伝説と呼ばれるDJから、時代に適応し進化するあり方を学んだ話

先日、私が心から尊敬するDJの方と、仕事でAIを活用している話をしました。正直、音楽をやる方がAIを使うことに対してどう思うのか、少し心配だったんです。

でも、その方の第一声は私の想像を完全に超えていました。

「私たちが今日話をした1時間を音に変えたら、どんなものが生まれるのかワクワクしますね」

この瞬間、「すげえわ」と思わず声に出してしまいました。その発想はなかったと。そして同時に、時代がどれだけ変わっても適応して進化し続ける人の本質が、この一言に全て詰まってるように感じたんです。

日本のカルチャーシーンを作った伝説的存在

私は26歳で上京してからクラブカルチャーに触れるようになり、30歳を過ぎてから本格的に音楽がある場所に通うようになりました。そのなかで知り合った一人が、日本のヒップホップ黎明期からシーンを牽引してきたDJ/プロデューサーです。

周りのDJは皆、その方を「伝説」と呼びます。実際、その方がいなければ今のいくつかのカルチャーはここまで盛り上がっていなかった、と言われるほどの重要人物です。

私は音楽をやらないただの聞き手ですが、その方はとても優しく、お会いするたびに仲良く話をさせていただき、いつも多くのことを学ばせてもらっています。言葉の節々に深みがあり、音楽のことだけでなく、仕事や人生に対する姿勢からも学ぶことが本当に多いんです。

想像していたのは「AI VS 人間」だった

冒頭でも軽く触れましたが、マーケティングの仕事でAIを積極的に活用していることを話したとき、内心少しドキドキしていました。というのも、アーティストの方々って、AIに対して警戒感を持つ方も多いイメージがあったから。「人間の創造性 VS AI」みたいな構図で考える方もいるだろうし、この方はどう反応するんだろうって。

でも、その方の反応は私の想像を完全に裏切りました。

「あ、すげえわ」って率直に思いました。

伝説と呼ばれるDJの第一声は、対立ではなく、自分がさらなる高みにいくための可能性だったんです

新しい音にどう出会えるのか、どんなケミストリーが生まれるのか、そこから何を創造できるのか、音楽をどう届けられるのか。

その瞬間、この方がなぜ長年にわたってシーンの最前線にい続けているのかがわかった気がしました。

変化を敵として見るのではなく、常に自分の可能性を広げるツールとして捉える。この発想があるからこそ、時代がどう変わっても進化し続けているんだと。

「音楽は裏切らない」という哲学から学んだこと

以前、その方から聞いた言葉で、ずっと心に残っているものがあります。

「音楽は裏切らない」

どれだけ準備をしたのか、どういう気持ちで挑んでいるのか、どういうコンディションなのか、どれだけ経験してきたのか、どれだけ時間をかけたのか。DJをするとき、そういう全てが音楽に現れてしまう。

音楽は嘘をつけない。その人の真実を映し出す鏡のようなものだから、音楽は裏切らない。だからこそ、自分も音楽を裏切ってはいけない。

この話を聞いたとき、その方に「あなたもそうでしょ?」と言われました。確かにそうなんです。プロジェクトにどれだけ向き合ったか、どれだけ真剣に取り組んだか、どれだけ経験を積んできたか。全部、アウトプットに出てしまう。私の仕事も同じでした。

中央にある「裏切れないもの」

私の場合、中央にあるのは「美味い、酒を飲む。」という理念です。ここからブレることはあり得ないし、裏切ることもできない。

だから、周りがまだAIに半信半疑だった時期でも、プロジェクトの成功角度が上がると分かったらゴリゴリ使いました。クライアントと美味い酒を飲みたいし、握り合ったミッションは絶対に達成したい。AIがその達成角度を上げてくれるなら、迷わず使う。

その方も同じだった(同じというのも烏滸がましいほど差がありますが)

