成果が出ないテストマーケティングの「3つの盲点」と復活戦略

こんにちは、THE MOLTSのコンサルタントの菊池です。

「テストマーケティングを実施したものの、思うような成果が出ずに諦めてしまった」

そんな経験はありませんか?

私が多くのクライアントのテストマーケティングを支援するなかで、成果が出ない原因には共通した「3つの盲点」があることに気づきました。この盲点に陥ると、初期の悪い結果だけで判断してしまい、本来なら成功する可能性があった事業や商品を諦めることになってしまいます。

今回は、その3つの盲点と、実際に私が関わった成功事例を基にした復活戦略についてお話しします。とくに「商品が悪いからダメだ」と諦めてしまいがちな方に読んでいただきたい内容です。

なぜ場当たり的な施策に陥ってしまうのか?

新規事業や新商品のプロモーションでは、既存顧客や過去実績がありません。そのため、場当たり的な施策に陥ってしまうことが多いです。

よくあるのが、架空のペルソナからの仮説設計。これがそもそも的外れになるケースがあります。テストマーケティングで広告配信を行ったものの採算ラインに乗らず、すぐに諦めて別の施策に切り替えたり、代理店を変更したりと、無駄なことが多いのが現状です。

この問題の根本原因は、KPI設計、時間軸、データ量が適切でないことです。短期でデータ量が少ないなか、赤字か否かで判断してしまいがちです。

新規事業の場合、初期のCPA(顧客獲得単価)は10万円を超えることもありますが、数ヶ月続ければ1万円を下回ることは全然あり得ます。しかし多くの場合、この初期の効率の悪さだけで判断してしまい、本来なら成功する可能性があった事業を諦めてしまうことになります。

成果が出ない「3つの盲点」

新規事業のテストマーケティングで成果が出ない原因として、以下の3つの盲点が相互に関連して悪循環を生み出しています。

1. 短期利益追求型KPI設計

商品のリピート率を考慮せず、「最初から利益を出そう」と厳しい目標設定をしてしまう問題です。

昨今、広告運用のほとんどのマーケットでCPCが高騰し、競争が激しい状況になっています。そのため、商品単体の利益ではなくリピート率を考慮し、LTV(顧客生涯価値)からCAC(顧客獲得コスト)を何パターンか算出することが重要です。

粒度を粗くしてWEB全体、指名検索も増えた場合などで評価することが求められます。

2. 表面的数値判断型

短期で評価する必要があるがゆえに、PDCAを回さず、表面的な数値で判断してしまいがちです。

たとえば、「GoogleのCPAが悪いからMetaに切り替える」「安易にメディアや代理店のせいにする」といったことが起こります。

重要なのは、1つのメディアで少なくとも3週はPDCAを回すこと。CPAが悪いなら因数分解してどの指標が課題なのか、どのターゲット、クリエイティブ、配信面がボトルネックなのかを特定し、改善策を3回試してダメなら次のメディアを検討することが大切です。

3. 機械学習無視型

初期投資を抑えたいため、少ないデータ量で判断するしかありませんが、機械学習がうまく機能しないうちに止めてしまうことが多々あります。

CV0件のターゲットやクリエイティブをすぐ停止してしまいがちですが、実際1件でも取れたら採算ラインになることもあります。

この問題を解決するには、ターゲット×クリエイティブ×LPなどの変数を多くし過ぎないこと。想定CVRから逆算してどのくらいの流入数やコストが必要かを見極め、データが蓄積されにくい場合は中間CVを設定することも有効です。

「復活戦略」の成功事例

これらの3つの盲点に陥りながらも、適切な復活戦略を実行することで成功した事例を2つご紹介します。

事例1:BtoB福利厚生サービスの大転換

健康経営を実現する会社をターゲットに、健康経営をサポートするサービスを展開していた事例です。

当初は福利厚生や健康経営などのキーワードで攻めていましたが、競合性が強くCPAは採算が合わない状況に。広告配信をストップし、アウトバウンドの営業にシフトしようと諦めかけていました。

