半年で検索経由のCVが約3.8倍になったBotBオウンドメディアの裏側

この記事でわかること

  • 検索経由のCVを半年で約3.8倍に伸ばしたtoB向けメディアの事例
  • 実施前の課題と施策
  • メディアの勝ちパターン

著者情報

田島 光太郎

業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。

いまや数多くの企業が取り組むオウンドメディアですが、その運用目的やメディアのあり方はさまざま。目的が異なれば目指すべき成果指標も異なり、達成のための戦略・戦術も異なります。

このnoteでは、そんなオウンドメディアをテーマに、実際の取り組み事例などを交えながらオウンドメディアの戦略を紐解いていきたいと思います。

今回は、約半年で検索経由のCVを約3.8倍に伸ばしたtoB向けメディアの事例を見ていきます。

BtoBマーケティングとは|成長企業が実践する5つのステップと成功事例

担当メディアの概要

今回は、toB向けの広告サービスを扱うとあるオウンドメディアについて。実際に約1年ほど携わった案件で、実績が出せてきただけでなく、社内で自走できる体制も整いはじめたため、お取り組みを終えることとなりました。

社名は公開できないものの、その取り組みの振り返りとともに実際に取り組んだ内容についてご紹介します。(ここではA社とします)

A社が扱う商材は、法人のマーケティング担当者をターゲットとした広告配信サービス。主にtoC向け商品・サービスを提供している中小企業が対象で、なかには実店舗を構える企業もありました。

A社は国内でも有数のアクティブユーザー数を誇るプラットフォームを持っているため、保有ユーザー数とそのデータをマーケティングに活用できるのがサービスの強みです。

案件に関わったのは18年秋ごろ。携わる以前からすでにサイトは運営されており、一定数のリード獲得(CV)が出来ていた状態です。

しかし、

  • トラフィックの約7割が広告経由であるものの、ほとんどCVにつながっていない
  • Search経由のトラフィックがもっともCVRが高いが、トラフィック自体が少ない
  • さらに、サービス名で指名検索しても上位表示されていない(個人ブログの方が上位表示されていることも)

という課題がありました。とくに3点目は企業として情報の質を担保できていない状況にあり、緊急度も高い状況でした。

加えて、

  • ターゲットや狙いが整理されていないままコンテンツ制作が進行している
  • CVに至る経路が把握できておらず、戦略的にコンテンツ制作ができていない
  • 検索結果で上位表示をとるための制作ノウハウがない

といった制作体制における課題感も抱えていました。さらに、数カ月後にはサービス名改称に伴うサイトリニューアルも控えていました。

これらの状況を踏まえ、リード獲得(CV)の最大化に向けた検索トラフィックを最大化させるためのサイト設計、ならびに社内メンバーが戦略的にコンテンツ制作を行うためのノウハウのレクチャーを行うことにし、お取り組みがスタートしました。

実施した3つのこと

A社の商材は、厳密には数種類のサービスに分かれていましたが、各サービスの特性やターゲットユーザーも異なるため1つのサービスに絞り、実施することとなりました。

その上で、おおまかに整理すると以下の内容を実施しました。

実施施策
  1. サイト設計:コンバージョン(問い合わせ)に至る経路をもとに、コンテンツの役割と導線を設計

  2. キーワード設計:獲得すべきキーワードと優先順位を決める≒リソースをどこに投下するか、やること・やらないことを決める

  3. コンテンツ制作のレクチャー:狙ったキーワードで上位表示するためのノウハウレクチャー、体制の構築

まず、今回のメディアの運用目的はリード獲得(見込み客からの問い合わせ、資料請求)です。

事前にGoogle Analyticsなどのデータをもとに分析すると、サービスページ経由のCVRがもっとも高いことがわかっていましたが、指名検索でも上位表示できていないこともありトラフィックそのものが乏しいことも分かっていました。

前述したように質の担保という目的も踏まえ、サービス名の指名検索で上位表示させることを優先的に実施し、加えて、サービス名を認知していないユーザーが情報収集の中で検索するであろうキーワードで上位表示をとり、未認知ユーザーにサービス名を認知させていくことに狙いを絞りました。

