MA(マーケティングオートメーション)完全ガイド|事例や運用のコツ

この記事でわかること

  • マーケティングオートメーションとは何か
  • 具体的な活用方法と、解決できる課題
  • 本当にマーケティングオートメーションを導入すべきかどうかの判断基準

マーケティングオートメーション(通称MA)という言葉がよく使われるようになり、導入を検討する企業が増える中、「具体的にどのようなもので、何が解決できるのか分からない」「自社にも必要なのかどうかを判断したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

マーケティングオートメーションとは、マーケターが行う膨大な業務を自動化して、効率的にホットリード(今すぐ客)を抽出し、それぞれのリードと適切なコミュニケーションを図るためのシステムのこと(もしくはその取り組みのこと)を指します。

マーケティングオートメーションは、全ての企業にとっておすすめできるシステムというわけではありません。導入を検討すべき企業と、今導入しても使いこなせず、費用が無駄になってしまう企業があります。

一つの目安として、私は普段「ハウスリストが500~1,000件を超えている企業でないと、MAを使いこなすのは難しい」とお伝えしています。

本記事では、マーケティングオートメーションで具体的にどのような課題が解決できるのかを解説し、各企業が本当にを導入すべきかどうかを、実際の活用事例も交えて解説していきます。

私がクライアントのBtoBマーケティング支援を行う際によく行う「MAを使った今すぐ客の抽出方法」も紹介するので、ぜひ参考にしてください

※マーケティングオートメーションは、略して「MA」や「MAツール」と呼ばれることもあります。

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目次 非表示

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーションとは、企業のマーケティング活動において、マーケターが手動で行なっている膨大な業務を自動化して、効率を高めるシステムを指します。

例えば、マーケティングオートメーションの登場以前は、獲得したリード(見込み客)のメール配信リストの作成やメール開封率・サイト訪問の分析、営業へのリードの引き渡しといった業務は、全てマーケターが手動で行う傾向にありました。

これらの業務は、マーケターの時間を奪ってしまい非効率なだけでなく、属人的な判断に頼ることが多く、見込み客の温度感を「定量的に測る」ことができません。結果的に、購入意欲の低いリードを営業に引き渡してしまい、失注や商談に至らないなど営業リソースの無駄遣いを招いてしまいます。

そこで活躍するのが、マーケティングオートメーション(MA)です。MAを活用すると、以下のようなことができるようになります。

マーケティングオートメーション(MA)でできること
  • 獲得したリードを一元管理する
  • リードのWEB上の行動を把握する
  • 特定の行動(サービスページに3日連続で訪れるなど)を取ったリードを検知する
  • リードの反応によって、自動でアクション(メールなど)を実行する など

その結果、受注に繋がりやすいリードを抽出し、優先的にアプローチをしたり、営業にトスアップをしたりできるようになります。

マーケティングオートメーションの必要性や求められている背景

「マーケティングオートメーション」や「MAツール」といったワードは、日本では2016年ごろから、認知され始めました。

急速に認知や導入が進んでいるマーケティングオートメーションですが、企業がはなぜ、マーケティングオートメーションを必要としているのでしょうか。

以下2つの理由が考えられます。

  1. 扱うリードの数が増えている
  2. 働き方改革などにより営業リソースの節約が必要とされている

順番に見ていきましょう。

理由1.扱うリード数が増えている

最大の理由は、企業が管理するリード数が大幅に増えていることが挙げられます。かつては、名刺交換やセミナー開催・テレアポ営業など、見込み客との接点は限られていました。

そのためマーケターが属人的にリードを管理しても、大きな工数は掛からず、一つひとつのリードに関して、時間をかけて、適切なアプローチをすることができました。

しかし、インターネットの普及により、顧客は製品やサービスの情報を簡単に収集できるようになりました。そのため企業も、より多くのリードを獲得することができるようになったと共に、顧客が抱える様々なニーズに対して、One to Oneのマーケティングを行う必要に迫られています

