BtoBマーケとオウンドのプロが同一案件に参画したら「組織作り」の話ばかりになった
BtoBマーケティングのひとつの施策として、オウンドメディアを運用している企業も多いでしょう。しかしオウンドメディアでいかにリードを生み出したとしても、そこからの案件化、商談化を効率的に行えていなければ、成果最大化は見込めません。
MOLTSの中でオウンドメディアを幅広く活用し、かつ、コンテンツマーケティングにも注力するメディアコンサルタントを務める寺倉そめひこ(以下 そめひこ)。成果にこだわるからこそ、オウンドメディアで生み出したリードからの受注率を高めるために、ときには外部パートナーをアサインしプロジェクトを進めています。
そして、BtoBマーケティング領域でそめひこがお世話になっているのが、Web会議・TV会議など様々なビジュアルコミュニケーションサービスを提供している株式会社ブイキューブでマーケティング本部 責任者を2020年末まで務め、同社で新しく立ち上がったBtoBマーケティング総合支援事業『GAX』の責任者である佐藤岳(さとうがく)氏です。
今回は佐藤氏を招き、そめひこと取り組んできたプロジェクトの背景や進め方について、赤裸々に伺いました。
お互いの専門領域を信頼しているからこそ、成果最大化のためのアクションに専念できる
―― MOLTSと岳さんは、どういったことをキッカケにビジネスパートナーになられたのか教えて下さい。
佐藤岳:そめひこさんと知り合ったのは2019年で、ブイキューブとしてMOLTSさんにお仕事を依頼したことがキッカケでした。もともと私がMOLTSの解析のスペシャリストである西さんと知り合いで、西さんにブイキューブのGoogle Analytics(以下、GAと省略)まわりで相談させていただいてたんですね。
その後、ブイキューブがテレビCMを放映することが決まりまして、それに伴いデジタルマーケティング全般も整えていこうということで、オウンドメディアのリニューアルもMOLTSさんにご相談したいと思い、そめひこさんとお打ち合わせをさせていただきました。
そめひこ:当時、岳さんからブイキューブのマーケティング組織や各種施策、などを最初にご説明いただいたときは、正直「これはすげぇ」と驚いたのを覚えています。BtoBマーケティングをしっかりとした戦略設計のもと実行し、データを振り返り、ちゃんと成果を出している会社って実際そんなに多くないと思っていて。
そんな中、岳さんは20年以上もBtoBマーケティングに携わられていて、2015年にブイキューブに入社されてからも毎年成果を伸ばし続けていると伺って、マーケティングを熟知されている岳さんとであれば仕事がすごいやりやすいだろうなと思ったんですよ。
というのも、MOLTSではクライアントによって戦略立案から施策実行までを一気通貫して見ているケースもあるのですが、岳さんこそBtoBマーケティングのプロフェッショナルですから、戦略設計から施策までの全体を俯瞰する役割はまるっとお任せできるな、と。そうすると僕らはオウンドメディア領域で成果を出すことだけにフォーカスすればいいので、お互いの役割分担が明確だからこそ、成果に向かって走りやすいと感じました。
佐藤岳:そうでしたね。最初はHubSpotのデータのみに頼らず、GAまわりを整えることから始まったプロジェクトでしたが、オウンドメディアのリニューアルと並行して既存コンテンツのリライトや新規コンテンツの作成など、コンテンツマーケティングのプロジェクトも進行。「1年間でリード数を3倍にする」という目標も、実際は1年経たずして達成することができました。
最終的には案件化率は30%増、受注率も前年同月比で3倍増と事業成長に繋がるプロジェクトとなり、MOLTSさんとご一緒できて本当によかったと思っています。
参考:半年間で「リード数10倍以上、受注率3倍増」と、爆速でBtoBベンダーのマーケ施策が成長したワケ
―― その後、パートナーとしては、どういったプロジェクトを一緒に進めていったのでしょうか?