それまでの既存顧客の傾向からペルソナを作成し、問い合わせに至るまでのカスタマージャーニーマップを整理していくと、サービス名未認知ユーザーは「A社の企業名 × 課題(集客、販促など)」での掛け合わせで検索し、情報収集を行っていることが見えてきました。(A社のサービスが自社の課題解決につながるだろう、といったぼんやりとした認識はあるものの、具体的なサービス名を知らなかったと想定されます)

そこで、サービス名の認知→情報収集→比較検討→問い合わせといった流れに基づき、ユーザーとのタッチポイントごとにサイト内のコンテンツの役割を決め、問い合わせに至るまでの導線を設計していきました。

いろいろと伏せていますが、こちらが導線のイメージを図示したものです。

それぞれのページの役割が明確になったところで、続いては今後どのようなキーワードで上位表示させるか、言い換えればサイト全体でどのキーワードを獲るべきかを定めました。

主に検索をタッチポイントとしたサイト設計を行う場合、このキーワード設計は重要な作業となります。獲るべきキーワードをあらかじめ設計しておくことで、サイト全体の情報設計をスムーズに行えるだけでなく、目的(今回はリード獲得と、獲得につなげるためのサービス名認知)の達成に対して最短距離を走るために、やること・やらないことを決められる(無駄打ちをしない)というメリットがあります。

そうして今後の方向性を定めれば、あとは実際にコンテンツを制作するフェーズです。当然ですが、お金も時間もかけてコンテンツを制作していく以上、成果に貢献しないと作る意味がありません。そのため、1キーワード=1記事(1URL)をベースに、ユーザーに評価されるためのコンテンツの設計を行い、制作を進めていきます。

具体的には検索ユーザーの情報ニーズを徹底的にリサーチし、ニーズに応えるためにメディアとしてどのような情報を提供すべきか、内容や順序も含めコンテンツの骨格を設計していきます。商材知識や業界の動向などは当然自社が一番分かっていますから、こちらからはその設計の考え方をお伝えし、あとはA社がもつ知見やノウハウをそこに乗せてもらいました。そうすることで、他社には真似できない、質の高いオリジナルコンテンツが出来上がっていきます。

▼コンテンツの組み立て方についてはこちらも参照ください

コンテンツSEO完全ガイド|効果とメリット・成果創出の6ステップ

とはいえ一発でうまくいくケースも稀なので、繰り返しブラッシュアップを行い、作っては改修を重ねて納得のコンテンツを作っていきます。全体の方向性を定めた以上、そこに集中してひたすら繰り返していきました。

今回実施した内容をもう一度整理すると、成果に対し限られたリソースを効果的に投下していくために、

  • 各コンテンツの役割と導線を整理するためのサイト設計
  • やること、やらないこと(≒リソースをどこにかけるか)を明確にするためのキーワード設計
  • 獲ると決めたキーワードで上位表示の確度を最大限高めるためのコンテンツ制作&体制構築の支援

といった取り組みを、トータルで約半年間かけて実施していきました。

検索経由のCVは約3.8倍、トラフィックは約23倍に

※Googleアナリティクスより

数字は伏せてしまっていますが、上記はOrganic Searchに絞ったセッション数の推移です。

18年12月の数値→19年6月の数値を見ていくと、

  • コンバージョン数は約3.8倍に増
  • セッション数は約23倍に増
  • サービス名の指名検索で検索結果1位を獲得
  • 今回作った新規コンテンツでも上位表示できるようになった

という結果となりました。

トラフィックに対してCV数の伸びが弱いのですが、ユーザー数の拡大や既存ユーザー向けのページが用意されたことで、サービス利用者の検索流入が増えたこと、業界としての盛り上がりもあり(具体的に検討はしていないものの)興味関心を持って検索したユーザーが増えたこと、などが影響したのではないかと見ています。

いずれにせよ、サービス名の検索でサービスページが1位をキープしつづけ、サービス名未認知ユーザーが情報収集フェーズで検索するであろうキーワードでも上位表示を獲得できるようになってきました。

さらに、もともと流入の大半を占めていた広告経由のトラフィックも割合としてはかなり減らすことができました。具体的な数値は明かせませんが、12月時点では8割近く占めていたDisplay経由のトラフィックも、6月時点では1%未満。広告予算としてもインパクトのある改善ができたのではないでしょうか。

また、制作体制でみても自走できるようになってきており、決めたキーワードに対して上位表示をとるためのコンテンツ設計ができるようになりました。本記事ではあまり触れませんでしたが、すでにあったコンテンツも含めて、順位改善のためのメンテナンスも実施し、CTR最大化に向けた取り組みも実施しています。

