AI時代の、ライターの生存戦略
こんにちは、THE MOLTSに副業で関わっているライターのまこりーぬです。
生成AIが爆発的に広まった2022年後半からずっと「ライターの仕事はなくなるだろう」と言われ続けておりますが……。
2025年5月現在、いよいよ私も「この仕事、なくなりそうだな?」と感じはじめています。
それくらい、自然で高品質な文章が一瞬で生成される時代になりましたよね。
これからさらにAIが進化していくだろう世の中において、「ライター」という仕事で食い続けることははたして可能なものでしょうか。いま「ライター」として働いている人たちは、どんな身の振り方をしていかねばならないのでしょうか……?
自称コンテンツうるさいおじさんことTHE MOLTSの寺倉と、「生成AI時代のライターの生存戦略」について話し合ってみました。
はじめに「みんな、悲観的すぎない?」
寺倉:……「生存戦略」という今日のお題をもらったとき、まず感じたことがあるのですが。みんなちょっとネガティブに捉えすぎじゃないですか?
まこりーぬ:いや、そりゃネガティブにもなりますよ。仕事がなくなるわけですからね。
寺倉:僕自身は、むちゃくちゃワクワクしてます。だってAIによってパフォーマンスを飛躍させられた結果、さらによいコミュニケーションを追求したり、コミュニケーションの総量を増やしたり、テキストから画像や動画を生成して別のコンテンツに転換したりと、アプローチを広げられるじゃないですか。
どんどんおもしろいモノが生まれて、それを学習してさらに魅力的なモノが生まれて、どんどんブラッシュアップされていって、業界全体がよくなっていって……って考えたら、むちゃくちゃおもしろくないですか?
まこりーぬ:寺倉さんのおっしゃることは、理解はできます。ただそうやってポジティブに捉えられるのは、「ライター=テキストを書く人」ではなく「ライター=コミュニケーションを作る人」と定義しているからこそではないかなと。
寺倉:たしかにそうですね。昔コピーライターの友人と「クリエイターとはなにか」を定義をしたことがあって。そのとき「クリエイターはコミュニケーションの最終走者である」という結論に至ったんですよね。企業とターゲット、企業とステークホルダー、企業と市場などを結ぶコミュニケーションを作ることがクリエイターの、今回でいうライターの役割であり、ライティングはあくまでその手段に過ぎないと。
AI時代に生き残るライターとは
寺倉:もしライターの仕事が「テキストコンテンツを作ること」だとしたら、たしかにAIに代替されてしまうと思います。一方で、ライターの仕事が「コミュニケーションを作ること」だとしたら、いままで執筆や編集にかけていた時間を思いっきり短縮できて、より創造的なチャレンジができる。なんともいい時代ですね。
まこりーぬ:……正直なところ、世の中には「テキストを書くのがライターの仕事である」という感覚の人のほうが多いじゃないですか。「コミュニケーションを作る」「企画を立てる」、こうした仕事はライターではなく「編集者」の仕事であるイメージです。だから結局、職を失うライターは増える一方なのかな、と思ってしまいますね(涙)。
寺倉:仮に、企画を立ててコミュニケーションを設計していくのが編集者の役割だったとした場合、ライターって、編集者に言われたとおりの文章しか書いたらダメなの? っていう話じゃないですかね。その企画を、文章の力で読者により「おもしろい!」と感じさせるのもライターの仕事じゃないですか。
まこりーぬ:あ……。たしかに、ライティングというプロセスのなかでよりよいコミュニケーションを模索することは全然可能ですね。可能でしたわ……。
ライティングを通じて提供してきた価値がなんなのかを見つめ直してみると、ちょっと気持ちが明るくなってきました!
