業務委託パートナー管理|効率化を実現する5つの方法と成功事例を解説
この記事でわかること
業務委託パートナーを多く抱えている企業では、次のような課題を抱えているのではないかと、常々私は思っています。
「一度採用したものの、プロジェクトが終わってしまいかかわりが途絶えてしまった。」
「Chatwork、Slack、LINE、ランサーズ、Messenger…どのツールで連絡を取っていたか覚えておらず、連絡先が見つからない。」
「スプレッドシートでの管理が形骸化して使われなくなり、何度も作り直した経験がある。」
お恥ずかしながら、2023年までのTHE MOLTSも同じような悩みを抱えながら、その問題を見て見ぬふりをして、その場しのぎで業務委託パートナーを採用し続けていました。
弊社はデジタルマーケティングの支援会社であり、オウンドメディア、広告、マーケティング戦略設計、解析と幅広く支援を展開しています。この記事を執筆している私もBtoBマーケティング全般の戦略立案と設計を得意領域としており、コンテンツSEOを主とはしているものの、メールマーケティング、ウェビナー、LP改善、ホワイトペーパー制作など、オウンドメディア運用に関わる周辺施策についてもマネジメントしています。その分かかわりのある業務委託パートナーの分野も広く、ライター、ディレクター、デザイナー、法律家、CRMマーケターなど様々です。
2023年までの、と述べましたが、それまでのTHE MOLTSでは、業務委託管理はそれぞれのコンサルタントが各人のやり方で行っていました。Chatworkでオファーをかけて、Slackのプロジェクト進行チャンネルに移行してもらうのが、私の基本的なやり方です。メッセージツールを使っていないパートナーに関しては、メールのみでやり取りをしていました。
よくあるスプレッドシートでの一覧管理もしていません。ある程度「〇〇を頼むならXXさん。」が決まっており、脳内SEOだけで完結していました。
しかし、その方法では課題が生じます。当時感じていた課題は2つです。まず1つ目に、新規案件が発生したときに、過去取り組みをしたことがあるパートナーに連絡を取ろうと思っても、連絡のつかないことが多いことです。そのため、TwitterやLancersで新しい人を探し、採用していました。その人もプロジェクトが終われば関わりが途絶えてしまう、の悪循環。良い人材を探すところから開始するので、キックオフまでに1か月半かかることが普通でした。
そして2つ目は、部下を持ち始めたことで実感した課題です。THE MOLTSに入社するからには優秀な人材ではあるものの、既存メンバーと同じクオリティで価値提供するにはまだまだ及びません。高いクオリティを提供できるパートナーもおらず、市場から探してはくるものの、求めるスキルを持った人材を集められないという状況でした。私のパートナーを紹介するにも、毎度3人のチャットを作って展開して…と手間がかかっていました。
しかし、THE MOLTS全社で業務委託管理を始めたことで、状況が一変しました。新規プロジェクト開始時でも、業務委託パートナーと合意形成するのにだいたい3営業日、稼働時間にして1.5時間ほどに。私のパートナーへ自由に依頼できるようになったことで、部下がクライアントに提供できる価値も上がりました。
本記事では私自身の経験をもとに、いったいどのようにして業務委託管理を効率化したのか、についてお話しします。前半では管理体制を構築するまでに課題だったこと、後半では実際に行った方法を紹介します。
業務委託管理をしはじめるまでの社内の状況
THE MOLTSはオウンドメディア、広告、マーケティング戦略設計、解析と幅広く支援を展開しているデジタルマーケティングの支援会社です。領域ごとに事業部が子会社化され、さらに各コンサルタントが独立採算制でプロジェクトを進行しています。そのため、各チームがそれぞれのやり方で業務委託管理をして、それぞれのやり方でプロジェクトアサインを行っていました。
ただし、ありがたいことに相談が増え、受注数増加を進めていく中で、「旧来の方法では組織が拡大していかない。誰がプロジェクトマネージャーになっても、THE MOLTSのクオリティを担保できる状況ではなくなってくる。」と予測できました。
