CRMとは|顧客関係管理で売上向上する7ステップ導入手順
この記事でわかること
- CRMツールにはどんな機能があり、どのような課題を解決できるのか
- CRMツールの具体的な活用例
- CRMツールは本当に導入すべきか?
CRMとは本来は「顧客関係管理」のことを指し、主にお客様とのコミュニケーションを行うことによって、良好な関係性を築き、購入頻度を上げ、LTVを向上させるための取り組みのことを表します。
しかし、最近では顧客関係を管理するためのツール(システム)を意味する言葉として使われるケースがよく見られます。
そこで本記事では「CRMツール」について、どのような機能がありどんな課題を解決できるのかを解説していきます。
なお本来のCRMの意味である「顧客関係管理(特にBtoC)」については以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
CRMとは「顧客関係管理」もしくは「顧客関係を管理するためのツール」を表す

冒頭でもお伝えした通り、本来CRMとは顧客関係管理を表すものです。ツールについて学ぶ前に、まずは本来の顧客関係管理を理解しておきましょう。ツールはあくまでもその業務を効率化するためにあるものだからです。
消費者がインターネットで手軽に情報を得られる時代になったため、以前よりも新規顧客の獲得が難しくなりました。そのため、新規顧客ではなくリピーターを増やす施策の方が、コストをかけずに売上に繋がりやすくいことから重要視されています。
しかし、顧客全員に同じ方法でアプローチをすると非効率的で、顧客が望まないアプローチをすればかえって顧客が離れてしまうリスクもあります。顧客と良好な関係性を築きたいのであれば、顧客一人ひとりに合わせた施策を講じなければなりません。
そこで必要となるのが「CRM(顧客関係管理)」です。CRMは顧客のことをより深く理解し、顧客に合わせたマーケティング活動を行うことでリピーターを増やすことを目的とした施策です。
そして、それを効率的に実行するためのツールのことを「CRM」と呼ぶことがあります。

本記事ではツールとしてのCRMについて、何ができてどのような課題を解決できるのかを、詳しく解説していきます。
【タイプ別】CRMの機能や活用例・解決できる課題
CRMの機能は大きく分けると、以下の3タイプに分別できます。

導入する目的によってどのタイプの機能がメインになっているツールを選ぶかが変わります。自社の目的に合うCRMを選ぶために違いを理解しておきましょう。
では、タイプごとの特徴・搭載機能・解決できる課題を紹介します。
1.営業サポートタイプ
営業活動サポートタイプは、その名の通り営業活動をサポートします。
具体的には、営業に役立つ以下のような情報の管理が可能です。
- 案件管理
- 商談履歴
- 訪問スケジュール管理
- 売上予測・売上実績データ
- 日報管理
例えば、案件の情報をリアルタイムで確認できたり、データベース内の情報をリンクさせ、さまざまな切り口でデータを抽出できたりします。そのため、Excel管理よりも格段にデータを活用しやすく、営業活動に活かしやすくなるでしょう。
また、商談が成功しやすいパターンや失注に至りやすい傾向なども分析できるため、部署内で共有することで顧客へのアプローチや商談方法の改善にも役立ちます。
案件の進捗状況をリアルタイムで確認し、適切なタイミングでアドバイスしたい
顧客へのアプローチのタイミングを明確にしたい
営業のノウハウを共有し、部署内全体の実力を上げたい
2.マーケティングサポートタイプ
マーケティングサポートタイプは、手間がかかるマーケティング業務を自動化し、効率化します。具体的には、以下のような機能でマーケティングをサポートします。
- メール自動配信設定機能
- フォーム作成機能
- イベント集客管理機能
- SNS管理機能
例えば、メール自動配信設定機能を活用することで、事前に設定したシナリオに沿って自動配信でき、的確なタイミングでのアプローチが可能です。
また、複数のSNSアカウントを一元的に管理でき、予約投稿や自動投稿が可能なツールもあります。コメントをリアルタイムで確認したり、顧客情報にSNSアカウントを追加して自社の投稿に対する反応を記録したりすることもできます。
顧客へのメール配信を自動化したい
メールでのアプローチの効果を上げたい
入力フォーム作成の時間を短縮したい
イベント来場者のデータを管理したい
SNSを効果的に運用したい
3.コールセンタータイプ
コールセンタータイプは、メールや電話などさまざまな顧客からの問い合わせを一元管理できます。管理できる情報の例を挙げると、以下のような種類があります。
- 購入履歴
- 商品やサービスを知ったきっかけ
- 紹介履歴
- 通話履歴
- 対応履歴
- アンケートの回答結果
例えば、一度問い合わせをした顧客から再度入電があったとします。その際に前回の担当オペレーターや対応の詳細がわからず何度も保留にされれば、顧客満足度は下がり企業への不信感にも繋がります。
このような場合、CRMで情報を一元管理することで、問い合わせ内容や担当オペレーターを瞬時に参照できるため、スピード感のある対応が可能になります。
また、問い合わせ内容を分析してコールセンターの応対品質を高めたり、対応時間を短縮して業務を効率化したりすることで、オペレーター人数の最適化にも繋がります。
問い合わせ対応時間を短縮したい
オペレーターのスキルを平準化したい
オペレータの人数を最適化したい
CRMと「SFA」「MA」の違い
CRMと似たような機能を持つツールに「MAツール」「SFAツール」があります。
それぞれを簡単に説明すると、以下のような違いがあります。
MAツール | 見込み顧客を獲得するためのツール |
SFAツール | 見込み顧客を顧客化するためのツール |
CRMツール | 顧客と良好な関係を築くためのツール |