中央にあるのは音楽。だから、愛してやまない音楽がどうよくなるのかを考え続けている。環境すらも味方にして、さらなる高みを目指しているのです。

適応し続ける人、進化し続ける人って、こういう人だ

その方の言葉と姿勢から、私は「適応力」について深く考えるようになりました。

その方が持つ適応力の源泉は、音楽への深い愛情だと思うんです。音楽そのものを愛しているからこそ、「音楽をもっと良くするためなら何でも使おう」と自然に思える。手段や方法論に執着するのではなく、本当に大切なもの、愛しているものを中央に置いている。

だからこそ、新しい技術や変化が現れても、それを脅威として見るのではなく、可能性として見ることができるんです。

その方は常に「信じている、裏切れない音楽」がどうよくなるのかを考え続けています。だから環境の変化も、全て音楽をより良くするための材料として捉える。この姿勢は本当に学びになりました。

新しい技術や変化って、確かに不安になることもあります。でも、中央に「裏切れないもの」があると、その不安よりも「これを使ったらもっと良くなるかも」という期待の方が大きくなるんです。

私の仕事でも同じことが起きています。マーケティングの世界でも、新しいツールや手法がどんどん生まれてきます。AIもそうですし、新しいプラットフォームも、分析ツールも。

そのとき、「これまでのやり方が通用しなくなるかも」と不安になるのか、「これを使ったらクライアントにもっと良い結果を届けられるかも」とワクワクするのか。その違いは、中央に何があるかで決まると思うんです。

周りDJたちがよく言うのは、「その方がいなければ、いくつかのカルチャーはここまで盛り上がっていなかった」ということ。それは、音楽を愛して、既存の型を守るのではなく、常に共存し、適応し、進化することを繰り返してきたからだと思うんです。

「どうやって生き残るか」ではなく「どこまでいけるのか」

これが、どんな時代でも適応して進化し続ける人の特徴なんじゃないかなと。

AIにしても、新しいマーケティング手法にしても、プラットフォームの変化にしても。それらを「敵」として見るのか、「味方」として見るのか。その方は完全に「味方」として見ていました。「1時間の会話を音に変える」なんて発想、本当にワクワクしませんか?

対立構造で考えてしまうと、どうしても生存戦略になってしまいます。「どうやって負けないか」「どうやって今のポジションを守るか」。でも、中央に「裏切れないもの」があると、進化戦略になるんです。

「どうやったらもっと良くなるか」「どこまでいけるか」「何が生まれるか」。この発想の違いは、本当に大きいと思います。

さいごに

結局、適応力の本質って「愛」にあるのかもしれません。本当に愛しているものがあるから、それを守るためなら、それをもっと良くするためなら、どんな変化でも受け入れられる。

その方の音楽への愛、私のクライアントとのミッションへの愛。それがあるから、環境の変化を恐れずに済むんじゃないでしょうか。

「私たちが今日話をした1時間を音に変えたらどんなものが生まれるのかワクワクしますね」

この一言から、私は真の「適応力」を学びました。どんな時代でも、どんな状況でも、適応して進化し続ける人は、中央に「裏切れないもの」を持っている。そして、その愛があるからこそ、変化を敵として見るのではなく、味方として活用しようとする。

技術は進歩し、環境は変化し続けます。でも、本当に大切なものを中央に置いている人は、その変化すらも味方にして、さらなる高みを目指していく

私も、クライアントとの「握り合ったミッション」を中央に置いて、どんな変化が起きても、どんな新しいツールが生まれても、それを活用してより良い結果を出していきたい。

「音楽は裏切らない、だから私も音楽を裏切れない」

この言葉の重みを、改めて感じています。私も、自分が中央に置いているものを裏切らずに、変化を味方にして進化し続けていきたいですね。

著者情報

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TAISHI TERAKURA

寺倉 大史

Marketing Planner

業界歴10年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティング支援を展開し、延べ100以上のプロジェクトを経験。藍染職人、株式会社LIGを経て、マーケティングプランナーへ。

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