「100万円のGA設定」には、それ以上の成果につながる価値がある
こんにちは、THE MOLTSのデータアナリストの西です。
クライアントと話しているときに、「Google Analyticsの設定で100万円です」と言うと、大体の方は一瞬「え?」という顔をされます。
「GA設定なんて数万円でできるでしょ?」「100万円って、一体何をするんですか?」
こんな反応をされることが多いんです。でも実際にプロジェクトを終えると、「まあこれは100万円ぐらいかかるよね」と納得していただけることが多いです。
そこで今回は、100万円のGA設定の実態と、なぜその価格に価値があるのかをお話しします。
100万円のGA設定って、どんなサイトが対象なの?
まず、どんなサイトで100万円の設定が必要になるのかを整理しておきましょう。
一般的なコーポレートサイトや小規模ECサイトなら、確かに数万円〜数十万円で十分だと思います。弊社も、一般的な作りのサイトであれば、初期設定から導入後の簡易レクチャーまでで15万円程度からお請けしています。しかし、以下のようなサイトになると話は変わってきます。
複雑なサイト構造のケース
- サイト構造が複雑(概ね1,000ページを超えてくるようなサイト)
- サイト上の機能が豊富にある
- 動的な要素がある(データベース型サイトなど)
- 一つひとつが手の込んだカタログサイトの形式になっている(自動車会社のサイトなど)
多層設計のケース
- メインのサイト・店舗別サイトなど、多層設計になっている
- マイページ部分が豊富にある
- アプリと連携している・Webviewとして参照されている
高度な計測が必要なケース
- ECサイトで細かく計測したい
- 基幹やCRMのデータと連携できるようにしたい
- SPA (Single Page Application)で構築されたサイト
- サイトというよりWebアプリケーションに近い機能を持っている
たとえば、自動車会社のサイトを想像してみてください。車種ごと、グレードごと、オプションごと……と考えてみると、設定が膨大になることがイメージできるかと思います。
「設定だけ」で3ヶ月かかる理由
「設定だけなら1週間でしょ?」
そう思われるかもしれませんが、実際は違います。おおむね3ヶ月程度かかることが多いですね。その理由は主に3つあります。
1. 要件定義をしっかり行う
一番時間をかけるのが、実は要件定義なんです。「何を計測したいか」をしっかりと握っていく作業ですね。ここは大体1ヶ月ほどかかります。
ただ、細かい計測のされ方は、実際に計測されてみないとクライアントもイメージがつかない場合が多いです。だから実装後に詳しく説明することが多くなります。
2. 技術的な対話が必須
要件定義が固まったら、次は実装フェーズに入っていくわけですが、ここでまた新たな課題が出てきます。
「このイベントを取りたいんです」と言ったときに、Webサイトの制作者や開発者から「それは技術的に難しいです」「システム改修が必要です」と言われることがよくあります。
なので、理想を押し付けるのではなく、無理なく実装できる範囲を対話しながら探っていくことが必要です。技術的にできないものはできないので、現実的な落とし所を見つけることが重要だと思っています。
3. プライバシー面のケアも必要
とくにマイページ機能が豊富なサイトでは、どのタイミングでUser-ID(会員IDなど)を取得するかといった検討が必要になります。
プライバシー面のケアも必要なので、プライバシーポリシー上の記載なども視野に入れていきます。GDPRや外部送信規律からみたときに少し引っかかるところがあるときには、「このあたりは貴社の法務の方の見解も聞いてみてくださいね」ぐらいは伝えることもあります。
このように複数の要素が絡み合うため、結果として3ヶ月という期間が必要になってくるわけです。
3ヶ月で見えてくる「想定外」の正体
ただ、3ヶ月かけてしっかりと計画を立てても、大規模で複雑なサイトになれば、途中で想定外のことが起こるのは避けられないと思っています。
たとえば、「実はこんな機能もありました」 って後から発覚したり、システムアップデートで設定が崩れることもあります。さらに他部署から「こんなデータも欲しい」 って追加要望が出てくることもよくあります。