これからお伝えする2023年までの管理体制は、この記事を読んでいただいている今のあなたとリンクする内容が多いのではないでしょうか。
「〇〇ならXXさん」の脳内SEOに頼っている
THE MOLTSが創業当初から大切にしている思想のひとつに、「つながりのない人に情報を発信することに注力せず、知人の脳内SEOで1位を獲得し続けることにコミットする」があります。何か課題が発生したときに、頼れる企業や人をまず頭の中で思い浮かべます。その際に、真っ先に相談したくなるポジションをつくることを「脳内SEOで1位を獲得する」と表現しています。
このカルチャーは会社全体に浸透していることが影響しているのか、この思想を業務委託パートナーにも無意識化で求めていると感じています。その結果、THE MOLTSのほとんどのチームが業務委託管理をせず、属人的な脳内SEOに頼りきっています。
ただしこの方法では、良いスキルを持ったごく一部のパートナーしか選択肢に残っていきません。本当は有能であるにもかかわらず、脳内に残らなかったことで、選択肢から外れてしまったパートナーがたくさんいたと推測されます。集計する術もないため、どれだけ損失があったか見当もつきません。
表計算ツールでパートナーリストを作っている
脳内SEOに頼りきっているチームが大半を占めている一方で、採用チームだけが地道に候補者管理をしていました。THE MOLTSは領域のプロフェッショナルが集まる会社であることから、正社員としてオファーする際には、本人の転職タイミングと、本人の現会社での離職できるタイミングが最もネックとなります。そのため、一度面談をした候補者で良いと思った人はリストに追加する仕組みをとっていました。
私はデジタルマーケティング支援会社の友人も多く、現状を聞いてみるとスプレッドシートかNotionで管理している会社が多いと聞きます。社内で関わる人数が多い企業ほど、表計算ツールで管理することが多いみたいです。
せっかく作った仕組みが崩壊し、使われなくなる
ただし、表計算ツール管理での問題点は、自分たちでパートナーの情報を集め、常に更新し続けなければならないことです。これには多くの労力がかかり、時間も費やします。
ところが、業務委託管理にかかわる社員が増えれば増えるほど、各人がメモを追加したり、色を塗ったりと、勝手に表計算ツールを加工し始めるみたいです。せっかく作ったパートナーリストがカオス化し、使われなくなる状況が発生するようです。
ルール化すればいいとも思えますが、縛りすぎても使いづらく、結局形骸化して更新されなくなった、という声を多く聞きます。
パートナー情報をまとめられていないと…

業務委託管理ができていない状況を踏まえ、今後の組織拡大のためにTHE MOLTS内で環境を整備したところ、これまでに次のような損失が発生したことが判明しました。
- 時間の損失
- 人的資産の損失
時間の損失に関して。例えばホームページのリニューアルにともない制作会社をアサインすると仮定します。これまでのTHE MOLTSの方法では稼働時間にして10時間ほどかかっていました。ところが、業務委託管理ができている状況では、およそ2時間でアサインまでできることが再現されました。つまり8時間、1人日分の損失が発生していたのです。
また、人的資産の損失に関して。創業から業務委託で関わっていただいた人数は推定で800人ほどいました。現在つながりを把握できているのは250人ほどであり、創業8年あまりで550人もの損失が生じていたことが見えてきました。もちろんその中にはスキルが足らず契約解除となった人もいましたが、全員が同じ理由でお別れしたとは到底思えません。
これらを総合的に判断して、時間と人的資産の損失は、これからのTHE MOLTSが目指す未来、ひいては組織拡大の足枷になると判断し、業務委託管理の仕組み化をはじめました。
なぜ表計算ツールでは形骸化してしまうのか