どのような場面でCRMを活用するのかを正しく理解するために、それぞれのツールとの違いを把握しておきましょう。
では、MAツールとSFAツールの特徴について詳しく解説します。
MAツール
MAとは「マーケティングオートメーション」の略で、マーケティング業務を自動化・効率化することを指します。
MAツールの目的は「見込み顧客の獲得・育成」です。どの見込み顧客にどのようなアプローチをするか設定でき、個々の興味や嗜好に合わせて適切なタイミングでメールを配信するといったアクションを自動で行えます。

また、Webを経由した見込み顧客の獲得にも役立つツールです。個人情報を獲得できていないユーザーを見込み顧客として管理でき、リターゲティング広告の配信や、Webサイトの行動履歴に応じてコンテンツを出し分けるなどのアクションを起こせるようになります。
SFAツール
SFAは「セールスフォースオートメーション」の略で、営業支援を指します。見込み顧客を顧客化することを目的としており、主にBtoBで活用されることが多いツールです。
営業担当者が活用し、見込み顧客の情報・案件情報・商談情報などを一元管理できます。

情報を一元管理することで、入力工数を削減して営業担当者の負担を軽減したり、タイムリーな営業戦略を立てることが可能です。SFAツールを活用することで、属人化しやすい営業活動を改善し、部門間の連携を向上させる効果も期待できます。
CRMの導入費用

CRMの導入時には、以下のような費用がかかります。
内訳 | 費用の内容 | 費用相場 |
---|---|---|
初期費用 | ツール導入の際にかかる費用 | 0~10万円 |
月額料金 | 毎月支払う利用料 | 1,500~6,000円/1ユーザー |
ツールやプランによって費用は大きく異なり、機能が充実しているものを選ぶと料金も上がります。コストを抑えるためにも自社に必要な機能を把握しておき、余分な機能が搭載されていないツールやプランを選ぶことが重要です。
ツール自体にかかる費用以外にも、メールやLINEなどのクリエイティブ制作費や、CRMツールの設置を外部委託する場合は設定費用もかかります。
CRMツールは本当に必要?導入すべき企業とそうでない企業
ここまで、CRMの機能や料金について解説してきましたが、自社で導入すべきか判断できないという人のために、導入をおすすめする企業と必要ない企業について紹介します。
まず、CRMの導入がおすすめなのは以下のような企業です。
複数ジャンルの商品を扱っており、購入商品によってコミュニケーション手法・配信したいコンテンツが変わる企業
顧客の購入頻度や累計購入回数によってセグメントを細かく分け、それぞれに適切なコミュニケーションを行いたい企業
上記のような企業は、CRMによって効果的なアプローチが可能になるだけでなく、作業工数も削減できるため導入がおすすめです。
対して、CRMを導入する必要がないのは以下のような企業です。
- 取扱商品が少なく、現状の会員規模が10,000人以下の企業
- 施策の数が少ない企業
このような企業の場合はCRMを導入しても効果を得にくく、費用対効果が低くなる可能性があります。
CRMの導入方法・流れ

