支援会社への相談が減っている現状に、私が思うこと

こんにちは、THE MOLTSのストラテジー&プロジェクトマネージャーの永田です。

つい先日、同業者の方と話していたときに「最近、支援会社への相談やお問い合わせが全体的に減っている」という声を聞きました。私自身も弊社の特定の部署から同じような声を聞いていましたし、いくつかの経営者に確認してみたところ、総じて減っているという現状があることがわかりました。

この現象について深掘りしていくと、「AIに仕事が置き換えられている」ということが主な理由として挙がってきます。たしかにそれもあるのですが、私は問題の構造がもう少し複雑で、かつ根深いところにあるのではないかと感じています。

今回は、支援会社を取り巻く現状と、私なりに考えている今後の方向性について、実体験も交えながらお話しできればと思います。

支援会社に何が起きているのか?

まず、具体的にどんな領域で影響が出ているかというと、コンテンツマーケティングの領域、とくにコンテンツSEOの会社は厳しい状況にあると聞いています。とくに納品ベースでの支援をしている会社ですね。

これは想像に難くないと思います。1行のプロンプトでコンテンツが完成してしまう時代になったわけですから、クライアント側からすると「なぜ高いお金を払って外注するのか?」という疑問が生まれるのは自然なことです。

一方で、プロフェッショナルから見て、1行プロンプトで出来上がるコンテンツのクオリティは流石に低すぎるわけです。当たり前ですが、ただコンテンツをつくるのと、コミュニケーションを取るためにコンテンツをつくるでは全くの別物。

なので、時としてプロフェッショナルがAIに負けるわけがない、その道のプロが展開した方が素晴らしいものが生まれるなどの認識が生まれているように思います。

でも、私はこの「プロフェッショナル vs AI」という構造自体が間違っているのではないかと思っています。

「人間 vs AI」という構造自体が間違っている理由

今、支援サイドに訪れているのは、たしかに業務自体がAIで置き換えられたということなのですが、あと二つ重要な視点が足りていないと感じています。

一つは、AIの反応の速さです。

支援会社に依頼して、リソースの空きを確認し、返答を待つという一連のプロセスは、率直に言うとちょっと重たいと思います。事業会社側は、思い立ったときにすぐにアクションを起こしたい。AIならその場で即座に結果が出ますし、タスクを進行してくれます。それが深夜でも、休日でも、です。そこは確実に負けています。

もう一つは、そもそも事業会社側は今、100点を求めていないということです。

これがすごく重要なポイントだと思っています。事業会社は「なんとなくできそう」ということに対してトライしているわけです。

たとえば私自身は非エンジニアですが、ダイエットのiOSアプリを作ろうとしてみたり、RPGゲームアプリを作ったりしています。そのクオリティは正直低いですが、「自分でもできそう」という感覚でトライできちゃうんですよね。

実際にやってみると、「こんなに簡単にできるんだ」と同時に「このクオリティまでしかできないんだ」という両方の感覚がありました。もっと時間をかけて深掘りしていけば、きっとクオリティを求めることもできると思うのですが、今の自分だと中途半端で終わってしまうなというのも正直なところです。

ただ、なんとなくできそう、をAIでトライするのが今のフェーズかなと。

事業会社は「100点」を求めていない

ここが重要なポイントです。支援会社が「うちのプロフェッショナルなら120点のものが作れます」と言っても、そもそもクライアント側のニーズとズレているということになります。

事業会社は「まずはやってみよう」という行動になっているんです。60〜70点でもいいから、まずはトライしてみたい。そして、その過程で学んでいきたい。

つまり、支援サイドが「まだまだAIには……」という議論をしているうちに、普通にみんな自分でトライするという行動変容が起きているということです。これは「人間 vs AI」の構造になっていません。

