BigQueryの活用事例8選!できることや分析での使い方を紹介

マーケティングで膨大なデータを扱う企業では、Googleが提供するデータウェアハウス(以下、DWH)「BigQuery」の導入を検討している担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、BigQueryの活用事例をピックアップして解説します。スタンダードな活用方法だけでなく、実際に弊社が支援させていただいた企業の具体例な活用事例もご紹介します。

記事の後半では、BigQueryについてのよくある質問もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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BigQueryとは

BigQuery(ビッグクエリ)は、Googleが提供しているデータウェアハウスサービス(以下、DWH)のことです。DWHには、企業の基幹システムやアプリ、クラウドサービスなどから大量のデータが格納されます。

BigQueryは、DWHのなかでもビッグデータを高速で解析できる点が特徴です。集計速度が非常に早く、Excelなどでは処理が難しいような大量のデータを集計する際に便利です。

Webのアクセスログによく用いられるGA4のローデータも、BigQueryにエクスポートすることが可能です。BigQueryの料金がかかるものの、GA4自体は無料版で利用できる機能です。

GA4のレポートでも集計済みデータを閲覧できますが、BigQueryではローデータ(生データ)が格納されるため、より深いデータ分析やデータ活用が可能となります。

また、BigQueryはGoogleが提供するサービスであるため、Googleの他サービスやBIツールとシームレスに連携できるのも魅力の1つ。オンプレミス型ではなくクラウド型のサービスなので、サーバーレスで使える点もメリットです。

BigQueryの活用ケースは大きく分けて2つ

ここからは、BigQueryの活用ケースを紹介します。BigQueryの活用ケースは、大きく分けて「分析活用」と「施策活用」の2つです。それぞれ詳しく解説していきます。

分析活用

分析活用では、例えば以下のような活用方法があります。

  • 個のユーザーのジャーニー分析・UXリサーチ活用
  • BIでのデータ可視化
  • CRMなどの複数データソースを掛け合わせた高度な分析

Webサイトやアプリのユーザー行動ログをBigQueryに集約することで、個のユーザーのジャーニー(行動履歴)を可視化・分析できます。ABテストの結果を分析すれば、UXの改善に繋げられます。

また、Power BIやLooker StudioといったBIツールと連携すれば、BigQueryに集約したデータをリアルタイムに自動で可視化することも可能です。

施策活用

施策活用では、例えば以下のような活用ができます。

  • AI(人工知能)や機械学習によるデータモデリング→広告・MAへの活用
  • Web行動データを用いたセールス・顧客サポートへの活用など

BigQueryに集約された大量のデータをAIの機械学習にかけることで、MA(マーケティングオートメーション)ツールで既存顧客のスコアリングが行えます。これにより、以前にWebサイトやSNSにアクセスしたことのある顧客に向けて最適な広告を配信することが可能です。

また、BigQueryに集約されたWeb行動データを用いることで、ユーザーがオンライン上でどのように行動していたかがわかります。この行動データを分析することで、セールスや顧客サポート(CS)にも活用できます。

BigQuery|分析における活用事例5選

ここからは、BigQueryの具体的な活用事例を紹介します。まずは分析における活用事例をまとめました。

BigQueryの分析における活用事例
  • 各種マスタ情報・オフラインデータとの突合
  • 前後パス分析
  • コンバージョンパス分析
  • コンテンツグループ
  • BIとの接続

それぞれ解説していきます。

各種マスタ情報・オフラインデータとの突合

ユーザーIDやトランザクションIDといった各種ID情報やコンテンツURLなどに対して、マスタ情報を突合することで、より深い分析ができるようになります。突合させたデータを機械学習させることで、リードやコンバージョンの質を高めていくことも可能です。

例えば、BtoBや耐久消費財などのサービスのお問い合わせに対して1件ごとにIDを付与できれば、お問い合わせごとに営業におけるステータスの管理を行えます。最終成約に繋がったお問い合わせIDとユーザーIDを突き合わせることで、顧客が初めてアクセスしたWebサイトページがわかり、コンバージョンに効果的な施策を把握することができます。

また記事コンテンツでは、著者別の評価やコンテンツSEOの評価などに活用できます。

このように、各データを突合することでより自由な分析を行えるようになります。

突合元マスタ情報の例得られる示唆

ユーザーID


ユーザー属性情報
・性別・年齢・職業・顧客ランク


・属性別のサイト閲覧行動分析
・顧客ランク別の利用するチャネル分析


トランザクションID


購入情報
・通算購入回数
・キャンセル
・返品
・サブスク継続回数


・初回購入をKPIにした施策評価
・マイナス伝票を反映した精緻な施策ROI計算
・施策別のサブスクLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)評価