そのため、リードを一元管理して、一つひとつのリードに適したアプローチを自動で行うことができるマーケティングオートメーションの需要が高まっていると推測できます。

逆に考えると、扱うリードの数がそこまで多くない企業にとっては、MAの必要性は低くなると言えるでしょう。

理由2.働き方改革などにより営業リソースの節約が必要とされている

MAを用いて一括にリード管理を行うことで、リードの属性や行動から、優先的に営業活動をすべきホットリードを抽出することができます

今までは、本来注力すべき受注確度の高いリードと、時間をかけてじっくりと育成すべき受注確度の低いリードを見分けることができずに、無駄な営業リソースが多く発生していました。

労働人口の減少や働き方改革が叫ばれる中、いかに限られた営業人員の中で、最大の成果を出すことが求められています。

このことから、MAを活用して、ホットリードを抽出することで、受注に繋がりやすい「今すぐ客」に効果的にアプローチしていくことが可能になります。結果的に、受注率を大幅に向上させ、今までかかっていた無駄な営業コストを削減することができます。

マーケティングオートメーションの機能・解決できる課題

MAには、リードを創出してから営業にトスアップするまでの、一連の流れに対応する機能が備わっています。「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」をサポートしてもらえるのです。

リードナーチャリングとリードナーチャリングとリードクオリフィケーション

つまり、MAは「リードを獲得してから育成を行って購買意欲を高め、ホットになったリードを営業にトスアップする」というマーケティング活動を、効率化するために活用します。

MAの代表的な機能できること
WEBトラッキングリードのWEB上の行動を把握する
リード管理リード情報を一元管理し、効果測定を行う
フォーム / LP制作WEBフォームやLPを制作し、リードを獲得する
メール送信 / 開封確認テンプレートを利用し、簡単にHTMLメールを作成する
スコアリング優先的にアプローチすべきリードを算出する
シナリオリードの反応によって、自動でアクションを実行する

※他にも様々なことが行えます。またツールやプランなどによって、できることが異なる場合があります。

それでは、MAがサポートする

  • リードを生み出す作業(リードジェネレーション)
  • リードを育成する作業(リードナーチャリング )
  • リードを選別する作業(リードクオリフィケーション)

について、具体的にどのような機能を使って、どんなことができるのかを解説していきます。

リードジェネレーションに関するMAの機能

リードジェネレーションとは、自社の商材に興味や関心を持つ、見込み客を獲得することを指します。

リードジェネレーションの役割

MAには、リードを獲得するための様々な機能が備わっています。

その代表的な機能が、「フォーム / LP制作」です。リスティング広告やバナー広告をはじめとするWeb広告からLP(ランディングページ)に誘導して、資料ダウンロードやメルマガ登録のために、個人を特定出来るデータ(氏名・会社名・部署名・メールアドレスなど)を入力してもらうことで、リードを獲得します。

従来は、Web制作の知識が無ければ、フォームやLPを作ることができませんでした。しかし、MAは、誰でも簡単にそして時間をかけずに、フォームやLPを制作することができるので、リード獲得に役立ちます。

他にもMAによっては、以下のような機能を備えています。

  • コンテンツ制作機能(コンテンツSEOに関する記事作成などを効率化)
  • イベント管理機能(セミナーや展示会などのリード獲得・管理を効率化)
  • 名刺管理ツールとの連携機能(名刺情報をリード化)

リードナーチャリングに関するMAの機能

リードナーチャリングは、獲得したリードの受注確度を高めていくために、適切なコミュニケーションを取り育成することを指します。

ナーチャリングの役割

例えば、以下のような機能を備えています。

  • リード管理機能(リード情報を一元管理する)
  • メール配信機能(ステップメールの配信や効果測定などを行える)
  • シナリオ設計機能(リードの動きに応じた自動アクションを設計できる)
  • Webトラッキング機能(Web上でのリードの動きを可視化し把握できる)