コンテンツの作り方はガラッと変わる
まこりーぬ:いざここから、生成AIを使いこなしてコンテンツを生み出していく方法について教えていただこうと思います。
寺倉:私自身まだまだ素人に毛が生えたレベルの認識ですが、ライティングに限らずAIを活用するときは「むちゃくちゃ高速で仕事ができる未経験者と一緒に働く」イメージを持つのがオススメです。
たとえば、取材記事のライティングを未経験者に依頼する場合。具体的な指示なく「記事にまとめておいて」と取材録音をそのまま渡すと、まぁ事故りますよね。「ここがこの記事のミドコロだよ」「こういう順番でまとめてね」と構成案まで落とし込んでから渡さないと、クオリティは担保できない。
実際に僕もAIによる取材記事制作を何度もなんども検証しましたが、現時点では「構成案どおり上から順に話した取材録音があれば、満足いくアウトプットが瞬時に得られる」「その人らしいテイスト(話し方)をきちんと残して文字起こししてから、AIに依頼するとその人らしい記事になる」などがアンサーでして。あっちこっちその場の流れで深ぼるいつもの取材録音をそのままプロンプトで処理してコンテンツ化するのでは、それはもうひっちゃかめっちゃかな原稿しか作れなかった。
つまりはプロンプトをこねくり回すだけでなく、自分が求めているアウトプットに近づけるために「どういう情報を、どういうプロセスで、どういう形で渡すのか」が重要。くわえて「アウトプットの最終責任は自分にある」という意識を持つことがとても重要だなと思った次第です。
ChatGPTやClaude、Geminiはあまりに便利過ぎて「理想を超えるアウトプットを出してくれる魔法の杖」のように思われがちですが、AIはあくまでツールですよね。アウトプットの精度が低い場合、それはAIが悪いのではなく、自分のインプットが悪いだけなんです。
仕事の力点が「どうアウトプットするか」から「なにをインプットするか」に変わる。これはむちゃくちゃ大きな変化だと思います。
クリエイターとしてのこだわりを再現できるのか?という疑問
まこりーぬ:一つ質問です。「私はこれから未経験者にライティングを任せる。クオリティには一切妥協できない」というシチュエーションを想像したとき、自分がいままでこだわってきた言葉選びや文章のリズムをうまく言語化してインプットしきれない気がしておりまして……。
こうした「クリエイターとしてのこだわり」のようなものって、未経験者でも再現できるのか、やっぱり最後は自分で編集するしかないのか、どっちなんでしょうか?
寺倉:アウトプットの責任が人間にある以上、最終的な手直しは当然発生して当たり前かと思います。ですが、せっかくAIで業務を置き換えようとしようとしているのに、最後の編集作業に2時間も3時間もかけてたらあまり意味がないじゃないですか。だからどれだけ一発で手直しの少ない良いアウトプットに近づけるかにとことんこだわったほうがいいと思います。ここにこだわり切れるかどうかで、そのあとの生産性がむちゃくちゃ変わりますよ。
それに多分、まこりーぬもそうだと思うんだけど、なかなか業務の置き換えが進まない人ってちょっと生成AIを触っただけで「なんか違うな」「自分らしいアウトプットはやっぱり作れないな」と諦めていると思います。まずは最初に10時間、20時間と思いっきり時間をかけてインプットのコツを見つけ出してください。いままで作ってきたコンテンツを読み込ませて、特徴を言語化してもらって、「ああでもないこうでもない」と試行錯誤してインプットデータとプロンプトを改善してみてください。
AIの価値が発揮されるのは、1本目ではなく、10本目の記事を作るくらいのタイミングです。
たとえば、これまで1本8時間かけてた記事制作を10本作るとしたら80時間かかりますよね。一方でAIを活用して10本作る場合、1本目に20時間かけても、2本目が4時間、3本目以降が2時間で終わるようになれば、合計40時間で終わります。
こういう目線で、AIを活用すると価値が見えるかもですね。
まこりーぬ:……!!!図星すぎてなにも言えません(涙)。
さいごに
寺倉:実はこの取材の直前に、同じテーマで私なりにAIで記事を作ってみたんですよ。制限時間は1時間、テーマをもとに記事骨格を作って、回答を話す様子をZoomで録画して、それをAIに読み込ませて。
ただ今日取材を受けてみて改めて思ったけど、やっぱり「深ぼり度合い」が全然違うなと思いました。
まこりーぬ:(う、嬉しい……!)
寺倉:ここから、まこりーぬの脳みそがどうなっているのかを分析して、「AIでどう再現するのか?」を模索していくことが大事だと思っています。
いままで感覚的に捉えていた「このコンテンツはなにがすごいのか」「この人の脳みそはどういうプロセスを経て答えを出すのか」などを一つひとつ改めて言語化していくことって結構ハードなんですけど、この言語化自体、良い思考トレーニングになるのでビジネス基礎能力が上がるな……って素直に思っていて。
もっと早くからこういうことをしておけばよかったと思ったりもしてます(笑)。
まこりーぬ:なるほど。こうして探究心を持ってインプットやフローを改善していくことが、生成AIと共存しよりよいクリエイティブを生み出していくために必要不可欠なのだな、と腹落ちしました。最初のPDCA、しっかり回していきます!!!
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