佐藤岳:私はブイキューブでマーケティング部門の責任者をしつつ、お客様からのご要望に応じてBtoBマーケティングの支援も行なっていたのですが、後者の方で、転職・就職の総合支援事業を展開する企業のインバウンドでのリード獲得率向上、および業務プロセス改善、そして内製化支援のプロジェクトがあり、そめひこさんにも参画していただきました。
その会社はもともとアウトバウンド営業が中心だったのですが、テレアポ中心のリード獲得に伸び悩んでおり、自分たちでオウンドメディアを立ち上げHubSpotを導入されたりと、インバウンドへの転換を試みていたんですね。
しかし、社内だけではBtoBマーケティングのノウハウ不足、また案件化・商談化に繋げていくためのコンテンツ企画のナレッジ不足といった課題を抱えていたため、GAXにご相談をいただきました。
そしてお話を聞くにつれ、マーケティング組織の立て直しやHubSpotの再設定の他にも、運用しているオウンドメディアのオーガニックでのトラフィックを増やすことが必要と判断し、オウンドメディア領域はそめひこさんしかいないだろうということで、お声がけさせていただきました。
そめひこ:岳さんにお声がけいただいた時点で、すでに今後どうしていくかといった戦略がもう組まれてて。僕としては、「リードにつながるトラフィック、またリード自体をどう増やしていくか」だけに専念すればいい状態だったため、本当に進めやすかったです。
ブイキューブのプロジェクトのときと同様、岳さんが全体像を整理し、戦略設計を担当してくれたわけですが、その戦略設計の精度が非常に高いんです。だからこそ机上の空論ではなく地に足つけるように、安心してプロジェクトを進めることができたなと感じています。
成果にこだわるからこそ、社内人事にまで踏み込んでいく。月のリード案件化率は最大100%へ
―― そのプロジェクトは、具体的にどのように進んでいったのでしょうか?
そめひこ:どのプロジェクトでも言えることではありますが、最終的に目指すべきは、企業にとっての成果最大化です。そのためのインバウンド施策であり、僕としてもただトラフィックを増やすことが重要なのではなく、いかにオウンドメディアから案件化しやすいリードを創出できるかがミッションでした。
6ヶ月間のプロジェクトではありましたが、最終的にリード数は10倍へと増えていて、はじめは組織として動けていない状態から、最後は自走する組織へと近づいていきましたね。
佐藤岳:当初はセールス部門とマーケティング部門で、それぞれペルソナもカスタマージャーニーも違う認識を持っていた状態でした。そのため、営業部門にとっては「マーケティング部門が送ってくるリードは意味がない」、逆にマーケティング部門は「営業部門がちゃんと動いてくれない」といった考えを持っていて、組織全体で目指すべき方向性がブレていたんです。
そこでマーケティング部門だけで戦略設計をするのではなく、実際のお客様を知っている営業部門も巻き込み、どういった人がペルソナになり得るのか、どういったカスタマージャーニーを引くべきかといったベースの議論からスタートしていきました。
またHubSpotの設定も見直し、アプローチしていた見込み客からコンタクトがあった場合には通知が来るようにするなど、営業の業務プロセスの改善にも着手しました。
当時は同じ見込み客に複数の営業担当がアプローチしてしまうといったエラーも起きていたそうなのですが、確度の高い見込み客に対して、ひとりの担当者が継続的にフォローできるような業務フローに整備したりと、獲得したリードからの案件化率、商談化率の改善にも取り組んでいきました。
そめひこ:当時、岳さんとプロジェクトを一緒に進めていておもしろいなと思ったのが、具体的な施策や進め方はお互い理解できているので、話し合う必要はなかったんです。しかし、クライアントの組織をどう変えていくかというのをめちゃくちゃ話していたじゃないですか。
これは支援するの多くのプロジェクトに言えることではありますが、クライアントの中の人たちの意識や行動が変わらなければ自走する組織にならず、事業成長に結びついていかないことは多々あります。
なので、具体的に「この担当者のモチベーションをどうするか」だったり、「良いチームへと変えていくためにはこういった組織体制を組ませてみてはどうか」など、組織や人の側面について考えて組み立てていくことがプロジェクトをより良くしていきます。岳さんとは、お互いの領域については軽く共有し、常に組織や人について議論したのが印象に残っています。
佐藤岳:そうですね、成果を出すためにやるべきことは明確でした。しかし、それを現場の人たちがやりきることが難しい。そのため、実際にご判断いただくのはクライアント側ではありますが、社内人事についてもアドバイスをどんどんしていきましたね。
実際、自分も含め誰かの「意識を変える」というのは非常に難しいわけです。私たち外部の人間がクライアント事業に介在するということは、考え方によっては、もともと彼らが描いていた構想や施策が機能していなかったことが原因とも捉えられます。もし彼らが既に成功だと判断していれば、そもそも外部に依頼することはないでしょうから。ゆえに、トップの方々は自分たちがやってきたやり方を急に変えることに抵抗感を覚えてしまいがちではあります。
しかし、私たちがそこで謙遜してしまっては成果を生み出す組織へと変わっていきませんから、成果にこだわる以上、社内人事にまで踏み込んでアドバイスをしていかないといけず、役員陣にもご提案をしたりしました。
そめひこ:また、岳さんはあらためてどういった人がお客様で、どういった課題を抱えていて、といったことをフレームワークに落とし込んでクライアントに説明していき、徐々にみなさんの意識や考え方が変わっていったなと感じています。
佐藤岳:結果としてもインバウンド施策で案件が発生するようになり、月によってはインバウンドからのリードが100%案件化しているということで、質の高いリード獲得ができるようになりました。
クライアントが喜んでも、成果が生まれていなければ意味がない
―― そうしたプロジェクトを一緒に進めていく間柄として、おふたりはお互いのことをどう思っていますか?