「シナリオ設計機能」は少しイメージがしにくいかもしれませんが、MAを活用するうえでぜひ覚えておきたい機能です。これはその名の通りメール配信のシナリオを設計し、リードの行動に応じて自動で次のアクションを行えるようにするものです。

例えば、セミナー案内のメールを配信すると「メールを開封してセミナーに申し込みをしたリード」「開封のみしたリード」「開封もしなかったリード」に分かれます。シナリオ設計では、このようなリアクションの違いによって、次に送るメールの内容を自動で変更する、といったことが行えます。

MAでできるシナリオメールの例

MAを利用すると、このような機能を駆使してリードとOne to Oneのコミュニケーションを取り、適切にナーチャリングが行えるようになります。

リードクオリフィケーションに関するMAの機能

リードクオリフィケーションは、リードの受注確度を見極めて、購入意欲の高い「今すぐ客」を見つけることを指します。

リードクオリフィケーションの役割

例えば、以下のような機能を備えています。

  • Webトラッキング機能(Web上でのリードの動きを可視化し把握できる)
  • スコアリング機能(リードの行動に応じて点数を付け、見込み度合いを可視化できる)

「Webトラッキング機能」を活用して、受注確度が高いリードが、Web上でどのような行動を取りやすいのかを分析することが可能です。詳しくは次の章で解説しますが、受注確度が高いリードに共通する特徴(頻繁にサービスページを訪れるなど)を抽出することで、自社にとっての「今すぐ客」を検知できるようになります。

また、「スコアリング機能」を活用することで、リードの自社サービスへの興味関心度合いを、ある程度数値化することができます。スコアリング機能とは、メールの開封・資料のダウンロード・動画の視聴・サイトの訪問・特定ページの閲覧など、リードの行動に応じて点数を付与できる機能です。

例えば、「メールを開封したら5点」「ホワイトペーパーをダウンロードしたら20点」など、購入するユーザーによく見られる行動には高い点数を設定します。

リード獲得

つまりMAをうまく活用すれば、特定のアクションを取ったり、一定のスコアに到達したりした「今すぐ客」を抽出し、優先的に営業やインサイドセールスへと引き渡すことができるのです。

「BtoB向けのMA」と「BtoC向けのMA」で、できることに大きな違いはない

MAにおいて、BtoB向けツールとBtoC向けツールに大きな違いはありません。どちらも見込み客を育成して、受注確度の高い見込み客を選別していくために必要な機能が備わっています。

しかし、BtoBとBtoCでは、保有するリード件数が異なります。BtoBは、数千〜数万のリード件数なのに対して、BtoCの場合だと、数十万〜数百万のリード件数を管理する必要が出てきます。そのため、リードを管理できるデータベース量には違いがあります。

例えば、BtoC向けのECサイトの場合、顧客一人ひとりに合わせて最適なレコメンド(おすすめ商品の情報)を出したいといったニーズがあります。このような場合は、数百万単位のリードをクラスタリング(分割)してセグメント(グループ化)することによって、顧客にとって最適なレコメンドを出すことができます。

大量のリードを扱い、セグメント毎にアクションを起こすという意味では、BtoCに特化したMAの方が良いと言えるでしょう。

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必ず覚えておきたい、マーケティングオートメーションを活用した「今すぐ客」の発見方法

マーケティングオートメーションを使ってどのような施策を行うのかを、より具体的にイメージしていただくために、私がBtoBマーケティングの支援でよく提案する「今すぐ客」の発見方法について解説していきます。

MAでは様々なことができますが、特によく行うのが「受注確度の高い“今すぐ客”を検知し、優先的に営業にトスアップする仕組みを構築すること」です。“今すぐ客”を効率的に発見し、営業に引き渡すことができれば売上に大きく貢献するため、ぜひ覚えておいてください。