お問い合わせID
(BtoB/耐久消費財)


商談管理
・お問い合わせごとの営業ステータス(アポ確定~商談~見積提示~契約)


・最終成約に繋がるWeb施策の把握


記事コンテンツURL


記事のメタ情報
・著者
・記事カテゴリ
・現在のタイトル
・狙っているSEOキーワード


・著者別の評価(どのライターを評価するか)
・タイトル変更によらない記事PV評価・コンテンツSEOの評価

前後パス分析

GA4では、対象のページを見る前後の閲覧ページを確認できる「ナビゲーションサマリー」にあたる機能がありません。これを、BigQueryにより再現する活用事例です。

BigQueryのナビゲーション関数を用いることで、特定ページの前後パスデータが得られます

  • LAG関数:前のNパスを抽出
  • LEAD関数:後のNパスを抽出

上記の関数を使えば、「ナビゲーションサマリー」と同等の分析ができるようになります。

また、特定ページ前後の1パスだけでなく、2パス、1パスといったように複数のパスデータを得ることもできるため、より複雑な分析も可能です。

コンバージョンパス分析

アクセス解析では、「コンバージョン率(CVR)を改善するためにゴールデンパスを出したい」というニーズがよくあるかと思います。

BigQueryを活用すれば、「コンバージョンをしているユーザーが、どのページをどのような順序でたどっているのか」を分析できます。

「コンバージョンした」セグメントを組んでデータ抽出した場合の問題点は、コンバージョン以降のページも評価に入れてしまうことです。しかしBigQueryを使用すれば、コンバージョン前後の行動をタイムスタンプから切り分けることが可能です。

上記のように厳密にコンバージョン前の閲覧ページだけを評価できるため、分析しやすくなります。

コンテンツグループ

GA4のコンテンツグループ(ページをグルーピングして集計できる機能)はとても便利ですが、以下のような使い勝手の悪さがあります。

  • 設定後からでないと反映されない
  • GA管理画面上でのグルーピングができない
  • タグベースでの実装が必要で設定が難しい

BigQueryを使用すれば、ページをSQL上でまとめ上げてコンテンツグループのような集計をすることが可能です。具体的には、ページのグルーピングルールをCASE関数を利用して分類していきます。

また、同様の発想で、参照元情報からチャネルグループの作成も行えます。

BIとの接続

BIとの接続は、BigQueryの王道的な活用事例です。

Looker StudioやTableau、DOMO、Power BIなど、メジャーなBIツールであれば、ほとんど接続できます。BigQueryに蓄積されるデータをBIツールに反映させ、定期的に更新することで最新のデータをリアルタイムで可視化できるようになります。

BigQuery|施策における活用事例2選

ここからは、BigQueryの施策における活用事例を紹介します。

BigQueryの施策における活用事例
  • SaaSプロダクト別のレポート基盤の統一
  • MAとの統合

それぞれ解説していきます。

SaaSプロダクト別のレポート基盤の統一

複数のSaaSプロダクトを扱うA社は、プロダクトが多く煩雑になっている集計業務を効率化するため、プロダクトごとに以下のデータを可視化したいと考えていました。

  • GoogleアナリティクスのWeb集客・コンバージョンデータ
  • Salesforceのリード・商談データ

また、プロダクトごとでそれぞれにデータを抽出すると集計ルールがバラつくため、統一化の必要もありました。

そこで、GA4・SalesforceのデータをBigQueryに格納し、プロダクトごとのデータをBigQueryから抽出、BI用テーブルを構築する仕組みを整備。

Googleスプレッドシートを用いてBigQueryのデータを分析できる「コネクテッドシート」機能を用いて、必要なデータをデイリーで自動抽出できるようになりました。

MAとの統合

MA・SFAツールの活用を進めてきたB社は、現在実行しているマーケティング施策が、最終的に成果に結びついているのかどうかを判断するため、以下のデータを統合する必要がありました。

  • Googleアナリティクスで計測される集客・ランディングページのデータ
  • MA・SFAで補足できているWebコンバージョン以降の有効リード(SQL)・商談・成約のデータ

例えば、とあるページからいくらコンバージョン(リード獲得)が発生していたとしても、その後の過程で商談や成約に結びついていないのであれば、投資対象を見直すことができるためです。