問題は、こうした「想定外」にどう対処するかです。
私は最初の見積段階から 「バッファの金額を積んでおく」 ということをよくやっています。新しい要件が出てきたときには、それを対処するのにどれぐらいの工数が必要かを純粋に見積もり、それがバッファの中で可能な範囲で対応します。もちろんオーバーしてしまうケースもあるので、その場合には、こういった理由により追加費用にて対応させていただけないかと相談します。また、結果的にバッファ費用に手をつけずに完了できた場合には、その分は減額してご請求します。
本当に価値があるのは「なぜ取るか」の理由付け
ここで重要なのが、その追加設定が本当に価値があるものなのかを慎重に判断することです。絶対に必要なのか、取れたらいいなぐらいなのか。
たとえば、進む・戻るボタンを計測するかどうかという話があったとします。これは取ってもいいと言えばいいのですが、仮にこれがあまり押されていないという結果になったときに、このボタンを外すのか? という話があります。多分外さないでしょう。シンプルに使いにくくなっちゃいますしね。
こうした 「それを取って何か次のアクションに活きるの?」「仮に押されてないとなった時にどうするのか」 というアクションイメージがついていないものは、大体が取らなくてもいい設定だと思っています。
実は、多くの日本企業にはこうした傾向があると感じています。データを取得するのは上手いのですが、必要なデータを選別して取得するのは不得意なケースが多いんです。
不要なデータがたくさんあると純粋に分析しにくいですし、データの取得意図がないので結果として何にも活かせない。
そこで私たちがしっかりとGA設定をさせていただく時には、どう使うのかをイメージして設定支援するわけです。結果として活きたデータが中心となり、分析がはかどります。
100万円の設定に納得してもらえる理由
では、最終的になぜ100万円の設定に「まあこれは100万円ぐらいかかるよね」と納得していただけるのでしょうか。
それは、単なる技術的な設定ではなく、ビジネスの意思決定に直結するデータ設計をしているからだと思います。
つまり、必要なデータだけを選別して取得し、取得したデータが実際のアクションにつながるような設計にしているということです。結果として分析がはかどる環境が整い、最終的には事業成果につながるわけです。
「データを取る」ことと「データを活用する」ことは、全く違います。100万円の価値は、後者にあるんです。
また、正直なところ、私たちがGAの設定をチューニングすると、かなり細かいところまで手を入れていくので、クライアントの側も全てを理解するのは困難です。
すべてをクライアントに説明することはまれです。長くつきあっていくなかで、タイミングを見て「こういう設定を入れてあります」と説明し、感心いただくことがあります。
全部最初に説明しちゃうと情報過多になりますが、必要なときに「実はあのときに……」って出てくると、クライアントも価値を実感してくれるんです。
さいごに
「100万円のGA設定」と聞くと高く感じるかもしれません。でもその裏側には戦略的な思考とクライアントのWebサイトの徹底的な理解、発生するであろう分析要件の落とし込み、クライアントとの丁寧な対話があります。
データ取得が上手でも、データ活用が苦手な日本企業は多い。「なぜそのデータを取るのか」「取ったデータをどう使うのか」という理由付けができる設定支援に価値があるんです。
「取れたらいいな」から「これが知りたい、だから取る」へ。データの向こう側には、必ずビジネスの成果があります。そして、そこにはきっと100万円以上の価値を生み出すデータが眠っているはず。
もしGA設定で迷うことがあったら、いつでもお声がけください。「なぜ取るのか」を一緒に考えるところから始めましょう。
著者情報
MASAHIRO NISHI
Marketing Strategist / Data Analyst
業界歴16年以上。データ戦略の立案、アクセス解析、 CVR改善、データ活用基盤の構築など、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援。電通デジタルを経て2019年にTHE MOLTS参画。
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