広告のターゲットが広すぎたら、よく「渋谷の交差点告白話」をする

こんにちは、THE MOLTSのコンサルタントの高橋です。

クライアントと話していると、こんな言葉をよく聞きます。

「できるだけいろんな人に使ってもらいたいんです。なので、ターゲットは幅広く考えています」

気持ちは分かります。せっかく良いサービスを作ったのだから、一人でも多くの人に届けたい。でも、それって本当に効果的なのでしょうか?

私がそんなクライアントによくする話があります。それが「渋谷の交差点で告白する話」です。最初は「なんで急に告白の話?」という感じで笑って聞き始めるのですが、話を進めていくと、実はWEB広告の本質を表した話だったりします。

今回は、私が実際にクライアントにお話している 「広告はラブレターと同じ」 について、具体的なエピソードとともにお話しします。

WEB広告は24時間365日行われるコミュニケーション

渋谷の交差点で「好きだ〜!」と叫ぶ人の話

「できるだけ幅広いターゲットに届けたい」というクライアントに対して、私はいつもこのように伝えます。

「今言ってたことって、渋谷の交差点のど真ん中で『好きだ〜私と付き合ってくれ〜!』と特定の誰かではなく、そこにいる人全員を対象にアプローチしている感じなんですよ」

この話をすると、クライアントは必ず「あー……」という表情になります。そりゃそうですよね。ほぼほぼの人は無視して振り返ってもくれないし、もし仮に振り返ってくれたとしても「なんか変な人いるぞ」と思われるのがオチです。

よっぽどのことがない限り、「私もあなたのことが好きです、付き合ってください」なんて人は現れないじゃないですか。

でも実際、「ターゲットは全員」というアプローチって、まさにこれと同じことをやってるわけです。広告費の無駄遣いになりやすいし、万人向けのメッセージは結局誰にも響かない当たり障りのないものになってしまう。これは私が多くのクライアントと仕事をして実感していることです。

「赤い服を着た鈴木さん」でも成約しない理由

この話をすると「じゃあターゲットを絞ればいいんですね!」となりがちですが、そうでもありません。

「赤い服を着ている人、好きだ〜付き合ってくれ〜」って言っても、全員を対象にしていたときよりも反応率は上がるかもしれませんが、振り向いて話を聞いてもらうまではほぼいけません。

さらに絞り込んで「赤い服を着た鈴木さん」と呼びかけてみるとします。もし仮に、渋谷の交差点に同タイミングで“赤い服を着た鈴木さん”が奇跡的に存在していたとしても、相手からすると「お前誰やねん」ってなるわけです。

結局、呼びかける文言をより絞り込んでいっても、成約率はそこまで上昇しません。

これは単に属性を絞り込むだけではダメで、相手との関係性や文脈が重要だということです。いくらターゲティング精度を上げても、ブランド認知がゼロの状態でいきなりセールスしても成約は難しい。これは、私がこれまで運用してきた案件で痛感していることです。

本当に大切なのは「場所」と「関係性」

では、意中の相手を落とすにはどうすれば良いのか。

たとえば、告白やプロポーズをするときは、相手が好きな美味しい料理を提供してくれるレストランや、時間帯も朝・昼・夜、どのタイミングが良さそうか考えますよね。

さらに事前に告白やプロポーズをしそうな空気感を漂わせておいて、相手にもそれとなく意識してもらったうえで来てもらうのか。当日どのような服装で行くか、愛を語るセリフはどのようにするか、お相手はどんな言葉だったら喜んでくれるだろうか……。

特定のお相手と懇意になるために、個別のアプローチ方法を考えるわけです。

こう考えると、渋谷の交差点のど真ん中という場所でただ叫んでもあまり意味がないのがわかりますよね。

広告はターゲットへの「ラブレター」である

WEB広告に対する考え方を変える

これは私の持論ですが、WEB広告はあくまで24時間365日、WEB上で行われるコミュニケーションの一種だと考えています

「ターゲットにどう広告配信するか」ではなく、「ターゲットにどんなラブレターを適切に配信するか」 で考えているのです。もちろん、WEB広告は会社の大切なお金が常にかかり続けるので、どこか全能感のある成果が出て当たり前のように解釈している方がいらっしゃいます。

でも、そうではないんですよね。

広告費というお金の力を借りて、本来はアプローチできなかった見込み顧客に自社サービスの存在を知ってもらえる機会を創出するもの。だからこそ、どこまで顧客の解像度を上げ、そのお相手にとって理想な私(サービス)であるかを説く、ラブレター(広告文やランディングページ)をどれだけいい感じに書けるか、という話になってきます。