手順は大きく分けて以下の3STEPです。

  1. 今すぐ客を定義する
  2. 今すぐ客をMAで検知する設定を行う
  3. 適切なコミュニケーションを取る

STEP1.今すぐ客を定義する

まずは、自社にとっての「今すぐ客とは何か」を定義する必要があります。MAに蓄積されたデータを活用して、受注確度の高いリードの特徴を洗い出し、それを元にペルソナを作っていきます。

例えば、月100件のリードを獲得して、その内の3件が実際の受注に繋がったとしましょう。今すぐ客を見つけるためには、この3件のリードに共通する要素を抽出していきます。

共通要素の例
  • サービスページに頻繁に訪れていた
  • 複数の資料をダウンロードした
  • 架電の際に強いニーズを持っていることを示した
  • 過去に獲得したリードが、製品資料を再度ダウンロード(もしくは閲覧)した

もし受注に繋がった3件のリードが全て、サービスページに頻繁に訪れていたのであれば、同様の行動を取るリードを“今すぐ客”と定義することができます。

STEP2.今すぐ客をMAで検知する設定を行う

今すぐ客を定義できたら、次に行うのは「今すぐ客をMAで検知する設定」です。

例えばサービスページを頻繁に訪れているリードを今すぐ客と定義したのであれば、「サービスページに3日連続で訪れたリードを検知する」などの設定をMAで行います。

客をMAで検知する設定を行う

その他にも、過去のメールから製品資料を再度ダウンロード(もしくは閲覧)したリードを今すぐ客とするのなら、「メール内の製品資料リンクをクリックしたら通知が飛ぶ」という設定をするのもよいでしょう。

また、これらの行動一つひとつに、MAの機能でスコアを付与していく方法もあります。「スコアの点数が高いリード=過去に受注に繋がったリードと行動の一致率が高い」と判断することができるため、効率よく今すぐ客を見つけることができるでしょう。

上記の例では、「メール内の製品資料リンクをクリックしたら+30点」「合計50点を超えたリードを検知する」といった設定が考えられます。

STEP3.適切なコミュニケーションを取る

ここまでの設定によってMAが「今すぐ客」を検知したら、そのリードにアプローチを行います。

例えば営業にトスアップしてアポを取る、資料ダウンロードページを自動送付するなど、どうすれば商談に繋がりやすいのかを考え、適切なコミュニケーションを取っていきましょう。

なお、スコアリングを活用した今すぐ客の抽出方法には、少し注意点があります。詳細はこちらの記事でお話ししているので、ぜひ参考にしてみてください。

マーケティングオートメーション(MA)の活用事例を紹介

ここからは、これまで弊社がMAの活用について支援させていただいた企業の事例を参考に、MAの活用方法や成功例を見ていきましょう。

MAの事例1:「今すぐ客」を検知し自動でアクションを行える設定を構築、マーケティングの勝ちパターンを発見

※引用:エルテス

SNS炎上などの、企業が抱えるデジタルリスクの課題を解決するサービスを手掛ける株式会社エルテス。同社が行った、「MAを活用したハウスリストへのナーチャリング施策」を紹介します。

同社はこれまでフィールドセールス主体による顧客獲得で成長してきた企業です。さらなる事業拡大には、デジタルリスクや商品への興味・関心が薄い潜在層へアプローチし、顕在層化するためのリードナーチャリングを行う必要がありました。

当時は既にハウスリストがあり、MAには約3万件のリード情報が蓄積されていたため、この資産を有効活用していくことに。

まずは、リード情報をExcelにエクスポートし、どのようなリードが、購買の見込みが高い顧客(今すぐ客)なのかを定義しました。その後は、それらのリードがMA上でどのような動きをしているかをすべて分析し、可視化していきます

