MAのホットリードは本当に「ホット」なのか?

企業のマーケティング活動において、獲得したリードの自社サービス/商品に対する興味度合いを正しく把握し、適切なタイミングでアプローチすることが求められます。例えば、マーケティング業務において顧客情報の集計・分析といった膨大な業務を自動化し、効率化を図る手法の一つに「MA(マーケティング・オートメーション)」があります。

多くの企業が導入を進めるMAですが、スコアリング機能を活用して特定したホットリードにアプローチしても「思っていたように営業成果を得られない」「ホットリードのはずなのにアポイントが取れない」といった悩みが多く聞かれます。

これには、MAを活用したスコアリングの定義や、ホットリードそのものに対する考え方に大きな誤りがあることが要因だと考えられます。

本記事では、MA活用で本当の意味でのホットリードを見つけ出すポイントについて解説します。​

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MAは「ホットリードを自動で抽出してくれる」魔法の道具ではない

MAを導入している企業の多くは、MAを「ホットリードを自動で抽出してくれる」「ターゲットに合ったメールを最適なタイミングで自動で送ってくれる」と、そもそもの意味を取り違えてしまっている可能性があります。

MAはあくまでもマーケティング業務の自動化・効率化のためのツールであり、ホットリードの定義やシナリオを設計するのは、MAを扱う担当者の役割です。そのため、

  • ホットリードを定義するスコアリングが間違っている
  • カスタマージャーニーマップの仮説が弱い
  • メールや記事などのコンテンツ設計をしていない
  • マーケティングシナリオ設計が正しくない、あるいは複雑すぎる

などのエラーがあれば、MAに対する「期待」と「結果」に大きな乖離が生じるのは不思議ではありません。

以下に、うまく成果が出ていない場合に見返したい代表的なポイントを、具体的に見ていきましょう。

スコアリングの数値だけでリードを評価してしまう落とし穴

MAを活用したホットリードの見つけ方として、最も一般的なのが「スコアリング」です。スコアリングとは、リードの属性や行動(アクティビティ)によって、点数を「加算」もしくは「減点」することによって、顧客のステータスを見える化し、一定の点数を超えるリードを「ホットリード」と定義する方法です。

リード獲得
一般的なスコアリング方法

しかし、これには大きな落とし穴があります。

例えば、「スコア50以上」に達したリードをホットリードと定義する場合を考えてみましょう。このとき、メールの開封で「スコア1」を付与するように設定していたとすると、メールを50回開封したリードAは「スコア50」となりホットリードとみなされます。しかし、このリードAは果たして、このスコアリングの数値だけで本当に購入確度が高く、そして営業がアプローチすべき「ホットリード」だと断言できるでしょうか。

仮に、直近でメール開封(スコア1)を2回、サービス資料の請求(スコア30)を1回行った「スコア32」のリードBがいた場合、どちらに優先的にアプローチすべきかは明白かと思われます。メールを読んだだけでなく、サービス資料を実際に手元に取り寄せたリードは、よりサービスの導入に近いフェーズにいるユーザーであり、こちらからの架電やメールといったアプローチに何らかのアクションを示す可能性が高いと判断できるためです。

このように、「単純にスコアが高いこと」と「購入確度が高いリード」であるかは全く別の問題であることがわかります。適切なスコアリングフローを設定できていないければ、その値だけを見ていると、今本当にアプローチすべきリードを見逃してしまうことにも繋がりかねません。

「スコア50」でホットリードとするのであれば、「その根拠はどこにあるのか」「本当に優先的にアプローチすべきリードなのか」といった点を明確にしなければ、アポイントが取りづらいリードを営業にトスアップしてしまうことになり、MA本来の役割である「効率化」を損なうことになってしまうのです。

「ホットリード」は何のために定義する?