上記のデータを統合するために活用したのがBigQueryです。

まずは、ユーザーがフォームを送信するごとにユニークなユーザーIDを、GA4とMAの双方で取得します。その後、それぞれで取得したデータをBigQueryに格納し、BigQuery上で統合。そのデータをBIツール(Looker Studio)を用いて可視化し、分析に活用していきました。

その結果、各施策(流入経路)で取れたリードが、最終的にどれくらい商談・成約に繋がっているのかを分析できるようになり、投資判断なども行いやすくなりました。

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BigQueryに関するよくある質問

最後に、BigQueryに関するよくある質問についてまとめました。

BigQueryに関するよくある質問
  • BigQueryを活用すべきサイトの規模は?
  • BigQueryの料金は?
  • BigQueryはSQLの知識がなくても使える?

それぞれ解説していきます。

BigQueryを活用すべきサイトの規模は?

サイトの規模はあまり関係ありません。

BigQueryエクスポートのデータは、一人ひとりのユーザー行動をつぶさに確認していくことができるため、規模に関わらず、利用いただいて分析いただくと得られるものも多くあるためです。

一方で、活用しようとしていくと、それなりに金銭的にも労力としてもコストがかかります。それらを天秤にかけて判断していくべきでしょう。

BigQueryの料金は?

BigQueryは他のDWHと比べてとてもリーズナブルです。

おおまかなコストとしては「オンデマンド分析のコスト(クエリのスキャン量)」と「ストレージコスト」の枠組みでそれぞれ発生します。

分析支援を外注する場合は人的コストも発生する点にも留意しましょう。

以下に詳細な料金をまとめたので、自社の状況と照らし合わせてみてください。

サービスと用途サブスクリプションタイプ価格
無料枠

10GB のストレージ、1ヶ月あたり最大1TBのクエリ、その他のリソースが可能


コンピューティング(分析)

オンデマンド


スキャンしたTBあたり1,163円※毎月1TBまで無料


Standard エディション


スロット時間あたり7.9円


Enterprise エディション


スロット時間あたり11.9円


Enterprise Plus エディション


スロット時間あたり19.8円

ストレージ

アクティブなローカル ストレージ


1GBあたり3.56円
※毎月10GBまで無料


長期の論理ストレージ


1GBあたり2.5円
※毎月10GBまで無料


アクティブな物理ストレージ


1GBあたり8円
※毎月10GBまで無料


長期の物理ストレージ


1GBあたり4円
※毎月10GBまで無料

データの取り込み

バッチ読み込み


無料


ストリーミング挿入


200MiBあたり1.9円


BigQuery Storage Write API


1GBあたり4.7円
※毎月2TBまで無料

データの抽出

バッチ エクスポート


無料


ストリーミング読み取り


205円〜

参照:BigQueryの料金| Google Cloud

※2024年4月時点での為替レート・料金・サービス内容です。最新の情報は公式サイトでご確認ください。

BigQueryはSQLの知識がなくても使える?

最近では、ChatGPTなどの生成AIに「BigQueryでxxxxxを分析したいので、そのためのクエリを書いてください」とオーダーすれば、大半のクエリを作成できます。そのため、高度なSQLの知識がなくてもBigQueryを扱うことは可能です。

ただし、オーダーの仕方や生成AIのアウトプットが正しいことを確認するうえで、基礎となるSQLの知識は不可欠です。SQLの基礎知識は押さえたうえで使うようにしましょう。

まとめ|自社ビジネスにBigQueryを活用しよう

Googleが提供するDWHのBigQueryについて、活用ケースや具体的な活用事例を紹介しました。

BigQueryは処理能力の高さが魅力で、膨大なデータを処理したり、BIツールと連携させてリアルタイムでデータを確認したりすることができます。また、料金は従量課金制なので、予算や使用量に応じて無駄なく調整できる点も大きなメリットです。

一方で、BigQueryのメリットを最大限に活かすためには、専門の知識やノウハウが欠かせません

THE MOLTSでは、BigQueryによるデータ基盤構築支援も行っています。自社で構築が難しい場合や、より効果的なマーケティングを行いたい方は、ぜひTHE MOLTSまでご相談ください。

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著者情報

MASAHIRO NISHI

西 正広

Marketing Strategist / Data Analyst

業界歴15年。データ戦略の立案、アクセス解析、CVR改善、データ活用基盤の構築などを担当。電通デジタルを経て2019年MOLTS参画。

担当領域の
サービス

  • マーケティングリサーチ
  • コミュニケーションプランニング
  • SEO
  • アクセス解析
  • CDP/DMP構築・運用

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