数ヶ月かけて作り上げた「インハウス化支援パッケージ」を、すぐに取り下げた話。

私たちTHE MOLTSは、デジタルマーケティング会社としてあらゆる支援をおこなっています。

そんな弊社にて以前、運用型広告とコンテンツSEOの「インハウス化を支援する研修パッケージ」を開発したことがありました。

サービスコンセプトは、マーケティングの基礎知識や方法論をただインプットするのではなく、“成果が出るプロセスをインストールして、自走するチームを増やす” こと。「Result Driven.(顧客に成果を提供する)」を掲げる弊社らしい新サービスとして、2ヶ月かけて基礎を設計し、数ヶ月かけてカリキュラムを作り上げました。

完成した研修スライドは、運用型広告の領域だけでも250ページを超えます。4ヶ月にわたって毎週講義をおこない、宿題を出し、フィードバックを繰り返すことで、成果を実感してもらう内容です。

「インハウス化支援パッケージ」サンプル

ありがたいことに、リリース直後からお問い合わせや受注が生まれ、「これは事業として伸びそうだ」という感覚がありました。

しかしだからこそ、パッケージはすぐに取り下げることにしました。

この商品には、「クライアントに成果を提供すること」よりも「パッケージをたくさん売って自社の業績を伸ばすこと」を優先してしまいそうなリスクがあったからです。

その時のエピソードが印象深く、少し紹介させていただきます。

パッケージ “だけ” では成果を生み出しにくい理由

私が好きなサッカーを例に、「パッケージ」を売ることの難しさを解説します。

サッカーの試合で勝つためには、自分たちのスキルやコンディションはもちろんのこと、対戦相手のスキルやコンディション、ピッチの状態、トーナメントの状況を踏まえたうえで、最適なフォーメーションや作戦を考える必要があります。当然ながら「これさえやっておけば確実に試合に勝てる」という練習メニューもありません。

もちろん基礎トレーニングは大切です。ですが、全世界でプレイされているサッカーですら、勝率100%の戦略や戦術、トレーニングはいまだ存在しないのです。

これはビジネスにおいても同じことが言えます。

たとえば運用型広告の場合、世間一般的には「手動入札より自動入札のほうが効果が出る」と言われており、Googleなど媒体社も自動入札を推奨しています。

たしかに、機械学習の進化にともない自動最適化の精度は年々高まっています。ですが、そもそも広告費が少額で機械学習の恩恵を受けにくい案件や、高額BtoB商材など広告だけで認知〜購入が完結しない案件であれば、必ずしも自動入札が最適解ではありません。現に2024年現在においても、自動入札から手動入札に変更して成果が出た事例が複数あります。

いくら「勝ちパターン」と称される施策であっても、その特性を理解することなく妄信的に実行するだけではうまくいきません。自社や競合、市場の状況によって、成果を出すためにやるべきことはつねに変わり続けるのです。

型化とあわせて「属人性」にこだわるワケ

振り返ってみれば私たちTHE MOLTSは、創業時から「属人的な支援」をよしとしてきました。

「広告のパフォーマンスを上げるために外部の知見を取り入れたい」との相談を受けアドバイザリー契約を結んだクライアントであったとしても、リソース不足がボトルネックであれば広告運用を代行するし、インハウスメンバーのスキル平準化が課題であれば教育を実施します。

クライアントからのオーダーではなく、求められているゴール(成果)に対して最適解を出す。だからこそ、クライアントの事業課題に応じて柔軟に役割を変えながら、オーダーメイドで施策を提案することをなにより重んじてきました

参考事例:なぜ、外部パートナーがインハウスの強いマーケティングチームに信頼されたのか?じげん『アルバイトEX』の事業成長の裏側

結局のところ「インハウス化支援パッケージ」も、フタを開けてみれば、私含むカリキュラム作成者ですら順番どおりに進行していなかった。目の前のクライアントのリテラシーや状況にあわせてカスタマイズしながら研修をおこなっていました

パッケージならではのよさもある

もちろん、パッケージ化された商品を軽視するわけではありません。

成果ではなく「プロセス」を提供するのなら、オーダーメイドのコンサルティング支援よりも「パッケージ」のほうが適しています。

また「標準化」「メソッド」は、「パッケージ」とは異なります。標準化やメソッドは、再現性あるパターンやフレームワークを用いて、より効率的に、高確率で目的を達成するためのもの。パッケージは、それ単体で成立する “売り物” です。

THE MOLTSは、パッケージ(売り物)を作ってしまった。これがなによりの反省点でした。

私たちは自社の業績を伸ばせる武器を目の前にして、いままでどおりクライアントの成果に向き合えるほど、器用な会社ではありません

もし仮に、自社の売上利益に目がくらみパッケージ販売を拡大させていたとしたら、売るために、売らなくていいクライアントに売っていたかもしれません。若手社員を講師としてアサインし、社員育成の場として活用するようなこともあったかもしれません。

だからこそ「あくまで “弊社では” パッケージ提供はやらない」としました。

「自分たちは何者なのか」をブラさない

投資した金額、関わったメンバーの数、そして売れそうな気配。これらを踏まえると、正直なところ「パッケージを取り下げる」のは非常に勇気のいる決断でした。

ただ、損得勘定を優先してしまえば、大切にしてきた価値観がブレてしまう。だからやめると決めました。私たちが業績目標を掲げないのも、どんなに予算が潤沢な案件であったとしても自社が最適でないと感じたら他社を紹介するのも、同じ理由です。

「そんな考えだから売上規模も従業員数も拡大しないんだよ」と言われたらそれまでですが、THE MOLTSは今後も「Result Driven.(顧客に成果を提供する)」というカルチャーを紡ぐことを重視したいと考えています。

自分たちの在り方がブレていないか、つねに問い続けること。迷ったら、在り方を軸に意思決定すること。万が一ブレてしまった場合は、潔く軌道修正すること。

今回の経験を通じて、改めてこれらが重要だと感じています。

著者情報

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SHINYA KIKUCHI

菊池 真也

Marketing Strategist / Consultant

業界歴16年以上。運用型広告のコンサルティング、インハウス化支援、代理店の組織構築などを行う。 成果を最大化するためのチームビルディングが得意。

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