MA初心者の私たちが、HubSpot導入1年でハウスリストを3倍にできた理由
MAやCRMの導入を検討しているが、自分たちでも本当に使いこなせるのか。高い投資をして失敗したらどうしよう。そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
私も、同じ不安を抱えていました。
THE MOLTSの中でも、私のチームはデータ分析やデータ基盤構築に強みを持っています。他のチームではMA領域に強いメンバーもいますが、私のチームは完全に初心者でした。ただ、クライアント支援を通じて「MOps(マーケティングオプス)」という概念に出会い、この領域を強化するため、ゼロからユーザーとして使ってみようと、2024年10月にHubSpotの導入を決めました。
導入から1年が経ち、振り返ってみると、結果としてこのような成果につながっていました。
- ハウスリスト:600件 → 2,000件(約3倍)
- 自社セミナー:10回開催、参加者800名
- メールマガジン:22通配信
振り返ってみると、3つのことが結果につながったのではないかと考えています。
※この記事は、2025年12月18日に開催した「CRMの実践と学び&チームづくりセミナー」の内容をもとに作成したものです。
理由①:HubSpotは「MAツール」だけではなかった
導入前、私たちは「HubSpot=MAツール」だと思っていました。しかし、それは誤解だったのです。
HubSpotは、MA(マーケティングオートメーション)だけでなく、SFA(営業管理)・CS(顧客サポート)・CMSまでを統合した「CRMプラットフォーム」でした。
「統合型ツール」を謳う製品は数多くあります。私も長くデジタルマーケティング領域で仕事をしてきたので、さまざまなツールに触れてきました。
一般的なCRMツールの多くは、MA用、SFA用、CS用と、それぞれ別のツールとして提供されています。あるいは、異なる企業が開発したツールを買収して、一つのマーケティングスイートとして提供しているケースもあります。
そうした場合、どうしてもツール間のデータ連携に壁が生まれがちです。結局、各ツールでバラバラに管理することになり、顧客の全体像が見えにくくなってしまうと感じていました。
しかしHubSpotは、MAで獲得したリードが商談化し、受注後は顧客としてCSへ。この一連の流れを、すべてHubSpot上でシームレスに管理できます。
実際に私たちが使っている機能を挙げてみると、こんな形です。
- メルマガ配信(Marketing Hub)
- セミナー申込者管理(Marketing Hub)
- セミナーとZoomウェビナーの連携
- リスト管理(動的リストで自動更新)
- SNS投稿とパフォーマンス測定
- ウェブサイト・ブログ(Content Hub)
- フォームの構築と自動取り込み
- 営業活動管理(Sales Hub)
- 商談のステージ管理
- アンケート・フィードバック(Service Hub)
これらすべてが、一つのプラットフォームで完結します。
「つぎはぎじゃない統合」。これが、初心者の私たちでも成果を出せた最大の理由だと考えています。
データがバラバラにならないから、顧客の全体像が見えてきます。セミナーに参加した方が、どんなメールを開封して、どのページを見て、営業とどんなやり取りをしているか。すべてが一つの場所でつながっています。
このため、適切なタイミングで適切なアプローチができるようになりました。
もし私たちが「HubSpot=MAツール」という認識のままだったら、MAの範囲内でしか使えなかったかもしれません。「統合CRMプラットフォーム」だと理解したことで、MA→SFA→CS→CMSの一連の流れで活用できるようになりました。
ツールの本質を理解することが、成果を出すための第一歩だったと感じています。
理由②:一気にやらず、少しずつ使える範囲を広げた
HubSpotは機能が豊富です。だからこそ、「全部を一気に使おう」とすると、うまくいかないことが多いように感じます。
私たちが取った戦略は、段階的な導入でした。
導入ステップ:
- 2024年10月:HubSpot導入、メルマガ配信の準備開始
- 2024年11月:初回メルマガ配信
- 2025年1月:初めての自社セミナー開催
- 2025年2月:Sales Hub(営業管理)の利用開始
- 2025年9月:自社ウェブサイト構築開始(HubSpot CMS活用)
- 2025年11月:ウェブサイト公開
「できることから始める」「慣れてきたら機能を追加していく」
この段階的なアプローチが、私たち初心者でも挫折せずに使い続けられた理由だと感じています。
振り返ってみると、最初に「何を解決したいか」を決めておいたことが、迷わず進めるポイントだったように思います。私たちの場合は、「ハウスリストの強化」でした。
