Obsidian×GAS×Cursorのシステムで、生産性管理が一気にしやすくなった話
毎週振り返りをしているのに、「今週は忙しかった」「あのプロジェクトに時間を取られすぎた」という同じような感想しか出てこない。そんな経験はないだろうか。
私もずっと、この感覚頼みの振り返りに限界を感じていた。毎週金曜日に30分かけて振り返りをする習慣は続けていたが、結果はいつも同じ。翌週も同じ課題を繰り返してしまう。
Googleカレンダーでタスク管理は細かくやっていたものの、実際の稼働時間を数値で把握できていなかった。だから振り返りも「なんとなく忙しかった」という曖昧なものになってしまう。
「このままでは改善なんてできない」——そう感じていた時に出会ったのが、時間を数値で振り返るという発想だった。
感覚頼みの振り返りが改善につながらない理由
振り返りの精度が上がらない理由ははっきりしていた。数値データがないまま、感覚だけで評価していたからだ。
これまでTogglやAsanaなど、いろいろなタスク管理ツールを試してみた。でも、どれも記録することに特化していて、そのデータをもとに改善提案をしてくれるものはなかった。記録することが目的になってしまい、肝心の改善につながらない。
そんな時に思いついたのが、普段使っているツールを組み合わせて、数値ベースの振り返りシステムを作ることだった。Googleカレンダーには既にタスクを記録する習慣があったので、それをGAS(Google Apps Script)で自動取得し、ObsidianとCursorを組み合わせれば、感覚ではなく数値で振り返れるかもしれない。
そう思い、自分でシステムを作ってみることにした。
数値ベースの振り返りシステムを作ってみた
システム構築は思っていたより簡単で、全体で2〜3時間程度で完成した。途中でエラーが出ても、Claudeに画面のスクリーンショットを送れば、すぐに解決策を教えてくれた。
完成したシステムは、感覚に頼らず数値で振り返れる仕組みになっている。
データの自動収集
毎日深夜0時、GASが自動でGoogleカレンダーの内容を取得し、各プロジェクトの稼働時間を集計してObsidianに日報として保存。「各プロジェクトのタスクと所要時間」「プロジェクト別稼働時間」「その日の総稼働時間」が数値で記録される。
数値による振り返り
毎週金曜日、Cursor上でナビゲーターファイルを立ち上げると、その週の1週間分の日報データを自動で読み込み、優秀な上司と壁打ちするような感覚でフィードバックセッションが始まる。事前に設定したプロジェクト別の稼働目安と実際の稼働時間を比較して、時間の使い方の良かった点と改善点を具体的に教えてくれる。
客観的なスケジューリング
翌週のスケジューリングも数値ベース。Googleカレンダーで翌週の予定を組んだ後、別のナビゲーターファイルを起動すると、予定されたスケジュールを分析して、目標稼働時間との乖離やバランスに問題がないかチェックしてくれる。
数値ベースの振り返りで何が変わったか
導入後の変化は思っていた以上に大きかった。
一つ目は、感覚頼みから客観視できるようになった。 「なんとなく多かった、少なかった」という感覚でしか把握できていなかった稼働時間が、具体的な数値として見えるようになった。各プロジェクトの時間配分の偏りや、効率の良い時間帯なども客観的に分析できるようになった。
二つ目は、無駄な時間を大幅に削減できた。 これまで1日10〜15分かけていた日報作成が完全に自動化され、毎週1時間〜1時間半の時間を削減できた。週次の振り返りも30分から15分に短縮されたのに、精度は何倍にもアップした。
三つ目は、計画力が向上した。 このシステムを導入してから、前もって計画を立てる力が身についた。これまでは毎朝「今日は何のタスクから始めよう」と考えることから一日が始まっていた。でも、前週に翌週のスケジューリングを完了させることで、月曜日の朝からすぐにタスクに取り掛かれるようになった。
そして、予想外の副産物は、バーチャル上司が誕生したことだった。 当初は時間管理のためのシステムとして作ったが、使っているうちに非常に優秀なAIエージェントができあがった。これまでの私は、何かに困っても一人で考え込んでしまうタイプだった。でも、このバーチャル上司ができたことで、困ったことがあれば即座に相談する習慣が身についた。情報収集の仕方や課題解決のアプローチも変わってきている。
数値ベースの振り返りを始める方法
もしあなたも感覚頼みの振り返りから卒業したいなら、以下のステップで始めてみるのをおすすめする。
ステップ1:記録の習慣化
まずは普段使っているカレンダーアプリで、タスクを記録する習慣をつける。私の場合はGoogleカレンダーを使っているが、どのカレンダーアプリでも構わない。重要なのは「何に」「どれくらい時間をかけたか」を記録することだ。
ステップ2:データ取得の自動化
次に、GAS(Google Apps Script)を使ってカレンダーデータを自動取得する仕組みを作る。プログラミング経験がなくても、ChatGPTやClaude、Cursorなどを使えば2〜3時間程度で構築できる。エラーが出た時も、画面のスクリーンショットをAIに送って相談すれば解決策を教えてくれる。
ステップ3:AIツールで振り返り
取得したデータをもとに、AIツールで振り返りと計画立てを行う。私はCursorを使っているが、他のAIツールでも同様の効果が期待できると思う。
技術的な知識は特に必要ない。重要なのは「感覚ではなく数値で振り返りたい」という気持ちだけだ。
AIが自動でスケジューリング提案してくれるように
現在のシステムは時間の使い方と生産性管理に特化しているが、今後はより包括的な「プロジェクト成功支援システム」に発展させていきたいと考えている。
毎週作成している週報には、プロジェクトの進捗状況や数値状況、ミーティングでの情報など、様々なデータが蓄積されている。これらのデータを読み込ませて、翌週のスケジューリングを自動提案してくれる仕組みがあれば面白そうだ。
「今のプロジェクトの進捗を考えると、来週はここに時間を使うべきです」「1ヶ月後、3ヶ月後を見据えた時に、今のうちからこういう準備をしておくべきです」といった、より戦略的な提案をしてくれるシステムに進化させていきたい。
単純な生産性管理を超えて、プロジェクトを成功に導くための総合的な管理システム。そんな未来を描きながら、今日も私のバーチャルパートナーとの対話は続いている。
著者情報
AKIRA KISHI
Marketing Director / Consultant
業界歴8年以上。オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。SEOを軸としたメディア・サービスのグロース支援、インハウス運用支援を行う。
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