  • 資料ダウンロードに至るまでに、どのページを何回閲覧したのか
  • 初回のアポ獲得までどれくらいの日数がかかっているか

このような「今すぐ客」の分析で、同社のデジタルリスクマネジメントの商品は、企業規模によってアプローチすべき部署や役職が違ってくることに気づきました。

そして、以上の分析を元に、MAの設定を行っていきます。

  • オートメーションルールの設定(指定した条件に基づいてホットリードを抽出し、メールの送信など様々なアクションを自動的に実行できる)
  • Engagement Studioの設定(1対1のカスタマージャーニーを構築したり、リードの動きによってシナリオを分岐させたりすることができる)

商品に興味があるリードや契約に繋がりそうなリードをMA上で自動抽出し、通知される状態を構築していきました

メールはただ配信するのでなく、「狙った見込み顧客にメルマガを届けることでナーチャリングし、セールスへトスアップできる状態」をゴールとして設定。そのゴールから逆算してメルマガのコンテンツを考え、配信しています。

これらの取り組みから、マーケティングの勝ちパターンを見つけることができ、フィールドセールスは効率的にアポイントを獲得できる状態になりました。

MAの事例2:MAに蓄積されていたハウスリストを活用して、月に10件ほどのホットリードを創出

※引用:Automagi

画像・動画解析エンジンの構築サービス「AMY INSIGHT ソリューション」を始めとしたAIサービスを展開するAutomagi株式会社が行った、MAの活用事例を紹介します。

Automagi社では、さらなる事業拡大を目的に、MAを使ったマーケティング戦略を考える必要がありました。

まず行ったのは、ターゲットの明確化と選定です。MAやSFA(営業支援システム)に蓄積されていた、受注データや商談に進んだ企業の情報などを参考に、アプローチする業界を定め、ターゲットのペルソナを描くところからスタートしました。

その後は具体的なマーケティング施策を考え、実行に移していきます。この時、同社のマーケティングチームは未経験者が2名いるだけで、リソースがかなり限られていたため、今ある資産の中でできる施策に絞る必要がありました。

その資産とは、HubSpot(MA)に蓄積していた顧客データと、セミナー運営のノウハウです。これらを活用し、以下の施策を行いました。

  • HubSpot(MA)からハウスリストに対してステップメールでナーチャリングを行う→ホットになったリードへ架電→商談化
  • Facebook広告でセミナーの広告を配信してセミナーへ集客→ホットになったリードへ架電→商談化

これまでは業種や業界を絞らずに集客し、多くの方が興味を抱きそうな企画でセミナーを開催していました。しかし、Automagi社のサービス内容に関する考え方やニーズは、業界ごとに異なります。そこで、ハウスリストにセミナー案内メールを送る際は、業界ごとに異なる内容を送信することで、適切なコミュニケーションを測れるようにMAの設定を行いました

これらの取り組みによって、早くも月10件ほどのホットリードを創出。その後は月30件のホットリードの獲得と月2件の商談獲得が実現できる見通しです。

マーケティングオートメーション(MA)は、全ての企業が導入すべきなのか?

ここまで、マーケティングオートメーションの機能や使い方などを解説してきましたが、「自社にもMAを導入した方が良いのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、必ずしも全ての企業にとって、導入をおすすめできるわけではありません。マーケティングオートメーションは、既にハウスリストを大量に保持しており、新規リードの獲得施策が頭打ちになっている企業に、おすすめできるツールです。

MAの導入をおすすめできる企業
  • ハウスリストが500~1,000件を超えている
  • リード獲得施策が頭打ちになっている
  • 商談創出の施策を新規で行う必要がある(ある程度広範囲に施策を打っているものの、今期施策の延長線上で考えた際に、受注件数や売上が不足する見通しである)

反対に、以下のような企業にはMAの導入をおすすめできません。

  • ハウスリストがない、もしくは500件未満など少ない
  • 新規リード獲得施策(Web広告やオウンドメディアなど)の拡大余地がある
  • 「流行りだから」など、MA導入の目的が明確でない

MAは蓄積されたリード情報を分析して「今すぐ客」を発見したり、ハウスリストに対してアプローチを行ったりするとき、特に効果を発揮します。そのため、ハウスリストを活用できない企業がMAを導入したとしても、上手く活用できないケースも多いのです