実は私のチームでもスプレッドシートで業務委託管理をしようとして作りかけたことがありましたが、結局使われなくなり、形骸化しました。友人の会社に聞いてみても、何度もスプレッドシートで一覧を作っては使われなくなり、また必要性を感じて作ったものの放置される、を繰り返していると聞きます。
なぜスプレッドシートをはじめとした表計算ツールでのリスト化では、そのような状況が発生してしまうのか。私が考えた理由は次の3つです。
- 手動で情報を入力、更新するのは効率が悪い
- それぞれが見やすい方法で入力しようとして、統一感がなくなる
- 視認性が悪く、いざ人材を探そうと思っても時間がかかる
特にTHE MOLTSでは3つ目の項目がネックとなっていました。リスト作りが目的になり、本来目指すべきはずの運用にまで目が向けられていないのです。
手動で情報を入力、更新するのは効率が悪い
表計算ツールで情報をリスト管理する場合にまずぶつかる壁として、情報の一次入力と最新版への情報更新です。
特にリストを作りはじめた段階では、一度に100人を超える既存パートナーの情報をひとつひとつ調べる必要があります。入力だけで時間がかかり、面倒になって挫折する。運用し始めてからも、新しいパートナーと取引がはじまると、プロフィール、スキル、これまでの経歴・実績、料金目安の必要最低限の情報を収集して入力するために、最低でも1人10分はかかります。
さらに、パートナーのスキルは日々成長し続け、変化します。最初に入力した情報から変更があった場合に、リスト情報を更新しなければなりませんが、業務内容としては優先順位が低く、後回しにされがちです。整理しようと思ったころには、リスト情報がいつの最新版なのかがわからず、情報の更新にも時間がかかります。
それぞれが見やすい方法で入力しようとして、統一感がなくなる
表計算ツールでの管理の問題点をこれまで述べていますが、もちろん良い点もあります。自由度が高く、自分たちの使い勝手のいいリストに作り変えられることです。どこで連絡をとっているのか、これまでアサインした案件、当時の単価、メンバーのコメントなどなど。
ただし、自由度が高いということは、設計思想がないとカオス化するリスクをはらんでいます。ルールが厳格化されていないと、各人が好き勝手に編集して、誰もが使いやすい管理方法では無くなってしまいます。
視認性が悪く、いざ人材を探そうと思っても時間がかかる
そもそも業務委託管理は、業務委託パートナーをリストにして管理することが目的ではないはずです。リストから案件に合ったパートナーを探し出して、プロジェクトアサインしてもらうことが目的です。
しかし表計算ツールでは、求めるスキルをもった人材を探し出す、いわゆる検索力が求められます。人材にたどり着いたとしても、その人の雰囲気を感じ取りづらく、自分との相性が合いそうか、イメージすることも難しいです。その結果、パートナー選定に時間がかかってしまいます。
パートナーリスト構築ツール『GINES』の紹介
これまでに挙げた社内の状況や課題を解決するために、パートナーリスト構築に特化した『GINES』というツールを作りました。採用分野で流行り始めている「タレントプール」の考え方を、業務委託に変換したのが「パートナーリスト構築ツール」です。
パートナーリストの構築
リストのチーム共有
メッセージ送信
まずGINESを利用し始めると、表計算ツールと同じように業務委託パートナーのリストをつくります。ただし、リスト作りの壁となるパートナー情報の入力は、業務委託パートナー本人が行います。企業側はURLを共有する(QRコードを読み込ませるか、メール送信で招待することも可能)だけで、一次情報はパートナーが入力してくれます。もちろん情報の更新を依頼することも可能で、企業側がパートナー情報を入力することはありません。

企業側が入力するべき情報は、パートナーの評価とコメントのみです。1人当たりおよそ30秒で登録ができるので、リスト作りが手間になりません。元社員なのか、どこで出会ったのか、どの領域が専門なのか、自分たちで管理したい情報は自由記述式のタグでグルーピングができます。
業務委託パートナーの登録は、各社員の個人アカウントに紐づいています。社員のアカウントを企業アカウントに紐づけることで、リストをチームで共有することが可能です。これにより、誰が主担当なのかもすぐにわかります。