そこで前章で紹介したようなスコアリングのエラーを起こさないために、今一度、ホットリードについて正しく理解しておきましょう。

そもそも、ホットリードとは何のために定義すべきものなのでしょうか。多くの企業の場合、営業に割くことができる人員は無限ではありません。獲得した多くのリードに対して、その全てに直接的な営業活動をかけるには膨大なリソースを必要としますし、顧客にとっても商材に対する興味や関心が薄い段階、また購入確度が低い段階で、架電や訪問といった営業をかけられても迷惑になってしまう可能性が大いにあります。

そこで出てくるのが、「ホットリード」という考え方です。接点を持ったリードの中から、限られた営業リソースを集中的・効率的に投下し最短距離で売上拡大に繋がる顧客リストを抽出するためです。なおホットリードからあぶれたリードは、そこで企業との関係性が終わるわけではありません。今すぐ顧客ではなくても、各リードのステータスを正しく把握することで、ナーチャリングのプロセスを通して最終的にホットリードに醸成させるためのフローに組み込むことができます。

そのため、MAを活用してホットリードを定義する際には、「この定義で本当に商談機会が最大化するか」「受注確度を高めて受注最大化につながるか」といった点を最も重要視しなければなりません。もし上記の通りのシナリオが描けていないとすれば、それは故意に架電担当者や営業担当者のリソースを無駄に使うことになります。

このようなリソースの無駄遣いを防ぐためにも、マーケティング担当者は「どういった状態のリードであれば、アポイントが獲得しやすいのか」を解像度高く把握することが求められます。

ホットリードは、架電結果や顧客行動を基に調整し続ける

では、適切なホットリードの定義はどのようにして決めたら良いのでしょうか。例として、架電結果だけでなくその前後の行動を考慮してホットリードの定義をFIXさせていく方法を見ていきましょう。

Web上の行動を考慮する

例えば、実際にアポイント獲得・商談・受注まで至っているリードのWeb上の行動をMAを活用して確認し、「架電後に●●のページを訪問している = ホットリード」と定義するのもありです。「未架電だがLPから申し込みページのシミュレーションを行っている」といった具体行動でも定義できます。

事例)Hubspotでナーチャリングを行っており、スコアでのホットリード観測ではなく、リードのアクティビティのみで観測。観測するトリガーアクティビティは5種類(料金ページ閲覧、会社概要ダウンロード etc.)ほどあり、そのうちのどれかにヒットしたら「ホットリード」としてインサイドセールスにトスアップされる。

▼調整のポイント

架電内容を基にアクティビティの観測条件を修正し、約5種類のトリガーのうち比較的温度感が高いと感じられたものを特定。なぜ温度感が高かったのかを仮説立てし、その観測条件の派生シナリオを新たに2〜3種類作成するといったPDCAをまわし、インバウンドでのアポ獲得が5%から20%まで引き上がった。

メールへの反応を考慮する

上記のようにホットリードを定義した結果、リードに何かしらのアクティビティを起こしてもらう手段の一つとして、架電の他にも「メール」があります。

アポイントが獲得しやすい状態が遠いリードに対しては「コンテンツA」を送り、逆にアポイントが獲得しやすい状態のリードには「コンテンツB」を送るなど、リードのセグメントごとに最適なコミュニケーションをとることによって、せっかくコストをかけて獲得してリードがオプトアウトしないように工夫することが求められます。

注意したいのは、定義をしてMAで設定をすれば完了という訳でなく、その後の架電に対するリアクション、そしてアポイント獲得率や受注率などをみて、その定義を細かくチューニングする必要があるということです。仮に、現状で広告流入からのアポイント獲得率が30%なのであれば、チューニングの結果、少なくともそれ以上のアポイント獲得率のリードを供給できなければ、MAをわざわざ活用する意味合いは薄れてしまうでしょう。

ホットリードを正しく理解し、本当の意味でのMA活用を

本記事では、「MAのホットリードは本当にホットなのか?」というテーマで、スコアリング機能を活用したホットリード抽出方法に関する考え方や、そもそもホットリードとは何なのかについて解説しました。

記事内でも言及しましたが、MAは導入すれば、売上拡大や業務の効率化に繋がる「魔法の道具」では決してありません。カスタマージャーニーマップやシナリオ設計など、顧客理解の前提があった上で、正しく設計することで初めて機能するものです。

現状でホットリードを特定しても、なかなか成果が出ないと悩んでいるのであれば、なぜMA上でホットリードと定義されるのか、またそのホットリードは「本当に商談機会が最大化するのか、または受注件数の最大化につながるのか」を改めて考え直してみましょう。

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