CRMツールを導入する場合、事前の準備が重要です。具体的には、導入まで以下のような流れで進めましょう。

では、各ステップでやるべきことについて詳しく解説します。
1.担当者を決める
CRMの導入を決めたら、まず担当者を決めましょう。人的リソースがある場合は専任チームも編成するのがおすすめです。
担当者を決めておくことで、経営陣の意向を組みながら、各部門の意見を取りまとめてスムーズにCRMを導入することができます。
また、導入後も何か問題が起きた際に、担当者がいることで素早く対応でき、CRMを定着しやすくなるでしょう。
2.CRMを導入する目的を明確にする
担当者やチームが中心となり、CRMを導入する目的を明確にします。目的が曖昧な状態では、どのようなツールを選ぶべきかがわからず、自社に適さないCRMを導入してしまうリスクがあるからです。
目的は「売上を向上する」といった漠然としたものではなく、「顧客情報を管理して適切なアプローチを行い、低いリピート率を改善して売上を向上させる」といったように、具体的なものにしましょう。
また、導入後の効果を測定するために、KPIやKGIも設定してください。
効果測定のためのKPI・KGI設定にはKPIツリーが有効
CRM導入の成功には、明確な目標設定と効果測定が不可欠です。しかし、「売上向上」「顧客満足度向上」といった抽象的な目標では、具体的な施策や改善点が見えにくくなってしまいます。
そこで重要になるのが「KPIツリー」の活用です。KPIツリーとは、最終目標(KGI)を達成するために必要なKPI(中間指標)を樹形図の形で可視化したものです。例えば、CRMで「顧客単価向上」というKGIを設定した場合、「リピート率×平均購入金額×購入頻度」に分解し、さらに「メール開封率」「クリック率」「セグメント別反応率」まで細分化できます。
この手法により、ボトルネックの早期発見、具体的な施策アイデアの創出、漏れのないKPI設定が可能になります。プロが必ずKPIツリーを作成する理由は、「何をすればうまくいくのか」「どこを改善すればいいのか」を明確にするためです。
3.課題を洗い出す
目的を明確にしたら、次は課題の洗い出しを行います。現状、顧客情報の管理においてどのような課題があるのかをリストアップし、解決の優先順位を決めましょう。
課題を洗い出したら、CRMのどのような機能で解決できるかを検討してください。
4.現状のシステムを洗い出す
CRMを最大限に活用するためには、すでに導入しているシステムとどのように連携させるかも重要です。そのため、自社のシステムを洗い出して整理し、CRMと各システムの関係を決めておきましょう。
システムによって、連携するもの・統合するもの・切り離して使用するものに分けられます。これらを決めておくことで、導入後どのように運用していくかを把握しやすくなります。
5.ツールを選定する
ここまで準備ができたら、ツールを選定します。選定の際は、以下のポイントを確認しましょう。
選定ポイント | 詳細 |
---|---|
機能が自社に合うか | ・目的の達成や課題解決に必要な機能は搭載されているか |
サイトサポートやセキュリティが充実しているか | ・サポートを受ける場合はどのような方法があるか |
連携機能があるか | ・既存のシステムと連携できるか |
いくつかのツールを選定したら、これらのポイントを表に書き出し、費用と併せて比較検討してみましょう。
6.デモや無料体験で試す
CRMの導入する場合、操作性の確認も重要です。デモや無料体験があるツールが多いので、実際に触って使用感を比べてみましょう。
導入後にCRMを使用する社員に実際に試してもらい、感想をヒアリングしましょう。問題がなければ本格的な導入に移ります。
7.ツールを導入する
ツールを導入したら、一度にさまざまな業務プロセスを変更するのではなく、効果がわかりやすい業務から活用していき、徐々に範囲を広げましょう。そうすることで、現場の混乱を防ぐことができます。
また、定期的に効果を測定して改善を行い、PDCAを回していくことでCRMの効果を高めましょう。
CRMで蓄積されるデータを最大限活用するために
CRMを導入してデータが蓄積されても、それを効果的に活用できていない企業が少なくありません。データ活用を成功させるには、収集できるデータの種類を理解し、体系的なアプローチで進めることが重要です。
マーケティングで重要な5種類のデータには、顧客の基本情報や行動履歴の「顧客データ」、購買・取引履歴の「取引データ」、サイトでの行動を記録する「アクセスログデータ」、消費者の生の声を収集する「SNSデータ」、政府機関等が公開する市場情報の「オープンデータ」があります。CRMは主に顧客データと取引データを扱いますが、他のデータとも連携することで分析の精度を高められます。
これらのデータを「目的明確化→データ有無確認→収集→可視化→分析→施策実行→効果測定」の7ステップで活用することで、売上向上、コスト削減、顧客満足度向上などの具体的な成果に繋げられます。
おすすめのCRMツールを紹介