また、基本的に商談を創出するには、成果が出やすくインパクトが大きい「Web広告」や「コンテンツマーケティング」などを優先すべきだと考えています。そういった新規リードの獲得施策に拡大の余地がある場合は、まずはリードジェネレーションに注力することをおすすめします。

ただし、BtoBの領域はマーケットが狭いので、広範囲に施策を打つと、一定の水準で新規リードの獲得が頭打ちになります(例えば、広告予算を上げてもリード獲得数1.5倍の伸びに対して、CPAが2倍以上も高騰するなど)。そこで、次は今までに獲得したリードに目を向けて、ハウスリストからどのように商談を創出していくかを考える必要があります。

新規リードから商談を創出しやすい期間、ハウスリストを活用するのがおすすめの期間

その場合に、改めてMAの導入を検討するのがおすすめです

なお、Mtame株式会社が行った「BtoB企業を対象にしたMAの意識調査」によると、2021年の10月時点では、全体の17%が「MAを導入している」と回答しています(有効回答3,655名)。

マーケティングオートメーション(MA)の導入費用

MAは月に20〜30万円、年間で約300万前後の費用がかかることが一般的です。

しっかりと使いこなすためには、それなりの人件費もかかるため、導入前に予算について考えておかなくてはいけません。

例として、いくつかのツールの費用を紹介します。

MAツール費用
Marketing Cloud Account Engagement
(旧Pardot)

初期費⽤:0円
⽉額費⽤:150,000円/月〜

Marketo Engage

要問い合わせ

Hubspot Marketing Hub

初期費⽤:要問い合わせ
⽉額費⽤:96,000円/月〜

Kairos3

初期費⽤:10,000円
⽉額費⽤:15,000円/月〜

SATORI

初期費⽤:30万円
⽉額費⽤:148,000円/月

Probance
(BtoC)

初期費⽤:50万円~
⽉額費⽤:18万円/月~

※2023年1月時点

ただし、費用は利用する機能や規模によって異なることがあります。また、状況に応じて導入コンサルティングなども必要になります。

そのため「流行っているから」など、明確な目的がないまま導入することはおすすめできません。

マーケティングオートメーション(MA)運用のコツと注意点

MAは導入することがゴールではなく、うまく活用して、企業の売上貢献や課題解決に役立てる必要があります。MAを導入する際に、知っておきたい知識について解説します。

MAの管理者を決め、運用ルールを守る

MAの運用体制というと、インサイドセールス部門の担当者が複数人で運用すると思われがちです。

しかし、SEOや広告運用などリードを生み出している担当者やフィールドセールスの担当者がMA運用を担うことは多々あります。また、MAにある程度知識があり、ペルソナ設定やPDCAを回せるのであれば、一人でも十分に運用していくことができるでしょう。

ただし、誰でもMAに触ることが出来る環境にしてしまうことは、避けなければいけません。担当者同士の連携がうまくいかずに、MAの設定に変更を加えてしまうと、適切なリードナーチャリングやリードクオリフィケーションができなくなってしまいます。

しっかりと設定に変更を加える責任者を決めること、管理権限を設定するといった工夫が必要です。

ツール運用で得た情報は社内で共有する

MAは月に20〜30万円、年間で約300万前後の予算かかる高額なツールです。また、専門知識がない人から見ると、高額なツールを使って一体何をしているのか、分からないという側面があります。

そのため、MAの運用で得た情報や成果は、定期的に社内で共有することが大切です。しっかりとマーケティングや営業活動に貢献していることを周囲に知ってもらうと共に、ペルソナ作りを属人的にしないという役割があります。

先ほど、今すぐ客を定義するためには、ペルソナ作りが大切だと述べました。しかし、担当者がひとりでペルソナを作ると、自分の経験のみで受注がしやすい見込み客を考えてしまいがちです