支援会社が適応進化していくための3つの方向性

この状況を踏まえて、私は支援会社が今後どうしていくべきかを考えています。まず大前提として、「生き残る」という思考になったら負けだと思っています。生存戦略を取り始めたら、この先はありません。適応進化していくしかないんです。

そう考えたとき、私が重要だと思っている方向性が3つあります。

1. レイヤー、職種、部署を超えて一人で全てが完結できるようにすること

AIで支援をしていると、人の数が邪魔だということに気づきます。リソースの調整やコミュニケーションコストがかかってしまうんですね。

たとえば、戦略からクリエイティブ、マーケティング施策、計測まで一人でできる人がいたらどうでしょうか?どんなに大きなサイトでも、今、AIの力を借りれば、普段3ヶ月かかっていたサイトを2週間以内にリリースできると思います。もしかしたらもっと早いかもしれません。

ただし、これは「一人で全部やる」ということではありません。プロジェクトの実行者の数を減らしていくことが重要で、それができるようにサポートする人は何人いてもいいんです。仲間を作りつつ、前に進むという感覚です。

私自身もまだまだこの領域は発展途上です。これまでやってきたプランニングからコンテンツマーケティングまではAIで業務置き換えができるようになりましたが、クリエイティブや解析、広告などはまだ難しいと感じています。でも、ここは一人でやろうとは思っていません。

2. 事業会社になること

支援という枠組みを捨てて、どんどん市場に対してサービスをリリースすることです。

これまでは、たとえば1プロダクト1万人が契約するのがスタンダードだったとしたら、これからは1プロダクト1000人 × 10で対応できる時代になるのではないかと思っています。そういうトライをガンガンしていくことが重要だと考えています。

3.市場の空気を凌駕する何かを生み出すこと

これはまだ表立っていえませんが、私たちは今、このAIによって移り変わる世界の中で、これまでと価値観が変わることは何かを模索し、それでも今、または未来の市場において市場の空気を凌駕する考えや、仕事のあり方を組み立てています。

あくまで私は、ですが、これまで「1人が10歩進むより、10人が1歩進んだ方がいい」とされる組織の考え方は大きく変わっていくように思います。

また、AIを紐解いていくと、これまでアウトプットを作ろうとしていたのが、AIが来てからインプットを作るのが仕事になったと感じています。要は、どれだけいい情報を、どれだけいいプロンプトを、AIにパスするかでアウトプットが作られていく。そう考えると、これまでの仕事とは違う側面が出てきます。

インプットを作る仕事というのは、AIがアウトプットまでの工程を担ってくれるなかで、プロンプトだけでなく、事前資料やアウトプットを生み出すために必要な情報をどう設計するかということです。

そういう変化を、どう受け止めて、どう組み立てていくのかを生み出そうとしている最中です。

さいごに

支援会社を取り巻く環境はたしかに大きく変わっています。でも、私は「AIに負けない」とか「AIでは作れないクオリティを」という従来の発想だけでは厳しいと感じています。

もちろん、そうした高いクオリティを追求する姿勢は大切です。でも、多くの人の脳が変わってきているので、そこのバランス、グラデーションを持って考えていく必要があると思います。

私自身、THE MOLTSのメンバーとして、一つ目の「一人で完結できる体制づくり」にどうアプローチするのかを真剣に考えているところです。

既存の仕事がなくなるということではありませんが、支援会社のターゲットは速さを求め、かつトライすることを覚えました。これまで通りの戦い方では難しいというのが正直な感想です。

でも、だからこそ新しい可能性もあると思っています。適応進化していくことで、これまで以上に価値のあるサービスを提供できる可能性があるのではないでしょうか。

この記事が、同じような課題を感じている方の参考になれば嬉しいです。

著者情報

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SAORI NAGATA

永田 さおり

Strategy & Project Manager

業界歴10年以上。オウンド・コンテンツマーケティングを中心に100社以上を支援。現在はデジタルマーケティングの立ち上げから実行、組織開発・コミュニケーション設計までの総合支援を行う。

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