AIが分析を代替する時代に、GA4で今やるべきことはなんだろうか

こんにちは、THE MOLTSのデータアナリストの西です。

私がクライアントワークをしていると、こんな声をよく聞きます。

「GA4が一部うまく計測できていない。まぁ、時間があるときに見直そう」

「とりあえずデータを溜めておけばいい。いずれAIが分析してくれるでしょ」

正直なところ、データアナリストの私としては毎回モヤっとしてしまいます。

たしかに、AIの進化は驚くべきスピードで進んでいます。ChatGPTやGeminiをはじめとする生成AIの登場で、「分析作業もAIにやってもらえるんじゃないか」と考える方も多いのではないでしょうか。

一方、私が実際にデータ分析をやってきた経験から言うと、AIが優秀になったとしても、元のデータがぐちゃぐちゃだったら、やっぱりいい分析結果は出せないんです。むしろ、AIに良い仕事をしてもらうためには、私たち人間がちゃんと準備をしておく必要があるということが分かってきました。

そこで今回は、AIが分析作業を代替していく時代を見据えて、GA4で今やっておくべき4つのポイントを整理してみました。私なりの考えですが、参考にしていただければと思います。

AIは分析作業をどこまで代替するのか

まず前提として、AIは遅かれ早かれ分析作業を代替していく形になると私は考えています。そのときに、私たち人間に残された領域はどこなのでしょうか。

基本的には、AIに任せられないものというのはそれほどないというのが私の考えです。一般に言われるように、何をやるかを最終的に選定するのは人間の仕事として残るとは思いますが、これを選定すべきというところのレコメンデーションも、きっとAIが担うようになるんじゃないでしょうか。

つまり、私たち人間がやるのはある意味、最後にGoを出すだけという世界になるかもしれません。

そうなると、AIに上手く分析をさせて、より現実性の高い施策案を出させて、対応すべき施策の優先度まで出させることがポイントになってきます。そのためには、どんな準備をしておけばいいのか。実際のクライアントワークの経験を踏まえて、お話しします。

ポイント1:データの正確な測定

AIに良い分析をしてもらうためには、まずデータを正確に測定しておくことが大前提になります。

これは当たり前のことなんですが、ログは後から取れません。時間を巻き戻すことはできないので、データの正確な測定が最優先事項になるんです。

私がクライアントワークをしていると、「GA4が一部うまく計測できていない」というケースにしばしば遭遇します。でも、「まぁ、時間があるときに設定を見直そう」なんて悠長なことを言っていると、その間のデータは失われてしまうんですよね。

人間が分析する場合でも、AIが分析する場合でも、基礎となるデータが不正確だったら、どんなに優秀な分析手法を使っても意味がないのです。

また、GA4だけでなく、関連しそうなさまざまなログもできるだけ同一のデータ基盤上にアップしておくことが重要だと感じています。基幹データ、Search Consoleのデータ、広告データなど。データ間の相関を見ることもできますし、AIにとってもより価値のある分析材料になるはずです。

ポイント2:メタ情報のテキスト化

データと同じくらい重要なのが、メタ情報をどれだけAIに提供できるかということです。

今やっている施策だとか、なぜこの施策をやることになったのか、その背景を極力テキストとして残しておく。たとえば、「3月にLP改修した理由:CVRが低迷していたため、フォームを3ステップから1ステップに変更」みたいな感じですね。

なぜこれが重要かというと、分析は最終的にはクライアントサイドでやった方が良いものになるから。理由は、クライアント側でしか持っていない情報、特に暗黙知が多くあるためです。

実際によくあるのが、私が「この日、理由はわからないがCV数が増えている」とクライアントに報告したら、「あー、それは○○があったからだね」と言われるパターン。私たちが知らない施策、たとえば社内でプレスリリースを出していたとか、営業チームが大型展示会に出展していたとか、そういう背景情報がないと分析が的外れになってしまうんです。