マーケティングや営業・カスタマーサクセスなど、様々な視点からペルソナを考えるためにも、定期的な情報共有は必要と言えるでしょう。

費用対効果を算出し、採算性を計る

MAを導入しても、初期の段階から採算が取れることは稀です。先ほども述べましたが、MAは安くても年間で200〜300万円程度の投資が必要ですし、しっかりと使いこなすためには、それなりの人件費もかかってきます。

MA導入の費用対効果を高めて採算を取っていくためには、MAを介した受注数を創出する必要があります。そのためには、一定のリード数やリードナーチャリングの精度を高めていくことが求められます。

例えば、ある商材のセミナーへの案内メールを配信したとします。

セミナーに参加してもらうためには、まず見込み客にメールを開封して貰わなければいけません。そのために、見込み客の興味をそそるキャッチーなメールタイトルを付ける必要がありますし、メールのリード文を読んでもらい、セミナーへの参加率を上げるための工夫や導線などを細かく作り込んでいかなくてはいけません。

また、いくらメールタイトルや内容が魅力的でも、メール開封率の平均は約20%ですし、開封からのCTR(クリック率)に至っては2〜3%が平均です。一定のセミナー参加者を集客するためには、より多くのリード(メール配信先)が必要になってくるでしょう。

このような様々な要素を考慮して、1件の受注に至るまでに発生したコストと商材単価を照らし合わせることで、MAの費用対効果を算出することができます。

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代表的なマーケティングオートメーション(MA)を3つ紹介

MAは国内外のベンダーから多数展開されていますが、ここではその中でも代表的な3つのツールについてご紹介します。

Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)

Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)
※引用元:salesforce

「Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)」は、株式会社セールスフォース・ドットコムが、BtoB向けに開発したMAツールです。全世界で15万社以上で導入されている「Salesforce」の他ツールと連携できるのが、最大の魅力です。

特に同社のSFA(営業支援システム)の「Sales Cloud」と連携することで、マーケティングと営業のパイプライン管理を一気通貫で実現できます。営業担当者は商談に至るまでの、リード獲得状況やリード行動を把握することができ、顧客に合わせて、最適な営業トークに役立てることができます。

また、Marketing Cloud Account Engagementのユニークな機能として、リードの役職や会社の規模・立地といった属性情報を元に受注確度を評価する「グレーディング」という機能を備えています。役職の低いリードに営業活動を行っても、受注に至るまでには様々な障壁があります。

「スコアリング」機能と併用して活用することで、意思決定者に効果的にアプローチすることが可能になり、営業の効率化に貢献します。

公式サイト:Marketing Cloud Account Engagement| セールスフォース・ジャパン

Marketo Engage

アドビシステムズ株式会社が開発するMarketo Engage(マルケト)は、全世界で5,000社以上の企業に導入されているMAツールです。もともとは、米国の株式会社マルケトが開発しているツールですが、2019年3月にアドビシステムズと経営統合を完了しました。

「顧客一人ひとりとの関係構築」に重きを置き、リードの獲得から顧客化、そして顧客のリピート化までの一連の流れを同一プラットフォームで管理することができ、一貫した顧客体験を提供することができます。

株式会社マルケトは、マーケティング専業ベンダーとして成長していたこともあり、実際にマーケターが使うことを想定して、シンプルで使いやすい設計になっています。「トークン」と呼ばれる変数を設定することで、画像の差し替えや文言の修正などを、時間をかけずに素早く実行。マーケターの業務効率化に役立ちます。

またOne to Oneコミュニケーションを可能にするため、多数のシナリオを分岐させ、キャンペーンを実施することができます。真の意味で、顧客一人ひとりに向き合ったマーケティングを行いたいという企業におすすめです。

公式サイト:MA(マーケティングオートメーション)の市場リーダー | Adobe Marketo Engage

Hubspot Marketing Hub

米国のHubspot,inc.が開発するインバウンドマーケティングの全機能を搭載したソフトウェア「Hubspot Marketing Hub」。コンテンツマーケティングや、インバウンドマーケティング、といったリードジェネレーションの機能に強みを持っているMAツールです。