CRMは数多くのツールがあり、情報がない状態でいちからツールを選定するのは困難です。そこで、ツール選定の参考になるように、おすすめのCRMツールを特徴・費用・無料体験で比較した表を用意しました。
ツール | 費用 | 無料体験 | 特徴 |
---|---|---|---|
HubSpot CRM | 5,400円~/月 | 〇 |
|
クラウドサービスサスケ | 基本料金:5万円~/月 サービス利用料:1,000円/1アカウント | デモ有 | ・商談前のリードの管理 |
Intercom | ユーザー数・コンタクト数によって月額が変動 | デモ有 | ・250以上の外部アプリと統合可能 |
WEBCAS CRM | 10万円~/月 | デモ有 | ・データベースの構築作業が簡単 |
Zoho CRM | 1,680円~/月 | 〇 | ・マルチチャネルでの営業活動を可視化して管理 |
上記はどれも多くの企業に導入されているCRMばかりです。
これらのツール詳細や、失敗しないCRM選びのポイントを知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
CRMの成果を上げるリテンションマーケティング
CRMツールの導入や選定方法を理解したら、次に重要なのは実際に成果を上げるための運用戦略です。リテンションマーケティングは、既存顧客のリピート化や長期契約を目的とした施策で、新規顧客獲得の5分の1のコストで実現できる費用対効果の高いアプローチです。
メールマーケティング、レコメンド、SNS、プッシュ通知、カスタマーサポート、カスタマーサクセスなど9つの具体的な手法を体系的に活用することで、LTV向上と顧客ロイヤルティの向上を実現できます。
また、データ収集による顧客理解、成果指標の明確化、顧客セグメント化によるOne to Oneマーケティングという3つの成功ポイントを押さえることで、導入したCRMツールの効果を最大化できるでしょう。
まとめ|「顧客関係の管理」はCRMを活用して効率化
CRMは、本来「顧客関係管理」のことを指しますが、そのための施策を効率的に行うツールのこともCRMと呼ぶケースもあります。
CRMの機能は大きく分けると、以下の3タイプに分別できます。

どのようなタイプの機能がメインになっているかで、解決できる課題も異なります。自社の課題に合わせてCRMのタイプを選びましょう。
CRMの導入時には、以下のような費用がかかります。
内訳 | 費用の内容 | 費用相場 |
---|---|---|
初期費用 | ツール導入の際にかかる費用 | 0~10万円 |
月額料金 | 毎月支払う利用料 | 1,500~6,000円/1ユーザー |
他にも、クリエイティブ制作費や、設置を外部委託すればその費用も必要です。
CRMは、以下の企業であれば導入するのがおすすめです。
- 複数ジャンルの商品を扱っており、購入商品によってコミュニケーション手法・配信したいコンテンツが変わる企業
- 顧客の購入頻度や累計購入回数によってセグメントを細かく分け、それぞれに適切なコミュニケーションを行いたい企業
一方で、以下のような企業にとっては不要と言えるでしょう。
- 取扱商品が少なく、現状の会員規模が10,000人以下の企業
- 施策の数が少ない企業
導入に迷った場合の参考にしてください。
CRMの導入は、事前準備が重要です。以下のような流れで導入を進めましょう。

顧客の情報を最大限に活用するためには「顧客関係管理」が必須であり、効率的に行うためにもCRMの導入を検討してみてください。
CRMに関してよくある質問と回答
CRMで成果を上げるためには、PDCAを回してセグメント、チャネル、コンテンツ、オファー、タイミングを常に最適化することが重要です。
そのためには、CRMで目指すべき成果を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できる運用体制が必要です。
CRMを新たに取り組みたい、今実施している広告成果をより上げていきたいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったCRM支援を提案しております。
まずは一度「CRM導入・改善の支援内容」をご覧ください。
本来CRMとは、顧客関係管理を表すものです。顧客とのコミュニケーションを行うことで良好な関係性を築き、購入頻度を上げてLTVを向上させるための取り組みのことを表します。
CRM施策を効率的に実行するためのツール自体を「CRM」と呼ぶこともあり、大きく分けて以下のような機能を備えています。
- 営業サポート機能
- マーケティングサポート機能
- コールセンター機能
詳しくは「【タイプ別】CRMの機能や活用例・解決できる課題」をご覧ください。
CRMは以下のように進めることで、スムーズに導入することができます。
- 担当者を決める
- CRMを導入する目的を明確にする
- 課題を洗い出す
- 現状のシステムを洗い出す
- ツールを選定する
- デモや無料体験で試す
- ツールを導入する
ツール選定前の工程を飛ばしてしまうと、CRM選びに失敗したり導入後に定着しない恐れがあります。
詳しくは「CRMの導入方法・流れ」をご覧ください。
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