何故AIを活用したコンテンツ生成を掘り続けるのか
ある時ふと、AIとの対話をまとめることでコンテンツにできるんじゃない?と思ってやってみたら案外形になった。多くの人も普通にやっているような、ごく当たり前のきっかけだったと思う。
私はライターでも編集者でも、ましてやクリエイターでもない。自分の思考を伝わりやすくライティングしていくのがとにかく苦手で、文章を書き始めると何度も書き直しを繰り返し、気づけばあっという間に時間が過ぎていく。
そんな私でも、AIとの対話を通じてコンテンツができるというのが心から嬉しかった。
最初に作ろうとしたのは個人のnote記事だった。普段思っていることをパパパッとAIと対話しながらライティングしてみると、思いのほかまとまった文章になった。普段はコンテンツを公開するときは編集者に入ってもらうのだが、ノーチェックで公開したのは本当に久しぶりで、投稿ボタンを押す時はドキドキした。
※公開記事:2025年4月、AIに対して一人のマーケターが思うこと
結果的に、コメント付きシェアや「納得」というコメントなど、さまざまな反応をいただけた。引用もされた。
非ライターの私にとって、コンテンツを作ることは苦痛だったが、思考がコンテンツになる体験は純粋に嬉しいものだった。
個人の発見から組織の可能性へ
この体験を通じて重要な気づきを得た。プロフェッショナルや本職の編集者、ライターではない私のこの体験は、現場の非ライターメンバーにとって価値があるものだということだった。
自身の経験から生成AIの活用方法を本職領域と未経験領域の二つの側面に分けて考えてみる。
本職領域の場合、これまでの100点のアウトプットを、よりスピーディーに、かつこだわり抜いた120点、150点へと飛躍させるために使う。
一方、未経験領域の場合は最初は0点スタート。ただ、AIを使い50点へ、そこから成長し、55点、60点とアウトプットのクオリティが高めていくことができる。
さらにAIの仕組みも発展させ、人も使い方に慣れていくことでそれが75点、90点へとどんどん良いものを生み出していく。
この0点から50点へ、さらに価値を高めていくことができることに、私は大きな価値を感じた。
現場の非ライターは、コンテンツを作り出すことがないので0。点数が最初は低くても、0と1では大きく違う。これは、凄いことだと。
そこで実際に、ほかの非ライターメンバーと一緒に試してみることにした。勝手にAIと対話を通じてコンテンツ化する方法を「カンバライティング」と名付け、企画から会話、編集などのプロセスを組み、全員が共通の仕組みでトライすることにした。
※カンバライティングとは:爆速で思考をコンテンツ化する「カンバライティング」のすすめ
私も含めて、みんな最初はズタボロだった。ただし、元々情報発信を行っていたメンバーはやはりスムーズだった。AIを使う側も、AIの仕組みも、まだまだ伸び代があることを実感した。
それでも、コンテンツを全く作ってこなかったメンバーが、1本30分前後で、今では月2〜3本ほどのコンテンツを作るようになった。
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これは凄いことだ……と、過去の体験から感じる。現場のメンバーにもっと書いてもらえるような仕組みづくりを進めれば、さらに良いコンテンツをたくさん作ることができる。
また、フォーマットをかなり制限するとやはりクオリティコントロールは効きやすく、設計次第でさまざまな取り組みができることがわかった。まだベータ版ではあるが、マーケティングのケーススタディ集「KAAAN BETA」なども全てカンバライティングで組み立てている。
とても面白いなと日々体感する。どんどんクオリティが上がっていくのを直視し続けられるのは、やっぱり楽しい。
文化を作るための耐えどき
ただ、現実はそう甘くはない。だれるタイミングもある。一筋縄では行かないし、それをどうカルチャーとして作っていくかも含めて、今は前に進むしかないと考えている。
今は質が低くても、会社としてのブランド価値が下がっても、みんなが成長するために公開を繰り返す耐えどきの時期だと思っている。
成果が全てを癒すという原則のもと、CVが生まれようが、バズろうが、バズらなくても良いコメントがつこうが、何でも成果として捉えられる環境を作れば、それが自走する文化を作っていく。私は何度もそういう瞬間を目撃してきた。
そのために、ガンガン公開する。
現在、AIの仕組みはバージョン3くらいの段階にある。これがバージョン10くらいになれば、クオリティは安定して高いものになると考えている。
最終的には専門メディアよりも素晴らしい情報発信ができている状態を作りたい。
個人の体感を組織の仕組みにする面白さ
振り返ってみると、私がAIコンテンツ生成を掘り続ける理由がはっきりと見えてくる。それは、AIの持つ独特の面白さにある。
個人のnoteで感じた「思考がコンテンツになる喜び」を、組織の仕組みとしてすぐに展開できる。この変換の速さと可能性の広がりが、私を夢中にさせ続けている。
一人の非ライターが体験した感動を、チーム全体、組織全体に広げていけるスケーラビリティ。これまでにない新しい価値創造の形だと感じている。
技術の進歩と人の成長が同時並行で進み、相乗効果を生み出していく過程を間近で見られることも刺激的だ。毎日のように変化する状況の中で、昨日までの常識が今日には古くなり、明日にはまた新しい可能性が生まれている。
そして何より、非ライターだった人たちがコンテンツクリエイターとして成長していく姿を見ることができる。
0点だった人が60点、75点と着実に成長していく過程には、単なる効率化を超えた組織としての成長がある。
AIコンテンツ生成はこうだ!という論を語るつもりはなく、さまざまな形があっていいし、制限をかけずに体感と成果をベースにさまざまに模索したい。だからこそ、私は掘り続ける。
まだ見ぬバージョン10の世界、専門メディアを超える情報発信、そしてそれを支える文化の完成を目指して。
P.S
この記事ももちろん、AIです。
著者情報
TAISHI TERAKURA
Marketing Planner
業界歴10年以上。事業開発、オウンドメディア、コンテンツマーケティング支援を展開し、延べ100以上のプロジェクトを経験。藍染職人、株式会社LIGを経て、マーケティングプランナーへ。
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