ところが、コロナ以降で世の中のトレンド的に企業の「メンタルヘルス」が課題となり、ターゲットを福利厚生からメンタルヘルスに変えたところ、CPAは大幅に改善。初期の広告費は月額100万円以下でしたが、1,000万円近く拡大することに成功しました。

事例2:ホテル事業・会員権サービスの劇的改善

施設に泊まりたい人、保有したい人をターゲットに、最初は説明会を誘導していましたが、思うように取れませんでした。

そこで、オファーを説明会だけでなく、資料請求、問い合わせ、申込と複数パターンテストし、転換率も見てCPAとCACのバランスを見極めました。

並行してクリエイティブテストを価格訴求、サービス訴求、デザイン訴求、機能訴求などに分けて検証し、勝ちパターンを発掘。初期のCPAの1/10に改善し、投資額も10倍に拡大しました。

成功事例の共通点

この2つの事例に共通しているのは、商品や商品価格自体はまったく変えていないということです。

「商品が悪いからダメだ」と諦めてしまいがちですが、アプローチを変えることで成功に導くことができました。どちらも最初のアプローチで諦めずに、別の角度から検証を続けたことで成功しています。

実践的な「復活戦略」の進め方

これらの成功事例をもとに、具体的な復活戦略をご紹介します。

1. WHO、WHATを中心に深堀する

最初のアプローチがダメでも、WHO、WHATを中心に深堀することが重要です。

一部のパーツを変えて検証するなどの部分最適に陥ってしまいがちですが、ドラスティックに要素を分けて成否を判断し、WHO、WHATを特定してから部分最適を行うことが求められます。

2. 適切な判断基準とタイミングを設定する

媒体の推奨値は参考にしつつも、短期間で初期投資は少なく評価したいので、想定のCVRから逆算して一定の流入数で見切りをつける必要があります。

たとえば、想定CVR1%で有意差が出やすいCV数をミニマムで10件と仮定して、クリック数1,000件までは1つの検証に当てるなど、具体的な数値目標を設定することが求められます。

3. 経営層への効果的な説明方法

初期の実績からの改善策を提示するだけでなく、長期的な改善シミュレーションとロードマップを提示することが重要です。

ポジティブシナリオとネガティブシナリオで分けて判断してもらうことで、経営層の理解を得やすくなります。投資継続の判断材料を明確に示すことがポイントです。

4. クイックウィンで継続の材料を作る

初期投資を少なく短期で評価したいという制約があるため、説得が難しい場合はクイックウィンを勝ち取ることも一つの手です。

小さくても一定の成果が出ていれば継続する材料になります。CV量が少ない場合は、カート到達やフォーム入力などの中間指標でも、改善の兆しが見えれば継続の根拠として活用できます。

さいごに

新規事業のテストマーケティングで成果が出ないとき、多くの場合、商品やサービス自体の問題ではなく、アプローチの問題であることが多いです。

初期の仮説は大概外れるという前提で、短絡的な思考を避け、WHO、WHATを中心に深堀し、粘り強く検証を続けることが重要です。適切なKPI設計、時間軸、データ量を考慮した評価基準を設定し、経営層への説明も含めて戦略的に取り組むことが求められます。

とくに「商品が悪いからダメだ」と諦めてしまいがちな方に伝えたいのは、商品や商品価格自体はまったく変えなくても、アプローチを変えることで成功に導くことができるということです。

テストマーケティングは文字通り「テスト」であり、最初から完璧な結果を求めるのではなく、改善のプロセスを大切にすることが成功の鍵になります。

著者情報

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SHINYA KIKUCHI

菊池 真也

Marketing Strategist / Consultant

業界歴16年以上。運用型広告のコンサルティング、インハウス化支援、代理店の組織構築などを行う。 成果を最大化するためのチームビルディングが得意。

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