AIもある程度仮説を持って、分析アプローチを立ててデータを見ていく形になると思いますが、人間よりはバイアスを抜いた状態で分析してくれるはずです。そのためにも、施策の背景情報をテキストで残しておくことが欠かせないと私は考えています。

ポイント3:施策カレンダーの作成・記録

メタ情報のテキスト化と関連するんですが、施策カレンダーを作ることがとても大事だと思っています。

ページを公開した日の記録や、実施したプロモーションの内容などを時系列で整理しておく。データだけ見ても「なんで急にこの日からCVが増えたんだろう?」って謎のままですが、施策カレンダーがあれば一目瞭然ですよね。

私たち人間はこういうはずだというバイアスを持って分析してしまうきらいがあります。また、仮説検証型でデータ分析にあたるというのもよくやる手です。時間ないですしね。計画的か否かはさておき、ある程度分析の範囲を決めてとりかかるというのが人間の分析アプローチとも言えます。

一方で、AIがいいのは、網羅的な分析ができることだと思っています。もちろん、ChatGPT-o3の思考プロセスを見ている限り、ある程度の分析の筋道を立てた上で思考している様子が伺えます。ただ、参考にしているデータの量は人間とは段違いで、人間よりも広くデータを眺めて分析してきます。

この網羅的な分析を実現するためにも、サイト構造とか、いつリニューアルしたとか、この日にこういうプロモーションをやったとか、そういった情報を残していくことがとても重要になるのではないでしょうか。

ポイント4:サイト構造の整理・文書化

どのようなサイト・コンテンツがあるのかといった基本情報をAIに与えておくことも重要だと感じています。

実際に私がクライアントワークをしていると、サイト構造・ページリストがなくて分析が苦戦することがしばしばあります。クライアント側もこれを持っていなくて、「じゃあそこから作りましょうか」となることも。

大きなサイトになると、サイトの数字はともかく、自分のサイトにどんなコンテンツやメニューがあるのか、担当の方も把握してないことがあります。これは決して珍しいことではありません。

私がサイトの全体像を整理するときには、Website Explorerというソフトと、GAの計測結果、Search Consoleで上がってきたページリストを統合的に見ていくとか、クライアントが制作を依頼している制作会社に作ってもらうといったアプローチを取っています。

正直なところ、効率的な方法があるわけではないのですが、可能な限りすべての情報を文書化しておくことが重要だと思います。私たち人間でも、サイト構造・ページリストがないと分析に苦戦しますから、AIにとってはなおさら必要な情報になるはずです。

忘れてはいけないGA設計書の作成

これらに加えて、GA設計書の作成も欠かせないと考えています。どのような定義でイベントを計測しているか、こういったディメンションがあるとか、そういう情報をテキストで残してAIに読ませるということですね。

▼GA4設計書について

「このイベントはこういう定義で計測している」「このディメンションはこういう意味」といった設計情報がテキストで残っていれば、AIも正確に分析してくれるはずです。

私たち人間が分析するときでも、GA4の設定を理解していないと正しい分析はできませんよね。AIにとっても同じことだと思います。

さいごに

今回の話を整理すると、結局「AIに良い仕事をしてもらうためには、私たち人間がちゃんと準備をしておく必要がある」ということです。

でも逆に言えば、今のうちにこれらの準備をしっかりやっておけば、AI時代に大きなアドバンテージを得られるということでもあります。

多くの企業が「とりあえずデータを貯めておけばいい」と考えている今だからこそ、メタ情報の整理や施策カレンダーの作成、サイト構造の文書化といった地道な作業をコツコツと積み重ねていく。

そうすることで、AIが本格的に普及したときに、競合他社よりも圧倒的に精度の高い分析と、それに基づく施策立案ができるようになるのではないでしょうか。

著者情報

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MASAHIRO NISHI

西 正広

Marketing Strategist / Data Analyst

業界歴16年以上。データ戦略の立案、アクセス解析、 CVR改善、データ活用基盤の構築など、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援。電通デジタルを経て2019年にTHE MOLTS参画。

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