今後は得たノウハウを横展開し、他サービスのリード獲得に向けて自走していくとのことです。

オウンドメディア成功のカギはKPI設計にあり

オウンドメディアの成功には、適切なKPI設計が不可欠です。成果が出るオウンドメディアを構築するためには、単にPVや滞在時間といった表面的な指標だけでなく、ユーザーのカスタマージャーニーに基づいた段階的なKPIを設定することが重要です。

「集客段階」「ファン化段階」「成果獲得段階」など、各フェーズに応じた異なる指標を設けることで、オウンドメディアの現状が明確になり、改善点も見えてきます。また、あらゆるプロジェクトには「唯一無二のゴール(KGI)」があり、そこから逆算したKPIツリーを構築することで、チーム一丸となって最短距離で成果を出せるようになります。

SEOコンテンツもただ作り続けるのではなく、データに基づいた改善を繰り返すことで、持続的な成長を実現できます。

オウンドメディアKPI設計|成功事例と4つの重要ポイント解説

今回の取り組みを通しての気付き

リード獲得や購入、申込みなどといったターゲットユーザーの購買行動の最大化を目的とした場合、「いかに比較検討フェーズでタッチポイントを形成していくか」という戦い方は1つの勝ちパターンだと考えています。たとえば検索を獲っていくのであれば、いかに狙ったキーワードで上位表示を獲得し、その状態をキープしていくかが重要になります。

ただ、今回得た発見としては、その「サービス導入のための情報収集=検索」という行動を起こすための、さらに1つ手前のアクションもタッチポイントを形成できていた、ということです。

サービス名で検索する人はなにかしらのきっかけでサービス名を見聞きしていますし、そうでなくとも自社の課題を認識していないと「 – 集客」や「 – 販促」などという情報収集も行っていなかったはずです。

今回のケースでは、ターゲットとなる中小企業のマーケティング担当者に対して定期的にセミナーを開催していたこと、サービス名改称やリニューアルなどのタイミングでプレスリリースを打っていたこと、さまざまな媒体で広告を打っていたことなど、ターゲットユーザーが自社課題を認識する機会やA社のサービス名を認知するきっかけをA社発信で生みだすことができていました。

ただ、これまでは、その後検索しても然るべき情報がヒットしない状態だったため、受け皿となるコンテンツをしっかりと用意できたことが今回の成果につながったのだと思います。

整理すると、

①コンバージョンにつながるキーワードを抑える(上位表示を獲得する)こと
②その検索行動を引き起こす1つ手前のアクションを生み出すこと

という2点がポイントでした。ユーザー行動に基づいて、②→①へどのような態度変容を起こし、どのような形でタッチポイントを形成するか、が重要かと思います。

今回は既存施策がうまく噛み合ってグロースしましたが、これからオウンドメディアを立ち上げる場合や、すでに運用しているものの①のみしか実施していない場合には、②をどうつくっていくかの観点も重要ではないかと感じます。

それこそ、toC向けのメディアであればTwitterなどSNS上での戦い方も十分考えられるでしょう。(別案件でいまチャレンジしているので、またの機会にnote化できればと思います)

さいごに

ということで、今回はtoB向けメディアにおいて、Search経由のCV/トラフィックを改善させたサイト設計・コンテンツ設計の実例をご紹介しました。

みなさんのオウンドメディア運用でも応用できること、活用できることがあれば嬉しいですし、また、「こうしたほうが良いのではないか?」「ここはどうなってるの?」といったご意見もぜひTwitterなどを通していただけると幸いです。

よくある質問とその回答

Q
オウンドメディアで成果を上げたいのですが、どのようにすれば良いですか?
A

オウンドメディアで成果を上げるためには、目的・KPIの明確化、戦略設計、運用、改善を繰り返していく必要があり、短くても成果が出始めるまでに半年〜1年程度はかかってきます。

オウンドメディアで目指すべき成果を見据えながら、改善を繰り返し、長期に渡って継続できる運用体制が必要です。

オウンドメディアを新たに立ち上げたい、今あるメディアを成長させたいという担当者様に、MOLTSでは成果にこだわったオウンドメディア支援を提案しております。

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著者情報

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KOTARO TAJIMA

田島 光太郎

Media Planner / Consultant

業界歴8年以上。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。

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