ドラッグ&ドロップで制作できるLPやEメール、最新のSEOに対応した記事コンテンツの制作、クリックを誘うような魅力的なCTAの設置など、いずれも複雑なコーディングを必要とせず、エンジニアの手を借りずにマーケター自身で簡単に行うことができます。

自社で保有しているリードが少ない、これからリードを獲得していきたいという企業におすすめです。「HubSpot CRM」や「Salesforce」と連携が可能なので、営業とのスムーズな連携ができるのも魅力です。

公式サイト:Marketing Hub | MA、LPやフォーム作成の一元管理を実現するマーケティング ツール – HubSpot(ハブスポット)

まとめ|マーケティングオートメーションを正しく理解して、目的に応じて導入すべきかどうかを検討する

マーケティングオートメーションは、導入すれば勝手に成果が上がる魔法の道具ではありません。「何となく流行っているから」といった理由で自社に取り入れても、成果に繋がることはまずないでしょう。

本記事を参考に、MAでできることを正しく理解し、自社の課題を解決できるかどうかを考えてみてください。

MAの導入をおすすめできる企業
  • ハウスリストが500~1,000件を超えている
  • リード獲得施策が頭打ちになっている
  • 商談創出の施策を新規で行う必要がある(ある程度広範囲に施策を打っているものの、今期施策の延長線上で考えた際に、受注件数や売上が不足する見通しである)

上記に当てはまる企業であれば、ツール活用の目的をしっかりと定義したうえで、導入を検討してみてください。

よくある質問とその回答

BtoBマーケティングで成果を上げたいのですが、どのようにすれば良いですか?

BtoBマーケティングで成果を上げるためには、リードの創出、リードナーチャリング、リードクオリティケーション、商談・受注を繰り返し進めていく必要があり、本質的な意味で成果を得るには、顧客ニーズの把握や良好な関係構築が欠かせません。

BtoBマーケティングで目指すべき成果を見据えながら、営業・マーケティングなど各部門での連携をしながら、長期的に継続できる運用体制が必要です。

BtoBマーケティングを新たに取り組みたい、成果が出ない現状を打破したいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったBtoBマーケティング支援を提案しております。

まずは一度「BtoBマーケティングの支援内容」をご覧ください。

マーケティングオートメーションでできることは何ですか?

MAの多くには、以下の6つの機能が搭載されています。

  1. WEBトラッキング
  2. リード管理
  3. フォーム / LP制作
  4. メール送信 / 開封確認
  5. スコアリング
  6. シナリオ

リードを生み出す作業である「リードジェネレーション」、リードを育成する作業である「リードナーチャリング」、そしてリードを選別する「リードクオリフィーケーション」の一連の流れに対応する機能を備えています。

詳しくは「マーケティングオートメーションでできること」をご覧ください。

代表的なMAについて教えてください

国内外のベンダーから多くのMAツールが開発されていますが、その中でも有名なのが、以下の3つのツールです。

  1. Pardot
  2. Marketo Engage
  3. Hubspot Marketing Hub

操作性やSFA(営業支援システム)との連携など、各ツールによって特徴が異なります。詳しくは「代表的なマーケティングオートメーション(MA)を3つ紹介」をご覧ください。

インサイドセールスにお困りではないですか?

  • インサイドセールスを立ち上げたいものの、何から始めたら良いのか分からない
  • マーケティングリードのアポイント獲得率、受注率を向上させたい
  • 営業に精通したメンバーがおらず、現在行っている施策やKPIが正しいのか分からない

現在、上記のようなお困りごとがありましたら、ぜひとも私たちMOLTSへご相談ください。インサイドセールスに精通したプロフェッショナルが、御社に最適なプランをご提案させていただきます。まずはサービスページをご覧ください。

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