、実はカゴ落ちしたお客様に、カートインした商品を印字したカゴ落ちDMの送付も非常に効果的です。

なぜなら、上述の通りメールの開封率は一般的に30~50%のため、すべてのカゴ落ちしているお客様にアプローチできているわけではありません。そこでフォローメールと掛け合わせてカゴ落ちDMを実施することで、より多くのお客様にアプローチすることができるのです。

また、DMがお客様の手元に届くまでに2〜3日のリードタイムが発生してしまいますが、フォローメール閲覧済みでまだ未購入のお客様に対しては、リマインドとしても効果的です。

06. 【F2転換】使い方説明・アンケート電話

アウトバウンド(電話)では「実際に使ってみていかがでしたか?」と利用状況を確認したり、説明が必要な商品であれば使い方の説明を行う中で、お客様からのご質問に答えるなど、メールやDMではできない、双方向なコミュニケーションが可能です。

そのため、利用促進に繋げていくコミュニケーションを展開することで、より商品理解が深まり、商品満足度を高めていただくことが可能です。また、会話を通じてお客様との関係構築ができるため、思い出してもらいやすく、別の商品の購入促進にも繋がります。

一方でオフライン施策の中では比較的コストがかかる施策になるため、トークスクリプトを用意するなど戦略的な展開が求められますが、他の施策よりもエンゲージメント向上が期待できます

07. 【F2転換】リテンションSMS

SMS(ショートメッセージ)を活用した施策に取り組む企業はそう多くはないでしょう。しかし、意外に多くのレスポンスを獲得できるのが、このSMS施策です。

SMSは電話番号のみでお客様にメッセージを送信できるため、メールアドレスが取得できていないオフライン経由(テレビや新聞チラシなど)のお客様に対してアプローチすることが可能です。

ご購入いただいた商品がなくなりそうなタイミングで再購入を促進するアプローチや、クロスセルのアプローチが効果的です。

注意点としては、SMSは文字数の制限があるため、メッセージ内にURLを設置し、Webへ遷移していただくことで、その後のメールアドレス獲得施策などへと誘導しやすくなります。

08. 【優良顧客向け】バースデーDM

お客様のエンゲージメントを高める施策として有効的なのが、バースデーDMです。たとえば3回以上購入履歴のある優良顧客であれば、企業やブランドへの愛着がある状態であると考えられるため、店長やスタッフからのお祝いメッセージとあわせて、バースデークーポンをお送りします

なお特別感あるものとするため、通常のDM施策で10%クーポンを送付している場合は、バースデークーポンでは20%クーポンにするなど、他のキャンペーンより割引率を高くしてあげることがポイントです。

また、関係構築ができていない新規顧客にはあまり有効的ではありませんので、3回以上購入など一定数の閾値のセグメントを切って展開することも大切です。

一度しか会ったことない知り合いから、いきなり誕生日おめでとう!と言われても、違和感があるのと同様です。

09. 【優良顧客向け】サプライズプレゼント

定期販売や頒布会を実施している企業の場合、たとえば3回に一度の頻度で継続利用のお礼状とあわせて、サプライズでのプチギフトをお送りすることで、お客様との関係構築が深まり、ロイヤリティ向上に効果的です。また、サプライズプレゼントはバースデーDMの施策でも実施しても有効です。

サプライズですから事前告知しないことがポイントで、期待値がない状態で商品にプレゼントが同梱されていることで、お客様にとっては嬉しい驚きになります。プレゼント内容としては、冬シーズンであればホッカイロをお送りする企業もありますし、自社ブランドの除菌シートやハンドソープを送ったり、ロゴ入りのタンブラーを送ったりする企業もあります。

10. 【優良顧客向け】会報誌

販促情報だけでなく、お客様にとって「役に立つ情報」をお届けすることもCRM施策としては効果的です。たとえばダイエット商材やフィットネス商材を扱う企業であれば、食生活改善のための料理のレシピであったり、手軽なエクササイズの方法など、お客様の求めるライフスタイルに沿った情報は非常に喜んでいただけます

商品カタログを送付する企業は多いでしょうが、そこにプラスオンでお客様の日々の生活に役立つ情報を提供することで、エンゲージメントの高いタッチポイントとなりえますし、お客様との関係構築にも繋がっていきます。

重要なのはターゲットとのコミュニケーション設計

ここまで10のオフライン施策をご紹介しましたが、これらの施策を効果的に実行するためには、体系的なマーケティングコミュニケーション設計が重要です。

個別の施策を闇雲に実行するのではなく、ターゲットの心理状態や行動パターンを分析し、最適な施策の組み合わせと実行順序を設計することで、限られた予算でも最大の成果を実現できます。

マーケティングコミュニケーション設計では、STP分析でターゲットを明確にし、ペルソナとカスタマージャーニーを作成した上で、8つのステップに沿って施策を体系化します。

これにより、なんとなく施策を実行するのではなく、明確なKPIを設定し、データに基づいた効果検証と改善を継続的に行うことが可能になります。オフライン施策の成功には、このような戦略的アプローチが不可欠です。

マーケティングコミュニケーションとは|設計方法を8ステップで解説

おわりに

CRMとして実施すべきオフライン施策は他にもまだまだたくさんありますが、今回は私自身がこれまでに実施してよかったと感じた基本的な施策をご紹介いたしました。

取り組むべきCRM施策というのは、取り扱う商材の種類やそれをご購入いただくお客様、ECサイトや企業の特徴によっても異なりますが、デジタル施策しかやってこなかったという企業であれば、ぜひオフラインでも何か施策ができないかと見直すべきだと私は考えています。

そのため、まずはデジタル施策で実施しているコンテンツをオフラインチャネルで実施することからはじめて、その後オフラインの強みを理解した上で独自の施策を実行してみてください。

オフライン施策の成果計測は、QRコードの印字で閲覧数を計測したり、キャンペーン番号や媒体番号を受注時に取得してコンバージョンで効果検証するケースが一般的です。さらに踏み込むと、定期的にアンケートをとり、既読率を計測します。先進的な企業は、お客様が自社アプリのカメラ機能で、カタログやDMの商品画像を読み込むと商品ページに遷移して購買できる導線を組んでおり、閲覧データの取得と、UIの改善を行なって成果を計測しています。オフラインのデータ計測に関しては、また別途書けたらなと思います。

なお、今回はこれまでご支援させていただいたクライアント企業の案件が多く、なかなか具体的な数字であったり、施策で活用した印刷物などをお見せできませんでした。ご相談いただければ、そうした具体的な内容を交えてご紹介させていただきますので、どの施策を優先的に行うべきなのか、自社にどういった施策が最適なのかとお悩みの場合は、ぜひお気軽にご連絡ください。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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