ラブレターを書くには相手を深く知る必要がある

ラブレターを書くには、相手のことを深く理解していないといけませんよね。どんなことに悩んでるのか、何を大切にしているのか、どんな言葉に心を動かされるのか。

そして 「理想な私(サービス)であるかを説く」というのは、単にサービススペックを並べるのではなく、「あなたの人生にとって私はこんな価値を提供できます」という関係性の提案だと私は思っています。

お金をかければ必ず成果は出ると思っているクライアントが多いのですが、実際は、お金は「機会を買う」だけ。その機会を活かせるかは結局コミュニケーションの質次第ということになります。

また、渋谷の交差点で全員を対象に「好きだ〜」で仮に付き合えちゃうコミュニケーションパターンだと、お相手が「あなたが好きと言ってきたから付き合ってみただけ」みたいな感じで、本来的に自分が理想とする相手ではない人が来てしまうことも考えられます。

クレーマーと化したり、後々面倒ごとにもなる可能性もあるので、やはりターゲティングは重要だと感じています。

「引き算型」ターゲティングの威力

よく、ターゲティングは、「AとBとCに興味がある人」のような感じで、特徴フラグの一点を刺して狙い撃ちすることが多いです。でも、それってあくまでいろんな興味関心を持つ、いろんな顔があるユーザーの一部分しか見ていなかったりもするわけです。

私は、特定のターゲティングを選ぶのも良いですが、逆に 「DやEやFではない人なら誰でも」みたいな引き算型の話をすることもあります。

たとえば、「こんなお悩みありませんか?」というコンテンツがありますが、悩んでいるから調べているのであって、そんなに刺さらなかったりするわけです。

逆に、「こんな人は買わないでください!!」を強く押すことで、それに該当しない人は実は全員ターゲットでもある、みたいなこともできます。この「買わないでください」アプローチは、一見売上を逃してるように見えるけど、実際は質の高い顧客だけを引き寄せる戦略なんです。そして、それに該当しない人は「じゃあ私は大丈夫だ」と安心して購入に向かいやすくなる。

引き算型ターゲティングだと、もっと立体的にその人を捉えられると私は感じています。

売らない姿勢が売上を作る

よく、みんなCVさせることばかり考えてしまいがちですが、逆にCVさせないコミュニケーションのことも考えてみてください。

「売りたい」という気持ちが強すぎると、かえって相手に警戒されてしまう。でも適度に「売らない」姿勢を見せることで、相手の方から「欲しい」と思ってもらえるのではないでしょうか。

これって恋愛でも同じで、ガツガツしすぎる人より、適度に引く人の方が魅力的に見えますよね(笑)。

このあたりのCVさせる/CVさせないを行ったり来たりできるようになると、ものすごく強いマーケターになれるのではないかと私は考えています。

WEB広告で意識している3つのポイント

私が普段から意識している具体的なポイントを3つお話ししたいと思います。

まず1つ目は、「全員に売りたい」という気持ちをグッと抑えて、まずは「こんな人には売らない」を明確にすることを大切にしています。これだけで、本当のターゲットが見えやすくなってきます。

2つ目は、ターゲットの一日を想像すること。商品を必要としている人は、朝起きて何を考え、どんな時間にスマホを見て、どんな悩みを抱えているのか。その人の一日を具体的に想像するんです。これをやると、どんなコミュニケーションをいつとるべきなのかがわかってきます。

そして3つ目は、今の広告文やLPを、大切な人への手紙だと思って読み返してみることです。「この文章で相手の心は動くかな?」と自問自答することを心がけています。これをやると、改善点が見えてきます。

さいごに

WEB広告は、結局のところ人と人とのコミュニケーションです。スペックや機能を並べるだけではなく、相手の心に寄り添う姿勢が大切だと私は思っています

「できるだけ幅広いターゲットに届けたい」と言われたときに、私が渋谷の交差点の話をするのは、広告もラブレターも本質は同じだからです。相手のことを深く理解し、その人にとって最適なタイミングで、最適な場所で、最適な言葉で想いを伝える。

それができれば、きっと今までとは違った成果が見えてくると思います。

著者情報

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SHOTA TAKAHASHI

高橋 翔太

Marketing Director / Consultant

業界歴9年以上。リスティング広告を中心とする運用型広告の代行、インハウス化支援を担当。また企業の広告担当としての既存代理店との折衝にも従事。

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