例えば、自分のパートナーが20人しかいなくても、社員合計で300人のパートナーを登録していたら、全員が300人分のパートナー情報を閲覧することができます。そのリストの中から、案件で必要なスキルをもつ人材を検索して自由に探し出すことが可能です。自由キーワード検索のほか、職種、追加メンバー、単価、タグで絞り込みます。だから必要なスキルを持つ人材にたどり着くまでの時間はなんと2分ほどです。

自分の担当でないパートナーであっても、ツール上でメッセージを送ることもできます。1対1はもちろん、複数人でのメッセージが可能なので、主担当者につないでもらう手間もありません。
さらに、社内のリストであることからマッチングに費用はかかりません。だからこそ、パートナーとの合意形成が取れたら、すぐにChatworkやSlackなど普段のメッセージツールへの移行も可能です。

GINESによってTHE MOLTSで変化したこと
THE MOLTSは2023年9月にGINESベータ版を全社に導入しました。そこで導入や運用の試行錯誤を重ねて、これなら販売しても大丈夫だと実感できてからリリースをしています。リリースまでのストーリーも紆余曲折ありましたが、それは別の機会にお話しさせていただくとして、THE MOLTSで業務委託管理がGINESによってどのように変化したのかを紹介します。
| 課題 | ・常にパートナーが不足している。 |
|---|---|
| 実施施策 | ・GINESを使って、まずは全員のパートナーを登録。 |
| 成果 | ・特に現場で動く若手がパートナー探しに割く時間を短縮できた。 |
これまでは新規の案件が始まるごとに、不足している人材をTwitterやLancersなどから新規で採用しており、クオリティの担保ができないまま案件を開始し、不安定な状況が発生することもありました。さらにリスト管理をしておらず、脳内SEOに頼りきった属人的な運用で、同じチーム内であってもパートナー情報を共有できないという課題がありました。
そこで、パートナーリスト構築ツール『GINES』を全社に導入し、まずは全社員のパートナーに登録をルール化。リスト追加は簡単なものの、やはりツール導入には手間がつきものなので、GINES専任のカスタマーサクセス部門がパートナーへプロフィール入力を促し、約3か月ほどをかけてリストの充実を図りました。
結果として、200件ほど登録が進んだ頃からパートナー探しに活用できると実感しはじめ、2024年3月には349件のパートナーリストを構築しました。これにより、特に現場で動く若手がパートナー探しに割く時間を短縮できたとのフィードバックを受けています。
また想定していなかった効果として、今まで繋がりたいと思っていたスキルを持った人材、例えばホワイトペーパー制作を依頼できるパートナーは1人しかいないものと思っていましたが、実は5人以上もすでに繋がっていたことに気が付きました。
本記事のまとめ
ここまでTHE MOLTSの業務委託管理を紹介したように、パートナーリスト構築ツールGINESによって、業務委託管理がカンタンになり、これからは時間と人的資産の損失を防ぐ仕組みができました。これからTHE MOLTSでは、新しいパートナーと仕事を開始する際にGINESへの登録をルール化し、リストの拡充に努めていきます。
もし弊社と同じように、業務委託管理に課題を感じている方、表計算ツールで管理しきれていないと感じている方は、まずはご相談ベースでご連絡をいただけますと幸いです。THE MOLTSの中でもGINESの運用に精通したプロフェッショナルが、貴社の課題にあわせて業務委託管理のコンサルティングを行います。
著者情報
SAORI NAGATA
Strategy & Project Manager
業界歴10年以上。オウンド・コンテンツマーケティングを中心に100社以上を支援。現在はデジタルマーケティングの立ち上げから実行、組織開発・コミュニケーション設計までの総合支援を行う。
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