そこで、まずメルマガ配信から始めました。次に、自社セミナーを開催し、申込者管理もHubSpotで行うようにしました。
メルマガとセミナーの運営が軌道に乗ってきたタイミングで、営業管理(SFA)を追加しました。問い合わせや相談が増えてきて、営業活動を体系的に管理する必要が出てきたからです。
さらに、コンテンツSEOにも取り組みたいと考え、自社サイトをHubSpotのCMSで構築しました。
このように、「目的→必要な機能→次の目的→次の機能」という流れで、少しずつ使える範囲を広げていきました。多機能なツールほど、最初から全部使おうとすると大変です。段階的に進めることで、人とツールが一緒に成長できるのです。
もしこれから導入を検討している方がいたら、まず「何を解決したいか」を一つ決めることから始めてみてください。そのために最低限必要な機能は何か。そこから始めて、チームが慣れてきたタイミングで、徐々に活用範囲を広げていく。
その方が、無理なく続けられますし、チームも一緒に成長できると考えています。
理由③:一人でやろうとせず、チームで取り組んだ
HubSpotを使い始めて実感したのは、CRMツールの守備範囲の広さです。
メールマガジンの配信、セミナーの運営、営業活動の管理、コンテンツの制作、データの分析…。マーケティングから営業、顧客サポートまで、本当に幅広い業務に関わってきます。
これだけの領域を一人でカバーするのは、正直なところ不可能に近いです。だからこそ、チームで取り組むことが重要でした。
私たちは、こんなチーム体制で進めています。
- メール担当
- セミナー担当
- サイト制作(CMS)担当
- SFA担当
- データ分析担当
各自がメイン領域を持ちつつ、お互いの業務を理解しながら進めています。
例えば、セミナー運営は3名体制です。
- スピーカー(西)
- 司会(岩永)
- チャット・資料管理(小松)
さらに、事前に台本と役割分担表を作り、「誰が・いつ・何をするか」を明確にしています。当日の進行、チャットへの投稿、資料の共有、どのタイミングで何を話すか。すべてを事前に決めておくことで、スムーズに運営できています。
一人でやろうとすると、どうしても限界があります。チームで取り組むことで、運用の幅が広がっていきます。
そして、意外な副次効果もありました。
私たちは、フルリモートの会社です。通常、リモートワークでは人間関係が希薄になりがちです。顔を合わせる機会が少ないと、どうしてもコミュニケーションが減ってしまいます。
しかし、マーケティング実務にチームで取り組むことで、自然と会話が増えました。
「次のセミナー、どうする?」「メルマガの内容、これでいい?」「このフォーム、もっと改善できないかな?」
日常的に相談し合う機会が増え、社内Slackのメッセージ量も大幅に増加しました。マーケティングチャンネルは、グループ内で2番目にメッセージが多いチャンネルになっています。
CRMツール導入が、チーム作りのきっかけにもなったのです。
もし一人で抱え込んで疲弊している方がいたら、チームで取り組むことも検討してみてください。最初は小さなチームでも大丈夫です。役割分担を明確にして、マーケティング実務を一緒に進めていく。
そうすることで、ツールも使いこなせるようになりますし、チーム自体も成長していくと感じています。
CRMツールは、「導入」がゴールではない
この1年間を振り返って、一番実感しているのは「ツールは素晴らしくても、それを使うのは人」だということです。
どんなに優れたツールでも、使う人が育たなければ成果は出ません。逆に言えば、ツールと一緒に人も組織も成長していけば、初心者でも成果につながっていくと感じています。
私たちも、まだ完璧には程遠いです。ホワイトペーパーの制作、ナーチャリングの仕組み、さらなる体制強化。やるべきことはたくさんあります。それでも、1年前と比べれば、確実に前に進んでいます。
CRMツール導入は、ゴールではなくスタートです。
もしこれから導入を検討している方がいたら、最初から完璧を目指す必要はありません。まず「何を解決したいか」を一つ決めて、その課題に必要な機能だけを使ってみる。チームで役割分担をして、一緒に前に進んでいく。
そこから小さな一歩を踏み出せば、1年後には想像以上の景色が見えているのではないでしょうか。
私たちも、これからも少しずつ前に進んでいきたいと考えています。
著者情報
MASAHIRO NISHI
Marketing Strategist / Data Analyst
業界歴16年以上。データ戦略の立案、アクセス解析、 CVR改善、データ活用基盤の構築など、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援。電通デジタルを経て2019年にTHE MOLTS参画。
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