佐藤岳:そめひこさんは、やはりオウンドメディアやコンテンツマーケティング領域のプロだなと実感しました。そして、クライアントの現場の方々のモチベーションを上げて、自走させることが非常に上手だなと。
それぞれの人に合わせて、彼ら彼女らのやる気を引き出すようなコミュニケーションを取り、成果にこだわっているからこそ、ときには「外部の人間なのにそこまで踏み込むか」といったレベルで現場の人たちを引っ張っていく。その結果として、成果最大化に繋がるための動きができるように設計されているのはさすがだなと感じました。
そめひこ:僕にとっては、岳さんはBtoBマーケティングの先生。20年以上、 “BtoBマーケティング” なんて言葉が流行るずっと前から業界で活躍されてきているわけですから、積んでこられた経験の量が違いますし、手法に惑わされることなくしっかりと成果を出すための動きを瞬時にがとれるのが本当にすごい。
岳さんがプロジェクトに入ってくださることで、こんなにもプロジェクトが確実性を増して進行するものかと驚きました。
MOLTSは「Result Driven」、すなわち成果にこだわる会社です。クライアントが喜んでくれても、成果が生まれていなければ意味がないと思うんですね。
オウンドメディア領域でもコンテンツ提供に価値があるのではなく、成果を出すことに価値があると考えているため、BtoBマーケティング領域のプロジェクトに岳さんがパートナーとして参画してくださると心強いですし、成果を追い求めるプロセスが明確に描けるようになるなと感じています。
―― 今後、どういったプロジェクトを一緒にやっていきたいですか?
そめひこ:岳さんとであれば、なにやってもおもしろいだろうなと思うのですが、しいて挙げるなら、規模の大きい事業のリニューアルプロジェクトはやってみたいなと。伸び悩んでいる大規模な事業って、少しやり方を変えただけでも10,000リードが30,000リードに増えたりする可能性があるため、一つひとつの改善が大きなインパクトをもたらすじゃないですか。
BtoBマーケティングの全体の設計・組織を岳さんが作って、僕は必要なリードをとにかく集め続ける、変化させ続けることだけに注力できたら嬉しいですね。
佐藤岳:2021年1月より、BtoBマーケティングの総合支援事業『GAX』を立ち上げ、ゼロからの立ち上げや運用改善など様々なご依頼をいただくのですが、MAツールを導入したが社内にノウハウやリソースがなくて活用できていないといったご相談も多くいただきます。
そうしたクライアントに対して、MAを実行するためのアウトソースも提供しているのですが、必ずコンテンツ制作やメディア運用の観点も必要になってくるため、そうしたプロジェクトはぜひそめひこさんと今後もご一緒させていただければなと思っています。
そめひこ:GAXとしては、今後どういったことにチャレンジしていきたいとかってありますか?
佐藤岳:BtoBマーケティングの担当者って、どんなに頑張っても社内理解を得られず、お一人で悩まれている方も多いと感じています。しかしBtoBマーケティングを成功させるためには、マーケティング部門や担当者だけで動いてもだめで、営業部門などを巻き込むことが重要。
そこでGAXとしてはBtoBマーケティングを自走して実践できるような組織づくりをご支援させていただき、部分最適ではなく、組織として成果を最大化するためのBtoBマーケティング支援をやっていきたいと考えています。
そめひこ:いいですね、MOLTSは「美味い、酒を飲む」という理念を掲げているのですが、岳さんと一緒にクライアントの課題を解決して成果を出し、そして一緒に祝杯をあげられるような仕事をしていきたいです。本日はありがとうございました!
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