非エンジニアこそCursorを使った方が良い理由
約1年前にCursorを初めて知った時、正直「これは自分には関係ない」と思った。なぜなら当時目にした情報は「エンジニアがコーディングをAIにやらせるためのツール」という紹介ばかりだったからだ。プログラマではない私には、興味はあるが実務で使うことはあまりなさそうだと感じていた。
2025年春頃から、非エンジニアのCursor活用記事を目にするようになった。半信半疑ながらも「そろそろ試してみようか」と思ったのが、私とCursorとの本格的な出会いだった。今振り返ると、あの時の先入観がいかに間違っていたかがよく分かる。
確かにCursorはコーディングツールだ。しかし、それ以上に「思考を整理し、アイデアを形にする万能ドキュメント作成ツール」だったのだ。
想像を超えていた「おまけ」の価値
最初にCursorを使った理由は、Notion DBからGoogle Spreadsheetにデータを転記するシステムを作る必要があったからだった。ゼロから調べるには時間がかかりそうだったので、とりあえずCursorに相談しながらプログラムを書くことにした。
Cursorはプログラムコード自体はもちろん書いてくれたのだが、それ以上に印象的だったのは付随するドキュメントの充実ぶりだった。使用方法、設定手順、トラブルシューティングまで、丁寧なマニュアルが自動的に生成されていた。
その瞬間、大きな気づきが生まれた。
「これだけしっかりとしたドキュメントが作れるなら、日常的に作成する業務文書も全てCursorに任せられるのではないか」
この発想の転換が、私のCursor活用の出発点となった。
あらゆる業務文書への展開
その後、私は躊躇なくさまざまな業務文書でCursorを試し始めた。会社の評価制度の策定、運用手順書の作成など、プログラミングとは全く関係のない分野でも積極的に使ってみた。
「これまで時間をかけて作っていた文書が、どれだけ楽になるか」という期待が大きかった。
振り返ると、私のドキュメント作成は3つの段階を経て進化した。
第1段階:生成AI登場前
自分の経験則でドキュメントをまとめることが中心のため、どうしても考慮漏れが発生していた。
第2段階:ChatGPT等の生成AI登場後
考慮漏れは大幅に減ったものの、生成されたドキュメントをコピー&ペーストで組み立てる作業が頻繁に発生していた。
第3段階:Cursor導入後
すべてが変わった。Cursorはファイル全体を一気に書き出してくれるため、コピペ作業が大幅に自動化された。
修正作業についても、最初からCursorで8割程度のたたき台を作成し、残りの2割を人間が微修正するというアプローチが最も効率的だと分かった。
現在、私はありとあらゆるドキュメント作成にCursorを活用している。評価制度、マニュアル作成、商談の提案方向性の検討、さらには会社のイベント企画まで。一見バラバラに見えるこれらの業務に共通するのは、すべて「文書を作る」という行為だということだ。
効率化だけではない、本当のメリット
同僚に「Cursorを使ってみたら?」と薦める時、私が最も強調するのは単純な作業効率化ではない。
確かに「面倒な文書作成を一気にやってくれる」というメリットはある。しかし、本当の魅力はAIによる多面的思考にあるのではないかと思っている。
Cursorを使うことで、ドキュメント作成の対象について様々な角度から検討してもらえる。これにより考慮漏れが劇的に少なくなり、ドキュメントの質が向上する。
さらに重要なのは、自分では気づいていなかった観点や思考の幅を広げてもらえる点だ。体系的な思考がAIならではの強みとして詰め込まれているため、スピードだけでなくクオリティも飛躍的に高まった。
特に、非エンジニアが扱う業務文書の中には、構造的かつ論理的な文章が数多く存在する。
- 契約書
- 分析レポート
- 人事制度や給与制度などのルールブック
- 企画書・提案書
- 仕様書・要件定義書
- 研修資料
これらはまさにAIが得意とする領域であり、人間が手作業で作成するよりも、構造の一貫性や論理的整合性の面で圧倒的に優れた文書を作成してくれる。
数千行にわたる大規模なドキュメントでは、各ページ間での表記揺れや定義の一貫性を保つことは至難の業だが、Cursorを使えば比較的簡単に解決できる。また、更新履歴の管理が必要なドキュメントでは、指示次第でCursorが変更履歴を自動で取ってくれるため、更新管理も非常に楽になった。
「エンジニアじゃないから使えない」と思っている人には、ぜひ一度試してみてほしい。
コーディングの知識は一切必要ない。必要なのは「良い文書を作りたい」という気持ちだけだ。
もしCursorを始めてみたいなら
実際にCursorを始めてみたい人へ、私の経験から得た実践的なアドバイスを3つ共有したい。
1. 迷わずCursor Pro(月額20ドル)に課金する
無料版でも基本的な機能は使えるが、Pro版では高度なAIモデルがアンロックされ、文書の品質が格段に向上する。月額20ドルは決して安くないが、これまで文書作成にかけていた時間を考えれば、十分に元は取れると思う。
2. AIモデルはclaude-4-sonnetを積極的に活用する
このモデルは緻密な文章作成やファイル作成に特に秀でており、論理的で一貫性のある長文ドキュメントの生成が得意だ。私が会社の評価制度や運用手順書を作成する際も、このモデルの構造的思考力に何度も助けられた。
3. YouTubeでCursorの使い方動画を見る
基本的な操作方法はもちろん、効果的な指示の書き方や、非エンジニア向けの活用事例など、実践的なコツを学ぶことができる。特に初心者にとっては、実際の画面操作を見ながら学べるのは非常に価値があると感じている。
実際、この記事もCursorで作成している。私が語った体験談を整理し、読みやすい文章に構成してくれたのもCursorだ。
まさに「非エンジニアのドキュメント作成革命」を体現する一例と言えるのではないだろうか。
著者情報
MASAHIRO NISHI
Marketing Strategist / Data Analyst
業界歴16年以上。データ戦略の立案、アクセス解析、 CVR改善、データ活用基盤の構築など、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援。電通デジタルを経て2019年にTHE MOLTS参画。
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